99 / 455
君と僕の物語
始まりの物語⑥
しおりを挟む
事情を全て聞いたアジェは「そう」と一言答えて静かに何か考え込むように瞳を閉じた。
「アジェ様……何がどうあろうと私達の関係は変わりませんし、あなたは今後も私が守る、何も心配する必要はありません」
ランティスからの使者はすでにもういなかった。
自分が目覚め、アジェが領主の屋敷に戻って来るまでに三日の日付が経っていた。騒ぎが治まってしまえば小さな街は静かなものだ。
「エディはなんでまだ僕を様付けで呼ぶの? エディは父さまの子供だったんでしょ? 正真正銘実の子じゃないか、それってオカシイよね?」
「私は今までもこれからも変わりませんと先程も言いましたよ」
「なんで? 変わるだろ? だってエディは領主様の跡取りだ、僕は捨て子でこの家にはなんの縁も無いんだよ? それなのになんでエディは僕の従者でいようとするの? 絶対おかしいよ!」
「私が今のままで良いと言っているのですよ。領主様もそれで良いと言ってくれました。何か不都合がありますか?」
もう一度「絶対おかしい!」とアジェは叫ぶ。けれどここは俺にだって譲れない、アジェを守って支える、それは自分が生涯にかけて掲げた目標なのだから。
「なんだか二人ともこじらせてるな」
傍らで二人の会話を聞いていたグノーはそう言って面白くなさそうに窓の外を見た。
父の自称友人は何故かまだ領主の屋敷に居座っている。
「あなたはいつまでここに居るつもりなんですか?」
「あ? 領主様がのんびりしてけって言うからのんびりしてるだけだろ。俺だって訳も分からないのに巻き込まれて少しは怒ってるんだからな」
赤髪のグノーは父と同じであまり柄の良くない男だった。
こんな男が領主様の屋敷に居座っているのもどうかと思うのだが、それが自分の父親ブラックのせいである以上こちらは何も言えない。父はとんだ置き土産を残してくれたものだ。
ちなみに俺の家族はもう目覚めた時にはすでに旅立った後で、家に残されたのは「がんばれよ」のメモひとつ。慌しく身だけで出て行ったのが一目で分かる程度に家の中は日常どおりで、そこに家族が誰も居なくなってしまった事は少しばかり寂しかった。
「エディ、グノーにそういう言い方しないで、グノーは僕のお客様でもあるんだから」
何故だかアジェに叱られた。解せない。
この男はΩだ。それもΩの中では珍しい男性Ω。アジェもそうなのだが、その体質が稀少ゆえに今まで同じバース性の人間にあまり面識のなかったアジェはグノーにとてもよく懐いていた。そしてグノーもそれが分かっているのか殊更アジェには優しかった。
どうにも胸がちりちりする。
彼はαではない、だからアジェとどうこうなる事はありえないのだが、それでも二人が仲良くしているとどうにも妬かずにはいられない。
「もうエディなんか知らない。グノー行こう」
アジェがそう言って席を立つとグノーも連れ立って行ってしまう。解せない。
その場所は今まで俺の指定席だったはずだろう!?
「アジェ様、まだ話は終わっていませんよ」
「わからず屋なエディは、嫌いだよ」
少し寂しげなその声音にまた心が痛む。
なんでだ? 俺は何か間違った事をしているか? 変わらず傍にいるとそう言っているだけなのになんでアジェは分かってくれない!
自問自答を繰り返すが答えは出ない。ただ彼の傍に居られればそれでいいのに、俺はアジェが遠くに行ってしまった気がして仕方がなかった。
それから数日、俺とアジェは答えの出ない問答を繰り返し喧嘩ばかりしていた。そんな俺たちをグノーは何も言わずにただ見ている。その視線が気に入らず、俺がグノーにあたればまたアジェに叱られた。
そんな口論にも飽き飽きし始めたある晩、アジェがぽつりと零した。
「ねぇ、エディ僕もうこの喧嘩飽きちゃった。もうやめよ……僕エディと喧嘩なんかしたくない」
「それは私も同感ですね、なんでこんなくだらない事であなたと口論にならなければいけないのか分かりません」
「エディってさ、僕のこと立ててるつもりで全然僕の話聞いてくれないよね」
また悲しげな声音でアジェは言う。
「ちゃんと聴いた上で、それはないと否定しているだけですよ?」
「もういいよ、喧嘩はいや」
キスして、と彼は腕を伸ばしてくる。それは珍しい彼からのお誘いだった。
一応将来を誓い合って両親公認で婚約者のような扱いだった自分達だ、それなりに恋人らしい事だってしていないわけではない。まだアジェに発情期が来ていないので一線は越えてはいないが、自分はいつでも彼を受け入れる準備は整っている。
唇をついばむようなキス、そんな幼いキスでも彼はこちらをとろけるような瞳で見上げてくる。
こういう時のアジェからは本当に良い匂いがして、自分の精神力と忍耐力が試される。
「ねぇ、エディ……僕を抱いてよ」
「何を突然。それは発情期がきたらと約束したでしょう?」
「Ωとして未熟な僕に魅力はない?」
そんな訳あるか! と叫びたい気持ちを俺はぐっと抑える。
「馬鹿な事を言ってないで、今日はもうお休みなさい。私はいつでもあなたを愛していますよ」
額に口付けると彼は不満げな表情だ。そんな顔も可愛いけれど、我慢我慢。
部屋まで送って「おやすみなさい」ともう一度くちづけた。
アジェも「おやすみ」と返して扉を閉める、そして……
「なんで家出なんだよ!!」
翌朝アジェがいないと騒いでいる侍女の声にアジェの私室に入ってみれば部屋はもぬけの殻、私物は綺麗に片付けられており彼の姿は跡形もなく消えていた。
机の上には二通の封書。一通は俺宛、そしてもう一通は領主様宛だった。慌てて封を切り中を確認するとそこにはアジェの整った綺麗な字で別れの言葉が綴られていた。
親愛なるエドワード・ラング様から始まる彼の手紙は、俺が『誰よりアジェを優先してしまう事が辛かった』とそう綴られていた。『自分の事は二の次にして大事にされすぎて辛い』なんて、そんな事考えなくてもいいのにアジェは大馬鹿だ。
最後には『エディなら立派な領主様になれるよ』なんて、そんな言葉聞きたくない、聞きたくなかった!
手紙を握りしめて領主様の部屋へと向かう。
領主様は自分への手紙を読み終わると「ふうむ」と一言呻ってから、その手紙を俺に渡してくれた。
そこには俺への手紙と似た内容と、領主様の実の子供はエディなのだから彼を大事にしてあげて欲しいとそう綴られていた。
そして最後にご丁寧にも『エディは自分を追いたがるだろうが、絶対追わせないで欲しい』とそう綴ってあった。
「まぁ、それでも行くのだろう?」
「それはもちろん! 絶対連れ戻してきます!!」
俺の言葉に「そうだろうと思ったよ」と領主様は静かに笑った。どうやら領主様は最近の一連の流れを静観の構えで見守っているようだった。もう何事も自分の手には負えないと悟ったのだろう。
俺はアジェを追いかける為に領主様の前から踵を返す。気が付けばグノーの姿も一緒に消えていて、アジェをそそのかしたのはあいつか……と怒りが湧いた。
部屋に戻り準備を整え部屋を出る。そうして俺は田舎町を飛び出して『運命』を追いかける旅に出ることになった。
だがしかし、この時の俺はこの先に起こる数々の事件に否応がなく巻き込まれていく未来を何も知りはしなかった。
「アジェ様……何がどうあろうと私達の関係は変わりませんし、あなたは今後も私が守る、何も心配する必要はありません」
ランティスからの使者はすでにもういなかった。
自分が目覚め、アジェが領主の屋敷に戻って来るまでに三日の日付が経っていた。騒ぎが治まってしまえば小さな街は静かなものだ。
「エディはなんでまだ僕を様付けで呼ぶの? エディは父さまの子供だったんでしょ? 正真正銘実の子じゃないか、それってオカシイよね?」
「私は今までもこれからも変わりませんと先程も言いましたよ」
「なんで? 変わるだろ? だってエディは領主様の跡取りだ、僕は捨て子でこの家にはなんの縁も無いんだよ? それなのになんでエディは僕の従者でいようとするの? 絶対おかしいよ!」
「私が今のままで良いと言っているのですよ。領主様もそれで良いと言ってくれました。何か不都合がありますか?」
もう一度「絶対おかしい!」とアジェは叫ぶ。けれどここは俺にだって譲れない、アジェを守って支える、それは自分が生涯にかけて掲げた目標なのだから。
「なんだか二人ともこじらせてるな」
傍らで二人の会話を聞いていたグノーはそう言って面白くなさそうに窓の外を見た。
父の自称友人は何故かまだ領主の屋敷に居座っている。
「あなたはいつまでここに居るつもりなんですか?」
「あ? 領主様がのんびりしてけって言うからのんびりしてるだけだろ。俺だって訳も分からないのに巻き込まれて少しは怒ってるんだからな」
赤髪のグノーは父と同じであまり柄の良くない男だった。
こんな男が領主様の屋敷に居座っているのもどうかと思うのだが、それが自分の父親ブラックのせいである以上こちらは何も言えない。父はとんだ置き土産を残してくれたものだ。
ちなみに俺の家族はもう目覚めた時にはすでに旅立った後で、家に残されたのは「がんばれよ」のメモひとつ。慌しく身だけで出て行ったのが一目で分かる程度に家の中は日常どおりで、そこに家族が誰も居なくなってしまった事は少しばかり寂しかった。
「エディ、グノーにそういう言い方しないで、グノーは僕のお客様でもあるんだから」
何故だかアジェに叱られた。解せない。
この男はΩだ。それもΩの中では珍しい男性Ω。アジェもそうなのだが、その体質が稀少ゆえに今まで同じバース性の人間にあまり面識のなかったアジェはグノーにとてもよく懐いていた。そしてグノーもそれが分かっているのか殊更アジェには優しかった。
どうにも胸がちりちりする。
彼はαではない、だからアジェとどうこうなる事はありえないのだが、それでも二人が仲良くしているとどうにも妬かずにはいられない。
「もうエディなんか知らない。グノー行こう」
アジェがそう言って席を立つとグノーも連れ立って行ってしまう。解せない。
その場所は今まで俺の指定席だったはずだろう!?
「アジェ様、まだ話は終わっていませんよ」
「わからず屋なエディは、嫌いだよ」
少し寂しげなその声音にまた心が痛む。
なんでだ? 俺は何か間違った事をしているか? 変わらず傍にいるとそう言っているだけなのになんでアジェは分かってくれない!
自問自答を繰り返すが答えは出ない。ただ彼の傍に居られればそれでいいのに、俺はアジェが遠くに行ってしまった気がして仕方がなかった。
それから数日、俺とアジェは答えの出ない問答を繰り返し喧嘩ばかりしていた。そんな俺たちをグノーは何も言わずにただ見ている。その視線が気に入らず、俺がグノーにあたればまたアジェに叱られた。
そんな口論にも飽き飽きし始めたある晩、アジェがぽつりと零した。
「ねぇ、エディ僕もうこの喧嘩飽きちゃった。もうやめよ……僕エディと喧嘩なんかしたくない」
「それは私も同感ですね、なんでこんなくだらない事であなたと口論にならなければいけないのか分かりません」
「エディってさ、僕のこと立ててるつもりで全然僕の話聞いてくれないよね」
また悲しげな声音でアジェは言う。
「ちゃんと聴いた上で、それはないと否定しているだけですよ?」
「もういいよ、喧嘩はいや」
キスして、と彼は腕を伸ばしてくる。それは珍しい彼からのお誘いだった。
一応将来を誓い合って両親公認で婚約者のような扱いだった自分達だ、それなりに恋人らしい事だってしていないわけではない。まだアジェに発情期が来ていないので一線は越えてはいないが、自分はいつでも彼を受け入れる準備は整っている。
唇をついばむようなキス、そんな幼いキスでも彼はこちらをとろけるような瞳で見上げてくる。
こういう時のアジェからは本当に良い匂いがして、自分の精神力と忍耐力が試される。
「ねぇ、エディ……僕を抱いてよ」
「何を突然。それは発情期がきたらと約束したでしょう?」
「Ωとして未熟な僕に魅力はない?」
そんな訳あるか! と叫びたい気持ちを俺はぐっと抑える。
「馬鹿な事を言ってないで、今日はもうお休みなさい。私はいつでもあなたを愛していますよ」
額に口付けると彼は不満げな表情だ。そんな顔も可愛いけれど、我慢我慢。
部屋まで送って「おやすみなさい」ともう一度くちづけた。
アジェも「おやすみ」と返して扉を閉める、そして……
「なんで家出なんだよ!!」
翌朝アジェがいないと騒いでいる侍女の声にアジェの私室に入ってみれば部屋はもぬけの殻、私物は綺麗に片付けられており彼の姿は跡形もなく消えていた。
机の上には二通の封書。一通は俺宛、そしてもう一通は領主様宛だった。慌てて封を切り中を確認するとそこにはアジェの整った綺麗な字で別れの言葉が綴られていた。
親愛なるエドワード・ラング様から始まる彼の手紙は、俺が『誰よりアジェを優先してしまう事が辛かった』とそう綴られていた。『自分の事は二の次にして大事にされすぎて辛い』なんて、そんな事考えなくてもいいのにアジェは大馬鹿だ。
最後には『エディなら立派な領主様になれるよ』なんて、そんな言葉聞きたくない、聞きたくなかった!
手紙を握りしめて領主様の部屋へと向かう。
領主様は自分への手紙を読み終わると「ふうむ」と一言呻ってから、その手紙を俺に渡してくれた。
そこには俺への手紙と似た内容と、領主様の実の子供はエディなのだから彼を大事にしてあげて欲しいとそう綴られていた。
そして最後にご丁寧にも『エディは自分を追いたがるだろうが、絶対追わせないで欲しい』とそう綴ってあった。
「まぁ、それでも行くのだろう?」
「それはもちろん! 絶対連れ戻してきます!!」
俺の言葉に「そうだろうと思ったよ」と領主様は静かに笑った。どうやら領主様は最近の一連の流れを静観の構えで見守っているようだった。もう何事も自分の手には負えないと悟ったのだろう。
俺はアジェを追いかける為に領主様の前から踵を返す。気が付けばグノーの姿も一緒に消えていて、アジェをそそのかしたのはあいつか……と怒りが湧いた。
部屋に戻り準備を整え部屋を出る。そうして俺は田舎町を飛び出して『運命』を追いかける旅に出ることになった。
だがしかし、この時の俺はこの先に起こる数々の事件に否応がなく巻き込まれていく未来を何も知りはしなかった。
10
あなたにおすすめの小説
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
〈完結〉【書籍化・取り下げ予定】「他に愛するひとがいる」と言った旦那様が溺愛してくるのですが、そういうのは不要です
ごろごろみかん。
恋愛
「私には、他に愛するひとがいます」
「では、契約結婚といたしましょう」
そうして今の夫と結婚したシドローネ。
夫は、シドローネより四つも年下の若き騎士だ。
彼には愛するひとがいる。
それを理解した上で政略結婚を結んだはずだったのだが、だんだん夫の様子が変わり始めて……?
【bl】砕かれた誇り
perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。
「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」
「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」
「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」
彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。
「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」
「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」
---
いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。
私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、
一部に翻訳ソフトを使用しています。
もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、
本当にありがたく思います。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる