運命に花束を

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運命に祝福を

それぞれの道 ①

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「お前等が悪い、お前等が、お前等がお前等がっ……!」

 男はまたしても剣を振り上げる、トーマスさんは倒れたまま動かない。

「っ……ざけんなっ!! 僕達が一体何したってんだっ!」
「俺の前に現れた、もうそれだけで……」
「はぁあぁぁぁ!? 僕達は存在すらすんなっての? あんた本気で頭おかしい! 世界は全て自分中心に動いてるとでも思っているのか! 気に入らなければこうやって、全部目の前から消して、お山の大将にでもなるつもりか!? そんなの子供のおままごとで卒業しろよ! いい歳したおっさんが、そんな事も分からないのか!!」
「うるさい! お前に何が分かる!」
「あんたみたいに頭のいかれた人間の考えなんて僕には分からないよっ!」

 僕は男と対峙する。トーマスさんには逃げろと言われたけど、こんな状態で尻尾を巻いて逃げるとかあり得ない!

「生意気なオメガだな。オメガだったら大人しくアルファの言う事聞きやがれっ」
「お生憎様、そういう育て方をされてないんで嫌な事は嫌だって言うよ。例え相手がアルファだとしてもね! それにあんたは人としてろくでなしだから、聞く気にもならない」

 血に濡れた剣を持って男がふらりふらりと寄って来る。僕は携えた剣を抜く。これでも現役の騎士団員だよ、その辺のごろつきに背なんか向けられない。
 その時、近くでぱんっ! と大きな破裂音が聞こえた。僕はびくっ! と視線だけで周りを見回すのだけど、人影は見えない。けれど、驚いたのは男も同じだったようで、きょろきょろと挙動不審に辺りを見回した。
 あ……でも、待って、もしかしてこれアレじゃない? えっと、緊急信号弾?
 立て続けに音は鳴り響き、その破裂音を不審に思った近所の人間が顔を出して血塗れで倒れるトーマスさんを見付けたのだろう悲鳴を上げた。
 悲鳴に呼応するようにわらわらと窓から人が顔を出し、男は更に挙動不審に陥る。僕はその隙に攻撃を仕掛けようと一歩前に出たのだけど、それを止めるように背後から肩を掴まれた。

「なんでわざわざ立ち向かおうとするかな……気を引いてる間に逃げてよ」

 そこに立っていたのは黒の騎士団の一人、サクヤさんだ。

「若いのと違って俺達は戦闘向きじゃないんだ、ほら逃げるよ」
「そんな訳には!」
「ここはファルスじゃないんだ、できる事は限られてる。逃げる事は恥じゃない、君が怪我する方が俺達にとっても迷惑なんだ」
「でもトーマスさんがっ!!」
「彼は俺達の護衛任務の対象に入っていない」
「そんな!」

 目の前に人が倒れている、それなのに自分大事で全てを放り出して逃げろというのか? 任務外だからと黒の騎士団は目の前で苦しんでいる人間を見捨てるのか? そんなの変だろ! そんなのおかしい! そんなの絶対に間違ってる!!

「僕は逃げない!」
「カイト!」

 男は突然現れたサクヤさんに目を細める、その表情は笑っているのか、怒っているのか、瞳がうつろで判別もつかない。

「お前、山の民か?」

 サクヤさんは答えない。無表情に相手を見やるだけで、返事を返す気はなさそうだ。

「お前も薬を持っているんだろう? その薬、売ってくれ。金ならある」
「何を言っているのか分からない、俺は薬なんて持っていない」
「あの薬だよ! 山の民から買ったと聞いた! フェロモンの増幅、あれさえあれば……」

 サクヤさんは怪訝そうな表情を見せる。

「どういう事だ?」
「あれさえあれば俺の出世は確約だ、薬を! 薬を売ってくれ、お願いだ!!」

 ここでもまた薬だ、孤児院での薬物中毒の患者たち、そしてこの彼もきっと同じ。先程は痛み止めだった、今度はフェロモンの増幅薬? そんな薬が存在するのか? 麻薬は心身に働きかけると聞いている、もしかしてそれは同じような物が別の作用をみせているだけなのかもしれない。

「そんな物は存在しない」
「そんなはずはない! 確かにアレには効き目があった、どこに行けば買える? 教えてくれ!」

 縋るように男はサクヤさんに詰め寄って来るのだが、彼も困惑顔だ。

「だから俺はそんなモノは知らないと言っている!」
「隠し立てするのか! こんなに頼んでいるのに! 山の民の癖に、下等民族の癖に、馬鹿にするのか! 山の民なんて犯罪者集団じゃないか! 俺は、この世界で一番素晴らしいランティス人、そして民草を統べるアルファだぞ!」
「うるさい! アルファだからって偉い訳じゃないだろっ、しかも犯罪者はお前の方だ!」

 「カイト!」言い合いを続ける僕達にかかった声、イグサルさんが血相を変えて駆けて来た。

「帰りは遅いし信号弾が上がったから来てみたら……ユリウスは?!」
「それがその……」

 一口で説明出来ない僕は口籠る。でも今はそれより目の前のこいつと、トーマスさんだ。

「トーマスさんが刺されたんだ、早く病院に連れて行かないと!」
「トーマスが?」

 倒れた彼を認知すると、イグサルさんの表情が瞬時に険しくなった。

「これは、この男がやったのか?」
「そうだよ、僕達何もしてないのに!」

 イグサルさんの動きは速かった、男の剣を持つ腕を掴み、その武器を無効化して地面へと押し付ける。

「ぐっ! 貴様! ベータの癖にアルファである俺様に立てつこうってのか?!」
「あぁ?! 犯罪者にアルファもオメガもベータもねぇよ、ざけんなっ!」

 アルファ特有の威圧のフェロモンが立ち上る。けれどそれはユリウス兄さんのような圧倒的な力ではない。

「睨まれても効かんなぁ……その程度で俺をどうこうしようなんざ、100万年早いわ!」

 バース性家系の中でベータとして生まれてしまったイグサルさん、アルファの威圧には慣れているのか、それとも全く感知できていないのか、己を睨み付ける男を睨み返す。
 正直、この男はアルファの中でもかなり格下なのだろう、トーマスさんと同格くらいかと思ったが、多分それよりも更に下の可能性も高い。
 薬で気が大きくなっていた? そういえばこの男はフェロモンの増幅がどうのと言っていた、男の言う通りのそんな薬があるなんて聞いた事はないが、そんなモノが実在しているとしたら迷惑極まりないな。
 そうこうしている内にまたしても通報されたのだろう、再び警備兵がやって来た。

「またお前か……」
「またって何ですか!? こっちは襲われてるんですよ! そもそも何であの人釈放されてるんですか!?」
「痴話喧嘩に時間など割いていられるか」
「その怠慢が人一人の命に関わってるんじゃないですか! そもそも見も知らない相手に刃物を持ち出してくる人間を簡単に釈放するとかあり得ない! 職務怠慢もいい所だ!」
「お前、オメガだろう?」
「だったら、何だって言うんですか?!」
「オメガはアルファの言う事を素直に聞いていればいいんだ。オメガはオメガらしく家に籠っていればこんな事件に巻き込まれる事もなかった。無駄にプライドの高いオメガは面倒くさくて敵わない」
「はぁ!?」

 僕は呆れて言葉も出ない。トーマスさんは早々に病院へと搬送されて行ったけれど、そこには生々しい血痕が残っている。こんな惨劇が起こっているのに、それでも警備兵はそんな事を平気な顔で言ってのけるのだ。僕にはその神経が分からない。

「話にならないな……」
「イグサルさん」

 呆れていたのは僕だけではなかったようで、イグサルさんが溜息を吐くようにそう言った。

「そんな事よりカイト、ユリウスはどうした? なんでユリウスじゃなくてトーマスと一緒にいたんだ?」
「あ……えっと、兄さん、運命の番の人とどっか行っちゃった」
「……は?」

 狐につままれたような表情というのはこういう顔を言うのだろうという間抜け面で、意味が理解出来なかったのだろうイグサルさんが首を傾げる。

「運命の番? 誰が? ユリウスがか?」

 僕は無言で頷く。だって僕にだって説明ができない。あの女がそう言ったのだ、そしてユリウス兄さんも否定しなかった。そしてそのまま彼女と行ってしまったのだから、僕にはそれ以上の説明ができない。

「ノエルはどうなる!?」
「それを僕に言われたって困るよ!」
「そいつはどこの誰なんだ?」
「それがよく分からなくて……そういえば名前も聞いてないや。なんか、山の民とランティス人との間に生まれた子みたいでさ、そのまま兄さん連れてかれちゃったんだ」
「何処へ?」
「分からないけど、家に帰るって……もう、僕どうしていいか分からなくて、イグサルさん達に相談しようと思って戻ってきたら、こんな事になるし……」

 警備兵に取り押さえられた男はまだ訳の分からない事を喚き続けている。そういえばいつの間にかサクヤさんの姿が消えている、何処に行ったんだろう?

「お前達は山の民と付き合いがあるのか?」

 僕達の会話を傍らで聞いていた警備兵は胡散臭そうな視線をこちらへと投げた。

「先程一部始終を見ていたと証言した者も否定はしたが黒髪だった。あいつはお前等の仲間か? お前達はランティス人ではないのか? だとしたら、あいつの証言もお前達の話ももう一度再確認の必要があるな」
「……は?」
「山の民と共謀して我が国民を陥れようとしても、そうはいかない」
「はぁ!?」

 僕はあまりの理不尽さに大きな声を上げてしまう。それに呼応するようにイグサルさんも再び「話にならない」と溜息を零した。

「明らかに不審行動を取っているのは向こうの方で、こちらは大人しくあんたの話を聞いているし、抵抗もしていない。俺の従兄を串刺しにした剣はそこに転がっているし、その剣を使ってあの男が凶行に及んだのは誰が見ても明白だろう!」
「お前達がそうやって仕組んだんだろう?」
「僕達がそんな事をして何の得があるって言うんだよ!」
「我が国を貶めるには充分だ」

 話にならない。喋っている内容は分かるのに言葉が通じている気がしない。

「さぁ、来い。取調べのやり直しだ」
「ふざけんなっ! 自分達の職務怠慢を棚に上げて、勝手な事ばっかり言ってんな! ホント気分悪い! 行こう、イグサルさん。この人達となんて話しをするだけ無駄だよ! そんな事よりトーマスさんの容態の方がよっぽど心配だ」
「あぁ、そうだな」
「待て、お前等逃げるのか?!」

 警備兵の言葉にただでさえ切れ掛かっていた僕の堪忍袋の緒は完全に切れた。

「逃げるってなんだよ! 逃げ隠れなんてしてないし、する気もないよ! だけどね、こっちは被害者! 分かる? 被・害・者! 言葉理解できる!? そんな居丈高に命令されて言う事聞くと思ったら大間違いだよ! 連絡先は置いてくから、僕達が何かしたって証拠掴んだらいつでもおいでよ! 待ってるから。まぁ、そんな証拠出てくる事なんて絶対ありえないけどね!」

 僕は手荷物の中からメモ帳を引っ張り出して連絡先を叩きつけた、それに倣ってイグサルさんもその下に名前を書き込み「そういう事なんで」と、警備兵に告げる。

「あ、因みに俺達ファルスからやって来た交換留学生なんですがね、今回交換留学しているランティス側の人間って誰だか知ってます?」
「あ? そんなの知る訳ないだろう」

 警備兵の態度はどこまでも尊大だ。

「俺達と交換に留学しているのはランティス王家マリオ王子ですよ、即ち王子と交換で留学しているこちら側の人間も皆ファルスではそこそこに名のある家の子息ばかりです、先程刺されたトーマスもですよ、トーマス・トールマン、あれでもトールマン家の跡継ぎです。これが外交問題に発展しないといいですけどね」
「な……」

 警備兵は絶句したように言葉を無くした。
 でも、イグサルさんの言ってる事間違ってないもんね。イグサルさんもトーマスさんと同じトールマン家、意外と大きな家だって聞いている。ミヅキさんはマイラー家、これは言わずと知れたファルス一の大貴族、最初に聞いた時僕も凄く驚いたんだ。ウィルの家だって代々騎士団長を輩出している家系の家で、他にここランティスに来ている人達だって選考の末に選ばれた人達でさ、皆一様にファルスでは名が知られている家の人がほとんどなんだよ。
 あんまり気にしてなかったけど、僕と違ってみんな家柄しっかりしている人ばっかりなんだから!
 僕達は警備兵を置き去りに歩き出す。トーマスさんの安否が気にかかる。そもそも僕を庇って死んだりしたら、僕の寝覚めが悪すぎる。いくら嫌いなストーカーだからと言って死んで欲しいと思った事はない。

「一度は寄宿舎の前まで戻ったんだよ、そこでもあいつに絡まれて大騒ぎになってたんだけど、気付かなかった?」
「え? そうなのか? 悪い、たぶん俺達その時まだ外出中だったわ。ユリウスが付いていると思ってたから、出掛けてた」
「どこか行ってたの?」
「お前の従兄弟の家だよ、この間会っただろ? メル・リングス」

 僕は、あぁ……と思い出す。僕の母親の妹の子、メルだ。そこで僕は、ん? と首を傾げた。

「メル・リングス……父親がナダール叔父さんの弟だよね? 家はリングス薬局」

 それは今日、話題に上ってた薬屋じゃないか!

「道すがら領主様の息子に遭遇してな、一緒に行って来たんだが色々な話を聞いたな。ユリウスにも報告せにゃならんと思っていたんだが、そのユリウスが行方不明じゃなぁ……」
「何かあったの?」
「騎士団長の奴隷売買の件は全て誤解だという事と、どうやらこの街には違法薬物が出回っているらしいって話だな」
「それ、僕も今日聞いた。って言うか、薬物中毒の人に会ってきた。兄さんの運命の人もたぶんそう」
「ユリウスを連れてった奴か?」

 またしても驚いた表情で問うてくるイグサルさんに僕は頷く。

「皆虚ろな目をしていて怖かった、それにさっき僕達を襲ったアルファの人、あの人もその人達によく似てた……」
「あいつも薬物中毒だと?」
「分からないけど、その可能性はあるんじゃないかな。だってあそこまで話が通じないのは明らかにおかしいよ。あの人、黒の騎士団の人に薬を寄越せって言ったんだ。その薬、山の民が売っているって、あの人はそう言っていた」
「山の民……ユリウスを連れて行ったのも確か山の民だと言っていたな? それで、薬物中毒のオメガか? なんだか厄介な事になっている予感しかしないな」
「兄さんに限って変な事にはならないって信じているけど……」
「俺達に何も告げずに行方をくらますような事をしている時点で既におかしいだろう」
「怖い事言わないでよ」
「いつでも想定は最悪を考えた方がいい、自分に都合がいい希望的観測ばかり頭に置いていてはいざという時に判断を見誤る」

 僕は黙り込んで俯いた。僕にとって兄さんは本当の兄のような存在なのだ。そんな彼の行動は確かに彼らしくもなく冷静さに欠けたものだった。僕は今まであんな兄さんを見た事がない、不安ばかりが胸に湧く。
 ツキノは現在人攫いに攫われたまま行方不明、更に兄さんまでもこんな事になって、僕は一体どうすればいい? 一体僕に何ができる? 今ほど自分の無力を感じた事はない、僕は一人じゃ何も出来ない。
 僕に出来る事……使えるモノは親でも何でも使えばいい!
 僕はきっ! と顔を上げた。

「イグサルさん、病院のあと、ちょっと僕に付き合って!」
「別に構わんが、何をする気だ?」
「僕は僕にできる事をするだけだよ」

 この国は僕にとってはなんの親しみも湧かない国だけど、この国の病巣を取り除く事で僕の大事な人達が救われるのなら、僕はやれる事をやらなければいけないのだと、僕はその時そう思ったんだ。



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