契約師としてクランに尽くしましたが追い出されたので復讐をしようと思います

夜納木ナヤ

文字の大きさ
12 / 52
第2章~ヴァルキリーを連れ出せ~

ギャルはご機嫌斜めになりました

しおりを挟む
 移動を終えると、カリンの想像以上にご機嫌ナナメだった。同じソファーで隣に座ってはいるものの、体の前で腕を組んだまま、そっぽを向いている。そういえばこのソファー、昨日はなかったはずだ。

「あらあら、喧嘩かしら?」

 イレギュラーの拠点にはティアさんがいた。ミサもどこかにいるらしいのだが、姿は見えない。

「違うし。ヤマトっちが悪いし」
「ヤマトくん、何をしたの?」

 ティアの優しい目が、心配の色を灯す。うーん……まさかここまで怒るとは……。
 心当たりは……なくはない。加護が消えたことを確認できたことで、早く次のヴァルキリーのところへ行きたかった。そのせいで、ゆっくり飛びたがっていたカリンを無視して、全速力で飛行を続けたせいだろう。

「お友達とはちゃんと仲良くしないと」
「お、お友達……?」

 そんなことは考えたこともなかった。大事にしてきたつもりではあるけど、それは…えーっと……なんでだ?
 悩んでいると、カリンがちらっとこちらを向いたのが分かった。

 ちょっと期待しているようだな。これはチャンスか?
 言葉を探していると扉が開き、セイラが目をこすりながら入ってきた。驚いた。まさか一人で歩くことが出来るなんて……。
 感動を覚えていると、金色の髪が揺れ、隣の影は立ち上がった。

「ジークルーネ!?」
「……?シュヴァルトライテ?」

 カリンとセイラ。二人は互いに目を見開き、驚いている。

「そういえば言ってなかったか」
「聞いてないし!……てっきりウチだけかと……」
「今なんて?」
「なんでもないし!」

 セイラはふらふらと歩いてくると、そのままソファーに倒れ込み、頭を俺の膝に乗せてきた。

「ちょっと、なにしてるし!!」
「……眠い」
「いやいや、そんなうらやまし…じゃなかった、そこは枕じゃないし!」

 カリンはセイラを引き剥がそうと手を伸ばした瞬間、黒い光が散った。闇魔法だ。これはいけない。このままではこの場所が吹き飛んでしまう。

「落ち着けカリン」
「なによ、ウチよりその子の方が大事だっていうの!!」
「いやいやそんなつもりは…
「もうっ、ヤマトなんて知らないし!」

 カリンは叫び声を上げると、部屋から飛び出していった。それとは入れ違いに、ミサが戻ってきた。怪訝な顔を浮かべると、俺と、膝の上に眠っているセイラに気がついた。

「戻っていたのかヤマト。それじゃあ今のもヴァルキリーか?」
「察しのいいことで」
「見慣れない外見をしていたからな。あの目の下に塗ってあるものはなんだ?クマを隠しいるわけでもなさそうだし」
 
 アイシャドウのことだろう。そういえば、この世界には同じようなメイクをしている人を見たことがない。そもそもギャルが存在しない。俺にとっては普通の見た目過ぎて忘れていたが、ミサや他の人からしたら違和感があるはずだ。
 ただ彼女がヴァルキリーであるが故に、誰も触れなかっただけなのだ。

「ちょっと行ってくる!」

 セイラの頭をクッションにのせると、慌てて部屋を出た。どこだ?どこへ行った?
 外に出られたら大騒ぎだ。ヴァルキリーが泣きながら町を歩いているなんてことになったら災厄の前兆とか言われかねない。

「なにか、なにかヒントは……」

 シュヴェルトライテは剣の乙女だ。加護を得るには戦いに勝って認められる必要がある。それ故か、戦いに近い場所を望むと言われている。
 
「少年よ、これを持っていけ!」

 屋敷のドアの前まで来ると、鞘に入ったままの剣が飛んできた。見た目の割に軽くて、手に馴染むようだ。
 
「ありがとう、ミサ!」

 片手でそれを掴むと外に出た。
 昼過ぎの町は人が一番溢れる時間で、道なんてまともに歩いていられない。思い切って屋根上に飛び乗ると、金色の髪を探す。
 演習場には……いない、武具屋にも……いない。
 
 くそっ、騒ぎになる前に見つけないと!

 中央広場に来ると噴水の回りが賑わっていた。フリーマーケットや旅人の演奏など、日によって様々な催しが開かれている場所だ。そこで見つけられたのはまさに幸運だったと言えるだろう。
 フリーマーケットの中に、剣を売っている店があったのだ。

「えーっと……お嬢ちゃん、何か買いますか…?」

 剣屋の店主は顔色を伺うように言った。彼の前にいるのは、金髪の乙女、まさに俺が探している人物だ。
 彼女は何も答えない。ただうつろな目で、じっと剣を見つめている。

「はあ、はあ……カリンっ」

 その名前を叫ぶと、肩がビクッと震え、走りだろうとした。俺はなんとか腕を掴むと、必死にその体を止めた。
 それでもカリンは抵抗してくる。

「なにしに来たしっ」

 俺は、何を言ったらいい?機嫌が悪かったのは分かっていたが、なぜ急に出ていってしまったのか分かっていない。
 それでも俺はカリンにいなくなってほしくない。せっかく契約をしてくれたんだ。悲しませるようなことは……って、契約?

 そういえば俺は、カリンと戦ったことがない。加護を得る条件は戦って勝つこと。だったら……。

「カリン、俺と戦ってくれ!」
「は?意味がわからないし」
「俺はカリンにいなくなってほしくない!」
「そ、その…嬉しいけどなんで急に…それにこんなところじゃ……」

 やらかした……。俺たちは、思いっきり注目を集めていた。
 痴話喧嘩だと思ったのか、それとも告白だと思ったのか。どちらにせよ、観衆の目を思いっきり集めてしまった。
 特に女の人の多くは、優しい目で俺を見ている。

「……場所を変えようか」
「……おけまる」

 カリンの顔も赤くなっていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

【完結】帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】  スペイゴール大陸最強の帝国、ユハ帝国。  帝国に仕え、最強の戦力を誇っていたチーム、『デイブレイク』は、突然議会から追放を言い渡される。  しかし帝国は気づいていなかった。彼らの力が帝国を拡大し、恐るべき戦力を誇示していたことに。  自由になった『デイブレイク』のメンバー、エルフのクリス、バランス型のアキラ、強大な魔力を宿すジャック、杖さばきの達人ランラン、絶世の美女シエナは、今まで抑えていた実力を完全開放し、ゼロからユハ帝国を超える国を建国していく。   ※この世界では、杖と魔法を使って戦闘を行います。しかし、あの稲妻型の傷を持つメガネの少年のように戦うわけではありません。どうやって戦うのかは、本文を読んでのお楽しみです。杖で戦う戦士のことを、本文では杖士(ブレイカー)と描写しています。 ※舞台の雰囲気は中世ヨーロッパ〜近世ヨーロッパに近いです。 〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜 ・クリス(男・エルフ・570歳)   チームのリーダー。もともとはエルフの貴族の家系だったため、上品で高潔。白く透明感のある肌に、整った顔立ちである。エルフ特有のとがった耳も特徴的。メンバーからも信頼されているが…… ・アキラ(男・人間・29歳)  杖術、身体能力、頭脳、魔力など、あらゆる面のバランスが取れたチームの主力。独特なユーモアのセンスがあり、ムードメーカーでもある。唯一の弱点が…… ・ジャック(男・人間・34歳)  怪物級の魔力を持つ杖士。その魔力が強大すぎるがゆえに、普段はその魔力を抑え込んでいるため、感情をあまり出さない。チームで唯一の黒人で、ドレッドヘアが特徴的。戦闘で右腕を失って以来義手を装着しているが…… ・ランラン(女・人間・25歳)  優れた杖の腕前を持ち、チームを支える杖士。陽気でチャレンジャーな一面もあり、可愛さも武器である。性格の共通点から、アキラと親しく、親友である。しかし実は…… ・シエナ(女・人間・28歳)  絶世の美女。とはいっても杖士としての実力も高く、アキラと同じくバランス型である。誰もが羨む美貌をもっているが、本人はあまり自信がないらしく、相手の反応を確認しながら静かに話す。あるメンバーのことが……

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

防御力ゼロと追放された盾使い、実は受けたダメージを100倍で反射する最強スキルを持ってました

黒崎隼人
ファンタジー
どんな攻撃も防げない【盾使い】のアッシュは、仲間から「歩く的」と罵られ、理不尽の限りを尽くされてパーティーを追放される。長年想いを寄せた少女にも裏切られ、全てを失った彼が死の淵で目覚めたのは、受けたダメージを百倍にして反射する攻防一体の最強スキルだった! これは、無能と蔑まれた心優しき盾使いが、真の力に目覚め、最高の仲間と出会い、自分を虐げた者たちに鮮やかな鉄槌を下す、痛快な成り上がり英雄譚! 「もうお前たちの壁にはならない」――絶望の底から這い上がった男の、爽快な逆転劇が今、始まる。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

嫁に来た転生悪役令嬢「破滅します!」 俺「大丈夫だ、問題ない(ドラゴン殴りながら)」~ゲームの常識が通用しない辺境領主の無自覚成り上がり~

ちくでん
ファンタジー
「なぜあなたは、私のゲーム知識をことごとく上回ってしまうのですか!?」 魔物だらけの辺境で暮らす主人公ギリアムのもとに、公爵家令嬢ミューゼアが嫁として追放されてきた。実はこのお嫁さん、ゲーム世界に転生してきた転生悪役令嬢だったのです。 本来のゲームでは外道の悪役貴族だったはずのギリアム。ミューゼアは外道貴族に蹂躙される破滅エンドだったはずなのに、なぜかこの世界線では彼ギリアムは想定外に頑張り屋の好青年。彼はミューゼアのゲーム知識をことごとく超えて彼女を仰天させるイレギュラー、『ゲーム世界のルールブレイカー』でした。 ギリアムとミューゼアは、破滅回避のために力を合わせて領地開拓をしていきます。 スローライフ+悪役転生+領地開拓。これは、ゆったりと生活しながらもだんだんと世の中に(意図せず)影響力を発揮していってしまう二人の物語です。

追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る

夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!

処理中です...