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第四章
ルーファウス、過去を語る①
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リブルの高級住宅街にあるアルバート総務大臣の別邸、そこはルーファウスの母親と家族が暮らしていたルーファウスの実家だった。
どうやらアルバートの本邸は王都にあって、本妻とはそちらで暮らしているらしい。ちなみに本妻はアルバートと同じくハイエルフであるようで、現在まだ御存命なのだとか。ルーファウスには腹違いの兄が二人いるという事もこの日初めて聞いた。
その兄の一人は王都でアルバートの補佐を、もう一人はエルフの里で族長の補佐をしているのだそうだ。ちなみに族長はルーファウスの伯父なのだそうで、ホーリーウッド家がエルフの里の中でも相当権力を握っている事が窺い知れる。
「庶子で末っ子三男か……」
アランがぼそりと呟いた言葉に「何か言いたい事でも?」と、ルーファウスは不機嫌顔を隠さない。
「そんな喧嘩腰になるなよ。何となくだがお前の父親がああなのも納得いったというか、親父さん、お前のこと可愛くて仕方ないんじゃねぇの?」
「はぁ!? 冗談でも笑えませんね、私はあの父親に可愛がられた記憶など一度もない!」
「そうなのか?」
「そもそも私が幼い頃、あの人はほとんどこの家に寄りつく事がなかった。母とは連絡を取り合っていたようですけど、私は自分の父親はセルジュなのだと半ば信じていたくらいですよ。育つにつれて容姿が父親に似てきたのでその説は消えましたけどね」
確かにルーファウスとアルバートの顔立ちは似ている。エルフは歳を重ねてもあまり見た目が変わらないので余計に、今なら兄弟だと言っても信じてしまいそうなくらいだ。
ちなみに執事であるセルジュさんもエルフなのだが見た目は年寄りに見える。実際歳はある程度いっているのだろうが、実はアルバートと年齢は同じくらいなのだとか。
その見た目の差はどこからくるのかと問えば、ハイエルフとただのエルフの差であるらしい。ハイエルフはエルフの中でも上位種で、エルフの中でも飛び抜けて長命なのだそう。だからアルバートの見た目は未だ若々しいままなのだ。
ちなみにハイエルフと人との間に生まれたハーフエルフのルーファウスはハイエルフ程長命ではないらしい。それでもハイエルフの血が濃く出ているので普通のエルフ程度に長命ではあるらしいのだが、もう半分の人の性質がどの程度出てくるのかは未知数なのだとか。
「そもそもハーフエルフはエルフのなりそこないという事で生まれた時からエルフ族の中では鼻つまみ者ですし、どうでもいいです」
ルーファウスは皮肉気な笑みを浮かべてそう言い切った。ルーファウスが自分の事を執拗に妾の子と連呼するのにはその辺の事も関係していそうだなと、僕はその笑みを見て考える。
ルーファウスは前にエルフの里の閉鎖的な考え方が嫌だったって言ってたもんな……
「ルーファウスはこの家で育ったんだ?」
「まぁ、そうですね。そうは言ってもほぼ軟禁状態ですが」
「軟禁? なんで?」
「見ての通りこの家の防御は完璧です、外から入ってこられないという事は中からも出られないという事なのです。私は屋敷の中では自由に過ごしていましたが、外に出るためには付き添いは必須。成人するまで一人で外出すらさせてもらえませんでした。家庭教師が付いていたので社会に出るための一通りの教育は受けていましたが、友人などは一人もおらず人付き合いは今でも苦手です」
何というか色々納得。
確かにルーファウスは人間関係の構築がとても下手だ。それは幼い頃に体得していて然るべきコミュニケーション能力が全く育っていなかったせいだったのか。
「エルフの里に赴けば同世代の者も幾人かいましたけれど、ハーフエルフである私は結局エルフの里にも馴染めずじまいで……って、一体何の話をしているのでしょうね。今の話は忘れてください」
「え? なんで? 僕はもっとルーファウスの話が聞きたいです。あ、でも、話したくないなら無理には聞きませんけど」
「別に聞かれて困るような事は何もありませんが、聞いてどうするんですか? 聞いて面白い話なんて何も出てきませんよ」
「じゃあ逆に聞くけど、ルーファウスは僕がルーファウスと出会う前の異世界での生活の話をし始めたら聞きたくない?」
「それは……聞きたいです」
だよね。なにせルーファウスと出会う前の僕は異世界の住人だし、そんな異世界の話を、この知識欲に忠実なルーファウスが聞きたいと思うのは当然だろう。
あとは好きな人の話は何でも聞きたいと思うものだろう? まぁ、そこは口には出さないけどさ。
「ですが、私の昔話なんて本当に楽しい話なんて何もありませんよ?」
「それでも僕はルーファウスがこの家でどうやって暮らしていたのか、どんな子供時代を過ごしていたのかを知りたいと思うよ」
少し困ったような表情のルーファウスが根負けしたようにソファーにかけてぽつりぽつりと語りだした話は、何とも複雑な気持ちになる幼少期の思い出だった。
ルーファウスの幼少の記憶のほとんどはこの屋敷の中で完結している。
屋敷の広さは普通の家とは比べ物にならないくらい広く、外庭へ出る事は禁じられていたが内庭はちょっとした公園くらいの広さがあり遊ぶ場所に困る事はなかった。
ルーファウスの家族は母と8つ年上の姉が一人。父は折々の季節のイベント毎にこの屋敷に顔を出していたが基本的に家にはいなかった。
その他の家人は執事のセルジュ、そしてその妻のメイド長に数十人のメイド達。
幼いルーファウスはそんな家族の在り方に別段疑問を抱いてはいなかった。何故ならルーファウスの世界は屋敷の中で全て完結しており比較対象が何もなく、その世界がルーファウスの全てだったからだ。
当然友人など出来るはずもなく、遊び相手は大体いつも姉だった。
どうやらアルバートの本邸は王都にあって、本妻とはそちらで暮らしているらしい。ちなみに本妻はアルバートと同じくハイエルフであるようで、現在まだ御存命なのだとか。ルーファウスには腹違いの兄が二人いるという事もこの日初めて聞いた。
その兄の一人は王都でアルバートの補佐を、もう一人はエルフの里で族長の補佐をしているのだそうだ。ちなみに族長はルーファウスの伯父なのだそうで、ホーリーウッド家がエルフの里の中でも相当権力を握っている事が窺い知れる。
「庶子で末っ子三男か……」
アランがぼそりと呟いた言葉に「何か言いたい事でも?」と、ルーファウスは不機嫌顔を隠さない。
「そんな喧嘩腰になるなよ。何となくだがお前の父親がああなのも納得いったというか、親父さん、お前のこと可愛くて仕方ないんじゃねぇの?」
「はぁ!? 冗談でも笑えませんね、私はあの父親に可愛がられた記憶など一度もない!」
「そうなのか?」
「そもそも私が幼い頃、あの人はほとんどこの家に寄りつく事がなかった。母とは連絡を取り合っていたようですけど、私は自分の父親はセルジュなのだと半ば信じていたくらいですよ。育つにつれて容姿が父親に似てきたのでその説は消えましたけどね」
確かにルーファウスとアルバートの顔立ちは似ている。エルフは歳を重ねてもあまり見た目が変わらないので余計に、今なら兄弟だと言っても信じてしまいそうなくらいだ。
ちなみに執事であるセルジュさんもエルフなのだが見た目は年寄りに見える。実際歳はある程度いっているのだろうが、実はアルバートと年齢は同じくらいなのだとか。
その見た目の差はどこからくるのかと問えば、ハイエルフとただのエルフの差であるらしい。ハイエルフはエルフの中でも上位種で、エルフの中でも飛び抜けて長命なのだそう。だからアルバートの見た目は未だ若々しいままなのだ。
ちなみにハイエルフと人との間に生まれたハーフエルフのルーファウスはハイエルフ程長命ではないらしい。それでもハイエルフの血が濃く出ているので普通のエルフ程度に長命ではあるらしいのだが、もう半分の人の性質がどの程度出てくるのかは未知数なのだとか。
「そもそもハーフエルフはエルフのなりそこないという事で生まれた時からエルフ族の中では鼻つまみ者ですし、どうでもいいです」
ルーファウスは皮肉気な笑みを浮かべてそう言い切った。ルーファウスが自分の事を執拗に妾の子と連呼するのにはその辺の事も関係していそうだなと、僕はその笑みを見て考える。
ルーファウスは前にエルフの里の閉鎖的な考え方が嫌だったって言ってたもんな……
「ルーファウスはこの家で育ったんだ?」
「まぁ、そうですね。そうは言ってもほぼ軟禁状態ですが」
「軟禁? なんで?」
「見ての通りこの家の防御は完璧です、外から入ってこられないという事は中からも出られないという事なのです。私は屋敷の中では自由に過ごしていましたが、外に出るためには付き添いは必須。成人するまで一人で外出すらさせてもらえませんでした。家庭教師が付いていたので社会に出るための一通りの教育は受けていましたが、友人などは一人もおらず人付き合いは今でも苦手です」
何というか色々納得。
確かにルーファウスは人間関係の構築がとても下手だ。それは幼い頃に体得していて然るべきコミュニケーション能力が全く育っていなかったせいだったのか。
「エルフの里に赴けば同世代の者も幾人かいましたけれど、ハーフエルフである私は結局エルフの里にも馴染めずじまいで……って、一体何の話をしているのでしょうね。今の話は忘れてください」
「え? なんで? 僕はもっとルーファウスの話が聞きたいです。あ、でも、話したくないなら無理には聞きませんけど」
「別に聞かれて困るような事は何もありませんが、聞いてどうするんですか? 聞いて面白い話なんて何も出てきませんよ」
「じゃあ逆に聞くけど、ルーファウスは僕がルーファウスと出会う前の異世界での生活の話をし始めたら聞きたくない?」
「それは……聞きたいです」
だよね。なにせルーファウスと出会う前の僕は異世界の住人だし、そんな異世界の話を、この知識欲に忠実なルーファウスが聞きたいと思うのは当然だろう。
あとは好きな人の話は何でも聞きたいと思うものだろう? まぁ、そこは口には出さないけどさ。
「ですが、私の昔話なんて本当に楽しい話なんて何もありませんよ?」
「それでも僕はルーファウスがこの家でどうやって暮らしていたのか、どんな子供時代を過ごしていたのかを知りたいと思うよ」
少し困ったような表情のルーファウスが根負けしたようにソファーにかけてぽつりぽつりと語りだした話は、何とも複雑な気持ちになる幼少期の思い出だった。
ルーファウスの幼少の記憶のほとんどはこの屋敷の中で完結している。
屋敷の広さは普通の家とは比べ物にならないくらい広く、外庭へ出る事は禁じられていたが内庭はちょっとした公園くらいの広さがあり遊ぶ場所に困る事はなかった。
ルーファウスの家族は母と8つ年上の姉が一人。父は折々の季節のイベント毎にこの屋敷に顔を出していたが基本的に家にはいなかった。
その他の家人は執事のセルジュ、そしてその妻のメイド長に数十人のメイド達。
幼いルーファウスはそんな家族の在り方に別段疑問を抱いてはいなかった。何故ならルーファウスの世界は屋敷の中で全て完結しており比較対象が何もなく、その世界がルーファウスの全てだったからだ。
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