妻が座っていた~浮気?とバレた僕と彼女の奇妙な18週間

サイケ ミカ

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天音華恋は妊娠18weekに舞台から消える

500週後まで、ごきげんよう

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『カチャリ』



 カードキーで操作された玄関の解除音が、わたくしの直ぐ後ろでしましたの。

 そうすれば自動でインテリア照明が点灯し、それまで無音で暗闇だった室内が照らされ、BGMが流れましたわ。

 もしかすれば、わたくしは意識を飛ばした港から、そのままマンションに戻っただけかもしれませんわね。

 走馬灯のわたくしでは今迄作動しなかった、機械的ルーティンにさえ心が揺らぎます。


『ふーっ。ただいま、、って、誰ーれもいねーけどなっと?』

 エントランスクローゼットで靴を脱いで、タメ息をつきながらわたくしの主人アマネさんが帰って参りました。

 新婚当時は話し方を気にされていたのも、4年もすると家では素が出てきてますけれど、、

 彼は残酷にもわたくしの真ん前を通りすぎて、、

 窓硝子から眼下の街を見下ろしながら、リビングのソファーにジャケットを放り出したのです。

 いつの間に、アマネさんは、お行儀が悪くなったのでしょう?

 洗面所でなくキッチンで手洗いをする彼に、言い募ります。

 わたくしの前ではキッチンでうがい、我慢していたってことですもの。

 わたくしは、彼の、どこか可愛らしい横顔を哀しくを見ます。

 夫婦の距離感は不思議ですわね。

 家族半分で、恋人半分で。

 赦しあえる気安さがあるのに、未だに男と女で見ている。
   
 さて、彼が

 わたくしを無視するので、意地悪を思い付きましたの。走馬灯なら 好きに出来るはず。

 この浮気者、(本当は違うのでしょうが)どう懲らしめてあげましょうか?

 わたくしはポニーテールを外し、ハーフアップに結い直して、スズネっぽくしてみます。


『無駄に全部の部屋がデカイから、ダメなんだってさー、、カ、カレンさん?え?戻った?』


 目の前の彼は驚いて、出しっぱなしの水道を慌てて止めると、叫ぶばかりですわ。

 意地悪といいながらも、迂闊なアマネさんに警告と掲示ですわね。

『帰っとるがな!!』

 嬉そうに、でも意図するわたくしの行動は解らない
彼の声。

 それを背中にリビングの片隅へ。

 わたくしがオーダーした特注のスツール。

 そこに、後ろを向いて座ってあげます。

『参ったよー、カレンさん!僕この2週間、本当心配したんだよー。』

 あら?2週間?そんなに立つのですか?走馬灯とは、わたくしの感覚と相違あるのですわね。

『ねー、彼氏んとこ行くってさ、何?僕への当て付け?怒ってんの?ね』

 ふふ、このスツール。

 アマネさんが居てらした、お店の物と同じにしてますのよ。

 わたくしが、座るのを見ることなかった在りし日のスツール。

 このスツールに座る貴方を女達は、どんな気持ちでいたのでしょうか?情念?

 只のヘルプホスト。

『え、なんでこっち向かないの、』

 人の思いは、時に積もって残るものと今は余計に理解しますわ。

 座る椅子1つの腰から、情念や思慕が這い上がるみたいでしたもの。

  『あれかな?ヤシロ女史の写真?全然違うから。あの日の泊まりだって、本当仕事だし。ね』

 、、、

 わざとらしく送りつけてきたアマネさんとのキス写真ですか。

 ヤシロ女史、、スズネ。

 わたくしの携帯電話を、兄達が開いて、アマネさんに見せたのでしょう。


『カレンさん?何で何もいわないんだろ?そんな風に意地はるけど、カレンさんも僕に隠してる事あるよね?』

 ねぇアマネさん。

 わたくし 本当は貴方との子供が、このお腹に出来てますの。

 まだ薄い体で、気付かなかったでしょう?って、言いたかったですわ。


『悪いけどさ、クローゼットから赤いドレス、僕見つけたんだよ。あれ何?』

 どうやら、わたくしがアマネさんの素行調査をしていたドレスも見つけた様ですわね。

 あのドレスは鎧ですのよ?

『なあ、カレン。こっち向いて、 顔、見せて。別に僕、怒ってないし。』


 毎晩どんなに接待で遅く帰ろとも、体を繋げてきましたものね?

『なんで、僕の接待店で働いてたとか、何やいわんよ。』

 なのに本当貴方、子供みたいですわ。

『カレン?あんま背中見せてっととりあえず後ろからヤルよ?』

 アマネさんが 電話をダイニングテーブルに置いて、背中を見せるだけのわたくしへ近付く気配がします。

『泣いとるのか?!』

 泣いて、、いるの?わたくし、、

 アマネさんが、わたくしの前に周りこんだはずなのに、何故か

『な、な、に、、』


 わたくしはキッチンに向かってスツールで座って
いるです。不思議。

『あ、れ?』


 渡す事が出来ませんでした。

 本当は、

 すぐにでも別れるべきでした。

 それこそ、さんざん送りつけられた写真を理由にしてでも。

『カレン~、またぁツンデレお嬢かぁ~。何とかゆーてよ。』


 正直いいますとね、結局わたくしは、お腹が目立つ前までと、離婚を先に伸ばしたのですわ。

『へ、!マジ?なんで?』

 このお腹の子、ビーちゃんに別れる父親の声を、なるべく聞かせてあげたくて。


 どうやら後ろ姿でしかアマネさんには、お会い出来ないみたいです。
 今度はアマネさんが、わたくしの肩に手をかけたら、手が空をかすめたのですもの。

『ええ、とりあえず抱かして!』

 相変わらずアマネさんは後ろから抱きつく勢いで、わたくしに不埒な言葉を投げながらも、飛び掛かったりしています。

『くーっ。ジーザス!!』


 彼の両腕が また空を抱いて1歩先に、わたくしが後ろ姿で 立つの繰り返し。

 気がついたら、わたくし達リビングを1周していましたわ。

『ねぇカレン!なんかゆーてよ。』

 わたくしの走馬灯という推測は、半分当たりなのでしょう。ただ、後ろ姿でしか現れないのは意外でした。


 いえ、、

 違いますわ。確か、聞いた気がしますのよ。確か

 確か、、彼の、アマネさんの地元では、  、、言うんです。ああ、思い出しましたわ。


   後ろ姿で戻ってくるって。


 彼の島のお年寄りの優しい言葉が、

 この後ろ姿の状態に、符号するわけです。

『オバア、カレン、が、』

 アマネさん。


『魂になって、見える、、愛するもののもとにって。』

 そう、新婚旅行の時。アマネさんから聞いた島のオバアの言葉でしたわ。

 ~島の十字路にいけば、愛しい者の後ろ姿が現れる。~

 
 ごめんなさい、アマネさん。

 わたくし天音華恋ーアマネ・カレンー

 貴方との、結婚4年目。

 貴方との子供、妊娠18週目に

 貴方に愛されたままに、脳死した。けれど、

 まだ神の愛、次への光に導かれし者ではないみたいです。

 だから、再び貴方の顔を見れる日。

 わたくしは500週後まで、舞台を降り再びお会いいたしましょう。


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