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2章
名前はいらない。
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クラブがない日も居残りで勉強するリリーナに合わせて俺もクラブがない日も自主室で勉強をすることになった。
そんな義姉は登下校中の馬車や家の廊下を歩く時ですら勉強時間に当てている。
今度のテストは婚約者候補の中からひとりを選ぶ際に重要なテストだ。そのテストはただの学校の授業の力が身についているかの確認のテストではない。
テスト内容を10としたらその確認は2で残り8は全学年が受ける総合テストだ。他国の歴史についてや授業ではあまり触れない範囲の魔法学など基礎学力ではなく全てが応用問題なのだ。総合テストは順位もでる。もちろん3年生が有利だが王妃教育で幼少期からずっと勉強をしている候補者達が総合成績1位を目指している。1位になれば国際的な場で殿下のパートナーとして参加が確約されているからだ。テストまで残り1週間ということでその勉強も佳境に入っている。勿論勉強はするが2割以外は範囲もない果てしない勉強していいのかわからないので苦手な教科を全部理解できるようにして応用が可能なように要点だけでも魔法学は頭に入れるよう努力している。
新たな参考書を借りようと図書室に向かうと青い顔をしてフラフラ歩いているリリーナを見つけた。
「リリーナ?」思わず声をかける。
「グレイエ」いつもの元気がなくか細い声で呼ばれる。
「どうしたんだよ!フラフラじゃないか」
「心配かけてごめんなさいね。ちょっと寝不足と空腹で気持ち悪いの。でもどうしてもわからない問題があって先生に聞きたくて」
「どこだよ」
「この資料集86pの右下にある応用問題にどの術式も公式も使えないから何を使えばいいか知りたいんだけど」
魔法学の資料集なんて基礎編しか開いたことない俺がわかるはずもなかった。
「わかった。俺が代わりに聞いてくるから図書室で座ってろよ!」
朝一緒に登校した時も顔色悪かったけど明らかに悪化してる。
急いで職員室に行き魔法学に詳しい先生に頼まれていたことを聞く。先生は詳しく教えてくれるが応用問題なだけあって聞いただけでは理解できないので必死に説明の言葉を紙に書いて要点をまとめる。気づけば想像以上に時間がかかってしまった。
慌ててお礼を言い職員室を出ると図書室に向かった。
目的の場所の扉を急いで開け回りを見渡しながら自習スペースを探すが見当たらない。
不安に思いリリーナが来たかどうか図書室の司書を担う教員に聞くと保健室に行ったと答えが返ってきたのですぐ近くにある保健室に向かう。
最初から具合が悪いのを知っていたので図書室ではなく勉強を止めてでも保健室に行くように言っていればと頭の中で反省しながら保健室の前まできた。一番近い扉は少し開いていた為一応中を確認するとリリーナと殿下の姿が見えた。
「倒れそうになるまで勉強するのは関心しないな。今日はもう帰るべきたね」殿下がそうリリーナに言っていたが表情はわからない。
どうやらリリーナを保健室に連れ添ってくれたようだった。
「はい。すみません」リリーナは声で表情がわかるくらい申し訳なさそうで顔はやや遠くからでもやはり申し訳なさそうな顔をしていた。
「もうすぐここに担当の先生が戻ってくる頃だから僕は君の帰りの手筈を整えておくよ」
「お気遣いありがとうございます。ですが義弟のグレイエに頼みますので」
「そうか。じゃあグレイエ君を探しに図書室に行くとしようかな」
「よろしくお願い致します」
会話を聞いてると中に入るタイミングを逃してしまい気づけば俺を殿下が探す事態に。気まずいので今まるで保健室に来た風に扉の近くに向かおうと廊下を後退りしようすると
「わかった。身体に気をつけてね」
チュッ
「ふあ」
殿下がリリーナの手の甲にキスをしている場面を見てしまった。
後退りするどころがびっくりして思っていたより図書室の近くまで戻ってきてしまった。
リリーナは声をあげて顔は赤て驚いてた。
状況を整理している間に殿下が保健室から出てきた。普段より機嫌がいいのかニコニコしている。数歩歩いて俺を見つけた。
「グレイエ君よかった!探していたよ。君の義姉さん体調が悪化して倒れそうだったから今保健室で休んでるのだけど帰りの馬車を呼んできてくれないかな?」
「ありがとうございます。助かりました。すみませんでは馬車を呼んできます」頭を下げて急いで連絡用魔法石があるところに向かい歩きはじめた。
このようなことに敏感ではない俺でも殿下の中でリリーナへの感情が良い方に向かっているのがわかった。
最初はリリーナのいろいろな努力が実ったことへの安心で嬉しかった。でも思い出した手へのキスの場面がリリーナの表情がどこか少しの胸の奥を痛くさせた。
この感情に名前は一生いらない。
そんな義姉は登下校中の馬車や家の廊下を歩く時ですら勉強時間に当てている。
今度のテストは婚約者候補の中からひとりを選ぶ際に重要なテストだ。そのテストはただの学校の授業の力が身についているかの確認のテストではない。
テスト内容を10としたらその確認は2で残り8は全学年が受ける総合テストだ。他国の歴史についてや授業ではあまり触れない範囲の魔法学など基礎学力ではなく全てが応用問題なのだ。総合テストは順位もでる。もちろん3年生が有利だが王妃教育で幼少期からずっと勉強をしている候補者達が総合成績1位を目指している。1位になれば国際的な場で殿下のパートナーとして参加が確約されているからだ。テストまで残り1週間ということでその勉強も佳境に入っている。勿論勉強はするが2割以外は範囲もない果てしない勉強していいのかわからないので苦手な教科を全部理解できるようにして応用が可能なように要点だけでも魔法学は頭に入れるよう努力している。
新たな参考書を借りようと図書室に向かうと青い顔をしてフラフラ歩いているリリーナを見つけた。
「リリーナ?」思わず声をかける。
「グレイエ」いつもの元気がなくか細い声で呼ばれる。
「どうしたんだよ!フラフラじゃないか」
「心配かけてごめんなさいね。ちょっと寝不足と空腹で気持ち悪いの。でもどうしてもわからない問題があって先生に聞きたくて」
「どこだよ」
「この資料集86pの右下にある応用問題にどの術式も公式も使えないから何を使えばいいか知りたいんだけど」
魔法学の資料集なんて基礎編しか開いたことない俺がわかるはずもなかった。
「わかった。俺が代わりに聞いてくるから図書室で座ってろよ!」
朝一緒に登校した時も顔色悪かったけど明らかに悪化してる。
急いで職員室に行き魔法学に詳しい先生に頼まれていたことを聞く。先生は詳しく教えてくれるが応用問題なだけあって聞いただけでは理解できないので必死に説明の言葉を紙に書いて要点をまとめる。気づけば想像以上に時間がかかってしまった。
慌ててお礼を言い職員室を出ると図書室に向かった。
目的の場所の扉を急いで開け回りを見渡しながら自習スペースを探すが見当たらない。
不安に思いリリーナが来たかどうか図書室の司書を担う教員に聞くと保健室に行ったと答えが返ってきたのですぐ近くにある保健室に向かう。
最初から具合が悪いのを知っていたので図書室ではなく勉強を止めてでも保健室に行くように言っていればと頭の中で反省しながら保健室の前まできた。一番近い扉は少し開いていた為一応中を確認するとリリーナと殿下の姿が見えた。
「倒れそうになるまで勉強するのは関心しないな。今日はもう帰るべきたね」殿下がそうリリーナに言っていたが表情はわからない。
どうやらリリーナを保健室に連れ添ってくれたようだった。
「はい。すみません」リリーナは声で表情がわかるくらい申し訳なさそうで顔はやや遠くからでもやはり申し訳なさそうな顔をしていた。
「もうすぐここに担当の先生が戻ってくる頃だから僕は君の帰りの手筈を整えておくよ」
「お気遣いありがとうございます。ですが義弟のグレイエに頼みますので」
「そうか。じゃあグレイエ君を探しに図書室に行くとしようかな」
「よろしくお願い致します」
会話を聞いてると中に入るタイミングを逃してしまい気づけば俺を殿下が探す事態に。気まずいので今まるで保健室に来た風に扉の近くに向かおうと廊下を後退りしようすると
「わかった。身体に気をつけてね」
チュッ
「ふあ」
殿下がリリーナの手の甲にキスをしている場面を見てしまった。
後退りするどころがびっくりして思っていたより図書室の近くまで戻ってきてしまった。
リリーナは声をあげて顔は赤て驚いてた。
状況を整理している間に殿下が保健室から出てきた。普段より機嫌がいいのかニコニコしている。数歩歩いて俺を見つけた。
「グレイエ君よかった!探していたよ。君の義姉さん体調が悪化して倒れそうだったから今保健室で休んでるのだけど帰りの馬車を呼んできてくれないかな?」
「ありがとうございます。助かりました。すみませんでは馬車を呼んできます」頭を下げて急いで連絡用魔法石があるところに向かい歩きはじめた。
このようなことに敏感ではない俺でも殿下の中でリリーナへの感情が良い方に向かっているのがわかった。
最初はリリーナのいろいろな努力が実ったことへの安心で嬉しかった。でも思い出した手へのキスの場面がリリーナの表情がどこか少しの胸の奥を痛くさせた。
この感情に名前は一生いらない。
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