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69 婚姻の誓い
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アランが私の頭を抱きかかえ、口のなかに熱い欲望を吐き出した。飲みきれなかった白濁が、口元を……胸を……白く汚しながら、つたい落ちる。
「アラン、嬉しい! 好きじゃなかった大きい胸だけど、初めて大きくてよかったと思えたわ」
「リオ、いいか?」
アランの瞳が欲望でぎらついている。
「え? だって今、出したばかり……」
「全然たりない! 俺はリオを愛したい!」
「……それは……嬉しいけれど……『聖者の手記』の話をする前にさんざんしたでしょ。小石が背中をこすって、まだヒリヒリしていて痛いから、外は嫌よ」
アランが、いきおいよく私を抱きよせ口づけをする。一気に体の痛みがとけだし、消えた。彼の治癒魔法だ……
「苦っ……」
眉間にシワをよせながら、私の口から舌を引き抜く。
「リオ、よくこんな苦いの飲めたな……口、ゆすげ、ほら早く」
「自分で出したものでしょ!」
彼の大きな手が滝壺の水をすくい、口元にさしだされた。ふたりで笑いあいながら口をゆすぐ。
「リオ、先ほどの質問だが、俺はすでにファリアーナ神を信仰していないよ。俺にとっての女神はリオだけだ。リオが俺の目の前に降臨したことが奇跡で、その奇跡が俺を伴侶に選んでくれた。俺にたくさんの奇跡をあたえてくれるリオを信仰するのは当たり前だろ?」
「ふふ、なにその理屈? でも……嬉しいかも。私にとってもアランと出会えたことは奇跡だわ。アランが聖女じゃなく、私を選んでくれた奇跡に感謝しているわ。私にとっての至高の存在は、アランだわ」
「俺の唯一リオ、愛しているよ」
「私の唯一アラン、愛しているわ」
そっと唇をかさねる。
「この世界の神がみが、戦い傷つき立ち去るのを見守っていたのがファリアーナ神だ。この世界にひとり残ったファリアーナ神が唯一神となり、愛と慈愛の瞳で人びとを見守るようになった……と、言われているんだ。豊穣を約束し人びとが愚かな戦いを繰り広げないように、規律と約定をつくった」
アランは私を抱きしめながら、ファリアーナ神のことを教えてくれた。
「新たな神の存在は、人びとの信仰心を揺るがせる……伯爵邸から脱出するとき、誰かが俺を『魔獣王』と呼んだんだ。荒ぶる戦いの神、怒れる鬼神、魔獣王を名乗るのもよい考えだと思う」
ニヤリと意地悪そうな顔をしたアランをじっと見上げる。魔獣王という神もいたのね……
「魔獣がでるシノアの森に魔獣王が復活した。その噂は少しずつファリアーナ神への信仰を削っていくことだろう。聖者の望みは叶うよ」
アランが新しい魔獣王になるの! 驚いて、目を見開いた。ファリアーナ神の信仰が徐々に薄れるようすが目にうかび、ジワジワ嬉しさがこみあげてくる。
「最高の考えだわ、アラン! だってあなた、すでにセフィロース領から家一軒かついでシノアの聖域まできたじゃない! 街で鬼神だ! って、騒がれていたもの」
滝壺のそばにデン! と構える家を指差し、笑った。「寝泊まりできる設備が必要だ!」って、言いながら、彼は小さな一軒家をジリオ様からいただいた金貨で購入し、土台ごとひっこぬいて持ってきてしまった。
薄々は感じていたけれど、アランの身体強化は異常な強さになっている。治癒魔法の威力も高い。私の魔力のすべてを、アランひとりへ捧げた結果なのかも知れない。
でも、この力が『魔獣王』の噂に信憑性を持たせてくれるなら……ジリオ様とレディ・ピアディのよりそう姿が目に浮かび、笑顔がこぼれた。
「家は……必要なんだ。寝室が必要で……」
「私は、野営用のテントでくっついて眠るのも好きよ」
「ぐっ……いや、婚姻のため……」
「婚姻?」
アランは、コクンとうなずくと話してくれた。
「この世界の婚姻は、寝室に婚姻の署名をした『約定の証書』を飾るんだ。『約定の証書』は必要ないが、リオとの婚姻の証が欲しくって……なんでもいいんだ! ふたりで決めて寝室に飾るものなら、なんでも!」
私はアランの首に抱きついた。
「ステキ! ステキだわ! なにがいいかしら、なにに婚姻を誓う? あ! そうだわ」
私はアランの手をひいて家のなかへ入ると、椅子の上にちょこんと座らせていた、うさピョンを抱きあげた。
「これがいいわ! このウーニャのぬいぐるみ! 私たちは、ジリオ様とレディ・ピアディに誓って幸せになるの」
アランが笑いながら、うさピョンを胸に抱く。
「病めるときも命あるかぎり、リオを愛しつくすことを誓います」
「アラン、それだとひどく短い誓いの言葉だわ。それに意味が、なんとなく違ってしまうような……けど、あなたらしくっていいわ。私もあなたを愛しつくすと誓うわ」
私は異世界で、私の唯一を手にいれた。
「アラン、嬉しい! 好きじゃなかった大きい胸だけど、初めて大きくてよかったと思えたわ」
「リオ、いいか?」
アランの瞳が欲望でぎらついている。
「え? だって今、出したばかり……」
「全然たりない! 俺はリオを愛したい!」
「……それは……嬉しいけれど……『聖者の手記』の話をする前にさんざんしたでしょ。小石が背中をこすって、まだヒリヒリしていて痛いから、外は嫌よ」
アランが、いきおいよく私を抱きよせ口づけをする。一気に体の痛みがとけだし、消えた。彼の治癒魔法だ……
「苦っ……」
眉間にシワをよせながら、私の口から舌を引き抜く。
「リオ、よくこんな苦いの飲めたな……口、ゆすげ、ほら早く」
「自分で出したものでしょ!」
彼の大きな手が滝壺の水をすくい、口元にさしだされた。ふたりで笑いあいながら口をゆすぐ。
「リオ、先ほどの質問だが、俺はすでにファリアーナ神を信仰していないよ。俺にとっての女神はリオだけだ。リオが俺の目の前に降臨したことが奇跡で、その奇跡が俺を伴侶に選んでくれた。俺にたくさんの奇跡をあたえてくれるリオを信仰するのは当たり前だろ?」
「ふふ、なにその理屈? でも……嬉しいかも。私にとってもアランと出会えたことは奇跡だわ。アランが聖女じゃなく、私を選んでくれた奇跡に感謝しているわ。私にとっての至高の存在は、アランだわ」
「俺の唯一リオ、愛しているよ」
「私の唯一アラン、愛しているわ」
そっと唇をかさねる。
「この世界の神がみが、戦い傷つき立ち去るのを見守っていたのがファリアーナ神だ。この世界にひとり残ったファリアーナ神が唯一神となり、愛と慈愛の瞳で人びとを見守るようになった……と、言われているんだ。豊穣を約束し人びとが愚かな戦いを繰り広げないように、規律と約定をつくった」
アランは私を抱きしめながら、ファリアーナ神のことを教えてくれた。
「新たな神の存在は、人びとの信仰心を揺るがせる……伯爵邸から脱出するとき、誰かが俺を『魔獣王』と呼んだんだ。荒ぶる戦いの神、怒れる鬼神、魔獣王を名乗るのもよい考えだと思う」
ニヤリと意地悪そうな顔をしたアランをじっと見上げる。魔獣王という神もいたのね……
「魔獣がでるシノアの森に魔獣王が復活した。その噂は少しずつファリアーナ神への信仰を削っていくことだろう。聖者の望みは叶うよ」
アランが新しい魔獣王になるの! 驚いて、目を見開いた。ファリアーナ神の信仰が徐々に薄れるようすが目にうかび、ジワジワ嬉しさがこみあげてくる。
「最高の考えだわ、アラン! だってあなた、すでにセフィロース領から家一軒かついでシノアの聖域まできたじゃない! 街で鬼神だ! って、騒がれていたもの」
滝壺のそばにデン! と構える家を指差し、笑った。「寝泊まりできる設備が必要だ!」って、言いながら、彼は小さな一軒家をジリオ様からいただいた金貨で購入し、土台ごとひっこぬいて持ってきてしまった。
薄々は感じていたけれど、アランの身体強化は異常な強さになっている。治癒魔法の威力も高い。私の魔力のすべてを、アランひとりへ捧げた結果なのかも知れない。
でも、この力が『魔獣王』の噂に信憑性を持たせてくれるなら……ジリオ様とレディ・ピアディのよりそう姿が目に浮かび、笑顔がこぼれた。
「家は……必要なんだ。寝室が必要で……」
「私は、野営用のテントでくっついて眠るのも好きよ」
「ぐっ……いや、婚姻のため……」
「婚姻?」
アランは、コクンとうなずくと話してくれた。
「この世界の婚姻は、寝室に婚姻の署名をした『約定の証書』を飾るんだ。『約定の証書』は必要ないが、リオとの婚姻の証が欲しくって……なんでもいいんだ! ふたりで決めて寝室に飾るものなら、なんでも!」
私はアランの首に抱きついた。
「ステキ! ステキだわ! なにがいいかしら、なにに婚姻を誓う? あ! そうだわ」
私はアランの手をひいて家のなかへ入ると、椅子の上にちょこんと座らせていた、うさピョンを抱きあげた。
「これがいいわ! このウーニャのぬいぐるみ! 私たちは、ジリオ様とレディ・ピアディに誓って幸せになるの」
アランが笑いながら、うさピョンを胸に抱く。
「病めるときも命あるかぎり、リオを愛しつくすことを誓います」
「アラン、それだとひどく短い誓いの言葉だわ。それに意味が、なんとなく違ってしまうような……けど、あなたらしくっていいわ。私もあなたを愛しつくすと誓うわ」
私は異世界で、私の唯一を手にいれた。
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