童貞のまま40を超えた僕が魔法使いから○○になった話

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第一章

新しい討伐依頼

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 翌日から僕とロイド、そしてアランは街の外の草原で依頼をこなしながら対戦格闘の基礎訓練を始めた。
 僕の従魔であるスライムのライムはその間草原の草を食しながら草原にいる仲間と融合している時がある。ふと気が付くと巨大になっていて驚くのだが、しばらくすると元のサイズに戻るので、スライムの生態はよく分からないなと僕は首を傾げるばかりだ。
 そんな生活を続けたある日「タケルは最近ここの草原に生息してるスライムの数がめっちゃ減ってんの知ってるか?」とロイドが僕に告げる。

「え? そうなの?」
「そうなんだよ、お陰でスライム討伐の依頼が全然出ない、これ絶対お前のスライムのせいだろう?」

 ロイドがライムを見やって大きな溜息を吐く。ライムはライムでどこ吹く風で、今日も草を体内に取り込みながら仲間と合体して一回り大きくなっているので、違うと否定もできやしない。

「最近はスライムの代わりにゴブリン討伐の依頼が出てるんだけど、Gランクは1人で行くなって条件付けられてるから依頼が受けられなくて困ってんだよ」
「そうなんだ?」

 基本的に討伐依頼を受けていない僕はそんな事には気付いておらず、ロイドはそんな僕の反応にまた大きく溜息を吐いた。

「採取依頼より討伐依頼の方がわりがいいのはお前だって分ってんだろ? それに討伐依頼の数をこなした方がランクアップの近道なんだよ、どうにかしろ!」
「どうにかしろって言われても……増殖して困ってたから依頼が出てた訳で、減ったんなら別によくない?」
「よくない!」
「だったらお前等二人でゴブリン討伐依頼を受けたらいいんじゃないのか?」

 怒り心頭のロイドにアランからの提案、けれどロイドはじっとりとした瞳をこちらに向け「タケルに討伐依頼なんて受けられるのかよ」といつものように悪態をついてきた。

「スライムを倒せないからって従魔にしてるような奴がゴブリン討伐なんてできる気がしないんだけど!」
「タケルはそんな理由でライムを従魔にしたのか?」
「えっと、あながち間違ってないですけど、ライム達は基本的にこっちがちょっかいかけなければ無害じゃないですか、だから可哀想で……」
「スライムだって増えすぎれば作物を荒らす立派な有害魔物だぞ」

 それは分かってる! 分かってるんだけどさ……

「でもゴブリンは人を襲う分スライムより害悪だし、タケルだって可哀想だなんて言ってられないだろう。ゴブリンは一体一体はさほど強い魔物じゃないが集団になると厄介で増え過ぎれば死人だって出る、ゴブリン討伐は冒険者にとっては重要な任務のひとつだからな」

 そうなんだよねぇ……ゴブリンは人を襲う、繁殖力が旺盛で若い女性を襲って孕ませ、男は嬲り殺しにするような残忍な魔物だと聞いている。それが集団になれば小さな村などあっという間に滅ぼされてしまうというのだから、一個体が弱いとはいえ侮れない魔物には違いない。

「僕達だけでもゴブリンって倒せますか?」
「大きな集落を作ってなければ大丈夫だと思う、お前達は優秀だからな」

 アランの言葉にロイドの顔がにやついてる、2人纏めて「優秀」だって憧れのアランに褒められたからね。

「だったら僕、頑張ってみます!」
「お、マジか!」

 意外という表情のロイド、僕だってやる時はやるんだから! 為せば成る為さねば成らぬ何事も! だよ。
 討伐依頼が冒険者にとって重要な任務だって事は僕だって分かっているのだ、魔物が可哀想だからといつまでも逃げている訳にはいかない。やってやろうじゃないか!

「そうと決まれば依頼受けに行こうぜ!」
「え? 今から!?」
「こういうのは決めたらすぐに行動した方がいいんだよ、行くぞ、タケル!」

 こうして僕達は即断即決で街に戻りゴブリン討伐の依頼を受けてもう一度街を出た。アランと会うのには心の準備がいるとか言って会うのに時間をかけていたロイドが、僕には心の準備をさせてくれないんだな……そんな事を思いつつも引率としてアランが同行してくれる事になったのにはホッとした。

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