レベルってなんですか?

Nombre

文字の大きさ
153 / 244
第三章「レゼンタック」

第十六話「報告」

しおりを挟む
 ハリソン君は銃の入った黒いバッグと紙を持って運動場に入って来るや否や、ノアの前に堂々と立った。

「おう!ハリソン!」
「合格したのか?」

「あたりまえですよ」
「しかも満点でな!」

 ハリソン君は俺の前に回答用紙を突き出す。

 本当に満点を取ったようだ。

「よし、じゃあお前ら同期って事だな!」
「仲よくしろよ!」

 ノアはそう言うと、俺とハリソン君の肩を強く叩いた。

「おい、アレン」
「俺とお前はド・ウ・キだからな」
「ちょっと早くテストに受かったからって先輩面するなよ!」

「あぁ……うん」

 もともと先輩面なんてするつもりは微塵もなかった。
 だが、ハリソン君が俺の事を下に見ているのは確実なので、同等の立ち位置ということは早めに分からせてやりたい。

「ノアさん、いまからアレンと訓練したいんですけどいいですか?」

 ハリソン君は持っていた黒いバッグを地面に置く。

「そうだな……アレンはどうする?」

「右手の握力がもう無い」

「そうか、じゃあそれは明日だな!」

 ノアはそう言うと、武器を片づけ始めた。


「まぁ、そんなちっこい武器を使ってるやつの実力なんて明らかだけどな」

 ハリソン君は俺の全身を舐め回すように見ると、地面に置いたバッグを拾い上げて運動場を出ようとする。

「おい!ハリソン!」
「明日は12時ぐらいに昼飯を済ませて4階にこいよ!!」
「明日から外出るからな!!」

「はーーい!」

「アレンも今日は帰っていいぞ!!」
「集合時間は今、言った通りだ」

「はーーい」

 俺は武器庫から頭を出しているノアに返事をすると、ハリソン君を追うように運動場を後にした。


 なんとか逃げれたか……

 いや、俺は逃げた訳じゃない。
 フェアに戦いたかっただけだ。

 とりあえず、帰る前にアメリアさんを探そう。


 総合受付の方に向かおうとすると、ちょうどアメリアさんが階段から降りてきた。

「あ、アメリアさん!」
「昨日はありがとうございました」

 俺はアメリアさんに向かって深く頭を下げる。

「いいのいいの!」
「お礼はトレバーさんに言って!」

 顔を上げると、アメリアさんのいつもの美しい笑顔を俺に向けてくれた。

「アレンくんは今日はもう終わり?」

「はい、そうです」

「今日ね、ケイちゃんが頭痛いって早退してるから、帰ったら面倒見てあげてね」
「それじゃあお疲れ様!」

 アメリアさんはそう言い残すと受付の裏口に入ってしまった。

 ……もう少しお話したかったな。

 それにしても、ケイは体調不良か。
 昨日、雨に打たれたのが原因で風邪でも引いたかな。


 鍵は俺が持ってるからケイは部屋に入れないだろうし小走りで帰るか……
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

俺は普通の高校生なので、

雨ノ千雨
ファンタジー
普通の高校生として生きていく。その為の手段は問わない。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

自力で帰還した錬金術師の爛れた日常

ちょす氏
ファンタジー
「この先は分からないな」 帰れると言っても、時間まで同じかどうかわからない。 さて。 「とりあえず──妹と家族は救わないと」 あと金持ちになって、ニート三昧だな。 こっちは地球と環境が違いすぎるし。 やりたい事が多いな。 「さ、お別れの時間だ」 これは、異世界で全てを手に入れた男の爛れた日常の物語である。 ※物語に出てくる組織、人物など全てフィクションです。 ※主人公の癖が若干終わっているのは師匠のせいです。 ゆっくり投稿です。

30年待たされた異世界転移

明之 想
ファンタジー
 気づけば異世界にいた10歳のぼく。 「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」  こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。  右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。  でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。  あの日見た夢の続きを信じて。  ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!  くじけそうになっても努力を続け。  そうして、30年が経過。  ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。  しかも、20歳も若返った姿で。  異世界と日本の2つの世界で、  20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

処理中です...