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第三章
それはまるで仕組まれたゲームのようで
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僕達は洞窟を抜けて、今度は洞窟の東側にあると思われる祠へと足を向けた。
「うへぇ、これは完全に獣道だな。誰も訪れる奴が居ないんだから、当たり前と言えば当たり前なんだが、道がない」
地図に指し示された方角へと探索魔法をかけながら進んでいく僕達なのだけど、そこには明確な道など存在せず、鬱蒼とした森の中を道を開拓していくような状況にアランが小さく零した。
「燃やしましょうか」
「やめろ、山火事になるだろうが!」
掌の上に炎を乗せて淡々と言ったルーファウスにアランが制止をかける。こういう場合、アランの方がノリノリで燃やしそうなのに逆だったなと、僕は少し意外な気持ちだ。
「では、水で……」
「え」
今度は水球を掌に浮かべたルーファウスに「まぁ、それなら」と、アランがOKを出すと同時に、水の塊が樹木をなぎ倒していく。
鳴かぬなら鳴かせてみせようホトトギスではないが、存在するかどうかも分からない道を探して放浪するくらいなら歩きやすい道を己で作ればいいじゃないかという強い意志を感じる。
でも、ある意味開拓者としてはそれが正解だよな、敷かれた道しか歩いてこなかった僕からは出てこない発想だよ。
「足場が悪いから気を付けてついて来いよ」
なぎ倒された樹木を跨いでアランが僕とロイドに注意を呼び掛ける。視界が開けた分だけ歩きやすくなった道をどうにかこうにか進んでいくと、やがて眼前に小さな建物が見えてきた。
建物といってもそれは壁のない掘っ立て小屋のような感じで、かろうじて屋根があるので建物だと認識できる程度の代物だ。
「これが、あの地図にあったか祠か? どれどれ」
アランが建物の中を覗き込む。とはいえ壁はなく中が丸見えなので、僕にもそこにある物がよく見える。それは然程大きくもない石碑だ。アランは触れないように四方からその石碑を眺め回した。
「何か書いてあったりしますか?」
「石碑にリヴァイアサンの絵が刻まれてるな、あと穴が開いてる」
「ここ」とアランがしゃがんで指差した先、確かにそこには何かを差し込めそうな穴が開いている。
「これは鍵穴っぽいですね」
「だよなぁ……って事は、キーアイテムはそのまんま『鍵』って事か。その鍵が最初から入手できていれば世話なかったんだが、そもそも俺達は順番を間違えたな」
「順番、ですか?」
「そうだ。恐らくだが正しい順番としては、島に到着、リヴァイアサンが現れ島から出られなくなる、島探索、壁画見付ける、祠を見付ける、鍵穴見付ける、リヴァイアサン討伐、キーアイテムGETの流れがこの階層の正しい攻略手順なんじゃないかと俺は思う、だが探索より先にリヴァイアサンを先に倒してしまったから俺達はキーアイテムを取り損なったって事だ。まぁ、やり直しがきくって点ではダンジョンで良かったなって感じだな。外だったら魔物も復活しないし、アイテムを取り損なったらそれまでだ」
現実がシビアなのは当たり前だが、ダンジョン内では何でもありだな。自分達が死んだら復活できない所だけは現実だけど、それ以外は挽回がきくらしい。
「ダンジョンって、まるで見えない誰かの遊戯盤で無理やり遊ばされてるみたいだ。それこそ自分の命を懸けた殺戮遊戯じゃないか」
ロイドが少し神妙な声音で放った言葉に「その通りですよ」と、珍しくルーファウスが返事を返した。
「だから私は常々ダンジョンは嫌いだと言ってるのです。確かにダンジョン内では失敗をしてもやり直しがきく、けれどそれは自分が生きていたらの話です。魔物は何度でも甦るのに私達の命はひとつしかない、こんな理不尽な場所、探したって他にはありませんよ。ダンジョンというのはそうやって冒険者たちを遊戯へと誘い、命を奪い糧としている、それこそダンジョン自体が凶悪な魔物そのものであると私は考えます」
ルーファウスの語る言葉に僕の背筋に怖気が走った。そもそもダンジョンというのは核を中心にして成長するものなのだそうだし、ダンジョン自体が魔物であると考えたら確かにしっくりくるのだ。そう思うと現在僕達は魔物の腹の中で冒険をしているという事になる訳で、考えただけでゾッとする。
「さっさとダンジョン核を見付けて封じてしまわないとですね!」
「そうですね、ですが、こうなるとリヴァイアサン復活まで私達にできる事はもう何もありません、準備も兼ねて一度街に戻りましょうか」
「え、帰るんですか?」
「リヴァイアサン復活まで何日かかるか分かりませんが、それまで野宿でサバイバルでも良ければこのままでも構いませんよ。ですが、転移魔法陣をこの島へ設置すれば、この島から再スタートできるのですから無駄に気を張ってリヴァイアサンを待つより、充分に休んで再戦するのが賢明だと思いませんか?」
それは確かにルーファウスの言う通りだ。僕達がダンジョンに潜って既に数日が経過している。オロチのお陰でほとんど魔物は襲って来ないとはいえ、ここが危険なダンジョン内である事に変わりはない。
それなら一度街に戻って、ゆっくり休んでまた挑戦というのも有なのか、言ってしまえばこの島はゲームのセーブポイントという事だ。
「俺も賛成だな、というか俺のマジックバッグの中身、リヴァイアサンのお陰で既に満杯なんだよ、できれば荷物を減らしたい」
僕達はリヴァイアサンの骨や皮、臓物を等分に分けたのだけど、どうやらアランのマジックバッグの容量的に既に限界がきているらしい。
僕のは全然平気なんだけど、それだけ僕のマジックバッグは大容量って事なんだろう。ちなみにロイドの分も僕のバックにしまわれているので、僕のマジックバッグの容量はアランの二倍以上という事だ。無料で貰った物なのに、アランのバッグより物が良いなんて、少し申し訳ない気持ちになるな。
「それに俺はそろそろ酒も恋しい」
『酒!』
アランがぼそりと零した呟きにオロチの瞳がきらりと光った。なんだよ、その期待に満ちた眼差しは!
「言っとくけど、2人とも飲みすぎは厳禁だからね!」
「うへぇ、これは完全に獣道だな。誰も訪れる奴が居ないんだから、当たり前と言えば当たり前なんだが、道がない」
地図に指し示された方角へと探索魔法をかけながら進んでいく僕達なのだけど、そこには明確な道など存在せず、鬱蒼とした森の中を道を開拓していくような状況にアランが小さく零した。
「燃やしましょうか」
「やめろ、山火事になるだろうが!」
掌の上に炎を乗せて淡々と言ったルーファウスにアランが制止をかける。こういう場合、アランの方がノリノリで燃やしそうなのに逆だったなと、僕は少し意外な気持ちだ。
「では、水で……」
「え」
今度は水球を掌に浮かべたルーファウスに「まぁ、それなら」と、アランがOKを出すと同時に、水の塊が樹木をなぎ倒していく。
鳴かぬなら鳴かせてみせようホトトギスではないが、存在するかどうかも分からない道を探して放浪するくらいなら歩きやすい道を己で作ればいいじゃないかという強い意志を感じる。
でも、ある意味開拓者としてはそれが正解だよな、敷かれた道しか歩いてこなかった僕からは出てこない発想だよ。
「足場が悪いから気を付けてついて来いよ」
なぎ倒された樹木を跨いでアランが僕とロイドに注意を呼び掛ける。視界が開けた分だけ歩きやすくなった道をどうにかこうにか進んでいくと、やがて眼前に小さな建物が見えてきた。
建物といってもそれは壁のない掘っ立て小屋のような感じで、かろうじて屋根があるので建物だと認識できる程度の代物だ。
「これが、あの地図にあったか祠か? どれどれ」
アランが建物の中を覗き込む。とはいえ壁はなく中が丸見えなので、僕にもそこにある物がよく見える。それは然程大きくもない石碑だ。アランは触れないように四方からその石碑を眺め回した。
「何か書いてあったりしますか?」
「石碑にリヴァイアサンの絵が刻まれてるな、あと穴が開いてる」
「ここ」とアランがしゃがんで指差した先、確かにそこには何かを差し込めそうな穴が開いている。
「これは鍵穴っぽいですね」
「だよなぁ……って事は、キーアイテムはそのまんま『鍵』って事か。その鍵が最初から入手できていれば世話なかったんだが、そもそも俺達は順番を間違えたな」
「順番、ですか?」
「そうだ。恐らくだが正しい順番としては、島に到着、リヴァイアサンが現れ島から出られなくなる、島探索、壁画見付ける、祠を見付ける、鍵穴見付ける、リヴァイアサン討伐、キーアイテムGETの流れがこの階層の正しい攻略手順なんじゃないかと俺は思う、だが探索より先にリヴァイアサンを先に倒してしまったから俺達はキーアイテムを取り損なったって事だ。まぁ、やり直しがきくって点ではダンジョンで良かったなって感じだな。外だったら魔物も復活しないし、アイテムを取り損なったらそれまでだ」
現実がシビアなのは当たり前だが、ダンジョン内では何でもありだな。自分達が死んだら復活できない所だけは現実だけど、それ以外は挽回がきくらしい。
「ダンジョンって、まるで見えない誰かの遊戯盤で無理やり遊ばされてるみたいだ。それこそ自分の命を懸けた殺戮遊戯じゃないか」
ロイドが少し神妙な声音で放った言葉に「その通りですよ」と、珍しくルーファウスが返事を返した。
「だから私は常々ダンジョンは嫌いだと言ってるのです。確かにダンジョン内では失敗をしてもやり直しがきく、けれどそれは自分が生きていたらの話です。魔物は何度でも甦るのに私達の命はひとつしかない、こんな理不尽な場所、探したって他にはありませんよ。ダンジョンというのはそうやって冒険者たちを遊戯へと誘い、命を奪い糧としている、それこそダンジョン自体が凶悪な魔物そのものであると私は考えます」
ルーファウスの語る言葉に僕の背筋に怖気が走った。そもそもダンジョンというのは核を中心にして成長するものなのだそうだし、ダンジョン自体が魔物であると考えたら確かにしっくりくるのだ。そう思うと現在僕達は魔物の腹の中で冒険をしているという事になる訳で、考えただけでゾッとする。
「さっさとダンジョン核を見付けて封じてしまわないとですね!」
「そうですね、ですが、こうなるとリヴァイアサン復活まで私達にできる事はもう何もありません、準備も兼ねて一度街に戻りましょうか」
「え、帰るんですか?」
「リヴァイアサン復活まで何日かかるか分かりませんが、それまで野宿でサバイバルでも良ければこのままでも構いませんよ。ですが、転移魔法陣をこの島へ設置すれば、この島から再スタートできるのですから無駄に気を張ってリヴァイアサンを待つより、充分に休んで再戦するのが賢明だと思いませんか?」
それは確かにルーファウスの言う通りだ。僕達がダンジョンに潜って既に数日が経過している。オロチのお陰でほとんど魔物は襲って来ないとはいえ、ここが危険なダンジョン内である事に変わりはない。
それなら一度街に戻って、ゆっくり休んでまた挑戦というのも有なのか、言ってしまえばこの島はゲームのセーブポイントという事だ。
「俺も賛成だな、というか俺のマジックバッグの中身、リヴァイアサンのお陰で既に満杯なんだよ、できれば荷物を減らしたい」
僕達はリヴァイアサンの骨や皮、臓物を等分に分けたのだけど、どうやらアランのマジックバッグの容量的に既に限界がきているらしい。
僕のは全然平気なんだけど、それだけ僕のマジックバッグは大容量って事なんだろう。ちなみにロイドの分も僕のバックにしまわれているので、僕のマジックバッグの容量はアランの二倍以上という事だ。無料で貰った物なのに、アランのバッグより物が良いなんて、少し申し訳ない気持ちになるな。
「それに俺はそろそろ酒も恋しい」
『酒!』
アランがぼそりと零した呟きにオロチの瞳がきらりと光った。なんだよ、その期待に満ちた眼差しは!
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