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第一章
Aランク冒険者は大変ですね
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ルーファウスと共に過ごして10日程が経った頃、いつものように冒険者ギルドへ向かったら、ルーファウスにご指名の依頼が来ているとカウンターのお姉さんが僕達へ告げた。
依頼に指名制なんてものがあるのかと僕が驚いていたら「Aランク冒険者は数が少ないからね」とルーファウスは苦虫を嚙み潰したような表情だ。
「すみません、それって断る事はできませんか?」
「何か不都合がございましたか?」
「実は私、弟子をとる事にしたので、これからは自身の依頼は受けるのを控えて彼を育てる事に注力しようかと……」
「弟子、ですか?」
カウンターのお姉さんが僕とルーファウスを交互に見比べている。そんなにまじまじと見られるとちょっと居心地悪いな。
「そのようなお話はお伺いしていませんでしたので、通常通りお受けしてしまっているのですが……」
「はは、ですよね。先に伝えておかなかった私の失態です。因みにどういった依頼ですか?」
「最近国境付近の山間部にドラゴンの目撃情報が相次いでいて、その為の調査、場合によっては討伐隊が組まれる事になるので参加要請です。Aランク以上の冒険者全員に王命としてかかった依頼ですので、よほどの事がない限り冒険者ギルドとしては拒否できません。ちなみに討伐依頼となった場合の褒賞としては国から白金貨100枚の提示があります」
おおお、ドラゴン討伐! さすがAランクの依頼はスケールが違う! 国からの直接依頼、しかも噂の白金貨! 白金貨1枚百万円として一億か! 桁がおかしいな!!
たぶんこれは依頼に対しての金額で個人で貰える金額ではないのだろうけど、それでも一億は凄い。Aランク以上の冒険者というのが一体何人くらいいるのか分からないが例え百人で割っても一人当たり百万円の仕事って相当だよ。
いや、ドラゴンが暴れたら国が滅びると思ったら国家予算組んで討伐に向かうのもおかしな話じゃないのだろうけど。
心の中で一人興奮している僕とは裏腹にルーファウスは更に渋い顔を隠さない。
「断るとか以前の問題でしたね……ほぼ強制じゃないですか」
ルーファウスは大きなため息を零し渋々と言った表情で頷くと、くるりと僕の方を見やった。
「非常に不本意ですが、どうやら私は王都へと赴かなければいけないようです、しばらく不在にしますが君は無茶な行動はしないように」
「はは、大丈夫ですよ。アランさんもいますし、ルーファウスさんが色々教えてくれたので、僕ももうこの世界にはずいぶん慣れましたから」
ルーファウスには僕が異世界から来た人間である事がバレている。過去に僕と同じようにこの世界へやって来た「スズキ・タロウ」さんと同じように、僕にも凄い力が秘められているのではないかとルーファウスは思っているようなのだが、今の所はそれ以上に突っ込んでくる事はない。
というのも僕が異世界人だと知られた当初、監禁は嫌だ! というような事を口走った僕の言葉を真に受けたものか、どうやら時間をかけて僕の信頼を得る方向に彼は舵を切ったらしい。現在ルーファウスは完全に僕の保護者のような存在になっている。
名目上ルーファウスと僕は師匠と弟子、だけどその実情はルーファウスがかいがいしく僕の面倒を見てくれているだけ。右も左も分かっていない僕の世話係みたいになっていて申し訳ない気持ちにならないでもないのだけど、とても助かっている。
「それにしてもドラゴン討伐って凄いですよね! さすがAランク冒険者、尊敬します!」
僕の言葉に何故かルーファウスが死んだ魚のような瞳をしている。
「Aランク冒険者なんてそんな良いものじゃないよ、こういう時には問答無用で徴収かけられて、たかだか白金貨の1枚や2枚で命をかけろなんて、人の命をなんだと思ってんだかって話ですよ。しかも提示されているのは討伐依頼に変わった場合の褒賞、調査に関してはギルドから多少はお金が出るのかもしれませんけど実質ただ働きです」
あ……確かに。
高額報酬に目が眩んだけど命懸けでドラゴンと戦うとなったら100万200万じゃ安いよな。それにもし万が一命を落とした場合の家族への保障とかあるのかな? なんかそういう制度は無さそうだよね、この世界。
だとしたら家族を養っている冒険者さん達はきっとこんな依頼受けたくないに違いない。
ドラゴン討伐にはロマンがあるけど、現実的な事を考えだすと割に合わないと思い始めてしまった僕の気持ちは複雑だ。
「その点アランは能力自体は既にAランク相当だというのにBランクで試験を受けずに粘っているのはある意味賢い選択だと私は思いますね。無駄に頂点を極めようとしてしまった若かりし日の己の選択に後悔しきりです」
ぶつぶつと呟き続けるルーファウス。アランはそういう意味でBランクなのかと意外な事実を知ってしまった。
「はあ、でも仕方がないですね。しばらく留守にしますがくれぐれも無茶は……」
「しませんって、分かってますよ。ご飯作って待ってますから、早く帰ってきてくださいね」
「ん……っ」
安心させるように笑みを作って言ったら、何故かルーファウスが言葉に詰まって瞳を逸らした。僕なにか変な事言ったかな?
「どうかしました?」
「いや、何でもない。今日の君の護衛はアランに頼もう」
「いりませんって、大丈夫です」
ここ数日僕は依頼を受けて変わらず街外の草原で薬草採取を続けているけれど、ここまで特に危険な目に遭った事はない。飛び回るスライムにもだいぶ慣れたし、同じことの繰り返しなら特別に何か起こる事もないはずだ。
それにBランク冒険者のアランを護衛にって、そんなGランク冒険者ちょっとおかしいだろ。
過保護過ぎるルーファウスをどうにか説得して僕は僕の依頼を受ける。今日も一日頑張ろう!
依頼に指名制なんてものがあるのかと僕が驚いていたら「Aランク冒険者は数が少ないからね」とルーファウスは苦虫を嚙み潰したような表情だ。
「すみません、それって断る事はできませんか?」
「何か不都合がございましたか?」
「実は私、弟子をとる事にしたので、これからは自身の依頼は受けるのを控えて彼を育てる事に注力しようかと……」
「弟子、ですか?」
カウンターのお姉さんが僕とルーファウスを交互に見比べている。そんなにまじまじと見られるとちょっと居心地悪いな。
「そのようなお話はお伺いしていませんでしたので、通常通りお受けしてしまっているのですが……」
「はは、ですよね。先に伝えておかなかった私の失態です。因みにどういった依頼ですか?」
「最近国境付近の山間部にドラゴンの目撃情報が相次いでいて、その為の調査、場合によっては討伐隊が組まれる事になるので参加要請です。Aランク以上の冒険者全員に王命としてかかった依頼ですので、よほどの事がない限り冒険者ギルドとしては拒否できません。ちなみに討伐依頼となった場合の褒賞としては国から白金貨100枚の提示があります」
おおお、ドラゴン討伐! さすがAランクの依頼はスケールが違う! 国からの直接依頼、しかも噂の白金貨! 白金貨1枚百万円として一億か! 桁がおかしいな!!
たぶんこれは依頼に対しての金額で個人で貰える金額ではないのだろうけど、それでも一億は凄い。Aランク以上の冒険者というのが一体何人くらいいるのか分からないが例え百人で割っても一人当たり百万円の仕事って相当だよ。
いや、ドラゴンが暴れたら国が滅びると思ったら国家予算組んで討伐に向かうのもおかしな話じゃないのだろうけど。
心の中で一人興奮している僕とは裏腹にルーファウスは更に渋い顔を隠さない。
「断るとか以前の問題でしたね……ほぼ強制じゃないですか」
ルーファウスは大きなため息を零し渋々と言った表情で頷くと、くるりと僕の方を見やった。
「非常に不本意ですが、どうやら私は王都へと赴かなければいけないようです、しばらく不在にしますが君は無茶な行動はしないように」
「はは、大丈夫ですよ。アランさんもいますし、ルーファウスさんが色々教えてくれたので、僕ももうこの世界にはずいぶん慣れましたから」
ルーファウスには僕が異世界から来た人間である事がバレている。過去に僕と同じようにこの世界へやって来た「スズキ・タロウ」さんと同じように、僕にも凄い力が秘められているのではないかとルーファウスは思っているようなのだが、今の所はそれ以上に突っ込んでくる事はない。
というのも僕が異世界人だと知られた当初、監禁は嫌だ! というような事を口走った僕の言葉を真に受けたものか、どうやら時間をかけて僕の信頼を得る方向に彼は舵を切ったらしい。現在ルーファウスは完全に僕の保護者のような存在になっている。
名目上ルーファウスと僕は師匠と弟子、だけどその実情はルーファウスがかいがいしく僕の面倒を見てくれているだけ。右も左も分かっていない僕の世話係みたいになっていて申し訳ない気持ちにならないでもないのだけど、とても助かっている。
「それにしてもドラゴン討伐って凄いですよね! さすがAランク冒険者、尊敬します!」
僕の言葉に何故かルーファウスが死んだ魚のような瞳をしている。
「Aランク冒険者なんてそんな良いものじゃないよ、こういう時には問答無用で徴収かけられて、たかだか白金貨の1枚や2枚で命をかけろなんて、人の命をなんだと思ってんだかって話ですよ。しかも提示されているのは討伐依頼に変わった場合の褒賞、調査に関してはギルドから多少はお金が出るのかもしれませんけど実質ただ働きです」
あ……確かに。
高額報酬に目が眩んだけど命懸けでドラゴンと戦うとなったら100万200万じゃ安いよな。それにもし万が一命を落とした場合の家族への保障とかあるのかな? なんかそういう制度は無さそうだよね、この世界。
だとしたら家族を養っている冒険者さん達はきっとこんな依頼受けたくないに違いない。
ドラゴン討伐にはロマンがあるけど、現実的な事を考えだすと割に合わないと思い始めてしまった僕の気持ちは複雑だ。
「その点アランは能力自体は既にAランク相当だというのにBランクで試験を受けずに粘っているのはある意味賢い選択だと私は思いますね。無駄に頂点を極めようとしてしまった若かりし日の己の選択に後悔しきりです」
ぶつぶつと呟き続けるルーファウス。アランはそういう意味でBランクなのかと意外な事実を知ってしまった。
「はあ、でも仕方がないですね。しばらく留守にしますがくれぐれも無茶は……」
「しませんって、分かってますよ。ご飯作って待ってますから、早く帰ってきてくださいね」
「ん……っ」
安心させるように笑みを作って言ったら、何故かルーファウスが言葉に詰まって瞳を逸らした。僕なにか変な事言ったかな?
「どうかしました?」
「いや、何でもない。今日の君の護衛はアランに頼もう」
「いりませんって、大丈夫です」
ここ数日僕は依頼を受けて変わらず街外の草原で薬草採取を続けているけれど、ここまで特に危険な目に遭った事はない。飛び回るスライムにもだいぶ慣れたし、同じことの繰り返しなら特別に何か起こる事もないはずだ。
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