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断罪編
本卒業の日、友人達は
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タニアが断罪された後に行われた、リュリアール皇国学園卒業の日。
学園の庭園には様々な花が咲き乱れ、まるで卒業をする子息令嬢を祝う様に見える。
にも拘わらず、美しい庭園には言い合う男女の姿があった。
其の令嬢はエナリーナ。子息はエナリーナの婚約者であるエリオットだ。
「急にどうしたのエリオット!婚約破棄だなんて!」
若草色の髪を卒業の為に特別に結い上げ、エリオットの瞳と同じ色の花を飾るエナリーナが、必死の表情でエリオットに縋っている。
其の優しい茶色の瞳が、突然言い渡された言葉を聞いて、激しく動揺に揺れていた。
エナリーナとエリオットの婚約は2人がまだ幼い時に結ばれた十年以上前の話。家同志の繋がりの為という、完全な政略的婚約だったが、幼い時に引き合わされた本人達は、大人の目論見とは別に仲睦まじく関係を育んできたはずだった。
「さっきも言ったじゃないか、エナリーナ。君みたいに陰湿な令嬢は、僕の性に合わないんだ。」
「陰湿って、一体どういう事?」
「とぼけているか?君、侯爵令嬢に陰で嫌がらせをしているんだって?僕の親友が教えてくれたよ。婚約者が困っているとね。もしかして、僕より彼の方に乗り換えるつもり?」
伯爵嫡男のエリオットは落ち着いたブラウンの髪を怒らせ、侮蔑の眼差しでエナリーナを見やった。
爵位こそ伯爵子息だが、エリオットの優しげで整った容姿は、そこそこ令嬢に人気がある。
いつもならエリオットの包む様な眼差しがエナリーナに注がれるのに。
「そんな!エリオット!違うわ。嘘よ!わたし、そんな事しない!」
エリオットの表情に青ざめるエナリーナは、エリオットの腕を取って涙を流す。
けれどもエナリーナにエリオットは、見た事のない程の冷たい視線を更に投げてきた!
「!!!」
エリオットの瞳には、これまであった親愛の情が微塵も残っていない。エネリーナは其の事に完全に打ちのめされた。
ほとんどの婚約を結ぶ子息令嬢がそうである様に、エナリーナとエリオットも学園を卒業すれば、エナリーナが1年の花嫁準備期間として、エリオットの家に入り、女主人の修行をする予定なのだ。
それが晴の卒業の日に覆ろうとしている。
「大人しい顔してさ。とにかく、父にも相談している。正式に破棄か解消になるだろうから。僕からは2度と会わないよ。」
無情にもエナリーナの腕を振り払い、エリオットは庭園から出て行ってしまう。
エリオットは伯爵家の嫡男として家を継ぐ予定ではあるが、現当主も夫人も健在である故、卒業後はエリート集団と謳われる第一近衛に入団をする。
そんなエリオットに、本気で振り払われれば、エナリーナは地面に無残にも倒される姿になってしまった。
「酷い、、何でなの、、うあ、、うっ、ううぅ。タニアを、タニアを助けなかった罰なの、、」
次にエネリーナの口から出たのは、タニアへの懺悔。
タニアがウイルザードとパメラに断罪をされた舞踏会ホールで、エナリーナはタニアを助けに出て行く事が、どうしても出来なかった。
其のタニアの姿と、今の自分が重なったのだ。
「タニア!どうして、わたしたち、こんな目にあうの、、貴女だって。」
(本当はパメラ様に何もしていない!!って知っているわ。)
沢山の衛兵に腕や頭さえ捉えられ、連れて行かれるタニアは、最初から最後まで必死に無実を訴えていた。其のタニアの声がエナリーナの耳に、今木霊する。
エナリーナほど、タニアが何もしていない事を知っている間柄ない。否、あの場にいた誰もが、タニアが冤罪である事、エンルーダ家が動けば直ぐに開放されると信じ考えていた。エナリーナなら尚更だった。何故なら、、
(次期エンルーダ当主様は、タニアの事を好いていらっしゃはずなのに、、学園のパーティで婚約者のいないタニアのエスコートをする為、領地から足を運ぶほどに、、)
学園のパーティでエリオットが婚約者だと、タニアに紹介する為に、ホールをさがしたエナリーナの目に映ったのは、タニアと義兄イグザムの遣り取りだった。
『お前、わざわざ合間に来てやった人間がいるのに、上の空かよ。』
『すいません。』
『謝るな。』
年に1度リュリアール皇国の都で行われる夏至祭に合わせて、大々的に学園でも開かれるパーティには、婚約者や家族が招待される。
婚約者もまだ決まらない為、エスコートをするパートナーがいないタニアの様な令嬢には、同じ皇国学園に通う兄弟や従兄弟がパートナーを務めたりする。
其の中タニアには、皇帝謁見の為に上都していた義兄のイグザムが招待状を持って学園にやって来たのだ。
『少しは学園で、貴族繋がりをつける間柄の家はあるんだろな?挨拶をしに行くぞ。』
『、、特に、ありません。』
『は?何だよ。何の為に編入までしたと思うんだ?それこそ、どこぞの子息に粉をかけているんじゃないか?』
エナリーナが伺いみれば、2人の話は一見険悪に見えた。
けれどもエナリーナには分かったのだ。
憎まれ口を叩きながら、愛らしいタニアを見る子息達を牽制しつつ、タニアを直視出来ないイグザムの横顔を。
エナリーナは確信した。イグザムは間違いなくタニアに好意を寄せていたと。
(なのに、まさか処刑されるなんて!!タニア!!)
確かに皇国学園で起きた皇族を巻き込む醜聞。けれども、社交界の噂など新たな噂にどんどん、上書きされて消えていくもの。
間違いだったと直ぐに解る事だと、安易な考えで納得したエナリーナは甘かった。
「わたし、このまま家に戻って大丈夫なの、、、」
もちろんエナリーナとエリオットの婚約は当人同士だけで破棄出来る代物ではないのは、エリオットも理解しているはず。
だから、去り際の台詞を吐いて捨てたのだ。
ましてや、タニアを好いたイグザムでさえ、タニアを見捨てた事になる。
(わたしも、タニアみたいに、家族から捨てられるかも?)
婚約解消ではなく、破棄となれば、傷物令嬢のレッテルが貼られる。
それさえもエリオットは解って言い放った言葉なのだ。
「エナリーナ!!」
「アガサ、、」
エナリーナに気遣い上がる声に、エナリーナは我を戻す。
未だ立ち上がる事が出来ず庭園に蹲るエナリーナの元に、明るい橙色の髪をした令嬢が駆け寄った。
エナリーナを心配して、アガサは眼鏡の奥の瞳一杯に涙を湛えている。
どうやら、婚約破棄の場面は見ていないが、エリオットの様子で周りから事情を聞いたらしい。
「エリオット様どうしてしまったのよ?!今更婚約破棄ですって!!嘘でしょ?タニアの時といい、何が起きているの。」
アガサは蹲るエナリーナを立ち上がせると、汚れたエナリーナの服を払って整える。
号泣するエナリーナはアガサにされるがまま、
「アガサ、わたしたちタニアを救って上げていれば、、」
徐に呟いた。
「、、エナリーナ、解るわ。、、あたしも、あんなに早く処分が下されるなんて思ってないもん。おかしいよ。でも、今はエナリーナが心配だよ。」
盛大な卒業式典の後、最後の学園風景を花咲く庭園で惜しもうと集う子息令嬢が見守る中、エナリーナは声を上げて泣き、アガザが傍らで慰める。
ただ、アガサがよく見れば似た様な光景が、あちらこちらでも見えた。
『君とは婚約を解消したい!!』
『待ってください。』
しかも、どの光景を見ても、自分達の様な髪色の令嬢が嘆き悲しんでいるのだ。
咲き誇る花々の元で繰り広げられる、大なり小なりの奇妙な断罪劇。
其の事に気が付いたアガサは、泣き続けるエナリーナを抱き締め、
「これじゃあ、髪色で魔女狩りされているみたいなものだよ。」
異様な光景に、声を上げた。
そんなアガサの言葉はとは裏腹に、晴れた空へと、卒業を知らせる皇国学園の鐘が響き渡った。
学園の庭園には様々な花が咲き乱れ、まるで卒業をする子息令嬢を祝う様に見える。
にも拘わらず、美しい庭園には言い合う男女の姿があった。
其の令嬢はエナリーナ。子息はエナリーナの婚約者であるエリオットだ。
「急にどうしたのエリオット!婚約破棄だなんて!」
若草色の髪を卒業の為に特別に結い上げ、エリオットの瞳と同じ色の花を飾るエナリーナが、必死の表情でエリオットに縋っている。
其の優しい茶色の瞳が、突然言い渡された言葉を聞いて、激しく動揺に揺れていた。
エナリーナとエリオットの婚約は2人がまだ幼い時に結ばれた十年以上前の話。家同志の繋がりの為という、完全な政略的婚約だったが、幼い時に引き合わされた本人達は、大人の目論見とは別に仲睦まじく関係を育んできたはずだった。
「さっきも言ったじゃないか、エナリーナ。君みたいに陰湿な令嬢は、僕の性に合わないんだ。」
「陰湿って、一体どういう事?」
「とぼけているか?君、侯爵令嬢に陰で嫌がらせをしているんだって?僕の親友が教えてくれたよ。婚約者が困っているとね。もしかして、僕より彼の方に乗り換えるつもり?」
伯爵嫡男のエリオットは落ち着いたブラウンの髪を怒らせ、侮蔑の眼差しでエナリーナを見やった。
爵位こそ伯爵子息だが、エリオットの優しげで整った容姿は、そこそこ令嬢に人気がある。
いつもならエリオットの包む様な眼差しがエナリーナに注がれるのに。
「そんな!エリオット!違うわ。嘘よ!わたし、そんな事しない!」
エリオットの表情に青ざめるエナリーナは、エリオットの腕を取って涙を流す。
けれどもエナリーナにエリオットは、見た事のない程の冷たい視線を更に投げてきた!
「!!!」
エリオットの瞳には、これまであった親愛の情が微塵も残っていない。エネリーナは其の事に完全に打ちのめされた。
ほとんどの婚約を結ぶ子息令嬢がそうである様に、エナリーナとエリオットも学園を卒業すれば、エナリーナが1年の花嫁準備期間として、エリオットの家に入り、女主人の修行をする予定なのだ。
それが晴の卒業の日に覆ろうとしている。
「大人しい顔してさ。とにかく、父にも相談している。正式に破棄か解消になるだろうから。僕からは2度と会わないよ。」
無情にもエナリーナの腕を振り払い、エリオットは庭園から出て行ってしまう。
エリオットは伯爵家の嫡男として家を継ぐ予定ではあるが、現当主も夫人も健在である故、卒業後はエリート集団と謳われる第一近衛に入団をする。
そんなエリオットに、本気で振り払われれば、エナリーナは地面に無残にも倒される姿になってしまった。
「酷い、、何でなの、、うあ、、うっ、ううぅ。タニアを、タニアを助けなかった罰なの、、」
次にエネリーナの口から出たのは、タニアへの懺悔。
タニアがウイルザードとパメラに断罪をされた舞踏会ホールで、エナリーナはタニアを助けに出て行く事が、どうしても出来なかった。
其のタニアの姿と、今の自分が重なったのだ。
「タニア!どうして、わたしたち、こんな目にあうの、、貴女だって。」
(本当はパメラ様に何もしていない!!って知っているわ。)
沢山の衛兵に腕や頭さえ捉えられ、連れて行かれるタニアは、最初から最後まで必死に無実を訴えていた。其のタニアの声がエナリーナの耳に、今木霊する。
エナリーナほど、タニアが何もしていない事を知っている間柄ない。否、あの場にいた誰もが、タニアが冤罪である事、エンルーダ家が動けば直ぐに開放されると信じ考えていた。エナリーナなら尚更だった。何故なら、、
(次期エンルーダ当主様は、タニアの事を好いていらっしゃはずなのに、、学園のパーティで婚約者のいないタニアのエスコートをする為、領地から足を運ぶほどに、、)
学園のパーティでエリオットが婚約者だと、タニアに紹介する為に、ホールをさがしたエナリーナの目に映ったのは、タニアと義兄イグザムの遣り取りだった。
『お前、わざわざ合間に来てやった人間がいるのに、上の空かよ。』
『すいません。』
『謝るな。』
年に1度リュリアール皇国の都で行われる夏至祭に合わせて、大々的に学園でも開かれるパーティには、婚約者や家族が招待される。
婚約者もまだ決まらない為、エスコートをするパートナーがいないタニアの様な令嬢には、同じ皇国学園に通う兄弟や従兄弟がパートナーを務めたりする。
其の中タニアには、皇帝謁見の為に上都していた義兄のイグザムが招待状を持って学園にやって来たのだ。
『少しは学園で、貴族繋がりをつける間柄の家はあるんだろな?挨拶をしに行くぞ。』
『、、特に、ありません。』
『は?何だよ。何の為に編入までしたと思うんだ?それこそ、どこぞの子息に粉をかけているんじゃないか?』
エナリーナが伺いみれば、2人の話は一見険悪に見えた。
けれどもエナリーナには分かったのだ。
憎まれ口を叩きながら、愛らしいタニアを見る子息達を牽制しつつ、タニアを直視出来ないイグザムの横顔を。
エナリーナは確信した。イグザムは間違いなくタニアに好意を寄せていたと。
(なのに、まさか処刑されるなんて!!タニア!!)
確かに皇国学園で起きた皇族を巻き込む醜聞。けれども、社交界の噂など新たな噂にどんどん、上書きされて消えていくもの。
間違いだったと直ぐに解る事だと、安易な考えで納得したエナリーナは甘かった。
「わたし、このまま家に戻って大丈夫なの、、、」
もちろんエナリーナとエリオットの婚約は当人同士だけで破棄出来る代物ではないのは、エリオットも理解しているはず。
だから、去り際の台詞を吐いて捨てたのだ。
ましてや、タニアを好いたイグザムでさえ、タニアを見捨てた事になる。
(わたしも、タニアみたいに、家族から捨てられるかも?)
婚約解消ではなく、破棄となれば、傷物令嬢のレッテルが貼られる。
それさえもエリオットは解って言い放った言葉なのだ。
「エナリーナ!!」
「アガサ、、」
エナリーナに気遣い上がる声に、エナリーナは我を戻す。
未だ立ち上がる事が出来ず庭園に蹲るエナリーナの元に、明るい橙色の髪をした令嬢が駆け寄った。
エナリーナを心配して、アガサは眼鏡の奥の瞳一杯に涙を湛えている。
どうやら、婚約破棄の場面は見ていないが、エリオットの様子で周りから事情を聞いたらしい。
「エリオット様どうしてしまったのよ?!今更婚約破棄ですって!!嘘でしょ?タニアの時といい、何が起きているの。」
アガサは蹲るエナリーナを立ち上がせると、汚れたエナリーナの服を払って整える。
号泣するエナリーナはアガサにされるがまま、
「アガサ、わたしたちタニアを救って上げていれば、、」
徐に呟いた。
「、、エナリーナ、解るわ。、、あたしも、あんなに早く処分が下されるなんて思ってないもん。おかしいよ。でも、今はエナリーナが心配だよ。」
盛大な卒業式典の後、最後の学園風景を花咲く庭園で惜しもうと集う子息令嬢が見守る中、エナリーナは声を上げて泣き、アガザが傍らで慰める。
ただ、アガサがよく見れば似た様な光景が、あちらこちらでも見えた。
『君とは婚約を解消したい!!』
『待ってください。』
しかも、どの光景を見ても、自分達の様な髪色の令嬢が嘆き悲しんでいるのだ。
咲き誇る花々の元で繰り広げられる、大なり小なりの奇妙な断罪劇。
其の事に気が付いたアガサは、泣き続けるエナリーナを抱き締め、
「これじゃあ、髪色で魔女狩りされているみたいなものだよ。」
異様な光景に、声を上げた。
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