契約師としてクランに尽くしましたが追い出されたので復讐をしようと思います

夜納木ナヤ

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第3章~港町での物語~

旅の前にヴァルキリーと話しましょう その2

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 ユミネを執務室から部屋へと送り届けた俺は、ぶらぶらと廊下を歩く。このまま誰にも会わないようだったらそのまま地下牢に行こうと思ったが、反対から歩いてくる騒がしい二人組がいた。

「ちーっす、ヤマトっち、元気ぃ?」

 金色の髪を揺らしながらぶんぶんと手を振るのは、ヴァルキリー1、いやイレギュラー1騒がしい存在だ。
 この世界にギャルはいないのだが、しゃべり方はギャルっぽく、メイクもよく似ている。

「ようカリン。俺はぼちぼちから。カリンに比べたら全然元気じゃないかな」
「そりゃあまあね、ずっとこんなテンションでいたら疲れるわよ普通」

 呆れたように肩をすぼめるのは、アンナだ。真っ赤な髪は遠目でもよく目立ち、ツインテールはゆらゆらと揺れる。カリンがいろいろと育っているのもあるが、二人並ぶと小さな身長が
より際立った。

「えー、そう言いながらいつも一緒に行ってくれるじゃん?」
「放っておくと何をしでかすか分からないからね。仕方なくよ、仕方なく」

 嫌々そうしてますよとばかりに、手をひらひらと振っているが、アンナ自身がその状況を楽しんでいるようにも見えた。

「えーアンナっち釣れないなー」

 カリンも分かっているようで、嬉しそうに抱きついている。本当に仲がいいな、この二人は。

「それでヤマト、アンタはなにしてるのよ」
「あーそうそう、二人に話があるんだ」

 二人は顔を見合わせると静かになり、じっと俺の言葉を待つ。さっきまでの騒がしさとのギャップがすさまじい。

「しばらく帰って来ないからよろしく」
「は?なんでし!!」

 カリンが物凄い剣幕で肩を掴み、前後に激しく揺さぶってくる。アンナに助けを求めようにも、カリン越しに見える顔は不満げだ。

「お、落ち着けって。言い方が悪かった。ちゃんと話すから!」

 揺さぶられて乱れた息を整えていると、カリンも同じように深呼吸をしていた。そのたびに、大きな胸が揺れて、視線をもっていかれそうになるのを必死に抑える。

「イレギュラーの仕事で出かけることになったんだ」
「な、なんだ…びっくりさせないでほしいし」
「なんだと思ったんだよ」
「ウチに愛想が尽きたから実家に帰ります、的な?」

 平日の昼ドラにありそうな展開だ。いや、俺の記憶は結構前だから、今だとトレンドが違ったりするのか?
 なんにせよ、テレビの見すぎだ。この世界にテレビなんてないけどな。

「そうならそうって最初からいいなさいよ」

 アンナはぷいっとそっぽを向いた。こっちはこっちでわかりやすい。

「悪い悪い。だから不安がって、ここを燃やさないでくれよ」
「そんなことしないわよ」

 イレギュラーの支社を燃やした時のことを思い出したのか、その横顔はほんのりと紅い。あの時は泣きながら謝っていたっけ。

「寂しくないよアンナっち!ウチがいるし!」
「いっそカリンも一緒に行って来たら?そしたら静かになってせいせいするわ」
「え、ウチも行っていいし?」

 冗談を真に受け、キリンは目をキラキラさせて迫ってくる。

「悪いけど今回は無理かな。必要なときはお願いするよ」
「えー、意地悪ぅ」

 もちろん本気で怒っているわけではなく、冗談めかして言ってくる。

「ところでヤマト、仕事ってことは誰かと一緒なの?」
「ああ、レティと…」
「「はあ!?」」

 今度は二人同時に迫ってきた。やたら焦っていて、それでいて泣き出しそうだ。

「な、なんだよ一体…」
「そ、それってデートっ!?」
「いや違うから」

 二人の反応を見る限り、女の子と二人旅で喜んでいたなんて、口が裂けても言えない。もし言おうものなら、俺がこの場でぼこぼこにされるか、ティアがこのあとフルボッコにされるか、イレギュラーが燃えるか…どれにせよ、悪いことしか起こらない。

「仕事だ仕事。俺はティアの護衛。護衛が護衛対象に手を出すわけがないだろ?それとも、カリンもアンナも俺のことを信じられないのか?」
「「そ、それは…」」

 二人同時に言葉を区切り、同時に続きを言う。

「信じてるし…」「信じてるわよ…」
「ありがとう。出来るだけ早く帰ってくるようにするから、な?」

 頭に手を乗せると、二人とも触れしそうにはにかんだ。
 これなら、戻ってきたら焼け野原になっていたなんてこともないだろう。

 
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