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出奔編
砂嵐の後の現実
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砂嵐の音が遠ざかり、ニアは徐ろに瞼を開く。
隣りで微睡んでいたエナリーナの背中には、ニアの赤子が見えた。
(成人した頃には、死ぬ運命できた自分が、子どもを産んだなんて、、)
グリーグが居れば、グリーグに託した命名。
きっと普通ならば、平民でも赤子の命名を両親や、伴侶がするのであろうとニアは朧げに思う。
『愛』に薄く、『恋』も遠く。
そんなニアが今生、他者と自分との関係を唯一向き合い始められた相手が、エナリーナだった。
学園でエナリーナに会っていなければ、グリーグと打ち解けるには、更に時間が必要だったに違い無い。
(エナリーナは、名前を何と付けてくれるかな。)
ニアはエナリーナが背負う、赤子の髪を見つめた。
前世。何度も婚約者と夫と成る相手がいたが、全て貴族としての政略結婚だった。
其れでも初めの前世エリザベーラで会ったジョシューは初恋。
母自慢の花園で出会った、夜空に煌めく星の様な瞳を持ち、エリザベーラに華咲く様に笑顔を向ける幼い貴族子息。
ジョシューは、エリザベーラの目の前に降り立った神話の妖精の如く存在で、広い様で狭い貴族社会で成長する同士、誰にも譲れない相手だった。
勿論、幼馴染から思春期を迎え、若い男女の情事もだ。
(もう永遠に、ジョシューに会う事は無いのに。どうして、夏至祭の時にはジョシューが此処に居ると思ったのだろう。)
ジョシューの髪も黒色。確かにウイルザードの髪も黒髪。赤子の髪は、ニアと同じ桃色だ。
(大体、他にも転生している人がいるなんて、考えた事も無かった。)
自分に起きている事象が、他にある可能性に失念していたニアは、自分の身体を起こした。
同時にテントの幕が開く。
「巫女ニーア。漸く生まれたか?おっとエナリーナもお疲れ様だねぇ。しかし旦那が来とるから、支度をしなよ!」
砂嵐が去り、エナリーナと住まうテントに顔を見せたのは、キャラバンの元締めダフネだ。
ダフネは白髪の頭を耳の横で2つの御下げ髪にしてターバンを巻いた頭を屈めながら、中に入って来た。
「少しエナリーナを休ませてあげて、、」
起きたばかりのニアは、ダフネの声に耳を塞ぎながらも答える。ニア自身も出産で疲れているが、眼の下に隈を作るエナリーナも、ニアの為に昨日から一睡もしていないのだ。
「そうは言っても、こちとら金を貰ってんだから仕方ない。エナリーナには感謝してるよぉ?薬の調合に、簡単な病ならを診る事も出来るし、お前さんだって子どもを取り上げて貰った。全部、ランダのお陰だねぇ。だから、ランダがエナリーナを呼ぶなら、連れて行かないとさ。」
言いながらも、まだ座ったまま意識を戻さないエナリーナの背中を覗いて、ダフネが赤子に手を伸ばす。
「ほうら、赤子は婆さんが見てやるよ。どら?こりゃメンコイ女の子だなあ。巫女ニーアと似て器量も愛嬌も格別か!!此の子なら、直ぐに売れっ子になるよ!」
「やめて、此の子は自由なはずでしょ。」
「分かっとるよ。でも、砂漠で生きて行くには、女の子は出来る事が限られる。其れこそ巫女ニーアの後継ぎにでもするかい?お前さんの『精霊送り』も、ワシ等みたいな平民には関係無い仕事だろ?もう直ぐ入る、ドラバルーラのハーレムでなら別かもしれんがねぇ。」
山の人ランダに袋へ入れられ担がれたニアは、其のままキャラバンとの交易場所へ連れて行かれた。
臨時でキャラバンに連絡を取ったのだろう。袋の中で渡された飲み物を飲んだニアは、其のまま意識が無い内に砂漠へと入れて来られていた。
「兎に角、エナリーナ起きな。旦那が待っている。ハーレムに入れば会うのもままならなくなるからね。今の内に可愛がるつもりだろ。」
(ハーレムですって!!)
ダフネに言葉に、ニアは驚き、エナリーナに寄ろうとしが、座って眠るエナリーナから、起用に赤子を自分の腕に抱き直したダフネが、ニアを交わしてエナリーナの頭を無造作に叩く。
「う、んん、ダフネ婆さん、、」
「支度をして直ぐに旦那のテントに行きな。もうドラバルーラは目の前だ。今回の女官送りは、巫女ニーアとエナリーナ、メルロッテなんだ。ニーアは体力を回復させな、でないとハーレムに入れられないよ。後で食事を届けさせるからね、」
ダフネに身体を交わされて、ニアはバランスを失い、再び敷布に身体が沈む。ダフネがニアの横に赤子を寝かせた。もう一度ニアが身体を起こして、意識を戻したエナリーナを見る。
「エナリーナ、、貴女、ランダの相手をさせられているの?」
ニアが細かい話を聞こうとすると、ダフネは、エナリーナに支度を促してテントを出て行ってしまった。
「、、、なんて言ったらいいのかしら。ダフネさんも言ってたでしょ?旦那だって。此のキャラバンは娼婦のキャラバンなんだけれど、わたしみたいに、預けられている人もいるのよ。」
残されたテントの中、砂嵐が去ったばかりの時間は、テントの中は薄暗く、ニアにはエナリーナの表情が読めない。
エナリーナは手慣れた様子で、テントの布袋の中から取り出した衣装に躊躇いも無く着替えていく。
「其れって。其れに、エナリーナは、、」
「もう着替えも出来たから行くわ。赤ちゃん、起きたら、おっぱいをあげてね。」
「エナリーナ!!」
ランダから商人の男へと担ぎ手が入れ替わり、眠っている間にキャラバンへと連れて来られたニアは、其処でエナリーナと再会をした。本来は婚約者と結婚をしているはずのエナリーナが、袋の淵から顔を覗かせた時、ニアもエナリーナさえ、驚いたのだ。
(あれから少し立ってはいるけれど、、)
「また、ゆっくりと話すね。」
何か理由があって、キャラバンの薬師替わりに働いていると思ったニアは、エナリーナと話す機会を直ぐに得る事は無く、産気づいた訳だが。
(ハーレムに入るのは、他にメルロッテがいるって。)
「巫女ニーアさん、食事です。」
出て行ったエナリーナと入れ替わりに、テントに入って来たのは、キャラバンの小間使いをする少女のひとり・マートだった。
「わあ、赤ちゃんだ。可愛い。」
ダフネと同じく耳の横に御下げ髪を作るマートが、板の上に汁物とパンを乗せた物をニアに渡すと、赤子の顔を指先で優しく撫で始めた。
「ねぇ、マート。わたし、メルロッテって人に会いたいんだけれど。」
赤子を愛でるマートも、未だ年端もいかない少女だが、其れでもニアの赤子が可愛らしいのだろう。 ニアに抱いてもいいかと聞いてくるので、ニアはダフネに頼め無かった事をマートに問う。
マートは、ダフネの孫。キャラバンの後の後継者だ。
「あー、今はドラバルーラに入る前だから、お客さんとか、旦那さんの相手をしてると思う。」
知らない人間が聞けば、驚く様な内容をマートは事も無げにニアに答える。マートはダフネから、自分の将来を十分に教えられているのだと、ニアは感じざるを得ない。
「お客さんは、分かるけれど、旦那は別なの?」
キャラバンに来てから、ニアが何度か聞いた、使われる言葉の違いを、マートに更に聞く。
「巫女ニーアさんは、知らないのか。旦那さんは山ん人ですよ。あっこの人って奥さんを住まわせる所がないから、キャラバンに預けるんですよ。勿論、お金を払ってですよ。」
マートはニアの了解を得ると、赤子を両手に抱き上げた。幸い赤子は眠っているので、マートにも抱き安い。マートは嬉しそうに赤子の顔を見ると、其の器量良しを、ダフネそっくりな言い回しで褒め称えた。
「フフ、マートってお婆ちゃんっ子なのね。ねぇ、皆な、山の人はキャラバンに女の人を預けるの?」
ニアの笑いをマートは不思議そうに見ながら、ニアの疑問を解いてくれる。テントの外が段々と賑やかに成るのが分かった。
砂嵐が去った後のオアシスに、キャラバンの客が集まっているのだ。
「いや、稀ですよ。大体キャラバンに売っちゃうから。お金は入るし、別にお客になれば会えるから。まあ、売っちゃう人は、おんなじ女の人を選ばないですけどね。」
「じゃあ、エナリーナはランダの奥さんなの?」
「でないと、預けるのにお金がいるのに、ハーレムの女官に入れ込むなんてしないよ。女官はもっとお金いるんだもん!」
マートはニアを、何処か世間知らずの『巫女』だと思っている節がある。
鼻の穴を膨らませて、ニアに当然の事を教えて上げている風にポーズを取った。
「じゃあ、なぜハーレムに入れようとするの?」
そんなマートが、ニアには可愛らしく見えてしまう。前世も今世にも、妹という存在は無かった故かもしれない。商いの内容は問題かもしれないが、祖母ダフネと同じ髪型をしている所も、微笑ましく思うのだ。
「ハーレムの女官は、れっきとした仕事なんですよ。年季が明ければ自由に外へ出られますし。山ん人で、奥さんを女官にする人って、大変だけどいるんです。ランダさんは、奥さんを愛してるんですね。」
やはり年に似合わない台詞を、マートがニアに返してくる。
そしてリュリアール皇国の平民では知る由も無い事実に、ニアは改めて驚いた。
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砂嵐の音が遠ざかり、ニアは徐ろに瞼を開く。
隣りで微睡んでいたエナリーナの背中には、ニアの赤子が見えた。
(成人した頃には、死ぬ運命できた自分が、子どもを産んだなんて、、)
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きっと普通ならば、平民でも赤子の命名を両親や、伴侶がするのであろうとニアは朧げに思う。
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そんなニアが今生、他者と自分との関係を唯一向き合い始められた相手が、エナリーナだった。
学園でエナリーナに会っていなければ、グリーグと打ち解けるには、更に時間が必要だったに違い無い。
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ジョシューは、エリザベーラの目の前に降り立った神話の妖精の如く存在で、広い様で狭い貴族社会で成長する同士、誰にも譲れない相手だった。
勿論、幼馴染から思春期を迎え、若い男女の情事もだ。
(もう永遠に、ジョシューに会う事は無いのに。どうして、夏至祭の時にはジョシューが此処に居ると思ったのだろう。)
ジョシューの髪も黒色。確かにウイルザードの髪も黒髪。赤子の髪は、ニアと同じ桃色だ。
(大体、他にも転生している人がいるなんて、考えた事も無かった。)
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同時にテントの幕が開く。
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ダフネは白髪の頭を耳の横で2つの御下げ髪にしてターバンを巻いた頭を屈めながら、中に入って来た。
「少しエナリーナを休ませてあげて、、」
起きたばかりのニアは、ダフネの声に耳を塞ぎながらも答える。ニア自身も出産で疲れているが、眼の下に隈を作るエナリーナも、ニアの為に昨日から一睡もしていないのだ。
「そうは言っても、こちとら金を貰ってんだから仕方ない。エナリーナには感謝してるよぉ?薬の調合に、簡単な病ならを診る事も出来るし、お前さんだって子どもを取り上げて貰った。全部、ランダのお陰だねぇ。だから、ランダがエナリーナを呼ぶなら、連れて行かないとさ。」
言いながらも、まだ座ったまま意識を戻さないエナリーナの背中を覗いて、ダフネが赤子に手を伸ばす。
「ほうら、赤子は婆さんが見てやるよ。どら?こりゃメンコイ女の子だなあ。巫女ニーアと似て器量も愛嬌も格別か!!此の子なら、直ぐに売れっ子になるよ!」
「やめて、此の子は自由なはずでしょ。」
「分かっとるよ。でも、砂漠で生きて行くには、女の子は出来る事が限られる。其れこそ巫女ニーアの後継ぎにでもするかい?お前さんの『精霊送り』も、ワシ等みたいな平民には関係無い仕事だろ?もう直ぐ入る、ドラバルーラのハーレムでなら別かもしれんがねぇ。」
山の人ランダに袋へ入れられ担がれたニアは、其のままキャラバンとの交易場所へ連れて行かれた。
臨時でキャラバンに連絡を取ったのだろう。袋の中で渡された飲み物を飲んだニアは、其のまま意識が無い内に砂漠へと入れて来られていた。
「兎に角、エナリーナ起きな。旦那が待っている。ハーレムに入れば会うのもままならなくなるからね。今の内に可愛がるつもりだろ。」
(ハーレムですって!!)
ダフネに言葉に、ニアは驚き、エナリーナに寄ろうとしが、座って眠るエナリーナから、起用に赤子を自分の腕に抱き直したダフネが、ニアを交わしてエナリーナの頭を無造作に叩く。
「う、んん、ダフネ婆さん、、」
「支度をして直ぐに旦那のテントに行きな。もうドラバルーラは目の前だ。今回の女官送りは、巫女ニーアとエナリーナ、メルロッテなんだ。ニーアは体力を回復させな、でないとハーレムに入れられないよ。後で食事を届けさせるからね、」
ダフネに身体を交わされて、ニアはバランスを失い、再び敷布に身体が沈む。ダフネがニアの横に赤子を寝かせた。もう一度ニアが身体を起こして、意識を戻したエナリーナを見る。
「エナリーナ、、貴女、ランダの相手をさせられているの?」
ニアが細かい話を聞こうとすると、ダフネは、エナリーナに支度を促してテントを出て行ってしまった。
「、、、なんて言ったらいいのかしら。ダフネさんも言ってたでしょ?旦那だって。此のキャラバンは娼婦のキャラバンなんだけれど、わたしみたいに、預けられている人もいるのよ。」
残されたテントの中、砂嵐が去ったばかりの時間は、テントの中は薄暗く、ニアにはエナリーナの表情が読めない。
エナリーナは手慣れた様子で、テントの布袋の中から取り出した衣装に躊躇いも無く着替えていく。
「其れって。其れに、エナリーナは、、」
「もう着替えも出来たから行くわ。赤ちゃん、起きたら、おっぱいをあげてね。」
「エナリーナ!!」
ランダから商人の男へと担ぎ手が入れ替わり、眠っている間にキャラバンへと連れて来られたニアは、其処でエナリーナと再会をした。本来は婚約者と結婚をしているはずのエナリーナが、袋の淵から顔を覗かせた時、ニアもエナリーナさえ、驚いたのだ。
(あれから少し立ってはいるけれど、、)
「また、ゆっくりと話すね。」
何か理由があって、キャラバンの薬師替わりに働いていると思ったニアは、エナリーナと話す機会を直ぐに得る事は無く、産気づいた訳だが。
(ハーレムに入るのは、他にメルロッテがいるって。)
「巫女ニーアさん、食事です。」
出て行ったエナリーナと入れ替わりに、テントに入って来たのは、キャラバンの小間使いをする少女のひとり・マートだった。
「わあ、赤ちゃんだ。可愛い。」
ダフネと同じく耳の横に御下げ髪を作るマートが、板の上に汁物とパンを乗せた物をニアに渡すと、赤子の顔を指先で優しく撫で始めた。
「ねぇ、マート。わたし、メルロッテって人に会いたいんだけれど。」
赤子を愛でるマートも、未だ年端もいかない少女だが、其れでもニアの赤子が可愛らしいのだろう。 ニアに抱いてもいいかと聞いてくるので、ニアはダフネに頼め無かった事をマートに問う。
マートは、ダフネの孫。キャラバンの後の後継者だ。
「あー、今はドラバルーラに入る前だから、お客さんとか、旦那さんの相手をしてると思う。」
知らない人間が聞けば、驚く様な内容をマートは事も無げにニアに答える。マートはダフネから、自分の将来を十分に教えられているのだと、ニアは感じざるを得ない。
「お客さんは、分かるけれど、旦那は別なの?」
キャラバンに来てから、ニアが何度か聞いた、使われる言葉の違いを、マートに更に聞く。
「巫女ニーアさんは、知らないのか。旦那さんは山ん人ですよ。あっこの人って奥さんを住まわせる所がないから、キャラバンに預けるんですよ。勿論、お金を払ってですよ。」
マートはニアの了解を得ると、赤子を両手に抱き上げた。幸い赤子は眠っているので、マートにも抱き安い。マートは嬉しそうに赤子の顔を見ると、其の器量良しを、ダフネそっくりな言い回しで褒め称えた。
「フフ、マートってお婆ちゃんっ子なのね。ねぇ、皆な、山の人はキャラバンに女の人を預けるの?」
ニアの笑いをマートは不思議そうに見ながら、ニアの疑問を解いてくれる。テントの外が段々と賑やかに成るのが分かった。
砂嵐が去った後のオアシスに、キャラバンの客が集まっているのだ。
「いや、稀ですよ。大体キャラバンに売っちゃうから。お金は入るし、別にお客になれば会えるから。まあ、売っちゃう人は、おんなじ女の人を選ばないですけどね。」
「じゃあ、エナリーナはランダの奥さんなの?」
「でないと、預けるのにお金がいるのに、ハーレムの女官に入れ込むなんてしないよ。女官はもっとお金いるんだもん!」
マートはニアを、何処か世間知らずの『巫女』だと思っている節がある。
鼻の穴を膨らませて、ニアに当然の事を教えて上げている風にポーズを取った。
「じゃあ、なぜハーレムに入れようとするの?」
そんなマートが、ニアには可愛らしく見えてしまう。前世も今世にも、妹という存在は無かった故かもしれない。商いの内容は問題かもしれないが、祖母ダフネと同じ髪型をしている所も、微笑ましく思うのだ。
「ハーレムの女官は、れっきとした仕事なんですよ。年季が明ければ自由に外へ出られますし。山ん人で、奥さんを女官にする人って、大変だけどいるんです。ランダさんは、奥さんを愛してるんですね。」
やはり年に似合わない台詞を、マートがニアに返してくる。
そしてリュリアール皇国の平民では知る由も無い事実に、ニアは改めて驚いた。
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