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日常
後悔
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みなさんは「バタフライ効果」というものをご存知だろうか。簡単に説明するとこうだ。
一匹の蝶が飛んでいるとする。飛ぶということはその蝶が重力に逆らう力を自分で発生させているわけで。それに必要な“羽ばたく”という行為によってもたらされた風が原因となって、地球のとある場所では台風となる。
もちろんそんなことはないだろう。蝶が羽ばたく程度で台風が起きるのだったら、鳥が飛んだら、ましてや、飛行機なんて飛んだら、世界レベルの大災害になってしまう。
だからこれは比喩だ。
しかし、小さな事象から、大きな事象へ変化するなんてことはよくある。
例えば、そう、一個の「ほつれ」が原因で服全体が壊れてしまう、だとか。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
その日の喧嘩はその言葉で突然の終わりを迎えた。親が白の言葉に衝撃を受け、その間、白はちょっとした罪悪感に苛まれながらもその場を後にしたからだ。
———その喧嘩が親との最後の喧嘩になるなど、夢にも思わずに。
その日は日曜日だった。
親が仕事先で倒れた。そういう電話が家にかかってきた。特に持病なんて持ってなかったはずだし、と思って、身支度をし、親が務めている仕事先に行ってみた
「すいません、蛇穴という人はここにいますか?」
「えっと、君ば誰?」
「蛇穴白、息子です」
受け答えしてくれてたひとが途端に慌ただしくなる
「君が白くんか!家に電話行ってない?まぁいいか。よく聞くんだよ。蛇穴さん、君のお母さんはつい先ほど病院に搬送されたよ。なんだか容体が急変したみたいでね、救急車で運ばれていったんだ。ここから1番近い大学病院に今いるはずだよ」
「えっと、母は無事なんですか?」
「——っ、さぁ、無事かどうかを知りたいなら、早く病院に行ってあげるといい。ただ救急車で運ばれたんだ、大丈夫とは言えないだろうね。って、君はどこに病院があるかわからないだろう。僕がタクシーをすぐに呼ぶから、しばらくそこにいるといい。ほら、お金はこれを使ってくれ。なに、心配するな。このお金は君が黙っていれば経費で落とせるからな」
「ありがとうございます。お言葉に甘えさせていただきますね」
母親の容体を質問した時に聞こえた、受け答えしてくれた社員の、息をのむ、その音に気付きながらも、至れり尽くせりな対応に感謝をする。
タクシーを呼んで、そのお金も払ってもらい、最後にジョークをいう。
考えてみればすぐに、母親の容体を聞いた少年に対する、社員なりの気遣いだと気づくのだが、まだ白はそのことに頭がいってなかった。
すぐにタクシーが来て、もう一度社員に礼を言いつつ乗り込む。もうすでにどこに行くかは言われてるらしく、病院に向かってもらった。病院の受付で名前を言うと、手術室の前まで誘導された。
この時、ようやく白は疑問に思う。
(なぜ手術室なんだ?)
後になって思う。
手術室を前にして、最悪の場合、つまり、母親が死ぬ、と言うことを覚悟すればよかったと。そして同時に、なぜその思考に自分が行かなかったのかを後悔する。
時間が経つ。
まだ母親が出てこない。
何人かが手術室に入る。
まだ出てこない。
手術中というランプはまだ点灯している。
空はもう暗くなっただろうか。
夜の病院がここまで怖いとは思わなかった、いや、怖いのは夜の病院ではなく、母親の状態の方かもしれない。
何時間待っただろうか。
体感ではそんな感じだった。
もしかしたら本当はそこまで待ってないのかもしれない。
しかし、そう思わせるほど白は慌てていた。
ドアが開く。
白衣を着たひとが出てきた。
「すいません、蛇穴白です! 親は! 母親はどうしたんですか? どこか悪いんですか? いや、どこか悪いから搬送されたんですよね、どうですか? 母親の状態は、今どうなってるんですか」
医者が覚悟を決めた目でこちらを見る。
何を話そうとしている?
なぜ覚悟を決めている?
母親はどこか悪いのだろう?
それは知っている、だって運ばれたんだから。
だから、そんなに覚悟決めて話さなくてもいいじゃないか。
「蛇穴輪花、君のお母さんは」
おい、やめろ
「18:27分、息をお引き取りになりました」
途端に息ができなくなる。
何をいってる?
昨日喧嘩したばかりだぞ
小言ばっか言って、あんなに元気だったじゃないか
「な、なんで」
「脳出血です。輪花さんが運ばれてきた時にはすでに瞳孔が開いておりまして……」
医者がなんかゴタゴタ言っている。
脳出血?は?
昨日まで普通に喧嘩してたぞ。
なんだよそれ、そんなわけないだろ。
瞳孔が開いて、とかそんなことは聞いてない。
聞いてるのは親が無事かどうかだ。
「そんなことはどうでもいいんです。母はどこですか?無事なんですよね?」
「我々も手を尽くしましたが、、、つい先ほどお亡くなりになりました」
そうだ、さっきそんなこと言ってたな
いや、認めない
「母親を見せてください」
直に会ってから確かめてやる。
そして母親と対面した。
髪が全部切られていた。
当たり前か、頭を手術したんだから。
その後の記憶はあまりない。
ただ、母親の死が受け入れられなくて。
そして、母親の遺体を見て気づく。
いつ母親を「お母さん」と呼ばなくなったのだろうか。
今までなんて呼んでいたのだろうか。
どうしようもない、後悔が白の心を染めていく。
———————————————————
Dです。
最初に、これは「物語」です。手術の段取りなど、事実とは全く違います。ご了承ください。
また、シロくんが混乱していることを表すために、改行マシマシにしました。僕としてはやりすぎた感じがあります。このような感じが嫌いな方はお手数ですが、感想欄までお申し出ください。
さらに、最初に語り部が出てきました。現代では作者が文中に出てくるのはNGですが語り部なら……と思った次第です。日本の古典文学ならいっぱい作者が出てくるので、きっと大丈夫!
そうそう、今日見たら、累計ポイントってところにもポイントが入っていたんです!
だからなんだよと思う方、すいません。
なんのポイントだよと思う方、僕もわかりません。
けど、ポイントがあるってなんかいいですね!
一匹の蝶が飛んでいるとする。飛ぶということはその蝶が重力に逆らう力を自分で発生させているわけで。それに必要な“羽ばたく”という行為によってもたらされた風が原因となって、地球のとある場所では台風となる。
もちろんそんなことはないだろう。蝶が羽ばたく程度で台風が起きるのだったら、鳥が飛んだら、ましてや、飛行機なんて飛んだら、世界レベルの大災害になってしまう。
だからこれは比喩だ。
しかし、小さな事象から、大きな事象へ変化するなんてことはよくある。
例えば、そう、一個の「ほつれ」が原因で服全体が壊れてしまう、だとか。
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その日の喧嘩はその言葉で突然の終わりを迎えた。親が白の言葉に衝撃を受け、その間、白はちょっとした罪悪感に苛まれながらもその場を後にしたからだ。
———その喧嘩が親との最後の喧嘩になるなど、夢にも思わずに。
その日は日曜日だった。
親が仕事先で倒れた。そういう電話が家にかかってきた。特に持病なんて持ってなかったはずだし、と思って、身支度をし、親が務めている仕事先に行ってみた
「すいません、蛇穴という人はここにいますか?」
「えっと、君ば誰?」
「蛇穴白、息子です」
受け答えしてくれてたひとが途端に慌ただしくなる
「君が白くんか!家に電話行ってない?まぁいいか。よく聞くんだよ。蛇穴さん、君のお母さんはつい先ほど病院に搬送されたよ。なんだか容体が急変したみたいでね、救急車で運ばれていったんだ。ここから1番近い大学病院に今いるはずだよ」
「えっと、母は無事なんですか?」
「——っ、さぁ、無事かどうかを知りたいなら、早く病院に行ってあげるといい。ただ救急車で運ばれたんだ、大丈夫とは言えないだろうね。って、君はどこに病院があるかわからないだろう。僕がタクシーをすぐに呼ぶから、しばらくそこにいるといい。ほら、お金はこれを使ってくれ。なに、心配するな。このお金は君が黙っていれば経費で落とせるからな」
「ありがとうございます。お言葉に甘えさせていただきますね」
母親の容体を質問した時に聞こえた、受け答えしてくれた社員の、息をのむ、その音に気付きながらも、至れり尽くせりな対応に感謝をする。
タクシーを呼んで、そのお金も払ってもらい、最後にジョークをいう。
考えてみればすぐに、母親の容体を聞いた少年に対する、社員なりの気遣いだと気づくのだが、まだ白はそのことに頭がいってなかった。
すぐにタクシーが来て、もう一度社員に礼を言いつつ乗り込む。もうすでにどこに行くかは言われてるらしく、病院に向かってもらった。病院の受付で名前を言うと、手術室の前まで誘導された。
この時、ようやく白は疑問に思う。
(なぜ手術室なんだ?)
後になって思う。
手術室を前にして、最悪の場合、つまり、母親が死ぬ、と言うことを覚悟すればよかったと。そして同時に、なぜその思考に自分が行かなかったのかを後悔する。
時間が経つ。
まだ母親が出てこない。
何人かが手術室に入る。
まだ出てこない。
手術中というランプはまだ点灯している。
空はもう暗くなっただろうか。
夜の病院がここまで怖いとは思わなかった、いや、怖いのは夜の病院ではなく、母親の状態の方かもしれない。
何時間待っただろうか。
体感ではそんな感じだった。
もしかしたら本当はそこまで待ってないのかもしれない。
しかし、そう思わせるほど白は慌てていた。
ドアが開く。
白衣を着たひとが出てきた。
「すいません、蛇穴白です! 親は! 母親はどうしたんですか? どこか悪いんですか? いや、どこか悪いから搬送されたんですよね、どうですか? 母親の状態は、今どうなってるんですか」
医者が覚悟を決めた目でこちらを見る。
何を話そうとしている?
なぜ覚悟を決めている?
母親はどこか悪いのだろう?
それは知っている、だって運ばれたんだから。
だから、そんなに覚悟決めて話さなくてもいいじゃないか。
「蛇穴輪花、君のお母さんは」
おい、やめろ
「18:27分、息をお引き取りになりました」
途端に息ができなくなる。
何をいってる?
昨日喧嘩したばかりだぞ
小言ばっか言って、あんなに元気だったじゃないか
「な、なんで」
「脳出血です。輪花さんが運ばれてきた時にはすでに瞳孔が開いておりまして……」
医者がなんかゴタゴタ言っている。
脳出血?は?
昨日まで普通に喧嘩してたぞ。
なんだよそれ、そんなわけないだろ。
瞳孔が開いて、とかそんなことは聞いてない。
聞いてるのは親が無事かどうかだ。
「そんなことはどうでもいいんです。母はどこですか?無事なんですよね?」
「我々も手を尽くしましたが、、、つい先ほどお亡くなりになりました」
そうだ、さっきそんなこと言ってたな
いや、認めない
「母親を見せてください」
直に会ってから確かめてやる。
そして母親と対面した。
髪が全部切られていた。
当たり前か、頭を手術したんだから。
その後の記憶はあまりない。
ただ、母親の死が受け入れられなくて。
そして、母親の遺体を見て気づく。
いつ母親を「お母さん」と呼ばなくなったのだろうか。
今までなんて呼んでいたのだろうか。
どうしようもない、後悔が白の心を染めていく。
———————————————————
Dです。
最初に、これは「物語」です。手術の段取りなど、事実とは全く違います。ご了承ください。
また、シロくんが混乱していることを表すために、改行マシマシにしました。僕としてはやりすぎた感じがあります。このような感じが嫌いな方はお手数ですが、感想欄までお申し出ください。
さらに、最初に語り部が出てきました。現代では作者が文中に出てくるのはNGですが語り部なら……と思った次第です。日本の古典文学ならいっぱい作者が出てくるので、きっと大丈夫!
そうそう、今日見たら、累計ポイントってところにもポイントが入っていたんです!
だからなんだよと思う方、すいません。
なんのポイントだよと思う方、僕もわかりません。
けど、ポイントがあるってなんかいいですね!
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