童貞のまま40を超えた僕が魔法使いから○○になった話

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第二章

僕は聖者ではありません!

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 買い物を終えて次に僕たちが向かったのは冒険者ギルド。昨日あった出来事の報告をする為だ。冒険者ギルドで僕たちはロイドと合流した。
 ロイドは昨日に引き続き落ち込んだままで、しかも何故か少し挙動不審に僕のことを腫れ物を扱うような感じで首を傾げる。

「ロイド君、昨日の事気にしてるなら、もう僕大丈夫だからね?」
「あ、ああ」
「ロイド君の方が僕よりやつれて見えるけど大丈夫? ちゃんと寝れた? ちゃんと朝食食べてきた?」

 僕がロイドの顔を覗き込むようにして見上げると、ロイドはふいっと視線を逸らした。心持ち顔が赤いのは気のせいか? 何かあったのかな?
 あ! もしかしてご両親に怒られたとか!? だとしたら申し訳なかったな……
 僕が不安になりながら彼の顔を見ていると、ロイドは居心地悪そうに「俺は大丈夫」とか言ってるけど、ちょっと心配だよ。
 そんな事がありながらも気を取り直して僕たちは昨日受けた討伐依頼の報告をする。
 最近この近辺でゴブリンが増えているのは冒険者ギルドも把握していたらしいのだが、そこにオークまでいたのは把握していなかったらしい。オークは少なくともGランク冒険者の討伐依頼対象ではないので、調査不足だったとギルド職員さんに謝られてしまった。

「まぁ、でもこういうのは冒険者やってれば幾らでもある事だから、ギルドが謝るのも筋違いなんだけどな。冒険には危険がつきもの、そこは覚悟しておかないとな」

 確かにアランの言う通り、その点は僕も納得しているからギルドを責める気はない。だけど一人だけルーファウスは「本当に、ちゃんとしてくださいよ!」とプリプリ怒っていた。
 僕たちが受けたゴブリン討伐依頼、本来ならゴブリンの片耳を討伐の証明として提出しないといけないらしいのだけど、昨日は不測の事態だったという事で提出なしで依頼達成という形にしてくれた。
 これで依頼まで未達成扱いで罰金ペナルティ取られたら、こんな仕事やってられっか! ってなる所だったよ。

「それにしても、あのサイズのオークがこんな街の近くに現れるのは不可解ではありますね。一体何処から現れたのか……」
「その辺は追って調査中です、もし良かったら調査依頼をルーファウスさんとアランさんにも受けていただけると助かるのですけど」

 おずおずとギルド職員が告げた言葉にルーファウスは「却下」とにべもない。

「私はタケルと行動を共にしているので、タケルの受けられない依頼は受けません」

 う~ん、ルーファウスが僕の保護者でいてくれるのはとても嬉しいのだけど、何だか少し過保護が過ぎるのではないかと思わなくもないな。けれどアランはそんなルーファウスに苦笑いで「俺が行くよ」と言ってくれた。

「万が一あんなのが他にもいたら危ないからな」
「でも一人で大丈夫ですか? ルーファウスさんと一緒に行った方が良くないですか?」

 そんな僕の心配をよそに、アランはギルド職員から調査報告依頼を受け取り「心配すんな、ちょっくら行ってくるわ」と僕たちに背を向けた。

「1人で行かせちゃって大丈夫でしょうか?」
「アランの実力ならばオークごとき、束でかかっても返り討ちですよ」

 そうなんだね、僕は一匹相手にやられる寸前だったのに。
 まぁ、そんな簡単に実力差は埋まらないのだから精進あるのみだな。

   ※ ※ ※

 冒険者ギルドでアランとロイドの二人と別れ、次に僕とルーファウスが向かったのは街の教会だった。
 教会に一体何の用事があるのかと言えば、教会には僕がゴブリンの洞窟で助けた聖女様一行が宿泊していると聞いたからだ。僕が助けた女性の一人、名前はエリシア・グランデ様は王都の教会で一番徳の高い聖女様なのだそうで、こんな田舎にも名前が轟いているような女性だったんだ。ビックリだね。
 そんな彼女が僕に一言謝辞を述べたいとの事で、僕たちは教会まで赴いたわけだけど、何故か僕は教会に着くやいなや以前にも利用させてもらった鑑定の水晶の前に立たされていた。

「あの、これどういう事ですか?」
「まぁまぁまぁ、その辺はお気になさらず」

 ルーファウスと引き離され、促されるままに連れ込まれた鑑定部屋、そこにはエリシア様とゴブリンの洞窟で一緒に捉えられていた女性達がにこやかに待っていた。
 洞窟内はとても薄暗く、ボロボロだった彼女達の姿を僕ははっきりとは覚えていなかったのだけど、皆さんとても美女揃い。綺麗な修道服に身を包んだ彼女達はとても近寄りがたい空気を纏っている。
 けれど、そんな近寄りがたさをものともせず、笑顔の彼女達は「さぁさぁさぁ」と有無を言わせ強引さで僕を鑑定水晶の前に立たせてしまったのだ。
 僕が訳も分からず瞳を閉じ水晶に掌をかざすと以前と同じように聖女様の手元の羊皮紙に僕のステータスが表示されたみたいだ。
 聖女様はそんな僕のステータスを食い入るように眺めてからひとつ頷き、すっと僕の前に膝を追って「お迎えに上がりました聖者様」と、僕に告げた。
 エリシア様に倣うようにその周りの女性達も僕に膝を折る。

「え? は? 聖者様って何ですか? 頭をあげてください」
「先日、私の元に神からのお告げがありました。この地に特別な子供を授けるのでよろしく面倒を見てやって欲しいと神は私にそう告げられたのです。そして貴方のステータスを確認して確信いたしました。貴方は我が教会の創始者にして初代聖者様の生まれ変わりに違いありません! どうか王都の私どもの教会へいらして私どもをお導きくださいませ」

 おおお? まさかの、彼女は神様直属の僕の保護者か? そんな話は聞いてないけど、神様もむやみに僕を放り出した訳じゃなかったんだな。それにしても聖者の生まれ変わりとはどういう事だ?

「えっと、僕には現在ルーファウスさんやアランさんっていう頼りになる保護者がいますし、冒険者としてもなんとか一人で食べて行けそうなので、そういうのは結構です。あと僕は聖者様でもその生まれ変わりでもないただの子供ですよ」
「何を仰るのですか! 私はあの洞窟での貴方の一連の行動を見ていて貴方が真に聖者の素質を持った子供である事を確信しております。それに神のお告げは絶対なのです。貴方はいずれ聖者になられる神子様です、こんな辺鄙な地で冒険者に身を落とさせる訳には参りません!」

 ええ……困ったな。僕は今の生活が気に入ってるから、そういうのありがた迷惑だよ。
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