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君といる幸せ02
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瑠夏は目を伏せている様子に、どこか遠慮がちで自分の感情を押し込めているようにも見えた。その様子が気になって俺は目が離せなかった。それに耳たぶも触っている。これは昔から瑠夏がなにか気持ちを押し殺してるときにやる癖だった。
「気のせいだったらごめん。瑠夏、なんかあった??」
俺がそう問いかけると、瑠夏は神妙な面持ちでゆっくりと言葉を紡ぎ始めた。
「ねぇ......蓮と結婚しても、俺は母さんの子どものままでいられるの?」
そうか、そうだよな。不安だったよね。たとえまだ蓮君との間に子どもができていないとしても、もし将来赤ちゃんができたら
——自分の居場所や存在の意味が変わってしまうんじゃないかと、きっと心のどこかで怖かったんだろうな。
「当たり前だよ、瑠夏は俺の大事な息子だよ。それはこの先もずっと変わらないよ。」
俺はその言葉に想いを込めながら瑠夏を強く抱きしめた。大丈夫だよ、瑠夏。もう二度と不安になんてさせないからね——そう心の中で強く誓った。
俺が抱きしめると、瑠夏も安心したようで顔色が少しずつ柔らいでいった。
「ふふ、瑠夏ねずっと心配してたのよ。母さんが俺のことなんてどうでもいいって思ったらどうしようって。」
「でも葵がそんなことするわけないじゃないって、言ったんだけどね。こういうのは本人の口から言うのが一番ね。」
「もう、ばあちゃん...。」
瑠夏は照れ臭そうにして下を向いていた。
「じゃ、結婚式の日程とかその他いろいろ決まったら教えてちょうだいね。あぁ、それと今住んでる家はどうするの?蓮君と一緒に住むのよね?売り払うの?」
「一緒に住むのはそうなんだけど...それが、蓮君のアパートに行こうかって話してたんだけど、逆に蓮君が”今住んでるアパートを解約して、俺の家に来るんだ~”って言いだしてさ。」
蓮君が住んでる家は、駅から徒歩五分もかからないうえに大学院からも近く利便性がとても高かった。それに部屋もアパートとは思えないぐらい広く住み心地も申し分なかった。
強いて言うなら家賃が少し高いぐらいだったけど、二人で払うのであれば何も問題は無かった。
それに正直、俺は持っていくものといえば、パソコンくらいのものだから引っ越すのであれば圧倒的に俺の方が簡単だった。
けれど、蓮君の主張は「葵さんが生活拠点を変える必要はない、むしろ俺が合わせたいから!」と頑なに譲ることはなく、結局俺が折れてしまった。
「あら?そうなの。だけど二人で話し合って決めたことなら、なにも文句はないわ。」
「どうせ強引に蓮が母さんに言ったんでしょ?」
さすが瑠夏は見抜くのが早いな。そう思いながら俺は心の中で小さく頷いた。だけど、俺が押しに弱いことを蓮君はすでに把握しているので、最初から俺に拒否権など存在しないのだ。
そんな肝心の蓮君は、どうやら学校で婚約指輪をひけらかしながら歩いているらしく「学校の王子が結婚した!!」「一体どこのどいつよ!!」と軽く学校で騒ぎになっているらしい。
まぁ、もう蓮君が学校に行く日数が少ないことが不幸中の幸いだろうか。
「婚約者の顔が見たい!」「見せて!」と度々言われているそうだが、さすがにそれは俺が無理なのでなんとかしてもらうように蓮君に頼み込んだ。
「え~この写真もダメ?俺は葵さんのこと皆に見せつけたいんだけどな。ほら、これなんか可愛く撮れてるしさ?」
「ぜっっっっったいにダメ!!!」
写真でも見せようもんなら「こんな優秀な医学生を誑かしたなんて!!」と思われかねない。絶対面倒なことになることは目に見えていた。
「そうかな?皆絶対納得してくれると思うんだけど......」
俺は首を横に素早くぶんぶんと振った。
「ほんとに無理!嫌だからね。」
俺は結婚雑誌を読んでいる蓮君の背中にしがみついて、ぐっと体重をかけた。
「ま、ウェディングフォトはさすがに見せるけど。」
そこは俺も蓮君の意見を飲むしかない。ウェディングフォトも見せないってなったら「結婚してない」と思われても不思議じゃないからね。さすがにそう思われたりしたら俺も心外だ。
「ねぇ、葵さん結婚式どうしよっか??」
「う~んと、人数は少なめで...あとできれば身内だけでやりたいな。」
「いいね、そしたら予算も抑えられるね。」
「逆に蓮君は呼びたい人とかいない??」
「俺も親父と母さんぐらいかな、?あとは秘書の人とかお世話になった人とか、」
「蓮君も俺ばっかりじゃなくて、やりたいことあったら言ってね?」
「うん、ちゃんと言うよ。だから葵さんも、もっと俺に我が儘言って。」
蓮君に言ったらきっとどんな手段を使ってでもほんとに全部叶えてくれそうな気がする。だから若干遠慮はしている。
「あとは~会場かな?葵さんはどこでやりたい??海が近いとこ??それとも自然いっぱいな所??」
そうだな~...海も自然がいっぱいな所もいいけど、でもやっぱり大事なのは...。
「蓮君とならどこでも。」
これから先、隣に君がいてくれるのなら俺はそれだけで十分だよ。蓮君と一緒に過ごす未来を思い描いただけで、胸の中が多幸感に満ち溢れていった。
「えぇ~、それ適当言ってない??」
「は!?言ってないよ!!もう!」
かつて孤独だった空間に今は二人の笑い声が明るく響き渡っていた。
「気のせいだったらごめん。瑠夏、なんかあった??」
俺がそう問いかけると、瑠夏は神妙な面持ちでゆっくりと言葉を紡ぎ始めた。
「ねぇ......蓮と結婚しても、俺は母さんの子どものままでいられるの?」
そうか、そうだよな。不安だったよね。たとえまだ蓮君との間に子どもができていないとしても、もし将来赤ちゃんができたら
——自分の居場所や存在の意味が変わってしまうんじゃないかと、きっと心のどこかで怖かったんだろうな。
「当たり前だよ、瑠夏は俺の大事な息子だよ。それはこの先もずっと変わらないよ。」
俺はその言葉に想いを込めながら瑠夏を強く抱きしめた。大丈夫だよ、瑠夏。もう二度と不安になんてさせないからね——そう心の中で強く誓った。
俺が抱きしめると、瑠夏も安心したようで顔色が少しずつ柔らいでいった。
「ふふ、瑠夏ねずっと心配してたのよ。母さんが俺のことなんてどうでもいいって思ったらどうしようって。」
「でも葵がそんなことするわけないじゃないって、言ったんだけどね。こういうのは本人の口から言うのが一番ね。」
「もう、ばあちゃん...。」
瑠夏は照れ臭そうにして下を向いていた。
「じゃ、結婚式の日程とかその他いろいろ決まったら教えてちょうだいね。あぁ、それと今住んでる家はどうするの?蓮君と一緒に住むのよね?売り払うの?」
「一緒に住むのはそうなんだけど...それが、蓮君のアパートに行こうかって話してたんだけど、逆に蓮君が”今住んでるアパートを解約して、俺の家に来るんだ~”って言いだしてさ。」
蓮君が住んでる家は、駅から徒歩五分もかからないうえに大学院からも近く利便性がとても高かった。それに部屋もアパートとは思えないぐらい広く住み心地も申し分なかった。
強いて言うなら家賃が少し高いぐらいだったけど、二人で払うのであれば何も問題は無かった。
それに正直、俺は持っていくものといえば、パソコンくらいのものだから引っ越すのであれば圧倒的に俺の方が簡単だった。
けれど、蓮君の主張は「葵さんが生活拠点を変える必要はない、むしろ俺が合わせたいから!」と頑なに譲ることはなく、結局俺が折れてしまった。
「あら?そうなの。だけど二人で話し合って決めたことなら、なにも文句はないわ。」
「どうせ強引に蓮が母さんに言ったんでしょ?」
さすが瑠夏は見抜くのが早いな。そう思いながら俺は心の中で小さく頷いた。だけど、俺が押しに弱いことを蓮君はすでに把握しているので、最初から俺に拒否権など存在しないのだ。
そんな肝心の蓮君は、どうやら学校で婚約指輪をひけらかしながら歩いているらしく「学校の王子が結婚した!!」「一体どこのどいつよ!!」と軽く学校で騒ぎになっているらしい。
まぁ、もう蓮君が学校に行く日数が少ないことが不幸中の幸いだろうか。
「婚約者の顔が見たい!」「見せて!」と度々言われているそうだが、さすがにそれは俺が無理なのでなんとかしてもらうように蓮君に頼み込んだ。
「え~この写真もダメ?俺は葵さんのこと皆に見せつけたいんだけどな。ほら、これなんか可愛く撮れてるしさ?」
「ぜっっっっったいにダメ!!!」
写真でも見せようもんなら「こんな優秀な医学生を誑かしたなんて!!」と思われかねない。絶対面倒なことになることは目に見えていた。
「そうかな?皆絶対納得してくれると思うんだけど......」
俺は首を横に素早くぶんぶんと振った。
「ほんとに無理!嫌だからね。」
俺は結婚雑誌を読んでいる蓮君の背中にしがみついて、ぐっと体重をかけた。
「ま、ウェディングフォトはさすがに見せるけど。」
そこは俺も蓮君の意見を飲むしかない。ウェディングフォトも見せないってなったら「結婚してない」と思われても不思議じゃないからね。さすがにそう思われたりしたら俺も心外だ。
「ねぇ、葵さん結婚式どうしよっか??」
「う~んと、人数は少なめで...あとできれば身内だけでやりたいな。」
「いいね、そしたら予算も抑えられるね。」
「逆に蓮君は呼びたい人とかいない??」
「俺も親父と母さんぐらいかな、?あとは秘書の人とかお世話になった人とか、」
「蓮君も俺ばっかりじゃなくて、やりたいことあったら言ってね?」
「うん、ちゃんと言うよ。だから葵さんも、もっと俺に我が儘言って。」
蓮君に言ったらきっとどんな手段を使ってでもほんとに全部叶えてくれそうな気がする。だから若干遠慮はしている。
「あとは~会場かな?葵さんはどこでやりたい??海が近いとこ??それとも自然いっぱいな所??」
そうだな~...海も自然がいっぱいな所もいいけど、でもやっぱり大事なのは...。
「蓮君とならどこでも。」
これから先、隣に君がいてくれるのなら俺はそれだけで十分だよ。蓮君と一緒に過ごす未来を思い描いただけで、胸の中が多幸感に満ち溢れていった。
「えぇ~、それ適当言ってない??」
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かつて孤独だった空間に今は二人の笑い声が明るく響き渡っていた。
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