29 / 222
第一章
新しい討伐依頼
しおりを挟む
翌日から僕とロイド、そしてアランは街の外の草原で依頼をこなしながら対戦格闘の基礎訓練を始めた。
僕の従魔であるスライムのライムはその間草原の草を食しながら草原にいる仲間と融合している時がある。ふと気が付くと巨大になっていて驚くのだが、しばらくすると元のサイズに戻るので、スライムの生態はよく分からないなと僕は首を傾げるばかりだ。
そんな生活を続けたある日「タケルは最近ここの草原に生息してるスライムの数がめっちゃ減ってんの知ってるか?」とロイドが僕に告げる。
「え? そうなの?」
「そうなんだよ、お陰でスライム討伐の依頼が全然出ない、これ絶対お前のスライムのせいだろう?」
ロイドがライムを見やって大きな溜息を吐く。ライムはライムでどこ吹く風で、今日も草を体内に取り込みながら仲間と合体して一回り大きくなっているので、違うと否定もできやしない。
「最近はスライムの代わりにゴブリン討伐の依頼が出てるんだけど、Gランクは1人で行くなって条件付けられてるから依頼が受けられなくて困ってんだよ」
「そうなんだ?」
基本的に討伐依頼を受けていない僕はそんな事には気付いておらず、ロイドはそんな僕の反応にまた大きく溜息を吐いた。
「採取依頼より討伐依頼の方がわりがいいのはお前だって分ってんだろ? それに討伐依頼の数をこなした方がランクアップの近道なんだよ、どうにかしろ!」
「どうにかしろって言われても……増殖して困ってたから依頼が出てた訳で、減ったんなら別によくない?」
「よくない!」
「だったらお前等二人でゴブリン討伐依頼を受けたらいいんじゃないのか?」
怒り心頭のロイドにアランからの提案、けれどロイドはじっとりとした瞳をこちらに向け「タケルに討伐依頼なんて受けられるのかよ」といつものように悪態をついてきた。
「スライムを倒せないからって従魔にしてるような奴がゴブリン討伐なんてできる気がしないんだけど!」
「タケルはそんな理由でライムを従魔にしたのか?」
「えっと、あながち間違ってないですけど、ライム達は基本的にこっちがちょっかいかけなければ無害じゃないですか、だから可哀想で……」
「スライムだって増えすぎれば作物を荒らす立派な有害魔物だぞ」
それは分かってる! 分かってるんだけどさ……
「でもゴブリンは人を襲う分スライムより害悪だし、タケルだって可哀想だなんて言ってられないだろう。ゴブリンは一体一体はさほど強い魔物じゃないが集団になると厄介で増え過ぎれば死人だって出る、ゴブリン討伐は冒険者にとっては重要な任務のひとつだからな」
そうなんだよねぇ……ゴブリンは人を襲う、繁殖力が旺盛で若い女性を襲って孕ませ、男は嬲り殺しにするような残忍な魔物だと聞いている。それが集団になれば小さな村などあっという間に滅ぼされてしまうというのだから、一個体が弱いとはいえ侮れない魔物には違いない。
「僕達だけでもゴブリンって倒せますか?」
「大きな集落を作ってなければ大丈夫だと思う、お前達は優秀だからな」
アランの言葉にロイドの顔がにやついてる、2人纏めて「優秀」だって憧れのアランに褒められたからね。
「だったら僕、頑張ってみます!」
「お、マジか!」
意外という表情のロイド、僕だってやる時はやるんだから! 為せば成る為さねば成らぬ何事も! だよ。
討伐依頼が冒険者にとって重要な任務だって事は僕だって分かっているのだ、魔物が可哀想だからといつまでも逃げている訳にはいかない。やってやろうじゃないか!
「そうと決まれば依頼受けに行こうぜ!」
「え? 今から!?」
「こういうのは決めたらすぐに行動した方がいいんだよ、行くぞ、タケル!」
こうして僕達は即断即決で街に戻りゴブリン討伐の依頼を受けてもう一度街を出た。アランと会うのには心の準備がいるとか言って会うのに時間をかけていたロイドが、僕には心の準備をさせてくれないんだな……そんな事を思いつつも引率としてアランが同行してくれる事になったのにはホッとした。
僕の従魔であるスライムのライムはその間草原の草を食しながら草原にいる仲間と融合している時がある。ふと気が付くと巨大になっていて驚くのだが、しばらくすると元のサイズに戻るので、スライムの生態はよく分からないなと僕は首を傾げるばかりだ。
そんな生活を続けたある日「タケルは最近ここの草原に生息してるスライムの数がめっちゃ減ってんの知ってるか?」とロイドが僕に告げる。
「え? そうなの?」
「そうなんだよ、お陰でスライム討伐の依頼が全然出ない、これ絶対お前のスライムのせいだろう?」
ロイドがライムを見やって大きな溜息を吐く。ライムはライムでどこ吹く風で、今日も草を体内に取り込みながら仲間と合体して一回り大きくなっているので、違うと否定もできやしない。
「最近はスライムの代わりにゴブリン討伐の依頼が出てるんだけど、Gランクは1人で行くなって条件付けられてるから依頼が受けられなくて困ってんだよ」
「そうなんだ?」
基本的に討伐依頼を受けていない僕はそんな事には気付いておらず、ロイドはそんな僕の反応にまた大きく溜息を吐いた。
「採取依頼より討伐依頼の方がわりがいいのはお前だって分ってんだろ? それに討伐依頼の数をこなした方がランクアップの近道なんだよ、どうにかしろ!」
「どうにかしろって言われても……増殖して困ってたから依頼が出てた訳で、減ったんなら別によくない?」
「よくない!」
「だったらお前等二人でゴブリン討伐依頼を受けたらいいんじゃないのか?」
怒り心頭のロイドにアランからの提案、けれどロイドはじっとりとした瞳をこちらに向け「タケルに討伐依頼なんて受けられるのかよ」といつものように悪態をついてきた。
「スライムを倒せないからって従魔にしてるような奴がゴブリン討伐なんてできる気がしないんだけど!」
「タケルはそんな理由でライムを従魔にしたのか?」
「えっと、あながち間違ってないですけど、ライム達は基本的にこっちがちょっかいかけなければ無害じゃないですか、だから可哀想で……」
「スライムだって増えすぎれば作物を荒らす立派な有害魔物だぞ」
それは分かってる! 分かってるんだけどさ……
「でもゴブリンは人を襲う分スライムより害悪だし、タケルだって可哀想だなんて言ってられないだろう。ゴブリンは一体一体はさほど強い魔物じゃないが集団になると厄介で増え過ぎれば死人だって出る、ゴブリン討伐は冒険者にとっては重要な任務のひとつだからな」
そうなんだよねぇ……ゴブリンは人を襲う、繁殖力が旺盛で若い女性を襲って孕ませ、男は嬲り殺しにするような残忍な魔物だと聞いている。それが集団になれば小さな村などあっという間に滅ぼされてしまうというのだから、一個体が弱いとはいえ侮れない魔物には違いない。
「僕達だけでもゴブリンって倒せますか?」
「大きな集落を作ってなければ大丈夫だと思う、お前達は優秀だからな」
アランの言葉にロイドの顔がにやついてる、2人纏めて「優秀」だって憧れのアランに褒められたからね。
「だったら僕、頑張ってみます!」
「お、マジか!」
意外という表情のロイド、僕だってやる時はやるんだから! 為せば成る為さねば成らぬ何事も! だよ。
討伐依頼が冒険者にとって重要な任務だって事は僕だって分かっているのだ、魔物が可哀想だからといつまでも逃げている訳にはいかない。やってやろうじゃないか!
「そうと決まれば依頼受けに行こうぜ!」
「え? 今から!?」
「こういうのは決めたらすぐに行動した方がいいんだよ、行くぞ、タケル!」
こうして僕達は即断即決で街に戻りゴブリン討伐の依頼を受けてもう一度街を出た。アランと会うのには心の準備がいるとか言って会うのに時間をかけていたロイドが、僕には心の準備をさせてくれないんだな……そんな事を思いつつも引率としてアランが同行してくれる事になったのにはホッとした。
45
あなたにおすすめの小説
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
その捕虜は牢屋から離れたくない
さいはて旅行社
BL
敵国の牢獄看守や軍人たちが大好きなのは、鍛え上げられた筋肉だった。
というわけで、剣や体術の訓練なんか大嫌いな魔導士で細身の主人公は、同僚の脳筋騎士たちとは違い、敵国の捕虜となっても平穏無事な牢屋生活を満喫するのであった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる