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君といる幸せ
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「ふふっ、まだそんなに指輪見てるの??」
俺は蓮君のあまりにも可愛い姿にくすくすと口角が上がってしまう。
「当たり前じゃん!葵さんからの婚約指輪だよ?舞い上がるに決まってるじゃん。」
「そういう葵さんこそ、さっきから項触ってますけどね?」
「これはだって!蓮君が付けてくれた証だから...」
「葵さんほんとに可愛いね。」
そう言いながら蓮君は俺の額に軽く口づけをした。その瞬間、自分でもフェロモンが溢れ出したのが分かった。
「そういえば、教えていないのによく俺の指のサイズ分かりましたね?瑠夏も知らないと思うし。」
「あー、それね。蓮君の家行ったときあったじゃん??実はそのときこっそり測らせてもらったんだよね」
「ふ~ん、だからあの日俺の家に来たんだ。」
「うん、でも起こすのは悪いなって思ってやめた。」
「知ってます、手紙で見ましたよ。でも今度からはちゃんと起こしてね?これからは夫夫になるんだからさ。」
夫夫...実感が湧かないその呼び方に少しむずむずとしてしまう。でもその響きが嫌いじゃない自分もそこにはいた。
「あぁでも瑠夏は複雑かもね、自分と同い年のやつが自分の親と結婚するんだもん。」
「えぇ?瑠夏は割と最初から受け入れてたと思うけどね。瑠夏が一番俺に番を持って欲しいって思ってただろうし。」
「そうなの?」
「うん。だって蓮君と俺がやたら会ってたの、全部瑠夏の思惑だったんだよ??」
「......瑠夏様。今度お礼しなきゃだな。」
「なんて??」
「ううん!なんでも!ただ、瑠夏に感謝しなきゃなって。」
「いいよ別に...あっ、そうだ高井先生のとこ行かないと...っ!?」
ベッドから起き上がろうと体を起こしたら、蓮君にがっちりと掴まれてしまった。
「もう、今日はゆっくりしましょ。明日行けばいいですよ。」
「でもーー」
「ね?お願い。今日はもう少し寝てよ?」
「......もう、分かったよ」
蓮君に流された気もするけど、これも惚れたやつの弱みだ。
高井先生には申し訳ないが「今日は行きません。ごめんなさい」と心の中で謝っておいた。
今は、愛する番の胸の中でもうひと眠りすることにする。蓮君の胸の中で眠るときは毎回、夢見心地が良かった。
***
「うぅ...俺も一緒に行けたらよかったんですけど...」
蓮君は朝から項垂れたまま、俺の肩に顔を埋めていた。
「仕方ないよ。結果は出たらすぐに言うから安心して。」
「......気を付けてね。」
「うん、行ってきます。」
蓮君はどうしても学校に行かなければならない予定が前々から入っていたのにも関わらず、それを断って俺に付き添おうとしていた。
けれどそこをなんとか説得して学校に行かせることに今さっき成功したのだった。
朝からそんなやりとりをしながら、俺は一人で病院へ向かった。そしていつものように診察室へと案内された。
「うん。しっかり番契約を結べています。それに肺の影も全くありません。完治したと言ってもいいでしょう。立花さん、長らく治療頑張りましたね。ほんとうにおめでとうございます。」
その言葉に、俺はほっと胸を撫で下ろした。やっと...やっと終わったんだ。
高井先生の目には薄っすらと涙が浮かんでいた。ずっと俺のことを親身に支えてくれたからこそ、高井先生にも思うところがあるのだろう。俺もそれにつられて自然と目が潤んできてしまった。
「ここまでよくしてくださって、先生には感謝しかありません。」
「いえいえ、これは立花さんが頑張ったからですよ...私も安心しました。」
余韻に浸っていたのも束の間で、高井先生はまたすぐに医師の顔つきに戻った。
「さて...他に何か気になることはありますか??」
「実は...少し妊娠してないか不安で...妊娠判定をお願いしたいんですけど。」
「あぁ、そうですね。念のためしておきましょうか。」
結果、妊娠はしていなかったが、”もし子どもを望むなら早めに”とのことだった。まぁ俺がもう三十歳を超えていることもあり、出産するときの色々なリスクが格段に上がるからだそうだ。
蓮君は子どもを望んでいるのかな。そこについては蓮君としっかり話し合わないとかな。
そして麗華さん、慎一郎さんにはリモートでの報告にはなったが、結婚式の日程を教えてくれれば絶対に予定は空けるとのことだった。
「そうか...ついに蓮も結婚か。おめでとう。」
「葵君、うちの愚息をよろしくね。何か蓮に不満があったら私たちに言って頂戴ね!?すぐ飛んでくから!」
「母さん!愚息ってなんだよ!?俺別にそんなんじゃないし!」
「あら?蓮がそう思ってなくても、葵君がそう思ってたらどうするのよ?ねぇ、あなた?」
「う、うむ。そうだーー」
「父さんも人のこと言えないからな!!」
リモートなのに忙しないな、と遠目で三人のやりとりを微笑ましく思いながら眺めていた。
瑠夏と母さんにも婚約したことを伝えると、瑠夏は
「やっとここまできたんだね。母さん幸せになってね.....」
と言い、母さんは
「蓮君と末永くね。私も瑠夏も同じ気持ちで葵の幸せを願ってるわ。」
そう言って、涙ぐむ母さんの姿に胸の奥がじんわりと熱くなった。鼻の奥もツンとして目頭が熱くなった。
だけど、祝福はしてくれたものの俺は瑠夏の様子が少し気がかりだった。
俺は蓮君のあまりにも可愛い姿にくすくすと口角が上がってしまう。
「当たり前じゃん!葵さんからの婚約指輪だよ?舞い上がるに決まってるじゃん。」
「そういう葵さんこそ、さっきから項触ってますけどね?」
「これはだって!蓮君が付けてくれた証だから...」
「葵さんほんとに可愛いね。」
そう言いながら蓮君は俺の額に軽く口づけをした。その瞬間、自分でもフェロモンが溢れ出したのが分かった。
「そういえば、教えていないのによく俺の指のサイズ分かりましたね?瑠夏も知らないと思うし。」
「あー、それね。蓮君の家行ったときあったじゃん??実はそのときこっそり測らせてもらったんだよね」
「ふ~ん、だからあの日俺の家に来たんだ。」
「うん、でも起こすのは悪いなって思ってやめた。」
「知ってます、手紙で見ましたよ。でも今度からはちゃんと起こしてね?これからは夫夫になるんだからさ。」
夫夫...実感が湧かないその呼び方に少しむずむずとしてしまう。でもその響きが嫌いじゃない自分もそこにはいた。
「あぁでも瑠夏は複雑かもね、自分と同い年のやつが自分の親と結婚するんだもん。」
「えぇ?瑠夏は割と最初から受け入れてたと思うけどね。瑠夏が一番俺に番を持って欲しいって思ってただろうし。」
「そうなの?」
「うん。だって蓮君と俺がやたら会ってたの、全部瑠夏の思惑だったんだよ??」
「......瑠夏様。今度お礼しなきゃだな。」
「なんて??」
「ううん!なんでも!ただ、瑠夏に感謝しなきゃなって。」
「いいよ別に...あっ、そうだ高井先生のとこ行かないと...っ!?」
ベッドから起き上がろうと体を起こしたら、蓮君にがっちりと掴まれてしまった。
「もう、今日はゆっくりしましょ。明日行けばいいですよ。」
「でもーー」
「ね?お願い。今日はもう少し寝てよ?」
「......もう、分かったよ」
蓮君に流された気もするけど、これも惚れたやつの弱みだ。
高井先生には申し訳ないが「今日は行きません。ごめんなさい」と心の中で謝っておいた。
今は、愛する番の胸の中でもうひと眠りすることにする。蓮君の胸の中で眠るときは毎回、夢見心地が良かった。
***
「うぅ...俺も一緒に行けたらよかったんですけど...」
蓮君は朝から項垂れたまま、俺の肩に顔を埋めていた。
「仕方ないよ。結果は出たらすぐに言うから安心して。」
「......気を付けてね。」
「うん、行ってきます。」
蓮君はどうしても学校に行かなければならない予定が前々から入っていたのにも関わらず、それを断って俺に付き添おうとしていた。
けれどそこをなんとか説得して学校に行かせることに今さっき成功したのだった。
朝からそんなやりとりをしながら、俺は一人で病院へ向かった。そしていつものように診察室へと案内された。
「うん。しっかり番契約を結べています。それに肺の影も全くありません。完治したと言ってもいいでしょう。立花さん、長らく治療頑張りましたね。ほんとうにおめでとうございます。」
その言葉に、俺はほっと胸を撫で下ろした。やっと...やっと終わったんだ。
高井先生の目には薄っすらと涙が浮かんでいた。ずっと俺のことを親身に支えてくれたからこそ、高井先生にも思うところがあるのだろう。俺もそれにつられて自然と目が潤んできてしまった。
「ここまでよくしてくださって、先生には感謝しかありません。」
「いえいえ、これは立花さんが頑張ったからですよ...私も安心しました。」
余韻に浸っていたのも束の間で、高井先生はまたすぐに医師の顔つきに戻った。
「さて...他に何か気になることはありますか??」
「実は...少し妊娠してないか不安で...妊娠判定をお願いしたいんですけど。」
「あぁ、そうですね。念のためしておきましょうか。」
結果、妊娠はしていなかったが、”もし子どもを望むなら早めに”とのことだった。まぁ俺がもう三十歳を超えていることもあり、出産するときの色々なリスクが格段に上がるからだそうだ。
蓮君は子どもを望んでいるのかな。そこについては蓮君としっかり話し合わないとかな。
そして麗華さん、慎一郎さんにはリモートでの報告にはなったが、結婚式の日程を教えてくれれば絶対に予定は空けるとのことだった。
「そうか...ついに蓮も結婚か。おめでとう。」
「葵君、うちの愚息をよろしくね。何か蓮に不満があったら私たちに言って頂戴ね!?すぐ飛んでくから!」
「母さん!愚息ってなんだよ!?俺別にそんなんじゃないし!」
「あら?蓮がそう思ってなくても、葵君がそう思ってたらどうするのよ?ねぇ、あなた?」
「う、うむ。そうだーー」
「父さんも人のこと言えないからな!!」
リモートなのに忙しないな、と遠目で三人のやりとりを微笑ましく思いながら眺めていた。
瑠夏と母さんにも婚約したことを伝えると、瑠夏は
「やっとここまできたんだね。母さん幸せになってね.....」
と言い、母さんは
「蓮君と末永くね。私も瑠夏も同じ気持ちで葵の幸せを願ってるわ。」
そう言って、涙ぐむ母さんの姿に胸の奥がじんわりと熱くなった。鼻の奥もツンとして目頭が熱くなった。
だけど、祝福はしてくれたものの俺は瑠夏の様子が少し気がかりだった。
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