【R18】猫のキミ 〜 恩返しが愛に変わるまで

sonate

文字の大きさ
1 / 4

前編

しおりを挟む

うちの縁側に野良猫が来た。

その猫は一匹の子猫を連れていた。
惰性で餌を置くと、その皿に子猫がかぶりつき、親猫はその様子を見守っていた。

「キミは食いしん坊なんだねぇ~」

そしておかわりを取りに行った隙に、餌の皿に顔を突っ込む子猫を置いて、親猫はいなくなっていた。

鍵しっぽでサビ柄、鮮やかな黄色い瞳の子猫は、食べ終わると辺りを見回し親猫を呼び鳴き始めた。
しかし親猫は現れない。

…やられた。
押し付けられた。

立ち尽くす僕の足元に子猫が歩み寄り、ミーミーと不安そうに鳴く。

それが、キミとの出会いだった。

そうしてうちの子になった彼女。
しかし彼女は猫の割にドジで不器用で、人間臭かった。

一本橋はよく落ちる。
ジャンプを失敗してゴミ箱にダイブし出られなくなる。
紙袋を被って抜け出せなくなる。
崩れた衣服の山を滑り台にして遊ぶ。
気がつくと僕の布団に潜り込んで隣でイビキをかいている。

中身は人間なんじゃないか?
何度思った事か。

…そう。
だからね…。

「今更さ、人間に化けられますとか言われても、全然驚かないんだわ」

「がーん…!?」

そんな僕の言葉に、彼女はアニメ漫画のような声をあげた。



ある日その猫がファンタジーのように、ポンっ♪と人化した。
サビ猫は基本的に雌。
だからお約束のように猫耳猫尻尾の美少女になった。

しかし元来の性格なのか、落ち着きが無い残念な仕上がりだ。

「僕はさ。落ち着いた大人なお姉さんが好きなの。わかる?」
「でもっでもっ!猫耳も尻尾も好きだよね!?ケモナーだよね!?」

どこで覚えた?そのワード。
僕はため息を付く。

「男1人猫1人で生活がカツカツなんだがなぁ…。人語話してもいから、猫のままの方が良いのだが。落ち着かなくてかなわん…」
「…えと、ねぇ?…これまたお約束なんだけどぉ…」

猫娘は両手の人差し指をツンツンしながら上目使い。
コレまたお約束。
猫への戻り方が解らないときた。
やはりこいつは馬鹿猫だった。

「どーすんだよ?」
「どーしよ…?」

困り事があると僕の顔を覗き込む仕草は、どちらの姿でも変わらない。

「あれだ。鶴の恩返し的に、僕に恩返しすれば元に戻るんじゃないか?」
「猫の…恩がえ…」

うん。
それは版権的にマズイから、ひとまず黙ろうか。

「…いや、まあ。もう、いいや。そのうち戻るだろ。」

この日から新しくキミとの奇妙な共同生活が始まった。

衣服はとりあえず僕のお古を着せる。
ブカブカのTシャツをワンピースのように。
尻尾があるので下着に困ったが、僕の下着を前後逆に履かせ社会の窓をスリットにしてひとまず解決。

本人の強い希望で家事の手伝いをさせてみる。
しかし上手くいかない。
人間の道具を扱うのが下手…というよりはドジが発動するためだ。

僕は、しょーがねーなぁ…と言いながらも彼女の後始末をする。
やはりどちらの姿でも変わらない。

そんな日常が流れていった。

ある満月の深夜。
ふと、僕は目を覚ます。

アホ面で涎を垂らしながら寝るのが常の彼女が、今日はどこにもいない。

トイレか?
つまみ食いか?
しかし、トイレにもキッチンに彼女はいない。

「…そんなとこ、わたし隠れないよ?」
冷蔵庫の中を探す僕に彼女が声をかける。

「昔、閉じ込められてただろ?」
すぐに救出して湯たんぽで温めてあげた記憶がある。
「いつの事よぉ?」
そして、2人で笑う。

どうやらリビングにいたようだ。
寝付けなかったらしい。
月の光が部屋に差し込んだ。

「ゴメンね…役に立たてなくて…」
申し訳なさそうな表情。
「今更何言ってんだ。猫の時からだろ」
わしゃわしゃ頭をなでると、気持ちよさそうに受け入れる。

「でもさ。人間の姿になれたんだから、やっぱり役には立ちたいよぉ?」
「…猫なんだから、別に良いんじゃないのか?」

月光の中、苦笑いする彼女の影が猫のように伸びをした。

「まあ余計な仕事、増やしてばかりだけどな」
それは猫の時から変わらない。
「いじわる~」
頬を膨らませる彼女。

笑いあったあと、心地よい無言の時間が流れた。

「決~めた…」
そんな中、唐突に彼女は立ち上がって僕に振り返る。
ニンマリと笑顔を浮かべていた。

「色々考えたんたけどさぁ…。えへへ~。え~い!」

飛びついて来た。
抱きとめたが押し倒されてしまう。
いわゆる猫ダイブだが、人間サイズだと物理的衝撃が大きい。

「いたた…。なにす…んだ…よ…?」

キミは目の前でブカブカのTシャツを脱ぎ捨てる。
月明かりに裸体が照らされる。

「…わたし、バカ猫だからさ…こんな恩返ししか…思いつかなったよ…」

彼女はそっと僕の手を掴み、形の良い乳房まで運んだ。
その柔らかさに僕の思考がフリーズした。

「喜んで貰えるといいなぁ…」
頬を染めながら僕に流し目を向けるキミに、口に出そうとした言葉の全てを生唾と共に飲み込んでしまった。




月明かりの下で、キミの決意と不安に揺れる瞳、ふわりと揺れる尻尾と耳。

ぐいっと、吐息が届く距離まで顔が近づく。
目と鼻の先には、夢見るような表情のキミ。

両手で僕の頬を包み、鼻を重ねる。
それはただの鼻キスじゃない。
猫が大切な相手にだけ許す、信頼の証。

「…こ、これ…猫の…特別なんだからね…?」
照れ隠しに言った言葉に、甘い熱が胸の奥を駆け抜ける。
目を閉じるキミに習い僕も目を閉じ、頬に触れる手に自分のそれを重ねる。

猫の時もよくされていた鼻キスだが、人の姿のキミと交わすそれは、今までののどのキスの記憶よりも甘かった。
もうこれは、ただの「猫の仕草」なんかじゃない。

鼻が離れ、僕が目を開けると、キミはまだ目を閉じたままだった。
触れ合った温もりが頬に残り、余韻に心臓が跳ねる。
やがて、恥ずかしそうに遅れて目をあけた瞳は、月光に照らされ、猫のように爛々と輝いていた。

余韻が胸の奥にじんわりと熱を残し、理性の一部が溶けて唇に意識が引き寄せられる。
舌なめずりをするキミ。
その顔がゆっくり重なる。

ぺろ…ぺろ…。
かすかにザラついた舌先が湿った熱を残し唇の端を舐め、息が重なる。
猫のように舐めるたびにキミは小さく「好き…」と囁き、その響きが胸を甘く締めつけ、僕の心拍を上げていく。

「ん…はぅ…ふ…」ちゅ…ちゅむ…
やがて自然に唇が重なり、舌を絡め合い、口内へと招き入れてしまう。
とろりと唾液が溶け合い、粘膜が淫靡な音を立てる。
甘い息苦しさが、僕の中にあるなけなしの抵抗感を溶かしていく。

「…んっ…は…ぁ…んぅ…」
震える吐息が漏れ、長く重ねた唇が離れた瞬間、キミは溺れるように甘い息を吐いた。

「ふぁ///」
そんな長い口づけを終えたキミが少し不満そうに眉を寄せる。
その視線は僕のパジャマ代わりのTシャツに向けられていた。

――わたしだけ裸なんて、不公平。
言葉にせずとも、そう訴えている。

「んん…。脱いでよぉ…」
小さな指の爪が布にひっかかる。裾をくいくいと引っ張る感触が伝わる。

「…うう///解った。解ったから…シャツを引っ張るのやめて…///」

これは恩返しでは無かったのか?
逆に要求を突きつけてきたキミの、もの欲しそうな表情に折れた僕は、恥ずかしさに眉を下げながらシャツを脱ぐ。
キミが息を飲む音が聞こえた。
火照った身体をさらすと、待ちきれなかったように目を輝かせたキミが胸に頬をすり寄せてくる。
汗ばんだ素肌が触れ合い、互いの心音が直接伝わる。

「…ん、はぁ…んっ」ピチャぁ…ちゅ…
キミがそっと体を近づけ、再び唇を重ねる。
肩と腰に腕を回し、身体を密着させる。
今度は深く、熱く。
舌と舌が絡み合い、熱を帯びた吐息がとろけ合う。
その口づけは、愛おしく、そしてどうしようもなく淫らだった。
唇を重ねるたび、胸の奥がじんわり疼く。
人化した体は柔らかく敏感で、触れる熱や鼓動が肌の奥まで伝わる。
もう僕は抗えそうにない。

唇が離れ、まだ濡れた唾液の感触が残る頬に、胸の奥が熱く疼くのを感じた。もう理性だけじゃ抑えられない…。
頬を擦り、甘い鼻息を漏らすキミ。
胸が僕の上半身に押し付けられ、腰の柔らかな曲線が下腹に触れる。
体の奥が熱く疼き、太腿の内側までじんわり熱が広がる。

「僕も…欲しい…」
肩と腰に手を回し抱き寄せる。
指先で皮膚の凹凸を感じ、ぞくぞくと身がこわばる。
全身が自然に求め、甘く疼く――本能と感覚が混ざり合う。
体は確実に熱を帯び、官能に支配され始める。

「…は…はぁ…すきぃい…んんっ…」
彼女はヒップを高く上げ、特徴的な鍵尻尾を揺らし、伏せるようにグイグイ上半身を身体を押し付け、甘え混じりの声を漏らす。
それは発情期の雌猫そのものの姿。

唇を押し付けるようなキスは首筋へ、鎖骨へ、胸へ、腹へとゆっくりと下がっていく。

押し付けられて柔らかく形を変えた乳房と、僕の身体にキスをするキミの淫靡な表情に、僕の視線が跳ね上がる。
しかし、上げた視線の先にある揺れる鍵しっぽと、綺麗な曲線を描くヒップに、目を奪われる。
男の証がトランクスの中で否応なく反応してしまう。

「えっち…」
その声に視線を降ろすと、僕のお腹に顔を置いたキミが不満そうな表情を浮かべていた。
指先がトランクス越しに主張する男の証を撫でる。

「お尻じゃなくて…わたしを見てよぉ…」

キミは上半身を起こし、浅く震える呼吸を整え、僕の下着に手をかける。
「それに…わたしだって…見たい…」

ふー…ふー…と興奮を押し殺したキミの呼吸。

もう、止められない。

滑り落ちたトランクスの奥から、熱を帯びた雄々しい証が目の前に現れた。

「…っ」
瞬間、鼻腔を突き抜ける濃密な匂いにくらくらする。
頭が痺れるようで、身体の芯まで熱に溶かされてしまいそうだった。

理性より先に、頬が吸い寄せられる。
スンスンと匂いを嗅ぐ。
「す…すごい…」
耳まで赤く染めながら、衝動に負けて柔らかな頬を擦り寄せる。
熱と匂いに包まれ、夢中で何度も頬をすりすり。
猫が甘えるような仕草なのに、人の姿でしているせいで、どこか倒錯的で甘い。

「んっ…あ…ぁ…」
頬を滑る感触に気づく。
先端から溢れ落ちた
透明な雫が頬を濡らし、温もりと共に線を描いて伝い落ちる。
それはまるで彼にマーキングされ染められているようで。
胸がきゅんと詰まり、堪えきれず舌を伸ばしてすくい取った。

「ん…」れろ…
花の蜜を求める蝶のように吸い寄せられ、舌先が徐々に先端と導かれていく。

「…ん…ぁ…はぁ…濃い…よぉ…」

震える吐息とともに、ついに唇が触れる。
その先端に口づけを落とし、そのまま吸い込むように咥え込んだ。

途端に、全身がビクリと震える。
舌に伝わる熱、鼻腔に押し寄せる雄の気配。
同時に身体の奥から甘く熱い感覚が込み上げ、そのまま滴った。
キミは尻尾をひくつかせ、呆然としてしまう。


異変に僕は慌てた。
へたり込んだキミの肩を掴んで揺らす。
「おい…大丈夫か…?」
「…ふにゃあぁ~///」

以前、彼女に興味本位で人間状態でマタタビを嗅がせた時と同じように、力が抜けてしまっていた。

リビングで唐突に始まってしまった情事。
流石にこの状態の彼女をここに置き去りには出来ない。
まったく…このバカ猫は。
僕は呆然自失の彼女を抱きあげ、寝室へ向かった。


ーー暖かい。揺れてる。落ち着く匂い。
わたしはこの感じを覚えている。
見上げると人間(あなた)の優しい顔。
甘く疼いて、力の入らない身体。
わたしは彼の胸に顔を押しつけた。

ああ、やっぱりわたしはあなたと…


寝室のドアが静かに閉まる。
リビングには月明かりだけが残り、甘く熱を帯びた余韻がそっと漂った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

肉食御曹司の独占愛で極甘懐妊しそうです

沖田弥子
恋愛
過去のトラウマから恋愛と結婚を避けて生きている、二十六歳のさやか。そんなある日、飲み会の帰り際、イケメン上司で会社の御曹司でもある久我凌河に二人きりの二次会に誘われる。ホテルの最上階にある豪華なバーで呑むことになったさやか。お酒の勢いもあって、さやかが強く抱いている『とある願望』を彼に話したところ、なんと彼と一夜を過ごすことになり、しかも恋人になってしまった!? 彼は自分を女除けとして使っているだけだ、と考えるさやかだったが、少しずつ彼に恋心を覚えるようになっていき……。肉食でイケメンな彼にとろとろに蕩かされる、極甘濃密ラブ・ロマンス!

最後の女

蒲公英
恋愛
若すぎる妻を娶ったおっさんと、おっさんに嫁いだ若すぎる妻。夫婦らしくなるまでを、あれこれと。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

初体験の話

東雲
恋愛
筋金入りの年上好きな私の 誰にも言えない17歳の初体験の話。

お隣さんはヤのつくご職業

古亜
恋愛
佐伯梓は、日々平穏に過ごしてきたOL。 残業から帰り夜食のカップ麺を食べていたら、突然壁に穴が空いた。 元々薄い壁だと思ってたけど、まさか人が飛んでくるなんて……ん?そもそも人が飛んでくるっておかしくない?それにお隣さんの顔、初めて見ましたがだいぶ強面でいらっしゃいますね。 ……え、ちゃんとしたもん食え? ちょ、冷蔵庫漁らないでくださいっ!! ちょっとアホな社畜OLがヤクザさんとご飯を食べるラブコメ 建築基準法と物理法則なんて知りません 登場人物や団体の名称や設定は作者が適当に生み出したものであり、現実に類似のものがあったとしても一切関係ありません。 2020/5/26 完結

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end**

ヘンタイ好きシリーズ・女子高校生ミコ

hosimure
恋愛
わたしには友達にも親にも言えない秘密があります…。 それは彼氏のこと。 3年前から付き合っている彼氏は実は、ヘンタイなんです!

処理中です...