悪役令嬢になってしまったので準備は万全にしましたが義弟が心配です!

さくら

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1章

強力な魔力には

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おはようございます。今日もグレイエと同じ馬車に乗るために朝練の時間に行きます!
そして今日こそはメイドのミアに頼んでいたものを受け取るし、マリアにも謝るのだから頑張る!
朝ごはんを食べ終わった後急いでメイド達に準備を手伝ってもらいながらなんとか馬車の出発予告時刻に間に合った。
「お前今日も早朝から学園に行ってどうするんだよ?」先に乗っていたグレイエに怪しまれながら聞かれる。
「大丈夫ですわ!私やることたくさんあ…リマスから」
「あっそう」
「ちなみに帰りも一緒ですわよ」グレイエのクラブの放課後の活動が授業後に2時間程あるのだけどそれをこれからは待っているつもりだ
「本当お前何すんだよ!?」
「図書館でお勉強かお友達とお話しするとか?」
「疑問系かよ…」
「あ、私もクラブに入っていますのよ」
「それ殿下のファンクラブだろう!!」殿下のファンクラブ公認に追い出されそうになりながらも入っています。ギリギリ。
「残念だったな殿下は明日まで隣国で公務…」「それくらい知ってますわ!」グレイエが言い終わる前に被せて言う。
「とにかく今日も明日もこれからもグレイエと同じ馬車で帰りますからね!」
返事の代わりにめっっちゃ嫌な顔をしてきたグレイエを無視して15分間仮眠をとることにした。

今日は以前と同様に髪型を少しまとめてきたのであまり髪色は目立たない。学園に着き朝練の運動場に向かうグレイエとは逆に本部棟に向かった私は昨日と同様に今まで迷惑をかけてきたご令嬢に謝りに行こうとしている。朝練の時間にもちろん着ていない生徒もいるので今日の授業の毎休憩時間にも謝罪をしに行く予定だ。マリアだけは最後にミレーヌと一緒に三人で話し合いたいと思う。そのため今日の放課後は山場である。とりあえず教室に鞄を置きに向かった。

「リリーナルチア様ごきげんよ」
教室には既にミレーヌが声をかけてくれた。
「あらミレーヌ、ごきげんよ。はやいのね」
「はい。今日もお供させてください」
「えっ申し訳ないわ。あなたにこれ以上迷惑かけるなんて」
昨日確かミレーヌには今日のプラン話したわ。気を使わせてしまったかしら。
「リリーナルチア様ひとりで行動された方が後々私の面倒事になるので」
「反論の余地がないわ……」
「リリーナルチア様ごきげんよ」
「マリア!ごきげんよ」マリアも教室に入ってきた。
「…………」マリアとミレーヌの間に長い沈黙。
そうでしたそうでした。この二人は喧嘩紛いを昨日したのでしたね。間接的に私が原因なんだけど。
「マリアあなたもリリーナルチア様にお話ししなければならないことがあるはずでしょ。今日のクラブ後にでも」
「私はクラブの話し合いがありますのでここで失礼しますわ」マリアは教科書だけ置きクラブに向かった。
ミレーヌを無視だと!?わぁミレーヌめっちゃ怒りが顔に出てますけど。


この後ミレーヌと毎休憩時間二人で謝りに行ったがその間マリアは私達に近寄ることはなかった。
そして気づけば放課後になってしまった。こんなにマリアと一緒に居なかった学園生活は初めてだ。いつも私の側でいつだって肯定してくれるのに。不安で仕方がないのは多分これまでのリリーナルチアとしてのマリアとの過去の記憶が濃く何より大切だったからだ。あんな我儘で強情な悪役令嬢にも心はあるのだ。目には涙が自然に溢れてくる。可笑しいよ、リリーナ。そんなに大事なら、大事ならもっともっとマリアのことを気にかければよかったじゃない。もうお遅いかもしれない。でもあなたになった、私はリリーナルチアあなたの気持ちも願いもわかってあげれる。あなたが望むのはいつもあなたのために一喜一憂してくれる存在。そんな二人の笑顔だ。だからもうのことは嫌いでも構わない。ミレーヌとマリアだけでも仲直りしてほしい。
涙を拭きながらマリアのいるクラブ棟に向かった。
「マリアが私のこと嫌いになってしまっていてもあなたはマリアと仲直りしてね」途中で合流したミレーヌにこれから話す前に大事なことを言っておいた。
「そんなことはないです。マリアはリリーナルチア様のことが大好きです。だってマリアは昔から大事な人にしか刺繍の入ったものをプレゼントしないですから」
「そうかしら」
「そうですよ」
「ミレーヌ、私のことリリーナって呼んでくれないかしら」
「えっいいのですか?」
「ええ、だって私達お友達でしょ」
「はいリリーナ様」嬉しそうにそう返事をしてくれた。どうか願わくば三人でまた笑えますように。

「ごめんなさい。少しトイレに寄りたいの。ミレーヌ先に行ってくれないかしら?」
「わかりました。では先に行って待ってますね」
そうだ。私達はマリアと待ち合わせしているわけではない。ただクラブの部屋にお邪魔しようとしているだけに過ぎない。なので私がくるとは思いもよらないことだろう。それに私がいては二人は仲直りできないかもしれない。先に二人で仲直りしてほしいのだ。トイレに寄り少し時間が経ってから再びクラブ部屋に向かった。クラブ棟内は古い建物で実は言うとあまり訪れた記憶がない。数回ぐらいしかきていない設備も本部棟に比べるとボロい。マリアのクラブ部屋も曖昧だ。多分ここだと思う部屋の前についた。一応ノックをして入ると誰も居なかった。部屋も一応明かりは付いているものも薄暗い奇妙な明るさと雰囲気だ。部屋にあるのは小動物が入りそうな小さな檻があるのと10席の座席と黒板と教壇。不気味に思い急いで部屋を出る。外を出て表札を見る。同じ番号でも間違えた。3階だったここより一つ下の階ね。
さっきの部屋怖かった。どんなクラブなのか気になるとこだけどそろそろミレーヌが心配してそうだし急がなきゃ。


マリアのクラブは手芸部だ。顧問の教師も確かそんなに厳しくない。だから突然見学したいとか友達がやっているの見ていても怒らない。そもそも文系クラブは顧問が顔を出さないことで有名だし、運動系のクラブと比べて規則に対しては緩いし突然クラブ生じゃない生徒が入ってきても誰もとやかく言わないのだ。ちゃんとクラブとしての活動をしていれば問題はない。そう。だからお邪魔させてもらうわ!
「失礼します」
「リリーナルチア様!」ミレーヌとマリアがこちらをみた。
「リリーナ様」どうやら二人は話していた様子だ。少し安堵した瞬間だった。
突然部屋中が黒い霧に包まれた。

「えっどう言うこと」
「何が起こっているのかしら」
慌てるほかの生徒たちを前にミレーヌは大きな声で言った。

「落ち着いてください。これは何者かが闇魔法を使用しているようです!」
「リリーナ様後です!!!」ミレーヌの声を頼りに後を見るとリスのような獣が闇魔法を発動しようと魔法陣を出していた。
私は急いで教室の奥に入りミレーヌやマリアと合流した。
「バリアを」
「みんな集まって」
「バリア」マリアがクラブの全員を急いで集めバリアを発動させた。だけどこの範囲のバリアを保ってたとしても10秒だ。私達学園の生徒は貴族だけそのため魔法石なく主にほとんどの生徒は属性魔法が使える。しかし学園での教育では魔法を魔力の制御と生活使用の応用、属性攻撃魔法と護衛術魔法のバリアしか習わない。それ以上の応用魔法は学院でしか習わない為このように突然変異した獣が魔法で襲ってきたとしても使える手段はバリア以外ない。例え今属性攻撃魔法が使えたとしても闇属性にはあまり効かない。相性が悪いからである。それに実践の機会が授業以外でないから攻撃魔法をいきなり獣に使用することは難しく、また学園の生徒は魔力はそんなに高くない。バリアを1回発動するのにだってそれなりの時間と魔力を消費する。マリアが後バリアできる数3回。いや後2回かもしれない。15人いる範囲のバリアだ。あと3秒
いや保たない。
「バリア」ミレーヌがすかさずバリアを発動した。闇属性に唯一効く属性攻撃魔法はは光だ。でも光は王族の血が入った人間でないと持つことがない属性だ。つまりここにはいない。マリアは一度に大量の魔力を使ったためすごく疲労していた。
他の生徒もバリアを何度か使ったせいか酷い表情だ。
数分が過ぎた。
「どうして!!こんなにも異様な魔力と魔法が学園内で使用されているのに教師が来ないの!?」
「既に半分の生徒が魔力を使い切りました」泣きながら他の生徒が叫ぶ
「もうおしまいです」絶望している顔だ。ここにいる生徒はまだ13歳か14歳の子供だ3年生は学院試験のためいない。私達上級生がなんとかって言ってもそんなに年も精神的にも魔力も変わらないし誰もが限界だ。
私だけ魔法石がなく何もできない。あの獣がだす魔法陣から読み解くに多分浴びたとこで死にはしない魔法だ。だけど後遺症が残るかもしれないそれだけ闇魔法は強力だ。幸い部屋には扉は2つある前の入り口は獣が入り口付近にいるが後にはいない。このまま教師が来なかったら全員が将来の可能性に陰りが入ってしまう。勝算がないわけではない。私は確か足が速いのだ。少し足止めさえ出来れば教師がいる部屋まですぐ行ける。ここに私がいても何もできない。私が行くしかないのだ。
「マリア、ミレーヌ。みんな聞いて。私は魔法石がないと魔法が出せない特質体質だから獣からもしかしたら認知されないかもしれないわ、だから後の入り口から教師がいる部屋に走って伝えに行こうと思うの」魔法が使える獣は本能で魔力が高いものに攻撃するとならった。
「危険です」
「おやめください」
「でもこのままでは皆が助からないわ」
「私はリリーナルチア様に何かあったら生きていけません」マリアが泣きながら止める。だけどこれではどうにもならないのだ。
「ごめんね!絶対助けるから」私はバリアを抜け走り出した。
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