病弱な僕と正反対な君

蒸しケーキ

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文化祭04

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 文化祭当日。校舎内に足を踏み入れると、体育祭とはまた違った風景、雰囲気が広がっていた。こんな煌びやかに校舎が変わるんだ~と心躍らせる。文化祭初日は来賓や外部からのお客さんを招かず、学生のみで行う。なので初日は割と余裕はあるが二日目からがお客さんが多くなるため、とても大変になるらしい。

 「唯、文化祭も初めてだもんな。」

 「そうなんだよ!だからなんだかんだいって今日すごく楽しみだったんだ。」

 「じゃ、休憩時間で屋台いっぱい周ろうな。」

 「うん!そのために頑張るよ!」

 僕は気合いを入れる。颯君は僕の頬を片手でむにむにといじると、笑顔のこと忘れんなよ~といい下駄箱に向かった。

 靴を履き替え、教室に入ると内装もとてもキレイで、レトロモダンな雰囲気に早変わりしていた。、ここが到底教室だとは考えられないほど、完成されたカフェの空間が広がっていた。

 「お、一条、袴田おはよ。うちら昨日頑張ったからね。今日明日でじゃんじゃん集客しちゃいなよ~。」

 「うん。頑張ってね!!あとあっちの教室が女子と男子の更衣室になってるみたいだから二人とも早めに着替えた方がいいと思う。」

 「だね。みんなもう裏でスタンバってるはずだし。」

 「了解。じゃあいくわ~」

 「ありがとう。島崎さん、綾瀬さん。」

 「はいよ~。袴田と一条のコスプレ楽しみに待ってるわ~。」

 見た目はギャルっぽくていつも若干気だるそうな話し方をしているのが島崎さん。穏やかで、優しい口調をしているのが綾瀬さんだとこの前、颯君に教えてもらった。

 更衣室に行くと颯君と僕以外誰もおらず、「早く着替えるか。」という颯君に僕も同意し、てきぱきと着替えを済ませ、更衣室を後にしようとする。すると扉がガラガラと開き

 「ん?あれ??ゆいゆいと彼氏君じゃん。久しぶりだねぇ~。ほんとにメイド服着てる~!!かっわいいね~!海斗もそう思うでしょ?」

 「、、そうだな。似合っている。」

 「え~なに。恥ずかしがってんの??まぁいいけどさ~。」

 星谷先輩と藤崎先輩が入れ違いで入ってくる形になった。

 「ありがとうございます。星谷先輩は中華料理屋??みたいなのがコンセプトでしたっけ??」

 「そうそう。だから俺と海斗がねチャイナ服着るんだよね~。俺はまだしも、こんなごっついのがチャイナ服とか笑えるよね。」

 「、、薫。さっさと着替えるぞ。クラスの奴に怒られる。」

 「そういえばそうだったね~。ゆいゆいたちも暇だったら来てよ~待ってるからさ~。」

 「はい!行きますね!」

 「俺らも時間なんで、そろそろ行きますね。唯、行くぞ。」

 「時間取らせてごめんね~。俺らもゆいゆいのクラス行くから待っててね~!」

 僕は、待ってますというと藤崎先輩と星谷先輩は笑顔で手を振ってくれた。颯君は軽く会釈をするとさっさと更衣室を出て行く。

 「あの先輩。俺なんか苦手なんだよな。」

 「えぇ~。以外かも。優しんだけどね。」

 「なんか遊ばれてる気がする。だから嫌だけど唯の先輩だしなぁ~。」

 「てっきり、星谷先輩に嫉妬してるのかと思ったよ。」

 「それはないな。あの二人も俺らと同じだろうし。」

 「ん?同じってなにが?」

 颯君に聴き返すが、「いつか分かるんじゃね?唯も」と言われ教えてはくれなかった。少し心に靄が残るが、気にしないようにした。教室に入ると女子から颯君はすぐに女子や男子の餌食になってしまい、一瞬のうちに囲まれてしまった。「一条君かっこよすぎる。」「これは大優勝すぎ、」など賞賛の嵐だった。まぁ当たり前だよね。僕だってかっこいいと思うし、なによりいつもと違う姿に慣れない。少し目が合うだけで胸が高鳴ってしまう。僕って面食いだったのかなと一抹の不安がよぎる。

 僕のメイド服も多少なりとも好評だったようで、「袴田、可愛い系すごい似合うね。かわいい~。」「一条と付き合ってなかったらワンチャン俺狙ってたかも。」なんていう人もいた。

 「これはまた、颯が暴走しないか監視しとかないとだなぁ~嫉妬で。」

 「お。袴田似合ってんね。これは一条も当日まで見せたくないってなる気持ちも分からなくないわ。」

 「うんうん。袴田君お似合いだよ!!」

 声がした方を向くと、水野君と島崎さんと綾瀬さんがいた。

 「ありがとう。でも慣れないよ。」

 「あんた可愛い系だからさ~。セクハラとかされないように気を付けなね??」

 「なにかされたら私たちすぐ飛んでくからね!」

 「そんなことする奴がいたらあいつがなにするかほんとに分からんからね。」

 「うん。分かった気をつけるよ。」

 「基本的に颯の隣とかにいろよ~。その方が色々安心だわ。」

 「そうね、水野の言う通りかも。」

 「あ、そろそろ9時になるね。袴田君も皆も頑張ろうね!!」

 島崎さんと綾瀬さんは中に戻ってキッチンの仕事をするらしい。僕も準備しようかなーと思っていると

 「あ、そーだ。唯さ、颯のあれ見てどう思った??」

 「え?ど、どうって、うーん。、、すごくかっこいいよ。皆に自慢したいくらい。」

 水野君は目尻と口元をふっと綻ばせると、慈しむような目で優しく僕に微笑むと

 「ははは!だってさ、良かったな颯。自慢したい彼氏だってよ。」

 後ろをバっと見ると颯君が満更でもない嬉しそうな顔をしながら立っていた。

 「、、水野、俺、今日明日頑張るわ。」

 「ぜひともそうしてくれ。じゃあ俺はクラスの奴と一緒に宣伝してくるわ。」

 1-7と書かれた看板を持ち、水野君は行ってしまった。

 「、いつからいたの?」

 「セクハラされないでねあたりから。」

 「声かけてよ。もう。」

 「ごめんごめん。でもいいもん聞けたから俺は満足。」

 「でも、ほんとに思ってることだからね。」

 二人で窓際にいると、後ろに手をくいっと誘導され、見えないように手を握る。

 「無理はすんなよ。程々に頑張ろうな。」という言葉に対して僕は無言でうなずいた。



 

 

 
 
 










 
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