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港町の古城2
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僕は蘭紗様にプレゼントを用意していた。
「蘭紗様、これ……開けてみてください」
広いバルコニーに置いてあるソファーセットにゆったりと座っていた蘭紗様は、僕が差し出す小さな木箱を不思議な顔で受け取った。
白木の木箱にはアオアイで買い求めた美しいリボンを掛けた。
「これは?」
「僕からの蘭紗様へのお誕生日のお祝いです、こんな素敵な旅行に連れてきてくれたのに、これじゃなんだか釣り合わないんですけどね」
ちょっと恥ずかしくなったけど、引き寄せられて蘭紗様の横に座った。
蘭紗様はしばらく木箱を見つめていたけど、やがてリボンを引っ張ってそれを開けた。
中には僕がこっそり昨日作ったパウンドケーキが入っている。
料理長に相談して、おいしい木の実をたくさん用意してもらって、それをたっぷりと入れた。
砂糖の分量は少し控えめにはしたけどそれでも甘いので、もしかして甘いものが苦手な蘭紗様には苦手分野かもしれないなと思ったのだけど……
料理長いわく『蘭紗様は木の実がお好き』らしいので、少しくらいはおいしいとおもってくれたらいいんだけどな……
「まさかこれは……薫が作ったのか?」
「はい……素人の手作りを王様になんて、考えてみたらおかしいですよね……でも前、留紗と翠と作ったケーキを喜んでたでしょ?……蘭紗様は僕の作るものがお好きなのかな?って」
「……なんというか……胸がいっぱいだよ薫……こんなに幸せでいいのだろうか」
「そんな……まだおいしいかどうかもわかりませんよ?焼き菓子なので味見が出来ないので……あ、そうだ、それに合わせてホイップされたクリームがあるはず!料理長がどこかの容器にいれてくれてるんだった!」
僕は立ち上がってもう一度お料理の入っていた箱を見に行こうとしたが、蘭紗様は僕の右手を引っ張って胸の中に抱きしめた。
「薫……そなたがそばにいることで、我の時間は本当に輝くのだ。それをそなたは理解できているのかな……」
「んと……僕だってそうですけどね……だって蘭紗様素敵だしかっこいいしお優しいし」
「フフ……可愛いことを言うね。このように王妃から手作りの菓子をもらうなど、前代未聞だろうが……これほどの幸せを味わう王も前代未聞に違いない」
「でも……桜様は和菓子職人だった方ですから、王はきっとたくさんお菓子やお料理を食べたと思うんですけど……」
「いや、だがそれは……料理人だったからだろう?薫とは違うだろう?」
「まあ……そうかも?」
蘭紗様はうっとりして僕を見つめて顔中にキスしてくれた。
花のようないい匂いが辺りにたちこめて、胸が苦しくなる。
この人のことが好きという思いだけで体が反応してくるのを感じた。
「あの……喜んでくれてうれしいです、よかったら一口……食べてみますか?甘いのは苦手でしょうけど」
「もちろんだ、クリームはいらないこのまま頂こう。というかこれは……切るのだろうか?」
蘭紗様は木箱の中のパウンドケーキを眺めた。
長方形の型で焼かれてあるので、端からナイフを入れたいところだ。
「ええと、木箱の中に色々お道具入っていましたので、切ってきますね」
僕は道具の入った箱から木のプレートを出してそこにケーキを置き、ナイフで2センチくらいの厚さに切ってみた、なかなか美しい切り口が見えた。
木の実がぎっしりで、少しだけドライフルーツも入れてある。
それを美しい絵付けの豪華なケーキ皿に慎重に置いて、もう一度紅茶を入れるために蘭紗様にお湯を沸かしてもらうようお願いして、ティーセットの用意をした。
デザート用に選んだお茶の葉は、柑橘類の香りがするものだ。
これなら木の実たっぷりのケーキに合うだろうと思った。
僕は慎重に紅茶を用意して、テーブルを整えた。
「蘭紗様どうぞ、用意が出来ましたよ」
「薫は……そのようなことをどうやって身につけたのだ?日本でも使用人がいたであろうに」
「そうですね……家では何もしてなかったですが……日本では家庭科という授業があって、一通りのことを学ぶのですよ……さあ座って!」
いつまでも感心して眺めるだけの蘭紗様を強引に椅子に座らせて、紅茶を進めた。
「……ふむ、良い香りの紅茶だな。どこの紅茶だろうか?」
「えと、これはアオアイで買い求めたんですけど、どこのだろう?柑橘類と紅茶の相性はいいですよね、僕は大好きなんですよ」
蘭紗様はゆっくりとケーキを口に運び、目を瞑り味わっている。
んーちょっと大げさですからね!恥ずかしいから普通に食べてほしいな!
「名店などとは比べられませんが……材料がいいので、結構おいしく焼けてる!」
僕も一口食べてそこそこ美味しくできていてホッとして呟いた。
「いや……おいしいなど……そんな言葉で言い表せるものではないぞ。このように心のこもった品をもらったのは生まれて初めてだ」
「そうですか?……日本では、お誕生日にはケーキを……えとそれは、丸いケーキにクリームで縁取って上にフルーツを飾るような豪華なものですけどね、そういうものでお祝いするのが一般的なんですよ」
「なるほど……誕生日にケーキは、そういう意味もあるのだな……日本の母はみなこのようにケーキを作るのだろうか?」
「あは!それはさすがに皆ではないでしょう。たいていお店で求めるのですよ、でも中には作るのがうまいお母さんもいるんですよ!そういうお母さんは子供の自慢なんです」
「そうだろう……我も翠もそなたが自慢だからな」
「ん……」
僕はケーキを喉につまらせそうになって慌てて紅茶を飲んだ。
「っもう!恥ずかしいことを真顔で言うのやめてくださいってば!」
「ははは!何が恥ずかしいのだ、誰もおらぬぞ」
「まあ、そうですけど!慣れてないんです!」
「そろそろ慣れてくれぬか?」
「んー……考えときます」
「ははは!」
昼過ぎの古城には僕達の笑い声が響き渡った。
見上げた空は澄んだ冬の空色で本当にきれいだった、鳥が群れをなして飛んでいくのが遠くに見える。
僕と蘭紗様はいつまでも外の景色を飽きずに見つめた。
「蘭紗様、これ……開けてみてください」
広いバルコニーに置いてあるソファーセットにゆったりと座っていた蘭紗様は、僕が差し出す小さな木箱を不思議な顔で受け取った。
白木の木箱にはアオアイで買い求めた美しいリボンを掛けた。
「これは?」
「僕からの蘭紗様へのお誕生日のお祝いです、こんな素敵な旅行に連れてきてくれたのに、これじゃなんだか釣り合わないんですけどね」
ちょっと恥ずかしくなったけど、引き寄せられて蘭紗様の横に座った。
蘭紗様はしばらく木箱を見つめていたけど、やがてリボンを引っ張ってそれを開けた。
中には僕がこっそり昨日作ったパウンドケーキが入っている。
料理長に相談して、おいしい木の実をたくさん用意してもらって、それをたっぷりと入れた。
砂糖の分量は少し控えめにはしたけどそれでも甘いので、もしかして甘いものが苦手な蘭紗様には苦手分野かもしれないなと思ったのだけど……
料理長いわく『蘭紗様は木の実がお好き』らしいので、少しくらいはおいしいとおもってくれたらいいんだけどな……
「まさかこれは……薫が作ったのか?」
「はい……素人の手作りを王様になんて、考えてみたらおかしいですよね……でも前、留紗と翠と作ったケーキを喜んでたでしょ?……蘭紗様は僕の作るものがお好きなのかな?って」
「……なんというか……胸がいっぱいだよ薫……こんなに幸せでいいのだろうか」
「そんな……まだおいしいかどうかもわかりませんよ?焼き菓子なので味見が出来ないので……あ、そうだ、それに合わせてホイップされたクリームがあるはず!料理長がどこかの容器にいれてくれてるんだった!」
僕は立ち上がってもう一度お料理の入っていた箱を見に行こうとしたが、蘭紗様は僕の右手を引っ張って胸の中に抱きしめた。
「薫……そなたがそばにいることで、我の時間は本当に輝くのだ。それをそなたは理解できているのかな……」
「んと……僕だってそうですけどね……だって蘭紗様素敵だしかっこいいしお優しいし」
「フフ……可愛いことを言うね。このように王妃から手作りの菓子をもらうなど、前代未聞だろうが……これほどの幸せを味わう王も前代未聞に違いない」
「でも……桜様は和菓子職人だった方ですから、王はきっとたくさんお菓子やお料理を食べたと思うんですけど……」
「いや、だがそれは……料理人だったからだろう?薫とは違うだろう?」
「まあ……そうかも?」
蘭紗様はうっとりして僕を見つめて顔中にキスしてくれた。
花のようないい匂いが辺りにたちこめて、胸が苦しくなる。
この人のことが好きという思いだけで体が反応してくるのを感じた。
「あの……喜んでくれてうれしいです、よかったら一口……食べてみますか?甘いのは苦手でしょうけど」
「もちろんだ、クリームはいらないこのまま頂こう。というかこれは……切るのだろうか?」
蘭紗様は木箱の中のパウンドケーキを眺めた。
長方形の型で焼かれてあるので、端からナイフを入れたいところだ。
「ええと、木箱の中に色々お道具入っていましたので、切ってきますね」
僕は道具の入った箱から木のプレートを出してそこにケーキを置き、ナイフで2センチくらいの厚さに切ってみた、なかなか美しい切り口が見えた。
木の実がぎっしりで、少しだけドライフルーツも入れてある。
それを美しい絵付けの豪華なケーキ皿に慎重に置いて、もう一度紅茶を入れるために蘭紗様にお湯を沸かしてもらうようお願いして、ティーセットの用意をした。
デザート用に選んだお茶の葉は、柑橘類の香りがするものだ。
これなら木の実たっぷりのケーキに合うだろうと思った。
僕は慎重に紅茶を用意して、テーブルを整えた。
「蘭紗様どうぞ、用意が出来ましたよ」
「薫は……そのようなことをどうやって身につけたのだ?日本でも使用人がいたであろうに」
「そうですね……家では何もしてなかったですが……日本では家庭科という授業があって、一通りのことを学ぶのですよ……さあ座って!」
いつまでも感心して眺めるだけの蘭紗様を強引に椅子に座らせて、紅茶を進めた。
「……ふむ、良い香りの紅茶だな。どこの紅茶だろうか?」
「えと、これはアオアイで買い求めたんですけど、どこのだろう?柑橘類と紅茶の相性はいいですよね、僕は大好きなんですよ」
蘭紗様はゆっくりとケーキを口に運び、目を瞑り味わっている。
んーちょっと大げさですからね!恥ずかしいから普通に食べてほしいな!
「名店などとは比べられませんが……材料がいいので、結構おいしく焼けてる!」
僕も一口食べてそこそこ美味しくできていてホッとして呟いた。
「いや……おいしいなど……そんな言葉で言い表せるものではないぞ。このように心のこもった品をもらったのは生まれて初めてだ」
「そうですか?……日本では、お誕生日にはケーキを……えとそれは、丸いケーキにクリームで縁取って上にフルーツを飾るような豪華なものですけどね、そういうものでお祝いするのが一般的なんですよ」
「なるほど……誕生日にケーキは、そういう意味もあるのだな……日本の母はみなこのようにケーキを作るのだろうか?」
「あは!それはさすがに皆ではないでしょう。たいていお店で求めるのですよ、でも中には作るのがうまいお母さんもいるんですよ!そういうお母さんは子供の自慢なんです」
「そうだろう……我も翠もそなたが自慢だからな」
「ん……」
僕はケーキを喉につまらせそうになって慌てて紅茶を飲んだ。
「っもう!恥ずかしいことを真顔で言うのやめてくださいってば!」
「ははは!何が恥ずかしいのだ、誰もおらぬぞ」
「まあ、そうですけど!慣れてないんです!」
「そろそろ慣れてくれぬか?」
「んー……考えときます」
「ははは!」
昼過ぎの古城には僕達の笑い声が響き渡った。
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