病弱な僕と正反対な君

蒸しケーキ

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慈愛2

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※攻め視点の話です。

そして文化祭当日となった。唯は朝からそわそわと浮足立っており、まるで遠足を楽しみにしている小学生のようで可愛らしかった。うん。今日も唯は可愛い。早々に教室に着くと、教室は執事喫茶というにふさわしい内装であった。教室にはすでに島崎と綾瀬がおり、唯と楽しそうに話をしていた。なんでこいつらに唯との貴重な時間を奪われなきゃいけないんだよと嫉妬するが、今日は唯にとって特別な日だ。多少のことには目を瞑ることにする。二人から早く着替えてきなと催促を受けると、俺と唯は更衣室へ向かう。

さっさと着替えて戻るかなんて考えていると、扉がガラガラと開く。そこには唯の部活の先輩である星谷先輩と藤崎先輩がいた。星谷先輩は唯を見るなり、俺のことはお構いなしに唯に絡みに行った。俺が止めに入ろうかと思っていると、俺を手で制し、藤崎先輩が先に動き「さっさと着替えるぞ」と星谷先輩に声をかけていた。俺もそれに便乗するように唯に「行くぞ」と言い、更衣室を出る。

俺は唯に、「あの先輩。俺なんか苦手なんだよな。」とつい吐露してしまう。唯は意外だねというような顔をし、「てっきり、星谷先輩に嫉妬してるのかと思ったよ。」と言われるが正直嫉妬はない。

「それはないな。あの二人も俺らと同じだろうし。」唯には言わないが、あの二人も俺たちと同じ関係性だろうなと思う。唯は何度も「それどういうこと?なんのことなの??」と聞いてくるが、一応唯に言ってないということは何かしらの理由があるのかと思い「いつか分かるんじゃね?唯も」とはぐらかしておいた。

教室に戻ると、クラスの奴らがいきなり群がってくるなり、わーきゃーとなんか言っている。唯のとこに行きたいがなにせ身動きが取れない。こいつら早くどいてくれよ!!という気持ちを隠しながら、クラスメイトに接していると、水野と島崎と綾瀬が唯と話しているのが見えた。くっそあいつら!と思い、「ごめん。唯ん所に行かせてほしい」と懇願すると、一途~と言われ、なんとか開放される。唯に声を掛けようとした瞬間、水野が口元に人差し指を立て、「静かに」とジェスチャーをする。俺はとりあえずそれに従うと、水野が

「唯さ、颯のあれ見てどう思った??」と質問する。え?なにをいきなり言い出すんだこいつは。すると唯は俺の存在に気付いていないため

「え?ど、どうって、うーん。、、すごくかっこいいよ。皆に自慢したいくらい。」と言う。水野まじでありがとう。心の中で感謝する。

唯の答えを聞いた水野は高笑いしたあと、「良かったな颯。自慢したい彼氏だってよ。」と言ってくる。唯は驚いたように後ろをバっと振り返るとみりみるうちに顔が赤くなっていた。唯が少し不貞腐れてしまったので、俺は唯を窓際に誘導し、後ろで手を繋ぐ。はぁ~ほんとに可愛すぎんだろ。明日まじで抱く。今日は我慢する。

開始時刻になるといっせいに人の波が押し寄せ、唯と一緒にいることは愚か、休憩時間すらもらえるか怪しかった。予想通り、初日の伸びが凄まじく、休憩時間はまともに取れなかったため、苦情を言うと文化委員の奴が、「明日は絶対に休憩時間長くもらうから」と言われたので、俺は譲歩して許してやることにした。

ピークの時間帯が過ぎ、やっと解放される。と思っていると、一人の先輩が俺にしつこくダル絡みしてくる。

「一条君。あたし体育祭の時からずっと一条君のこといいなって思ってたの。一緒に文化祭回らない?ねぇ?いいでしょ??」

なんなんだこいつは。顔も名前も知らねぇよ。やたらにベタベタ触ってくるし、腕に胸を押し付けてきやがる。まじで不快だ。早く俺は唯のとこに行きたいんだよ!と思いつつ

「すみません。そう言ったことは無理でして、、恋人もいますし。」笑顔を無理やり顔に貼り付け対応する。

「恋人??またまた~恥ずかしがり屋さんね。一条く~ん。私先輩だよ??ちょっとぐらいいいじゃん。ね??この後一緒に周ろうよ~」

こいつまじで人の話聞かなすぎだろ。日本語通じねぇのか。次、断って無理だったら無理やりにでも出て行かせるしかないな。

「いえ、ですから申し訳ありません。そういったことは厳しいので、てか無理なんで。」

「恋人いるって言うのも嘘なんでしょ?カモフラージュでしょ~?」

もうこいつは無理だと思い、腕を引っ張り上げようとした途端、後ろから体を誰かに引っ張られる感覚がした。

「あの!業務連絡があるので、、失礼します、!!!」その声を聞いて俺は一瞬はっとした。

「ゆ、唯??」俺は思わずにやけそうになっていた。いや、にやけていたと思う。

「ご引き取りください!!」と唯が大きな声で言うと、先輩はなにやらギャーギャー騒いでいたが、お構いなしに唯は俺をバックヤードに連れていく。唯は俺を連れ出し事に対して慌てて弁明しているがその姿もとても可愛かった。

俺はすぐに唯を抱きしめる。唯が嫉妬してくれたのが嬉しすぎる。なにより今までなら諦めていたかもしれないのに
行動してくれたことが一番嬉しい。

俺は唯のことを一通り抱きしめ終わると

「明日は絶対唯が行きたいところ周ろうな。あともうちょい頑張ってくるわ。唯は少し休んでてな。」

俺はさっきの不快な気分から一転し、とてもルンルンだった。最後の30分ほどはかなり落ち着いていたので、唯を先に休ませることにした。初日が終了し、更衣室で着替えていると

「おい。バカップル。バックヤードでいちゃつくなよ。島崎と綾瀬にも見られて、、なに、にやにやしてんの?気持ち悪い。」

「お前にじゃねぇよ。分かってるよ。明日は気を付けまーす。」

「はぁ~。ま、とりあえずお疲れ。明日はさすがに休憩もらえんだろ?」

「ん?あーたぶんな。2時間くらいか?その時間帯の代打、水野らしいし。」

「は?俺聞いてないんだけど。」

「知らね。勝手に決められたんじゃね?俺さっきそう聞いた。」

「まじかよ。2時間ならギリ耐えか。明日唯と回るんだろ??楽しんで来いよ~。」言いたいことはすべて言ったようで水野はさっさと更衣室を出て行った。

俺は部屋に戻りながら「唯が起きてたらキスぐらいはしてぇな~」と考えていたが、その願いは案の定叶うことなく、唯は爆睡していた。そりゃ疲れるわ。掛け布団を唯の上に掛け直し、眠っている唯の額にキスをする。唯は規則正しく寝息を立て、起きる気配は全く無かった。そんな唯を見ていたら、俺もだんだんと眠気がやってきて、そのまま眠った。














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