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閑話:少年ロイドの青い春
こいつちょっと可愛くないか……?
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俺の小さくなった皮の胴着をタケルに譲り、タケルにスライム討伐依頼を受けさせた。ってか、こいつ小さいぞ、思ってたより全然小さい。俺がすでに着られないサイズの胴着なのに若干身幅が余ってる、小さいというか細いのか? 筋肉が無いのか? そうだよな、こいつ魔術師だもんな、ひょろひょろしてても不思議ではない。それにしても細すぎる気がしないでもないけど。ちゃんと食ってるのか心配になった。
いっちょ前にスライムを前にして「よしっ!」と気合を入れてるタケルはやる気に見える。頑張れ頑張れ、討伐依頼はランクアップの為には絶対一度は受けなきゃならんのだからな。
なんて、思っていたのだけど、いざスライムを前にしたらタケルはへにゃりとその場に崩れ落ちて「スライムが可愛すぎて討伐なんて無理」とか抜かしやがった。はぁぁぁ!?
「だって、こいつ等可愛いだろ!? ちょっと食べ過ぎるだけで悪さする訳じゃないのに、何も殺さなくたって……」
可愛いのはお前だよ! だけどそんな理由で討伐失敗なんてあり得ないからな! スライム抱き締めてんな! ってか、スライム共も完全にタケルを舐めきっているのかタケルの周りをピョンピョン跳ね回っていて逃げる素振りもないの何なんだよ! 俺の傍にはもう寄ってきもしねぇのに!
あ、そういえば討伐依頼って討伐対象の魔物をどうにかすればいいだけのはずで、もしタケルがこいつを従魔に出来れば依頼クリアできるんじゃないか?
スライムだってこんなにタケルに懐いてんだし、こいつもしかしたら従魔師スキル持ってんじゃねぇか?
「そいつを従魔にすりゃ、一応一匹倒したって扱いにしてもらえるはず、確か」
「! それ、どうすればいい!?」
「どうって、俺、従魔師じゃないし、知らね。でも、なんかそいつお前にすっげぇ懐いてるみたいだし、こう、何とかすればできんじゃね?」
俺には従魔師スキルなんて無いからやり方なんて分からないのだが、思いつきで言った言葉にタケルが反応した。そして色々あって、本当にスライムを従魔にしてしまった。
ってか、スライムが合体してどんどん巨大化してったのにはマジでビビった、あれ何だったんだ? あんなスライムの行動初めて見たぞ。
スライムなんて弱くて役に立たないくせに食べるのだけは一人前で従魔になんてするもんじゃないとか聞くけれど、タケルもスライムも嬉しそうにしてるから、まぁいいか。
そんなこんなでタケルと仲良くなったらBランク冒険者の疾風のアランさんに俺も稽古をつけてもらえるようになった。
タケルは体術に関しては弱っちくてへっぴり腰ではあるのだけど、やる気だけはあるみたいで疾風のいう事はよく聞いている。疾風もそんなタケルが可愛いのか熱心に指導をしていて、まるで親子か兄弟みたいに見える。
タケルって不思議だよな、気が付けばスルッと人の懐の中に入り込んでニコニコ笑っている。素直になれない俺は相変らず憎まれ口ばかり叩いてしまうけれど、今となっては弟分として可愛がってやろうという気持ちになっているのだから変な感じだ。
タケルのスライムはライムと命名されたらしいのだけど、俺達が稽古をしていると草原で時々巨大化している。ホントあのスライム何なんだろうな……
巨大化したスライムが現れると、小さなスライムの数は減っていくのでもしかして食べているのか? 共食いなのか? 恐ろしい。恐ろしいけど、俺達Gランク冒険者の受けられる討伐依頼なんて数が限られている訳で、スライムが減ったら依頼が出なくなって困るんだよな。
冒険者ランクのGランクからFランクへの昇格は実はさほど難しくない。Gランクというのが冒険者としてのお試し期間という事もあって、依頼を30件受注達成できればいいだけなので、真面目に依頼をこなしていれば一ヵ月もすればFランクになれるのだ。
ただし、条件として討伐依頼と採取依頼をどちらも最低一回は受注達成していなければならない。俺達は二人ともその条件はクリアしているけれど、依頼数がまだ足りていない、だから昇格できない。
俺は採取依頼があまり好きではないのでできれば討伐依頼を受けたいのに、Gランクで受けられる討伐依頼なんてスライムくらいしかなくて、そのスライムの討伐依頼が無くなると必然的に採取依頼をするしかなくなってしまいとても不満。
スライムの代わりに最近はゴブリン討伐依頼も出ているのだが、ゴブリンはスライムよりも討伐難易度が高いのでGランク冒険者での単独討伐は受け付けてくれない。だからゴブリン討伐依頼を受けたければ誰かとパーティーを組まなければいけない訳だけど、スライムを倒したくないという理由だけで従魔にしているタケルがゴブリン討伐依頼を受けるとはとても思えない。
けれど、誰か他にパーティー組める奴を探さないと駄目かなと思っていた矢先、タケルがゴブリン討伐依頼を受けてもいいと言ったのだ。まさかタケルが積極的に討伐依頼を受けるなんて思わなかった俺は即座に飛びつく。
「そうと決まれば依頼受けに行こうぜ!」
「え? 今から!?」
「こういうのは決めたらすぐに行動した方がいいんだよ、行くぞ、タケル!」
タケルの気が変わらないうちにと俺達は依頼を受けてゴブリンが出るという東の草原へと赴いた。けれど東の草原へは始めて来たというタケルは終始ビクビクしている。俺はこの草原には何度も来た事があるが別段そこまで怖がるような魔物なんて出ないんだけどな。
確かにホーンラビットやコカトリスは出るけれど、奴等はこっちが攻撃しなければ攻撃してくる事はない。ゴブリンだって俺様の剣技にかかれば楽勝……とそんな風に思っていたのだが、そんな俺の考えが間違っていたと思い知らされたのは、タケルがゴブリンに攫われた後だった。
「な!? え、タケル!?」
「助けて」という悲鳴のような叫びと共にタケルの姿は伸びきった草の陰に消えてしまう。俺はそれにどうする事も出来ず、固まったまま動けない。そんな俺を叱咤するように同行していた疾風が「お前は街に戻って冒険者ギルドにこの事報告してこい!」と声をあげた。
「え、でもすぐに追いかけないと!」
「追いかけるのは俺が行く、あのゴブリンども連携が取れすぎてておかしい、万が一だが大規模なゴブリンの集落があったら俺等だけでは対処ができない、だからお前は応援を呼んでこい!」
それだけ俺に指示するとそのまま疾風はタケルを追いかけるように草原の向こう側へと消えていった。
「大規模集落……」
ゴブリンは一体一体は大した事のない雑魚なのだが、繁殖力が異常に高く数が増えると危険度が増す厄介な魔物なのだ。楽勝だと高をくくっていた俺は一気に青褪め、街へと駆け出した。
どんな雑魚でも魔物は魔物、危険がない事なんてなかったんだ。タケルはろくな装備も持っていない。武器だって何ひとつ持っていないのに、俺がこんな場所まで連れて来てしまった。
手が震える、怖い、どうしよう……タケルに何かあったら俺は一体どうすればいいんだ! 恐怖に脅えながらも冒険者ギルドに駆け込むと、受付には見慣れたシルバーブロンドの男性が一人、受付のギルド職員と話していた。
「あれ、君は……」
「友達が、タケルが、ゴブリンに……どうしよう、攫われてどっか連れてかれ――」
「!? 場所は何処ですか!」
「ひ、東の草原、今、アランさんが、追いかけてて……」
俺の言葉に血相を変えた白銀の魔術師はすぐに踵を返してギルド職員の制止も聞かずにギルドを飛び出して行った。
いっちょ前にスライムを前にして「よしっ!」と気合を入れてるタケルはやる気に見える。頑張れ頑張れ、討伐依頼はランクアップの為には絶対一度は受けなきゃならんのだからな。
なんて、思っていたのだけど、いざスライムを前にしたらタケルはへにゃりとその場に崩れ落ちて「スライムが可愛すぎて討伐なんて無理」とか抜かしやがった。はぁぁぁ!?
「だって、こいつ等可愛いだろ!? ちょっと食べ過ぎるだけで悪さする訳じゃないのに、何も殺さなくたって……」
可愛いのはお前だよ! だけどそんな理由で討伐失敗なんてあり得ないからな! スライム抱き締めてんな! ってか、スライム共も完全にタケルを舐めきっているのかタケルの周りをピョンピョン跳ね回っていて逃げる素振りもないの何なんだよ! 俺の傍にはもう寄ってきもしねぇのに!
あ、そういえば討伐依頼って討伐対象の魔物をどうにかすればいいだけのはずで、もしタケルがこいつを従魔に出来れば依頼クリアできるんじゃないか?
スライムだってこんなにタケルに懐いてんだし、こいつもしかしたら従魔師スキル持ってんじゃねぇか?
「そいつを従魔にすりゃ、一応一匹倒したって扱いにしてもらえるはず、確か」
「! それ、どうすればいい!?」
「どうって、俺、従魔師じゃないし、知らね。でも、なんかそいつお前にすっげぇ懐いてるみたいだし、こう、何とかすればできんじゃね?」
俺には従魔師スキルなんて無いからやり方なんて分からないのだが、思いつきで言った言葉にタケルが反応した。そして色々あって、本当にスライムを従魔にしてしまった。
ってか、スライムが合体してどんどん巨大化してったのにはマジでビビった、あれ何だったんだ? あんなスライムの行動初めて見たぞ。
スライムなんて弱くて役に立たないくせに食べるのだけは一人前で従魔になんてするもんじゃないとか聞くけれど、タケルもスライムも嬉しそうにしてるから、まぁいいか。
そんなこんなでタケルと仲良くなったらBランク冒険者の疾風のアランさんに俺も稽古をつけてもらえるようになった。
タケルは体術に関しては弱っちくてへっぴり腰ではあるのだけど、やる気だけはあるみたいで疾風のいう事はよく聞いている。疾風もそんなタケルが可愛いのか熱心に指導をしていて、まるで親子か兄弟みたいに見える。
タケルって不思議だよな、気が付けばスルッと人の懐の中に入り込んでニコニコ笑っている。素直になれない俺は相変らず憎まれ口ばかり叩いてしまうけれど、今となっては弟分として可愛がってやろうという気持ちになっているのだから変な感じだ。
タケルのスライムはライムと命名されたらしいのだけど、俺達が稽古をしていると草原で時々巨大化している。ホントあのスライム何なんだろうな……
巨大化したスライムが現れると、小さなスライムの数は減っていくのでもしかして食べているのか? 共食いなのか? 恐ろしい。恐ろしいけど、俺達Gランク冒険者の受けられる討伐依頼なんて数が限られている訳で、スライムが減ったら依頼が出なくなって困るんだよな。
冒険者ランクのGランクからFランクへの昇格は実はさほど難しくない。Gランクというのが冒険者としてのお試し期間という事もあって、依頼を30件受注達成できればいいだけなので、真面目に依頼をこなしていれば一ヵ月もすればFランクになれるのだ。
ただし、条件として討伐依頼と採取依頼をどちらも最低一回は受注達成していなければならない。俺達は二人ともその条件はクリアしているけれど、依頼数がまだ足りていない、だから昇格できない。
俺は採取依頼があまり好きではないのでできれば討伐依頼を受けたいのに、Gランクで受けられる討伐依頼なんてスライムくらいしかなくて、そのスライムの討伐依頼が無くなると必然的に採取依頼をするしかなくなってしまいとても不満。
スライムの代わりに最近はゴブリン討伐依頼も出ているのだが、ゴブリンはスライムよりも討伐難易度が高いのでGランク冒険者での単独討伐は受け付けてくれない。だからゴブリン討伐依頼を受けたければ誰かとパーティーを組まなければいけない訳だけど、スライムを倒したくないという理由だけで従魔にしているタケルがゴブリン討伐依頼を受けるとはとても思えない。
けれど、誰か他にパーティー組める奴を探さないと駄目かなと思っていた矢先、タケルがゴブリン討伐依頼を受けてもいいと言ったのだ。まさかタケルが積極的に討伐依頼を受けるなんて思わなかった俺は即座に飛びつく。
「そうと決まれば依頼受けに行こうぜ!」
「え? 今から!?」
「こういうのは決めたらすぐに行動した方がいいんだよ、行くぞ、タケル!」
タケルの気が変わらないうちにと俺達は依頼を受けてゴブリンが出るという東の草原へと赴いた。けれど東の草原へは始めて来たというタケルは終始ビクビクしている。俺はこの草原には何度も来た事があるが別段そこまで怖がるような魔物なんて出ないんだけどな。
確かにホーンラビットやコカトリスは出るけれど、奴等はこっちが攻撃しなければ攻撃してくる事はない。ゴブリンだって俺様の剣技にかかれば楽勝……とそんな風に思っていたのだが、そんな俺の考えが間違っていたと思い知らされたのは、タケルがゴブリンに攫われた後だった。
「な!? え、タケル!?」
「助けて」という悲鳴のような叫びと共にタケルの姿は伸びきった草の陰に消えてしまう。俺はそれにどうする事も出来ず、固まったまま動けない。そんな俺を叱咤するように同行していた疾風が「お前は街に戻って冒険者ギルドにこの事報告してこい!」と声をあげた。
「え、でもすぐに追いかけないと!」
「追いかけるのは俺が行く、あのゴブリンども連携が取れすぎてておかしい、万が一だが大規模なゴブリンの集落があったら俺等だけでは対処ができない、だからお前は応援を呼んでこい!」
それだけ俺に指示するとそのまま疾風はタケルを追いかけるように草原の向こう側へと消えていった。
「大規模集落……」
ゴブリンは一体一体は大した事のない雑魚なのだが、繁殖力が異常に高く数が増えると危険度が増す厄介な魔物なのだ。楽勝だと高をくくっていた俺は一気に青褪め、街へと駆け出した。
どんな雑魚でも魔物は魔物、危険がない事なんてなかったんだ。タケルはろくな装備も持っていない。武器だって何ひとつ持っていないのに、俺がこんな場所まで連れて来てしまった。
手が震える、怖い、どうしよう……タケルに何かあったら俺は一体どうすればいいんだ! 恐怖に脅えながらも冒険者ギルドに駆け込むと、受付には見慣れたシルバーブロンドの男性が一人、受付のギルド職員と話していた。
「あれ、君は……」
「友達が、タケルが、ゴブリンに……どうしよう、攫われてどっか連れてかれ――」
「!? 場所は何処ですか!」
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