童貞のまま40を超えた僕が魔法使いから○○になった話

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第二章

ダンジョンに挑戦する事になりました

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 ダンジョン都市メイズに着いて、はしゃいで泳いで爆睡した翌日から僕達はさっそくダンジョン城に挑戦する事になった。もちろんダンジョンに挑戦する前に冒険者ギルドに立ち寄る事は忘れない。
 ダンジョンに関係する依頼はダンジョン城内にあるギルドの出張所の方で一律管理がされているという事で、僕達はそちらへと足を向けた。

「うわぁ、すごい量ですね」

 壁一面に張られた依頼書は当たり前だが全てダンジョンに関するものばかり。ダンジョン内は階層ごとに出てくる魔物も違えばダンジョン内の環境も違っているらしく、それに応じで依頼書が出ているのでこの依頼量も納得といった感じだ。

「まずは、小手調べに簡単そうな所から行ってみるか」

 そう言ってアランが指差した依頼書はさっそく10階層のもので、小手調べとは……としばし考える。

「小手調べって言うなら1階層目からじゃないんですか?」
「別にそれでもいいが、もうお前達には物足りないと思うぞ? 依頼書を見た感じ1~5階層はGランク相当、6~10階層がFランク相当、お前達、ここに来るまでどれだけEランクの討伐依頼こなしてきたと思ってんだ? 一人で挑戦するなら1階層からでもいいが、皆で行くなら10階層からの方が効率的だぞ」

 なるほど、確かにランク別に依頼書を見ていくと大体そんな感じになっている。それでも、今まで僕が遭遇した事のない魔物の名前もあるし、採取する薬草や素材も見た事がない物もあるので、その辺は一応知識として知っておきたい気はするな。

「質問なんですけど、階級分けがアランの言う通りだとして1~9階層を飛ばして10階層から始めるとかできるんですか?」
「ああ、できるぞ。ここには40階層までは転移魔法陣ゲートが設置されているからな」

 転移魔法陣ゲート、それはシュルクの街で僕を襲ったオークが送り込まれたと思われる魔法陣と同じモノだ。ルーファウスのように個人で転移魔法を使える者には必要ないが、転移魔法を使えなくても誰でも行きたい場所へと転移ができる優れモノ。
 街から街へと移動するのにも利用される事があるようだけど、利用するには結構な料金がかかるというのを旅の道中でちらりと聞いた。その金額は一般庶民が頻繁に利用できるほど安価なものではないそうで、利用者は一部の裕福層に限られていると聞いている。
 転移魔法陣を組むのも高度な魔術的技術がいるそうなので仕方がないのだろうけどね。

「でも確か、ダンジョンは50階層まであるって言ってましたよね? なのになんで40階層までなんですか?」
「それは転移魔法陣を組める魔術師が40階層までしか行けなかったってだけの話だろう、40階層より下は冒険者ランクでもAランク相当だからな。ただの技術者が赴くにはちょっとばかり酷な場所だ」

 あ、なるほど。

「何ならやってやればいいんじゃないか、ルーファウス。依頼としても出てるんだろう?」

 アランの問いかけに「まぁ、そうですね」と、ルーファウスが淡々と返事を返す。もしかしてルーファウスは転移魔法陣が組めるのか?

「将来的には依頼を受けるのもやぶさかではありませんが、それは今ではないですね。下手に私が目立ってはタケルの活動に支障が出ます。私はここでは補佐に徹しますよ」
「お前はタケルの事となると本当に徹底してるな」
「タケルは私の大事な…………愛弟子、ですから」

 愛弟子かぁ……
 それは僕が望んだ言葉だし、たぶんそれ以上の事をルーファウスが言おうとするようなら全力で止めたと思うけど、なんだか少し気持ちがもやっとする。
 僕とルーファウスは恋人同士ではない、師匠と弟子だと線を引いたのは僕自身で、ルーファウスはその言葉を尊重したうえで、それでも僕の事を最優先で考えてくれている。だけどその気持ちの根っこにあるのがタロウさんへの想いだと思うと僕は複雑な感情を隠しきれないのだ。
 ルーファウスにとってタロウさんってどれだけ大事な人だったのかなって、そればかりを考えてしまう。これではまるで僕の方がルーファウスに多くの恋情を抱いているみたいではないか。
 違う、違う、僕は違う。
 「好きだ」なんて言われ慣れない言葉に簡単に絆されては駄目だ、僕は今までちゃんと女の子が好きだったはずだ。なのに好きだと言われて浮かれてしまえばいずれ手ひどいしっぺ返しがあるに違いない。
 僕はタロウさんではない、タロウさんの代わりにはきっとなれない、だから僕はそんな言葉に惑わされてはダメなのだ。
 それに今の僕は色恋よりも自分の自立の方が重要で、この世界で生きていくために学ばなければいけない事がたくさんあるのだ。そんな色恋沙汰に現を抜かしている時ではない。

「僕、前にルーファウスが見せてくれた探索サーチ紅蓮陣クリムゾンサークルなんかの魔術も覚えたいです!」
「紅蓮陣は火魔法の高等魔術なので、まずはその前段階の火炎放射と紅蓮からですね、探索サーチは恐らくタケルならば使えるんじゃないですか?」
「そんな簡単に言われても……」

 使えると言われて「それじゃあ」と簡単に魔術が使えるのなら師匠なんていらないんだからな!

「探索は風魔法の応用です。風のエレメンタルに自身の魔力を乗せて四方に向かい放つ。これは攻撃ではないので魔力量はさほど必要とはしません。風は自身を中心にして広がり壁にぶつかればそれを避けて動きます、それを自身の魔力を通して感知するのが探索です。探れる距離は術者の技量次第ですが、私の場合は障害物の少ない場所では半径5キロ程、ダンジョンのように遮蔽が多い場所では1キロ程でしょうかね」

 確かに以前ルーファウスが探索を使った時には風が僕達の周りを吹き抜けていったのを覚えている。探索は風魔法なのか。

「けれどこの時、あまり魔力を乗せすぎると魔力に敏感な魔物には逃げられますし、索敵能力の高い者には不快感を与えたり、最悪敵意があるとみなされて攻撃される事もありますので気を付けてくださいね」
「え、怖い」
「やりすぎなければどうと言う事もないですよ、ダンジョン内や狩場ではお互い様なので気付いてもスルーされる事がほとんです。ただ、普通に生活している時にそんな事をされるのは不快に感じると言うだけです。タケルも私生活を他人に覗かれるのは嫌でしょう?」

 それは確かにその通り。探索は必要な時にだけ使うのが無難だという事だな。便利な魔法はやはりルールやマナーを守ってこそ便利に使えるという事なのだろう。奥が深いな。
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