独り身オメガに幸せを

蒸しケーキ

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渇望02

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「葵さん、前よりもずっと匂い濃いね?」

「うん。朝しか抑制剤飲んでないからね。」

「じゃあさ...今日嚙ませて。」

 耳元で甘く囁かれると、全身がびりびりと震え脳まで痺れてきた。やばい...このままだと頭回んなくなって指輪渡せそうにないかも...。理性を無くす前にちゃんと蓮君に気持ちを伝えておきたい。

「その前にさ、蓮君に渡したいものがあるんだ。」

「ん??なになに??」

 俺は寝室の引き出しを開けてその中から指輪の入った箱を取り出した。

「はい、これなんだけど...」

「え!?なに!?開けてもいいの?」

「うん、むしろ開けてくれなきゃ困るよ。」

 蓮君は丁重に梱包された箱を開け、中身を確認した。

「葵さん、これって......」

「...うん、婚約指輪。」

 しばらく蓮君は、指輪を見て茫然としていた。あれ?お気に召さなかったかな?

 ーーなんていう俺の考えは杞憂に終わった。

「葵さんっ!!!」

 蓮君は勢いよく俺に抱き着いてきた。あまりにも強く抱きしめてくるもんだから苦しかった。でもその苦しさも愛おしく感じた。

 抱き合いながら蓮君と目を合わせた。

「改めて蓮君。俺と結婚してほしい。蓮君の人生を俺に支えさせて。」

「そんなの俺の方こそだよ。」

「はぁ~あ。俺が先に葵さんに言いたかったのに...。」

「そこは年上だからね。ちょっとぐらいカッコつけさせてよ。」

「ねぇ葵さん、嵌めてほしいな??」

 蓮君は左手を俺の前に出しておねだりしてきた。

「じゃあ俺の指にも嵌めてよね」

 俺たちはお互いの指に指輪を嵌め合った。蓮君の指のサイズ、合ってるかな......と、今さらになって不安がよぎった。

 けれど、指輪はすんなりと馴染んでくれたみたいでホッとした。

「嬉しい...ありがとう。葵さん。」

 蓮君のキラキラと輝く目を見たら、ジュエリーショップでああでもない、こうでもないと店員さんと何度も悩んだ甲斐があったな~と自然に思えた。

「どういたしまして。」

「......じゃあ仕切り直して。今度は葵さんのこと、もらってもいい??」

 蓮君から強いフェロモンが発せられ、全身の細胞が歓喜しているのが分かった。蓮君からのフェロモンを浴びただけで、俺の後孔からはどろっと愛液が溢れてきたのが分かった。

 俺は蓮君と啄むようなキスをした。ただ蓮君は普段と少し違ってまるで壊れ物を扱うかのように、いつもより何倍も優しく触れてきた。俺は早く蓮君のが欲しくて、うずうずしてるのに。

 俺の服を脱がせているとき、蓮君の指が微かに震えているのが見えた。

「ふふ、緊張してるの?」

「当たり前じゃん。だってこれから番になるんだよ?あと葵さんに痛い思いさせたくない。」

「俺、そんなやわじゃないけど?」

「そういう問題じゃないの!もうほんとっ、これ以上煽んないで......!」

 俺は蓮君の熱い屹立を上下に優しく愛撫した。蓮君の物は俺に触られるたびにぴくっと反応し、先端からは愛液が溢れていた。

「.....言い方変えるね、?俺、早く蓮君に抱いてほしいんだけど...」

 自分で言っておいて、なんだかビッチみたいじゃないか?そう思ったが、今は気にしないようにした。だってそのために朝しか抑制剤飲んでないんだし。

「ほんとだ...もうこんなにぐしょぐしょだ。」

 後孔に手を入れてぽつりと呟いた。ふぅ~と蓮君は深呼吸すると、獲物を狩る猛獣のような眼差しに変わった。熱を持った視線で見つめられると、俺はドキっと胸が高鳴り、期待で生唾を飲み込んだ。

「じゃあもう、挿れるね」

「うん、来ていいよ蓮。」

 その刹那、蓮君の物がばちゅんっと俺の最奥まで穿ち、律動を始めた。屹立からはぴゅっ、ぴゅっと白濁が溢れ出してきた。

「...っ...あぁ...っ...」

「っ!葵、締めすぎ...。持ってかれそうだったわ、」

 俺の身体はまるで陸に打ち上げられた魚のように、びくびくと跳ねた。息を吸うことさえままならず意識が一瞬遠のき、ただ襲いかかる快感に全身が震えていた。

「葵、葵!もう俺から離れていかないで。」

 懇願するように蓮君はその言葉を口に出していた。しばらくしてようやく浅く呼吸ができるようになって、俺は涙声で蓮君を煽った。

「大丈夫、もういなくならないから。ほら...蓮君、噛んでくれないの?」

「っ!...そんな余裕な態度でいられるのも今のうちだからね?」

 数回まばたきしただけで視界がくるりと反転した。気づけばいつの間にか蓮君に背を向けていた。

「...っ噛むよ、葵。」

 蓮君の荒く猛々しい吐息が項にかかる。あぁやっと、蓮君と......。

「......うん。」

 俺の声はたぶん震えていたと思う。でもそれは悲しさや恐怖からじゃない。純粋に嬉しさがこみ上げてきたからだった。

 蓮君の舌が俺の首筋をなぞった。その直後、がりっと項に鋭い痛みが走った。血がつーっと首を伝い、身体も痙攣して、脳が震えるような感覚がした。だけど前に噛まれたときとは、どこか違った。

 痛い......けれど、なぜだろう。痛みと同時にーー心も身体も少しずつ満たされていく感じがした。まるで細胞の一つ一つが、蓮君の細胞に置き変わっていくようだった。

「葵......ありがとう。」

 涙ぐみながら、そう呟く蓮君に俺は慈しむようにキスを落とした。

「お待たせ、蓮。」

 目から涙がこぼれ落ちた。けれどそれはもう悲しい涙じゃなかった。

 たくさん遠回りして何度もすれ違って、それでもーーこの瞬間に辿り着くためだったのならそれでいい。

 俺を見つけてくれて、見捨てないでいてくれてーー“番”にしてくれて、ありがとう。

 絡めた手に光る指輪を見つめながら俺は蓮君にすべてを委ねた。

 指輪の宝石はダイヤモンド。宝石言葉は

 ーー”あなたと共に”。
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