ワケアリな後輩達しかいないクランを押し付けられました

夜納木ナヤ

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火の国のクエスト

炎の女剣士4

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「何してる!立ち上がって敵を討て!誰も家族と同じ目に合わせるな!」

 リナの境遇を考えると、厳しい言葉に聞こえるかもしれない。

 憎悪を力に戦うなんて駄目だ。そう言う術師もいる。

 だが、そんなものは偽善だ。綺麗事なんていらない。

 理由なんて何でもいい。
 今必要なのは、リナの戦う気持ちを繋ぎ留めておくことだ。

「ミキとエミリは無事だ。だが次は分からない。やられる前にやるぞ」

 地面を覆うマグマは、確実に範囲を広げている。
 あちこちから炎が吹き出し、一つ一つが小さな火山のようだ。

「炎は全てを破壊する……」

 リナの目が、吹き出す炎をとらえる。
 炎の影に映り込むのは、心配そうに見つめる2人だ。

 リナも気づいたのだろう。
 浮かんでいた憎悪と苦悩は消え、決意の炎が灯る。

「参るっ」

 リナを取り巻く炎が大きくなる。 マグマの上を駆け抜け、中心であろう、ヒト型を切り裂く。

 切れ目から2つに裂け、影は揺らいだ。
 それでも消滅には至らない。
 
 2、3回揺れると、元の姿を取り戻す。

「手応えがない」

 リナは何度も何度も剣を振るう。
 その度に裂け目は増えるが、枝分かれするだけですぐに元に戻ってしまう。

「先輩っ、こいつは本体ではない!」

 飛んでくる火の粉を拳で凪払うと、マグマを見つめる。
 
 これだけの量の炎だ。
 大元は必ず近くにいる。

「真実を映し出せ……開眼っ」

 俺の目は特殊だ。力の流れを視覚することができる。

 見える。マグマの中を渦巻く力の流れが。

 見える。マグマの中を急速に移動する影が。
 
 趣味の悪いことに、その形状はトカゲ。サラマンダーだ。

「ギシャーーー」

 地上に顔を出すと、デカい口を開け、長い舌が飛び出した。

「きゃーーー」

 舌はミキの腕に絡み付き、ものすごい力で引っ張っていく。
 エミリが必死に体を抑えるが、一緒に引きずられるだけだ。

「ざけんじゃねえ!」

 舌をぶん殴ると、その部分が火の粉となって散った。
 だが、それも一瞬だ。

 すぐに復活して、再び引っ張り出す。

 駄目だ。部分的に破壊しても意味がない。
 もっと大元から絶たなくては。

 改めてマグマに目を向ける。ブクブクと泡を立てる火の海。

 その中心は……あった。一際強い力を放つ場所が。

「リナ、下だ!影の下に塊がある!」
「そんな曖昧な……いや、分かった」

 リナは剣を地面に突き刺した。
 
「炎よ、周囲のものを吹き上げよ!」

 地中の奥深くから炎が吹き上がり、土やマグマを打ち上げる。

「先輩、あれだ!」

 見つけた。黒いオーラを放つ真っ黒な石を。こいつが力の中心だ。

「エミリっ、邪気を祓ってくれ!」
「今、手が離せないわ!」

サラマンダーも宙に舞ったが、舌はミキを捉えたままだ。

「しょうがねえなっ」

 エミリとミキをふたりとも両腕に抱えると全力で飛んだ。

「まったく、強引なんだから」

 エミリは空間を切り取ると、杖を取り出した。

「忌まわしきなにかよ、どっかに飛んでっちゃいなさい!」

 杖から放たれた光は石を包み、黒いオーラを浄化していく。

 サラマンダーは動きを止め、ミキは舌の束縛から解放される。

 逃げるようにして、石から何かが飛び出し、マグマと一体となっていく。

「リナっ、悪いっ、トドメを頼む!」
「また悪い癖が出ているぞ!」

 リナはマグマを焼き払った。1ミリのホコリも残さずに。

 残ったのは、小さな石だけ。その石も吹き飛んでいき、崖下に消えていった。
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