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18week

絶賛!行方不明中!

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 妻の濃ゆい家族達の会議から、キヨヒコと弾き出されてから2週間、、

「アマネは、フィレマトロジーの伝導者にでもなったか?前から挨拶代わりのウインクも寒い奴だったがとうとうマウス・トゥ・ハンドで挨拶がてらに手にエアーキスするとかマジで、ないわー。」

 僕はキヨヒコと並んで、営業フロアから最上階エレベーターに乗るためエントランスに向かっている。

「キヨ、これも苦肉の策だって!しゃーないだろ『ヤシロ女史に襲われキス事件』を薄めっには、僕のマウスをある程度、解禁するっきゃねーだろが!」

 たまに、外回りから帰る部下に片手を上げて労いつつ、キヨヒコの揶揄に付き合う。

「おー、アマネボジョレーか!」

「うるさい!」

 そして、

「あ、経理の、!」

 向かいに 、我が社の経理嬢が歩いてくるのを見つければ、

「やあ、ヤマザキさん、この間の経費。本当に助かったよ。頼んで良かった。サンキュ!」

 僕から彼女の手をとり、労いにとその指先に感謝のエアーキスを落とす。

『やだぁ、アマネさん!あれぐらい何でもないですぅ!』

 そうして、即座に身を交わして彼女に手を振り、キヨヒコと並ぶ僕。

「うえっ!リアルマウストゥハンド目撃した!よーやる!」

 キヨヒコの下手物を見る眼差しも、もう慣れたもんだ。

「キヨ、知ってたか?君ぃ。だんだん社内女子のネイルがアートかデコか知らんが、派手になっとるんだよ。」

 どうやら、この作戦は社内女子達の『見られてキレイになるネイル』状況を察するに悪くないようだ。

 僕はこの2週間、

 例のヤシロ女史写真の対策を考えた末に、この打開策を産み出した!!

「マジ?!なら、ネイル業界に打診しとこかな?うちでモニターデータ取りますってさ!なんなら、事業部たちあげ?」

「いらんことすな!」

 エレベーターエントランスで、最上階用のボタンを押す。

 こいつでノンストップで上がるのだ。我が社のトップはしょーもないモノを作りよるなと思う。

「で、何でオレ達、会長室に呼ばれてるの?アマネさん?」

 目の前に開いたモダンなエレベーター内に入り、キヨヒコが僕に聞く。

「知りませんよ、キヨヒコさん。」

 こっちだってデスクに帰ってきた途端に、コールされたクチなんだよ!

 肩を竦めて両手をあげる、お手上げポーズを取ると、エレベーターが目的の階で開いた


「ユウキさん、わざわざドア前に出迎えなんて!ありがとうね。」

 エレベーターが開くと、そこには会長の第一秘書嬢が立っていたから、ここでも御約束で、指先キッスを
しておくっての!

『社内で噂になっていたのは、本当でしたのね?驚きですわ。』

 流石に敏腕美人会長秘書軍団にはそうそう、社内でも会わないからね。

 僕の解禁行動を披露するのは今回初で、驚かれるのも無理ないけど。

「アマネさ、社内女子の名前、全員覚えてんの?もしかして。」

 うん、さすがのユウキ女史に満更ではない顔された。

「その、もしかして。って、キヨも、本当は同じくだろ。」
   
「男子も、もれなくだよ。」

「聞きようじゃ、BL案件だな!」

「ウソウソ。」

 そんなバカな事をヒソヒソと、キヨヒコと話ていると、

『今日は、ドア前で待機を仰せ使っておりますので、わたくしは、こちらまでの案内ですの。』

 秘書嬢さまに、説明された。

 要するに、プライベートで会長に呼ばれたが100%確定だな!

「「失礼しまっす!!」」

 拒む選択もなく僕とキヨヒコは、会長室の重厚なドアをノックして観音開きにする。

「お前達、来たか。」

 会長もとい妻のお義父さまより、窓際の会長椅子からいきなりのー、不機嫌な物言い。

「会長!いや、お義父さま!カレンさんが見つかったんですよね?!僕に内緒にするなんてヒドイです。浮気で家出されたとしても、せめて安否は僕だって、知りたいです!!」

 僕は、クラシカルな大統領机に手を置いて、義父に詰め寄った。

 ここは先制攻撃!!
 この2週間、ずっと思っていた思いの丈をだ。

「・・・」

 苦虫を噛み下した顔の義父に、今度はキヨヒコが飄々と片手を上げて、聞く。

「あのー、この話ってオレは呼ばれる必要ありますぅ?」

 たしかにな!!

 そんで、入り婿への嫌がらせもここまでにしてくれよ!!ほんとって!

 僕は義父と睨みあう。ん?ちょっと会長やつれたか?

「アマネ、、」

「はい!」

 徐に目の真ん前の義父が口を開いて、叫んだ!

「カレンは見つかっていない!2週間立って、弁護士に探させてるが、相手の男も見つかってないぞ!!どーしてくれる!」

「あへえっ?」

 義父の予想外の言葉に、僕は思わずへんな声を出した。

「カレンお嬢さん、まだ帰ってないんですか?精々、3日ぐらいで帰ってるだろうなーとか思ってたんですけど、根性ある~。」

 キヨヒコが、斜め後ろから感心して腕を組んだ。

 いや、根性って!!

「カードを使ったり、現金を出した様子もない!タクシー、まして自分の車もだ。相手の男と待ち合わせたかもだ。しかも金の心配がいらん奴かもしれん。まともな奴なら、男から連絡をよこすものだが、いまだに、なしのつぶてだ!」
    
 あー、それで やつれた?寝てない?寝てないよねー

「そんな、てっきり、戻ってると、、お義父さん達の嫌がらせ  で、連絡もらえないと思ってました、僕。まだ、なんて、、」

 いかん!そう!義父を心配してる暇なしっんぐ!

 なんだそれ!!

 妻は生粋の箱入りだ。お初家出なんて、真夏の大冒険ぐらいのもんだろう。

 あの我が儘悪役令嬢まがいの妻が、着の身着のままで逃避行はありえない!!

「どれだけ被害妄想強いんだ!そんな下らんことするか!!」

 義父さまは そう言うけどさ!てっきり僕もキヨヒコが呟いたとおり、当の昔に妻は戻って来ていて、僕への当て付けに連絡をさせていないと思っていたんだよ!!

「あの、会長がオレらを呼んだのは、その、もしかして、」

 キヨヒコが呼びつけられた予想を、口にするしないかで

「アマネ、カレンを探せ!見つけるまで、社に来るな!お前がカレンを見つけるまではそこの2課長が、1課もみろ!」

 義父は僕達に要件を叩きつける。

「そんな!連座責任って?!」

 だよな!キヨヒコ!

 巻き込まれもここまで来たらもはや、呪いだよな!!

 義父は会長の顔をだして、キヨヒコをも睨み付ける。

「1週間だ!それで見つけられないなら、警察に届ける!金を撒いて、あらゆる防犯カメラを調べさせる!いいな!」

 そうなれば、僕は極寒の修道院ならぬ、左遷だ!!

「お義父さん!何か手がかりは。」

 せめて、探偵を助手に!いや僕が助手になるから!!

 「すぐに引き継ぎ、アマネは カレンを見つけるまで出張!」

 なにが悲しくて、他の男と睦まじくする 妻を、一人っきりで探し出さなきゃならないんだぁ。

   『会長、次のご予定のお迎えが参りました。ご準備下さい。』

 隠密の如く恐ろしいタイミングで、ノックの音と共に秘書嬢の声が掛けられる。

「ん、ユウキくん、営業1課長は今から急遽、出張に1週間行ってもらう。2課長が1課も見てもらうと、部長に通達だ。」

『かしこまりました。』

 淡々と成されるやり取り。

 きっと、他社会長と会食だろうな。だって、僕達ランチにデスクへ戻ってきたとこだったから、、

「かしこまりましたじゃ、会長!!オレ、そんな無理!」

 キヨヒコの無念の陳情が会長室に響く。

「2課長よろしくな。」

 義父こと、会長は美人秘書を伴って、いかにもな会長室を出てしまった。あの人はそんな人だよ、キヨヒコ。

「アマネ!おま!どーすんだ!」

 真っ白い灰になった僕の耳に、哀れな子羊キヨヒコの声だけ聞こえる。

どーすべ?僕?
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