ワケアリな後輩達しかいないクランを押し付けられました

夜納木ナヤ

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依頼とお告げ

依頼とお告げ8

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 しばらく撫でていると、頭が動き、ゆっくりと目が明けられた。

「お兄ちゃん…?」

 だいぶ寝ぼけている様だ。

「おはよう、エミリ」
「うん、おはよう……ここは……って、うわっ!?」

 嫌そうな声を上げると、スッと立ち上がり、俺の背中に隠れてしまった。
 俺を嫌がったのかとショックを受けかけたが、どうやらおっちゃんにびっくりしたようだ。

「この状況は……思い出した!ロマネのお墓詣り!」

 おっちゃんはエミリに気が付いたようで、俺越しに頭を下げた。

「ありがとう」
「私は別になにも……」

 エミリは無視することができず、俺の服を掴みながら答えた。

「君が守ってくれたおかげで、私はロマネに出会えたんだ」
「もしかしてエミリのことを知っていたんですか?」
「具体的なことは知らない。けれどよく言っていたよ。『お姉ちゃんが私を守ってくれた』と。実はね、ロマネを引き取った後、エミリさんはずっと探していたんだ。叶うのならば、姉妹一緒にいてほしかった。やはり私は遅すぎる」

 遅すぎる、か。
 誰にだって後悔はある。それは俺も同じだ。

 リナの家族を助けられていたら……。
 ミキが傷つく前に家から引き離せていたら……。
 エミリをもっと早く見つけられていたら……。

 きっと三人の未来は変わっていた。

「君にお願いがある」

 おっちゃんは真剣な目を向けてくる。

「なんでしょうか?」
「私の領地を半分もらってくれないだろうか。最初の報酬だけでは感謝を表しきれない」
「いやそれは……」

 正直困った。ああ言えば断られると思って言っただけで、領地なんていらない。むしろ迷惑だ。

「お兄ちゃ……先輩、私からのお願い。いいですか?」
「なんだ?」

 エミリは怯えながらも、背中越しに顔だけを出した。

「私たちと同じような子を、これからも救ってくれませんか?きっとあなたなら、傷ついた私たちも助けられると思います。私たちの先輩、クラン・スイレンのリーダーのように」

 エミリは言い終えると、また隠れてしまった。頭では大丈夫とわかっていても、体はまだ駄目みたいだ。ブルブルと震えている。
 
 頑張ったな。あとで褒めてやらないと。

「分かった。私の領地の半分はそのように使おう」
「そこまでしなくても……」
「どのみち、この土地のすべてはロマネのものになるはずだったんだ。変わらないさ」

 おっちゃんはそう言うと、微笑んだ。

「土地の一角は君たちのためにあけておく。いつでも見に来てくれ」

 思わず断ろうとして、言葉を飲み込んだ。
 きっとおっちゃんなりの贖罪だ。

 娘を救えなかった自分への。だったら俺たちは見守ろう。

 それに、ここに来ればエミリの妹にも会える。

「ひとつ、条件があります。毎年の今日、俺達を招いてください」
「それは……分かった。約束しよう」
「先輩、ありがとう」

 エミリが背中に頬をよせてくる。
 正直くすぐったい。だが、悪い気はしない。

 彼女はいつか俺離れをするだろう。
 その時までは、この状態を楽しんでも文句は言われないだろう。

「では来年、またお会いしましょう」

 いつの間にか日は暮れていて、夜が始まっている。
 苦手なはずの闇。それでもエミリは怯えるどころか、笑顔を浮かべていた。
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