運命に花束を

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運命に花束を②

運命の武闘会①

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「ブラック、これはどういう事だ!!」

 俺は男がいるであろう部屋を蹴破る勢いで開けて、その部屋の主を睨み付けた。ある程度広さのあるその部屋は雑然としていて、真ん中奥に大きな机と、奥にもう1つ小ぶりな机が並んでいる。
 しかしそのどちらの机の上にも書類のような物がうず高く積まれていて、その場にいるはずの人間の姿が見えない。
 ここにいると言われて来たのに、その姿が見えないのにイラついて書類の向こう側を目を細めて見やればなにやら動く人影。
 俺は躊躇もなく、その人影へと近付いていく。

「聞いてんのか、こら!」
「あ? なんだ、グノーか。何の用だ?」

 書類に埋もれるようにして男は顔を上げた。
 黒髪黒目のその男は昔から一貫して黒服着用の上から下まで黒ずくめで、男自身の名前も名は体を現すと言わんばかりのブラックと言う。

「何の用だ、じゃねぇよ! この狸親父! 俺は抗議に来たんだ!」
「だからなんだよ、用件は手短に言え」

 ブラックは机から顔も上げずにそう言うので、俺は彼の机に拳を上げた。

「お前がうちのを役職付きで騎士団に雇うって言うから、わざわざ家族総出で引越しまでして来たってのに、毎日毎日朝から晩まで雑用三昧働かされて、あれのどこが役職付だ! どう見ても一番下っ端の仕事だろ! ふざけんな!」
「あ? あぁ、そんな事か……」
「そんな事ってなんだ! この狸親父! ナダールは優しい奴だから文句言わずに働いてるけど、こんなのどう考えても詐欺だからな! お前があいつをここに連れて来たんだ、ちゃんと言った事は守るのが道理じゃねぇのか!」
「あぁ……うん、まぁ、そのうちな」

 ブラックの気のない返事に俺は更にイラつきを隠せず、机をだん! と拳で叩くと、幾つかの書類がばらばらと目の前に崩れ落ちてきた。何とはなしにその書類に目をやると何かの図面に幾つもの朱が入れられていて、俺は眉を顰めてそれを見やった。

「これ計算めちゃくちゃじゃねぇか、こんなんじゃ風車はできないぞ」
「あぁ、お前は分かるんだな。どこがおかしい?」
「こことここ、あとこっちも」

 指差した場所に丸くチェックを入れて、ブラックはその書類を脇によけ、新たな図面を引っ張り出してくる。

「これは分かるか?」
「ん~? 橋? 強度足りなくね? こんなんじゃ少しの嵐でも流される、柱はもっと太くしないと……って、俺は仕事をしにきた訳じゃねぇ!!」
「なんだよ、適材適所やれる事はやってくれたっていいじゃねぇか……」

 そう言ってブラックは手直にあった書類を幾つか纏めて「これいいぞぉ~」と声をあげると、どこに埋まっていたのか、ぬっと疲れ果てた顔をした人物がふらりとやってきて、その書類の束を抱えて何処かへ運んでいった。
 なんだこれ……とその背を見送っていると、ブラックが手を休めてぐっと伸びをする。

「で、なんだっけ?」
「なんだっけじゃねぇ! 俺はナダールの職務改善の抗議に来てるんだっ!」
「あぁ、そうだった、そうだった。いやぁ、悪いな。お前の旦那意外と使い勝手がいいもんだから、重宝させて貰ってる」
「ふ・ざ・け・ん・な!」

 俺はまた拳でブラックの使用している机を殴った。

「まぁまぁ、そう怒るな。そんなに文句があるならお前も手伝って働いてもいいんだぞ? ん?」
「嫌だ! って言うかうちの子供達まだ小さいの知ってんだろ! 俺まで家出ちまったら誰があいつ等の面倒見んだよ、ここはムソンとは違う、頼める人間だっていやしない」
「あ? なんだそんな事か? だったらここに連れて来ればいい、うちの家内がいつもする事がないとぼやいているからな、子守りくらい喜んで引き受けるぞ」
「え……いや、それは別にいい……」
「なんだ? やっぱりお前が働きたくないだけか?」

 ブラックが首を傾げるのに、俺は少し言葉に詰まり「そういうわけじゃねぇよ」とぼそりと呟いた。

「働ける能力のある人間が家に籠って家事三昧ってのも俺は勿体ないと思うんだが?」
「や……別に家事嫌いじゃねぇし、子供可愛いし、それに……」
「それに?」

 顔を覗きこまれて言葉に窮した。

「あいつが帰ってきた時にちゃんと出迎えてやりたいし……」

 ぼそぼそとそう言葉を零した俺にブラックは一瞬固まり、その後盛大に吹出した。

「やっば! なにお前! 信じられん、ベタ惚れか! うける!!」
「なっ! うっせぇ! 大きなお世話だ!! それに俺はあいつの嫌がる事はしたくないだけだ!」
「嫌がる? 旦那が? お前が働きに出るのに反対なのか? 嫁は家で旦那の帰り待ってろって? いつの時代の人間だよ、亭主関白もいい所だな。そんな話なら俺から一言物申すのもやぶさかじゃないぞ」
「や……別にあいつがそう言ってる訳じゃないし……」
「なんだ、だったらやっぱりお前が働きたくないだけか、ただ飯食いはよくないぞ」
「だから違うって、あいつ……だから……」
「あ? なんだって? 聞こえねぇよ、はっきり言え、お前らしくもない」

 ブラックが矢継ぎ早に理由を問うてくるのに、俺は更に言葉に窮し小さな声でぼそぼそと言うのだが、聞こえなかったのだろうブラックが片眉を上げる。

「あいつ、やきもち焼きだから……俺が外に出るの、嫌がる……」

 どうにか紡いだ言葉にブラックは目を見開いて、また大爆笑した。

「理由がやきもちって! マジか!! うける!」
「うっさい、ブラック! あいつのやきもちホント大変なんだからな! ぱっと見気のいい大型犬だけど、中身は嫉妬深い狼だ、何かあったら身動き取れなくなるまで食われるの俺だからな!」
「マジか、そんなか……くくっ、仲が良くていい事だな」
「うっ……そんなんじゃ、ねぇし」

 もう絶対顔が赤くなってるのを隠せもしない、こんな時表情を隠す前髪を切ってしまった事を後悔する。どうにもいたたまれずにそっぽを向いたら、ブラックは笑いを堪えるようににやにやとこちらを見ていた。

「人間変われば変わるもんだな、俺は嬉しいぞ」

 そんな事を言ってひとしきり笑った後、ブラックはひとつ息を吐く。

「まぁ、そんな事は置いておいてだ、旦那の職務改善の話だったな、俺の言ってた役職付ってのもちゃんと嘘じゃないぞ、近々ちゃんと付ける……というか勝手に付くから心配すんな」
「勝手に付く? どういう意味だよ?」
「来週祭りがあるのは聞いてるか?」
「あぁ、なんか三年に一度の大きな祭りなんだろう? 何やるか知らねぇけど」
「これな、騎士団員の祭りなんだよ。武闘会って言ってな、騎士団員総出で戦うんだ、そんで強い奴が出世する。言わば役職争奪戦だな」
「は? 何ソレ? そんなんで役職決めていいのかよ? マジふざけた国だな、お前が国王やってるだけの事はある」
「だが、うちはもうずっとこのシステムでやってきて、今まで大きな問題も起きてない。この大会にもちろんお前の旦那も参加予定で、それで役職決まるから」
「は? 聞いてない!」
「今言った」

「大丈夫、大丈夫」とブラックはけらけら笑って「祭り楽しみにしとけ」とそう言った。

「という訳で、旦那の職務改善の話しは以上だ、用がそれだけなら帰れ帰れ」

 猫の仔でも追い払うようにそう言われて「あ?!」と怒りを露にすると「なんなら手伝って行くか?」と書類の束に手を置いたブラックににっこり笑って凄まれて、俺は退散する事にした。
 まぁ、なんだ……忙しいんだな、ブラックも。
 手伝ってやる気はさらさらないが、邪魔をし続けると切れられそうだ。ブラックはいつも人を喰った笑みで怒る事はあまりないが、一度怒らせると手が付けられない事を経験上知っている俺は踵を返した。

 俺の名前はグノー・デルクマン。
 デルクマンの姓は旦那の物で、元々姓のなかった俺はなんだか慣れる事ができず、いまだにそれを名乗るのはむずがゆい。
 男の俺になんで旦那がいるのかと不思議に思うかもしれないが、俺は男女の性別は男だが、もう一つの性、バース性がΩ(オメガ)なのだ。

 世の中には男女の性差の他に三種類の性別が存在する、それがα(アルファ)β(ベータ)Ω(オメガ)の三種類だ。
 一般的に普通の人間はβ、これが人類のほとんどを占める、その中で一握り特別な性別を持って生まれるのがαとΩだ。

 αは一般的に優れた特殊能力を有する者が多い、だが優秀ゆえにかその生殖能力は非常に低くαは同じαやβとの間に子を成すことができない。そこで出てくるのがΩという性だ。Ωは生殖に特化した性だ、非常に繁殖力が高く、唯一αとの間に子を成せる。
 それは男女の性差は関係なく男の俺でもαの子供は生めるのだ。
 俺は『男性Ω』その性を呪って生きた事もあったが、今は旦那と出会い、子を成して幸せに暮らしている。

 旦那の名前はナダール・デルクマン、もちろん性別は男性αだ。
 少し前まで小さな田舎の村で家族4人仲良く暮らしていたのだが、先程の男、ブラック・ラングに唆されて俺達はこの国ファルスの首都イリヤへと引っ越してきたばかりだ。

『こんな田舎で暮らしてるのは勿体ない、役職付けるからうちの騎士団で働かないか?』

 そう言ってブラックは俺達をこの街へと呼んだのだ。
 ブラックは正式名称ブラック・ディーン・ファルス、なんとこの国の国王様だ。
 ラングの姓は母方の物で偽名だったらしいのだが、そんな偽名を名乗っていた頃に知り合った俺とブラックはなんだかんだと腐れ縁? 喧嘩友達? のような仲で、こんな言い合いも日常茶飯事、城の中もフリーパスで闊歩できる程度に仲良くやらせて貰っている。

「あら? ブラックとは話ができた?」
「えぇ、はい、ありがとうございます」

 ブラックの妻レネーシャがにっこり笑う。その周りには子供達が遊んでいて、ちょっとした託児所状態だ。

「ルイ、ユリ、帰るぞ」
「え~やだぁ、もっと遊ぶ」

 黒髪の子供達の中で、赤毛の娘と金色の髪の息子が顔を上げた。
 娘の名前はルイ、息子はユリウス。思いのほか甘えん坊の息子はすぐに俺に駆け寄って来るのだが、娘は自立心旺盛でその場を動こうとしない。

「あら、まだいいじゃない、もう少しゆっくりしていらっしゃいな」

 レネーシャにまで言われてしまって、俺は申し訳ないなと思いつつ子供達を見やって促されるまま椅子に腰掛けた。
 部屋にはお付の侍女もいて、間髪入れずにお茶が出てくる、何度かお邪魔させて貰っているが、こういうのは本当に慣れない。

「なんだかいつも、すみません」
「いいのよぉ、私もこっちに越して来てから何もやらせて貰えなくなって退屈してるの。子供の頃はこんな生活をしていたはずなのに、普通の町の生活を10年以上経験しちゃったらもう駄目ね、こんな生活窮屈で仕方がないわ」

 彼女はそう言ってころころ笑った。
 ブラックの妻レネーシャは元々出自は隣国ランティスで、割と裕福な貴族の出だ。
 ある事情で家を出て、同じように城から飛び出し放浪していたブラックと出会い、お互い自分の出自は明かさぬまま10年以上夫婦として小さな町で暮らしていた。

 元々ブラックは王族とは言っても妾腹で王になる予定ではなかったらしい、だが彼の兄である前国王が体調を崩し、病気療養を理由に退位したのを受けて急遽国王に任命されてしまったのだという。
 最初はそんな事を知らなかった家族は驚きを隠せなかったが、レネーシャは元々育ちが良いのでそんな生活にもすぐに慣れ、子供達も王家という縛りを嫌ったブラックがあまり締め付けもせず育てているので割とのびのびと暮らしているのが分かる。
 最近長女の嫁入りが決まったとの事で一時ばたばたしていたが、娘の嫁入り先が隣国メリアで、押しかけ女房よろしくその時点ですでに事実婚状態だった為、嫁入り準備もほとんどなかった花嫁の両親はのんびりしたものだ。

「こっちの生活にはもう慣れた?」
「う~ん、ぼちぼちって感じですかね」

 まだこの街に越してきて一ヶ月も経っていない、家はブラックが手配してくれていわゆる住宅街という地域に暮らし始めたのだが、なにせ自分は今まで旅から旅の旅生活であまり人付き合いという物をせずに生きてきた人間なので、どうにもまだ地域には馴染めずにいる。
 以前住んでいた村はある意味特殊な村で、自分のような男性Ωが暮らしていても奇異な目で見られるような環境ではなかったのだが、βが大半を占めるこの街ではバース性の人間の認知度は低い。
 男が子を生む『男性Ω』の存在を認知している人間などほぼいないに等しい現状で、我が家の家族形態に疑問を持つ者は多い。この持って生まれた女顔でなんとなく誤魔化しているが、どういう形で近所付き合いをしていくべきなのか、自分自身正直迷っている。
 自分を変える事はしたくない、俺は俺で変わりようがないし、どう頑張った所で俺は男で女になれる訳ではない、無理に女のふりをした所でボロが出るのは目に見えているし、それはしたくないとずっと言い続けている。
 ナダールも「あなたはあなたのままでいてください」と笑うので、それでいいと思っているのだが、2人の子供の親としては正直迷うのだ。
 子供を連れて歩いているのはやはり母親であり、女性が多い。
 母親であるという点では自分が産んだのでこの子達の母親は自分だが、自分は女ではないので女同士のコミュニティには入りにくい。
 自分が後ろ指を指される事には慣れているが、子供達にその視線を向けられるのはどうにも耐えがたく心の葛藤は尽きない。

「何か不安な事があったらいつでもいらっしゃいね」

 ブラックの妻はそう言って笑みを見せてくれるが、そんなに人に頼りきりでいいものかと思ってしまう俺は曖昧な笑みを返した。
 まだまだ新生活には慣れないというのが現在の俺の正直な感想だ。
 俺はなんとはなしに子供達を見やる。
 ここに越してきた事に後悔はないが自分が生きる上での課題は山積みで、今までおざなりにしてきた『自分』という物を改めて考えざるをえない状況に溜息ばかりが零れた。

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