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3章 学園生活
入学
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今回は長々と待たせてしまった分長めです。戦闘シーンないのに………………
気づいた方はいるかもしれませんが、第3章の名前を変更しました。理由は、このまま次の迷宮に行ってしまうと矛盾が生じてしまうことに私が気づいたからです。
申し訳ありません。
___________________
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「………………は?どういうことだ?」
【そのままの意味よ。レンには学校に通ってもらってティアの呪いを解く方法を探ってもらうわ。】
「…………………具体的には?」
【とある学園にが管理している迷宮に挑戦してもらうわ。】
「………2つ聞いていいか?」
【ええ、良いわよ。】
「じゃあ1つ目。その迷宮は学園が占領しているのか?一般人は入れない?」
【その通りよ。学園の創設者はその迷宮を最初に見つけて、そこに他人を入れたくなかったらしいわ。】
「そうか、2つ目だが、聞く限りその迷宮は今は学生だけが挑戦しているんだろ?そんなところに本当にティアを救う方法があるのか?」
【あるわ、正確には誰も到達したことのない深層に。】
(なるほど、テンプレだな………)
「わかった、その学園に入ろう。勉強とかは必要あるか?」
【特に必要は無いわ。あそこは完全に実力主義だもの、実技試験のみよ。別の受験生と模擬戦闘をする感じね。あなたの実力なら大丈夫よ、年齢もピッタリだし。お金は私が用意するわ。】
「わかった。入学はいつだ?」
【明後日よ。】
「はやっ!?大丈夫かよ……」
【大丈夫よ、なんとかなるわ。】
「はぁ、わかったよ。ティアにも伝えないとな…………」
俺はティアを運びながらイリアと一緒にエルフの里に帰った。
~2日後~
「よし、行こうか。」
「うん!」
「はい、主様」
俺たちは帝国にある学園に通うため、すぐさま里を出て森の中を歩いていた。
「そうだ、アクア。もうティアから聞いてると思うが、ティアの肩に乗ってる小さいのが風の精霊のイリアだ。」
「うん!よろしくね!イリアちゃん!」
【ええ。よろしくね、アクア。】
と、ふと気になったことがあったのを思い出して今聞いてみることにした。
「そういえば、イリア。」
【ん?とうしたの?】
「『ティア』っていうのは俺がつけた名前だよな?なんでイリアが知ってたんだ?」
【ああ、その事ね。私がティアをずっと見守ってたからよ。ティアは私が森から出られないと思ってたようだけど。】
その言葉に驚くティア
「え!?そうだったんですか!?」
【そうだよー。本当に危なくなったら助けるつもりだったよ。】
「ん?じゃあ迷宮の中にも入ったのか?」
【ううん、なぜか迷宮には入れなかったよ。入り口で弾かれたわ。】
(そういうのもあるのか…………………)
「へぇ~。あ、後ティアがあそこまで消耗してたのはなんでだ?」
【ティアは小さい頃は精霊と触れ合ってたけど、最近は全然だったでしょ?それだけで精霊の力を借りるのは大変なのに、この子は何人も同時に行ったのよ。倒れるのが当然だわ。】
「そうなのか………あまり無茶するなよ、ティア。」
「も、申し訳ありません、主様……………」
しおらしくしているティアの頭に、俺は優しく手を置いた。
「ティア、お前は頑張った。エルフのみんなのためにぶっ倒れるくらい必死に戦って敵を倒したんだろ?ならそれで良いじゃないか。次気を付ければいい、それだけだろ?」
「そうだよ、里のエルフの人たちもみんなティアに感謝してたよ!」
アクアもティアを元気づけた。
「そうですね………ありがとうございます。もう大丈夫です。」
ティアはにっこりと笑った。
「ならよし!じゃあそのためにももっと強くならないとな。」
「はい!」
「うん!」
「そのためにはまず帝都にある学園に入学する。」
その事は昨日の晩に言っておいたため、2人とも頷いた。
~帝都内にて~
「ここで良いんだよな?」
【うん、間違いないよ。あそこで名前を言ってお金を払えば番号が貰えるよ。】
イリアが学園の正門の右奥を指して教えてくれた。
「わかった、受付の時間はずらした方が良いか?」
【多分大丈夫じゃない?】
「最初の2文字が気になるが…………ありがとう。2人とも落ちるなよ?大丈夫だとは思うが。」
「うん!頑張る!」
「はい主様、全力で挑みます。」
ティアが危ないことを言ったので俺は慌てて止めた。
「いや、そんなに本気出さなくて良いんだぞ?若干余裕を見せるくらいで丁度良いからな?」
「………………はい、わかりました。」
「最初の間が気になるが、まあいい。各自最善を尽くすように!くれぐれも全力で戦わないこと!以上!」
そう言って俺たちはイリアに教えられた受付へ足を運んだ。
ちなみに、そのイリアは透明になってティアの後ろを飛んでる……らしい。正直気配を全く感じないため、いるのかいないのかがわからない。この能力を使ってティアを見守っていたんだろう。
そんなことを考えてる間に受付場所に着いた。
「こんにちは。」
「こんにちは。受験生ですか?」
「はい、ここにいる3人です。よろしくお願いします。」
「わかりました。ではこの用紙に必要事項を記入してください。それと、3人で120万トール頂きますがよろしいですか?」
シリアが渡してくれた金貨を渡す。トールはお金の単位………らしい。違和感しかないが。1トール≒1円でこの学園の受験料が1人40万。安いのか安くないのかが良くわかないが。
「はい、結構です。これが3人の受験票となります。失くしたらその場で受験する権利が剥奪されるのでお気を付けください。それを持ってそこの扉から入れば教員が男女別の控室に案内してくれます。頑張ってください。」
「わかりました。ありがとうございました。」
受験番号が書かれた紙を受け取ってから、俺の言葉に合わせてアクアとティアも頭を下げて踵を返した。建物内に入ると、大広間のような場所なのか、とても開けていた。2人と別れ、この学園の先生と思われる人に控室に連れて行ってもらうと、そこにはもう結構な人数がいた。相当広い部屋なのだが、そこに500人を超える大量の受験生がいるのだ。
(女子もこのくらいだとすると受験生は千人を超えるのか…それでも定員は500人ほどだから倍率は2倍か……………)
5分くらいしたところで、10人ほどの大人が入ってきた。恐らく試験管だろう。俺がギリギリだったんだな。
「ではこれから受験生諸君を男女それぞれ10組のグループに分けて模擬戦を行う!一組のなかでくじを引き、その番号によって戦う相手が決まる!!1人あたり4回やる!ではくじを引いてくれ!」
俺は23番だった。だいたい真ん中だな。
それよりこの人声大きいな…………
「全員引いたな!まずは1番と51番、27番と25番から始めるぞ!最初にルールを言っておく!魔法、剣、素手なんでも使える!勝利条件は相手が降参するか戦闘不能なったと審判が判断するかだ!ただし急所への攻撃や、降参した相手への追撃は禁止する!これは試験だ!勝ち負けよりも戦い方、考え方を重視する!そこをよく考えるように!以上!」
こうして入学試験が始まった。
~闘技場~
俺たち受験生は今、とても広い訓練場のような場所にいる。アニメでよく見る全体の真ん中が窪んでいてそこで戦い、それを囲むように観客席がある。こんなのがあと19個もあるのか、この学園は。
見ていてもわかるが、やはり受験生は俺から見ると弱い。これならアクアもティアも後れを取ることはないだろう。
―6時間後―
途中に昼休憩をはさんだが、あれからずっと模擬戦をしている。試験管の方々は疲れないのだろうか?
「始め!」
「灼熱の炎よ、我が力となりて現出し、敵を焼け!炎の矢!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁっっ!??」
今度は魔法使いの方が剣士に勝った。別の模擬戦では相手が詠唱している間に懐に飛び込んで剣を突き付けて剣士が勝っていた。これが魔法使い対魔法使いだと長くなる場合が多い。余程実力差が無い限り、どちらも離れたところからちまちま魔法を撃ち合うのだ。退屈だった………………
ちなみに俺は3試合終わらせた。もちろん全勝だ。
その過程を簡潔に伝えると、
1試合目(vs魔法使い)
「始め!」
「トンッ―――――ドスッ!(縮地で踏み込み腹パン)」
「ガハッ!?」
「しょ、勝負あり!」
2試合目(vs近接系)
「始め!」
「はぁぁぁ!(相手が斬りかかってくる)」
「よっ ガシッ――バギンッ!(片手で剣を掴み取り、折った。うるさかった。)」
「なっ!?」
「降参してくれないか?」
「こ、降参します!」
「しょ、勝負あり!」
3試合目(vs魔法使い)
「始め!」
「全てを包み込む風よ、今その猛威を表し、切り裂く力となれ!」
「………………(あまりの厨二感に絶句してる)」
「風の刃!」
「ふっ パァンッ!(魔力で無理矢理吹き飛ばした)」
「うそ、だろ?」
「降参は?」
「…………します。」
「しょ、勝負あり!」
という感じだった。みんな弱すぎたため、すべて一瞬で片付いてしまった。昼休憩の間にアクアとティアにも聞いたが、2人ともだいたいそんな感じだったらしい。
「次!23番と25番!」
お、俺の番だな。相手は近接系か………なら魔法オンリーで倒すか。まだ使ってなかった気がするし。
4戦目
「では、始め!」
「せやぁぁ!」
気合は十分に相手が大剣を構えて突撃してきた。だが………………
「遅い。」
「うわっ!?」
体を横にずらしながら足払いを掛ける。すると面白いように相手が転ぶ。
(殺傷能力が低い方が良いよな………すると風刃は危ないか。)
そう判断し、俺は腕を地面に付けた。本来は必要ないのだが、まあ雰囲気だ雰囲気。そして、
「氷華」
氷漬けにすることにした。
地面から大量の氷がせり上がってきて、相手を肩の下くらいまで包み込んだ。
「「「なっ!?」」」
試験官たちがいきなり立ち上がった。氷漬けはまずかったか?いや、でも他の奴らは炎の矢とかブチ込んでたよな…………………まあいいか。
「それで、どうする?降参するか?」
「す、する!降参だ!」
若干顔を青くした両手剣使いが叫んでくる。心なしか体が震えてるな。
俺は審判を見ると審判と目があった。というかこっちを見て呆けてた。
審判はハッとし、
「しょ、勝負あり!」
勝利宣言をした。この審判さっきから同じように言ってないか?
「よっ」
俺はもう必要ないだろうと思い、炎で氷を溶かした。
「「「なっ!??」」」
今度は観客席の受験生たちも動きが重なった。な、なんでだ?
俺は終始注目されながら控室に戻った。
そんなこんなで入学試験は終わった。テンプレのように呼び出されて偉い人と話す―みたいな事も無く普通に帰った。ちょっと期待してたのは内緒だ。
「アクア、ティア。お疲れ様。」
「ありがとうございます、主様。」
「そんな疲れてないけどね。」
ティアが深々と頭を下げ、アクアは苦笑いで応える。
結果発表は明日の朝だそうだ。恐らく模擬戦を見ながらある程度合否を決めていたのだろう。
「ま、多分大丈夫だろう。全員全勝したんだろ?」
「もちろん!」
「はい。」
「ん、ならよし!」
俺たちは明日に備えて寝ることにした。
~翌日~
俺たちは今、学園の前にいる。まだ発表の10分前だが、門の前は人でごった返している。
高校受験の事を思い出して緊張していると、
「ねー、レン?」
「ん?どうした?」
「私ね、学校って初めてなんだ!楽しみだなぁ………」
「そうなのか、俺は少し勉強が心配だな。」
聞くと、アクアは家庭教師を雇って英才教育を受けていたらしい。これはわからなくなったらアクアに聞くか………………
「この学校は戦闘面での勉学しかしないのでは?」
そんな風に駄弁っていると、時間になったらしく、正門が開き、その少し奥にある掲示板のような物が見えてきた。結果は………………………………
「当然だね!」
「当然ですね。」
言葉に反して嬉しそうに、そして誇らしげに胸を張る二人と、
「な、なんで主席なんだよ………………?」
呆然としている俺がいた。
そう、受かったのだ。受かったのだが、主席だった。掲示板には成績が良い順番に受験番号が書かれているのだが、俺の番号が一番上にあったのだ。思わず3度くらい見直してしまった。
アクアとティアが胸を張っていたのは自分たちが受かったからではなく俺が主席合格だったからのようだ。
何も考えられないまま前回の受付の場所と同じところに行くと(入学確約のようなものをする)、奇麗なお姉さんが受験票を受け取った。(決してドキッとしたりなどしてない。アクアとティアから何かを感じたが気のせいだろう)
「あら、あなたが主席合格者ね。教員の間でもあなたの話題で持ちきりだったわよ。後ろの二人も合格者?あなたがたの入学を歓迎します。学園生活を楽しんでくださいね。」
俺たちはお姉さんに礼を言って入学式の会場に向かった。
やっぱり目立っちゃってたか………………
今日は早めに来たため、そんなに人はいなかった。会場であるホールはまだ半分席が埋まっていなかった。
(イリア、俺たちは入学したらこの学園が管理している迷宮の誰も到達したことのない深層を目指すってことで良いんだよな?)
【うん、その通りだよ。幸いレンは試験で力があることを他の人に知らしめてるからね。不審に思われることはないと思うよ。】
「そ、そうか………………」
なんて会話をしていると、入学式が始まった。(アクアとティアはずっとお喋りをしていた。)
新入生代表挨拶もなく、特にトラブルもなく入学式が終わった。唯一意外だったのが、学園長が女性だったということだ。しかもやたら強そうな。魔力で言えば俺と同じくらいだった。多分魔法戦のみだったら俺よりも圧倒的に強いだろう。
「そんなこんなで俺たちの新しい学園生活が始まったとさ。」
「レン?」
「主様?」
あ、声に出てたか。
「い、いや、気にしないでくれ。」
「「………………」」
ま、そういうわけで!
___________________
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ふう、何とか書き終わりました………
本当は昨日の夜に書き上げるつもりだったんですが、思いの外レポートが大変で……………
では、次回から蓮たちの学園生活が始まります!どんな風になるかは…………その時の私の気分です!
ご意見、ご感想お待ちしております!
気づいた方はいるかもしれませんが、第3章の名前を変更しました。理由は、このまま次の迷宮に行ってしまうと矛盾が生じてしまうことに私が気づいたからです。
申し訳ありません。
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「………………は?どういうことだ?」
【そのままの意味よ。レンには学校に通ってもらってティアの呪いを解く方法を探ってもらうわ。】
「…………………具体的には?」
【とある学園にが管理している迷宮に挑戦してもらうわ。】
「………2つ聞いていいか?」
【ええ、良いわよ。】
「じゃあ1つ目。その迷宮は学園が占領しているのか?一般人は入れない?」
【その通りよ。学園の創設者はその迷宮を最初に見つけて、そこに他人を入れたくなかったらしいわ。】
「そうか、2つ目だが、聞く限りその迷宮は今は学生だけが挑戦しているんだろ?そんなところに本当にティアを救う方法があるのか?」
【あるわ、正確には誰も到達したことのない深層に。】
(なるほど、テンプレだな………)
「わかった、その学園に入ろう。勉強とかは必要あるか?」
【特に必要は無いわ。あそこは完全に実力主義だもの、実技試験のみよ。別の受験生と模擬戦闘をする感じね。あなたの実力なら大丈夫よ、年齢もピッタリだし。お金は私が用意するわ。】
「わかった。入学はいつだ?」
【明後日よ。】
「はやっ!?大丈夫かよ……」
【大丈夫よ、なんとかなるわ。】
「はぁ、わかったよ。ティアにも伝えないとな…………」
俺はティアを運びながらイリアと一緒にエルフの里に帰った。
~2日後~
「よし、行こうか。」
「うん!」
「はい、主様」
俺たちは帝国にある学園に通うため、すぐさま里を出て森の中を歩いていた。
「そうだ、アクア。もうティアから聞いてると思うが、ティアの肩に乗ってる小さいのが風の精霊のイリアだ。」
「うん!よろしくね!イリアちゃん!」
【ええ。よろしくね、アクア。】
と、ふと気になったことがあったのを思い出して今聞いてみることにした。
「そういえば、イリア。」
【ん?とうしたの?】
「『ティア』っていうのは俺がつけた名前だよな?なんでイリアが知ってたんだ?」
【ああ、その事ね。私がティアをずっと見守ってたからよ。ティアは私が森から出られないと思ってたようだけど。】
その言葉に驚くティア
「え!?そうだったんですか!?」
【そうだよー。本当に危なくなったら助けるつもりだったよ。】
「ん?じゃあ迷宮の中にも入ったのか?」
【ううん、なぜか迷宮には入れなかったよ。入り口で弾かれたわ。】
(そういうのもあるのか…………………)
「へぇ~。あ、後ティアがあそこまで消耗してたのはなんでだ?」
【ティアは小さい頃は精霊と触れ合ってたけど、最近は全然だったでしょ?それだけで精霊の力を借りるのは大変なのに、この子は何人も同時に行ったのよ。倒れるのが当然だわ。】
「そうなのか………あまり無茶するなよ、ティア。」
「も、申し訳ありません、主様……………」
しおらしくしているティアの頭に、俺は優しく手を置いた。
「ティア、お前は頑張った。エルフのみんなのためにぶっ倒れるくらい必死に戦って敵を倒したんだろ?ならそれで良いじゃないか。次気を付ければいい、それだけだろ?」
「そうだよ、里のエルフの人たちもみんなティアに感謝してたよ!」
アクアもティアを元気づけた。
「そうですね………ありがとうございます。もう大丈夫です。」
ティアはにっこりと笑った。
「ならよし!じゃあそのためにももっと強くならないとな。」
「はい!」
「うん!」
「そのためにはまず帝都にある学園に入学する。」
その事は昨日の晩に言っておいたため、2人とも頷いた。
~帝都内にて~
「ここで良いんだよな?」
【うん、間違いないよ。あそこで名前を言ってお金を払えば番号が貰えるよ。】
イリアが学園の正門の右奥を指して教えてくれた。
「わかった、受付の時間はずらした方が良いか?」
【多分大丈夫じゃない?】
「最初の2文字が気になるが…………ありがとう。2人とも落ちるなよ?大丈夫だとは思うが。」
「うん!頑張る!」
「はい主様、全力で挑みます。」
ティアが危ないことを言ったので俺は慌てて止めた。
「いや、そんなに本気出さなくて良いんだぞ?若干余裕を見せるくらいで丁度良いからな?」
「………………はい、わかりました。」
「最初の間が気になるが、まあいい。各自最善を尽くすように!くれぐれも全力で戦わないこと!以上!」
そう言って俺たちはイリアに教えられた受付へ足を運んだ。
ちなみに、そのイリアは透明になってティアの後ろを飛んでる……らしい。正直気配を全く感じないため、いるのかいないのかがわからない。この能力を使ってティアを見守っていたんだろう。
そんなことを考えてる間に受付場所に着いた。
「こんにちは。」
「こんにちは。受験生ですか?」
「はい、ここにいる3人です。よろしくお願いします。」
「わかりました。ではこの用紙に必要事項を記入してください。それと、3人で120万トール頂きますがよろしいですか?」
シリアが渡してくれた金貨を渡す。トールはお金の単位………らしい。違和感しかないが。1トール≒1円でこの学園の受験料が1人40万。安いのか安くないのかが良くわかないが。
「はい、結構です。これが3人の受験票となります。失くしたらその場で受験する権利が剥奪されるのでお気を付けください。それを持ってそこの扉から入れば教員が男女別の控室に案内してくれます。頑張ってください。」
「わかりました。ありがとうございました。」
受験番号が書かれた紙を受け取ってから、俺の言葉に合わせてアクアとティアも頭を下げて踵を返した。建物内に入ると、大広間のような場所なのか、とても開けていた。2人と別れ、この学園の先生と思われる人に控室に連れて行ってもらうと、そこにはもう結構な人数がいた。相当広い部屋なのだが、そこに500人を超える大量の受験生がいるのだ。
(女子もこのくらいだとすると受験生は千人を超えるのか…それでも定員は500人ほどだから倍率は2倍か……………)
5分くらいしたところで、10人ほどの大人が入ってきた。恐らく試験管だろう。俺がギリギリだったんだな。
「ではこれから受験生諸君を男女それぞれ10組のグループに分けて模擬戦を行う!一組のなかでくじを引き、その番号によって戦う相手が決まる!!1人あたり4回やる!ではくじを引いてくれ!」
俺は23番だった。だいたい真ん中だな。
それよりこの人声大きいな…………
「全員引いたな!まずは1番と51番、27番と25番から始めるぞ!最初にルールを言っておく!魔法、剣、素手なんでも使える!勝利条件は相手が降参するか戦闘不能なったと審判が判断するかだ!ただし急所への攻撃や、降参した相手への追撃は禁止する!これは試験だ!勝ち負けよりも戦い方、考え方を重視する!そこをよく考えるように!以上!」
こうして入学試験が始まった。
~闘技場~
俺たち受験生は今、とても広い訓練場のような場所にいる。アニメでよく見る全体の真ん中が窪んでいてそこで戦い、それを囲むように観客席がある。こんなのがあと19個もあるのか、この学園は。
見ていてもわかるが、やはり受験生は俺から見ると弱い。これならアクアもティアも後れを取ることはないだろう。
―6時間後―
途中に昼休憩をはさんだが、あれからずっと模擬戦をしている。試験管の方々は疲れないのだろうか?
「始め!」
「灼熱の炎よ、我が力となりて現出し、敵を焼け!炎の矢!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁっっ!??」
今度は魔法使いの方が剣士に勝った。別の模擬戦では相手が詠唱している間に懐に飛び込んで剣を突き付けて剣士が勝っていた。これが魔法使い対魔法使いだと長くなる場合が多い。余程実力差が無い限り、どちらも離れたところからちまちま魔法を撃ち合うのだ。退屈だった………………
ちなみに俺は3試合終わらせた。もちろん全勝だ。
その過程を簡潔に伝えると、
1試合目(vs魔法使い)
「始め!」
「トンッ―――――ドスッ!(縮地で踏み込み腹パン)」
「ガハッ!?」
「しょ、勝負あり!」
2試合目(vs近接系)
「始め!」
「はぁぁぁ!(相手が斬りかかってくる)」
「よっ ガシッ――バギンッ!(片手で剣を掴み取り、折った。うるさかった。)」
「なっ!?」
「降参してくれないか?」
「こ、降参します!」
「しょ、勝負あり!」
3試合目(vs魔法使い)
「始め!」
「全てを包み込む風よ、今その猛威を表し、切り裂く力となれ!」
「………………(あまりの厨二感に絶句してる)」
「風の刃!」
「ふっ パァンッ!(魔力で無理矢理吹き飛ばした)」
「うそ、だろ?」
「降参は?」
「…………します。」
「しょ、勝負あり!」
という感じだった。みんな弱すぎたため、すべて一瞬で片付いてしまった。昼休憩の間にアクアとティアにも聞いたが、2人ともだいたいそんな感じだったらしい。
「次!23番と25番!」
お、俺の番だな。相手は近接系か………なら魔法オンリーで倒すか。まだ使ってなかった気がするし。
4戦目
「では、始め!」
「せやぁぁ!」
気合は十分に相手が大剣を構えて突撃してきた。だが………………
「遅い。」
「うわっ!?」
体を横にずらしながら足払いを掛ける。すると面白いように相手が転ぶ。
(殺傷能力が低い方が良いよな………すると風刃は危ないか。)
そう判断し、俺は腕を地面に付けた。本来は必要ないのだが、まあ雰囲気だ雰囲気。そして、
「氷華」
氷漬けにすることにした。
地面から大量の氷がせり上がってきて、相手を肩の下くらいまで包み込んだ。
「「「なっ!?」」」
試験官たちがいきなり立ち上がった。氷漬けはまずかったか?いや、でも他の奴らは炎の矢とかブチ込んでたよな…………………まあいいか。
「それで、どうする?降参するか?」
「す、する!降参だ!」
若干顔を青くした両手剣使いが叫んでくる。心なしか体が震えてるな。
俺は審判を見ると審判と目があった。というかこっちを見て呆けてた。
審判はハッとし、
「しょ、勝負あり!」
勝利宣言をした。この審判さっきから同じように言ってないか?
「よっ」
俺はもう必要ないだろうと思い、炎で氷を溶かした。
「「「なっ!??」」」
今度は観客席の受験生たちも動きが重なった。な、なんでだ?
俺は終始注目されながら控室に戻った。
そんなこんなで入学試験は終わった。テンプレのように呼び出されて偉い人と話す―みたいな事も無く普通に帰った。ちょっと期待してたのは内緒だ。
「アクア、ティア。お疲れ様。」
「ありがとうございます、主様。」
「そんな疲れてないけどね。」
ティアが深々と頭を下げ、アクアは苦笑いで応える。
結果発表は明日の朝だそうだ。恐らく模擬戦を見ながらある程度合否を決めていたのだろう。
「ま、多分大丈夫だろう。全員全勝したんだろ?」
「もちろん!」
「はい。」
「ん、ならよし!」
俺たちは明日に備えて寝ることにした。
~翌日~
俺たちは今、学園の前にいる。まだ発表の10分前だが、門の前は人でごった返している。
高校受験の事を思い出して緊張していると、
「ねー、レン?」
「ん?どうした?」
「私ね、学校って初めてなんだ!楽しみだなぁ………」
「そうなのか、俺は少し勉強が心配だな。」
聞くと、アクアは家庭教師を雇って英才教育を受けていたらしい。これはわからなくなったらアクアに聞くか………………
「この学校は戦闘面での勉学しかしないのでは?」
そんな風に駄弁っていると、時間になったらしく、正門が開き、その少し奥にある掲示板のような物が見えてきた。結果は………………………………
「当然だね!」
「当然ですね。」
言葉に反して嬉しそうに、そして誇らしげに胸を張る二人と、
「な、なんで主席なんだよ………………?」
呆然としている俺がいた。
そう、受かったのだ。受かったのだが、主席だった。掲示板には成績が良い順番に受験番号が書かれているのだが、俺の番号が一番上にあったのだ。思わず3度くらい見直してしまった。
アクアとティアが胸を張っていたのは自分たちが受かったからではなく俺が主席合格だったからのようだ。
何も考えられないまま前回の受付の場所と同じところに行くと(入学確約のようなものをする)、奇麗なお姉さんが受験票を受け取った。(決してドキッとしたりなどしてない。アクアとティアから何かを感じたが気のせいだろう)
「あら、あなたが主席合格者ね。教員の間でもあなたの話題で持ちきりだったわよ。後ろの二人も合格者?あなたがたの入学を歓迎します。学園生活を楽しんでくださいね。」
俺たちはお姉さんに礼を言って入学式の会場に向かった。
やっぱり目立っちゃってたか………………
今日は早めに来たため、そんなに人はいなかった。会場であるホールはまだ半分席が埋まっていなかった。
(イリア、俺たちは入学したらこの学園が管理している迷宮の誰も到達したことのない深層を目指すってことで良いんだよな?)
【うん、その通りだよ。幸いレンは試験で力があることを他の人に知らしめてるからね。不審に思われることはないと思うよ。】
「そ、そうか………………」
なんて会話をしていると、入学式が始まった。(アクアとティアはずっとお喋りをしていた。)
新入生代表挨拶もなく、特にトラブルもなく入学式が終わった。唯一意外だったのが、学園長が女性だったということだ。しかもやたら強そうな。魔力で言えば俺と同じくらいだった。多分魔法戦のみだったら俺よりも圧倒的に強いだろう。
「そんなこんなで俺たちの新しい学園生活が始まったとさ。」
「レン?」
「主様?」
あ、声に出てたか。
「い、いや、気にしないでくれ。」
「「………………」」
ま、そういうわけで!
___________________
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ふう、何とか書き終わりました………
本当は昨日の夜に書き上げるつもりだったんですが、思いの外レポートが大変で……………
では、次回から蓮たちの学園生活が始まります!どんな風になるかは…………その時の私の気分です!
ご意見、ご感想お待ちしております!
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女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
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(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
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