ワケアリな後輩達しかいないクランを押し付けられました

夜納木ナヤ

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火の国のクエスト

炎の女剣士2

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「ここはどこだ…?」

 目を開けると、見知らぬ天井が見えた。
 

 いろいろな事があった、気がするのだが…思い出せない。
 悪い夢でも見ていたのだろうか?

「なあ、俺はいつから寝ていたんだ?」

 顔を上げると、ミキは顔を真っ赤にして俯いていた。
 エミリはなにか言おうとしているが、リナに後ろから口を塞がれている。

「まあいい。とりあえず現場を見に行こう」

 気がつけば日は暮れていて、外は人工の明かりで照らされていた。

------------------------------------------------------------------
 
 馬車にのせられてやってきたのは、少し離れた場所にある山のふもとだった。

「昼間はこのあたりまでマグマが覆っているのです」

 案内人がそう教えてくれた。
 今は所々に残っているぐらいで、山肌が見えている。

 10分ほど歩くと、マグマが見えてきた。
 もらった地図によると、このあたりが目的地らしい。

「まさに火の国って感じだな」

 燃え盛る炎に、暑い気候。
 イメージする火の国そのまんまだ。

 ひとつ違うことがあるとすれば、やけにじめじめしている。
 汗は肌に張り付くようにじわじわと出てきて、気持ちが悪い。

「きゅ、急に暑くなりましたね」
「まったくよ。本当にその、ホタルってのはいるんでしょうね?」

 ミキは自分の体に風を送ろうと、小さな手をパタパタと動かしている。小動物のような動きをするその隣では、バタバタとエミリが着ている服で仰ぎ、時折腹が見えている。

「いてもおかしくない環境だが、今はそれどころではなさそう」

 リナは険しい表情で、マグマの中心を見つめる。
 そこには炎がヒト型で揺れていた。

 ただ揺れているのではなく、力が集まってる。
 じっと目を凝らすと向こうも見つめ返してきた。黒い2つの目が。

「聞きたいことがある」
「なんだろうか」
「炎に見つめ返されたんだがどう思う?」
「小説の読みすぎじゃない?」

 エミリにだけは言われたくはない。
 小説を10冊捨てた後に、15冊買い足したエミリには。

「私には分かりません」
「私もだ。いや、待て。動き出したぞ」

 俺達の見つめる先で、ヒト型のその腕は振りかざされ、炎が渦となって襲ってくる。

 巻き込まれた石は一瞬で溶けた。

「ミキとエミリは結界の中で待機だ!」
「は、はいっ。壁よ、我らを守れ!結界っ!」

 2人の周囲を、四角の壁が包み込む。

「リサ、思う存分やっちまえ!」
「来たれ炎、我を包み、守り給え!」

 マグマよりも鮮やかで、赤い炎が、リナの周囲を取り巻く。
 彼女が剣を振るうと、陽炎も同じシルエットを描き、迫る炎に激突する。

 威力は圧倒的に勝っていて、炎の渦をかき消した。

 リナの動きは美しく、戦場にいながら見とれてしまう。
 おっと、いけない。

 散った炎の一部が、俺に向かって飛んできている。

「うりゃあああ」

 全力で拳を振りかざす。
 突風が吹き荒れ、その先にあった火の粉をかき消した。

「「おー」」

 障壁の中で、二人が拍手しているのが見えた。
 少しばかり気持ちがいい。だが、喜んでいる場合じゃない。

 別の炎が襲いかかってきて、ミキとエミリを包み込んだ。
 二人なら大丈夫だ。
 ミキが障壁を展開している限り危険はない。

 けれど不安にはなる。
 もし俺が力の流れを見ることが出来なかったら、二人は炎に飲まれているようにしか見えないのだ。

 そして、多分リナには二人が炎に飲み込まれているように見えている。
 表情はみるみるうちに歪んでいく。

「憎い、炎が憎い。私の家族を奪った炎が憎い!」
「リナっ、そっちじゃない!」

 障壁を囲む炎に向かって、リナは飛んだ。
 ハートの髪留めが落ち、黒い髪は真っ赤に染まる。

「障壁を後ろだけ解除!」

 リナの剣は炎をぶった切り、その先にあった障壁までも破壊する。
 そして勢いを残した剣は、まっすぐに、ミキとエミリを捉える。

「あ」

 リナの口から言葉が漏れた。
 けれど、彼女の意志ではどうすることも出来ない。

「コネクトっ」

 思い出す。リナに触れていた感触を。
 肌を通して感じた呼吸を、力の流れる感覚を。
 
 体の中で、なにかが渦巻く。
 熱い。体が燃えるように熱い。

 この力は、炎。

「来たれ炎、我を包み、守り給え!」

 ミキが解除した結界の後ろ側を通り抜けると、ミキとエミリを炎からかばうように立つ。

 そして襲いかかってくる炎に向けて拳を振るった。炎は向きを変え、元いた方向に進んでいき、リサを弾き飛ばした。

「ミキ、エミリ、無事か?」
「平気です。それよりも……」

 ミキの『平気』は大概怪しいが、エミリがなにも言ってこないのだから大丈夫なのだろう。

 それよりも問題なのはリナの方だ。

「わ、私はなんてことを……」

 外傷はない。だが、動くことが出来ない。
 剣を突き刺し、膝をついたままで、下を向いてしまった。
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