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第三章「レゼンタック」

第七十五話「亀猿」

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「馬鹿!泣いてる場合じゃないだろハリソン!」
「通信機はどうした!」

「壊されちまった……、それよりあのモンスターは?」

「俺の秘密兵器だ、あとで説明する」
「とにかく俺の通信機で応援を呼べ、その銃はいつでも撃てるように構えておけよ!」

「でも……、あいつに……、銃弾は……、効かない」

「でもじゃない、俺がなんとかするから」
「いいから核が見えたら撃てよ」
「クラレ」

 俺はハリソンを木陰に降ろし、ベルトに付いていた通信機をもぎ取ってハリソンに渡すと、鞘に納めた短剣を再び抜く。
 ハリソンもかなり消耗しているようだが一発ぐらい撃って貰わないと困る。

 目の前にいる新種のモンスターは外核を持ったオニのような姿をしているが、こめかみから生えている角と腕の長さはあのクソ猿の特徴と一致している。
 おそらくグシオタルガとウオヴォシミアの賭け合わせだ。


 グジュンッ

 亀猿は召喚獣に噛まれているのを何も気にせず脱皮を始める。
 おそらく、これがアイツの特徴だ。

「アイツにこれ以上、脱皮をさせるな!」
「今よりもでかくなるぞ!」

 ……なるほど。
 ここまでデカいのはハリソンのせいってわけか。


「蹴り飛ばせ!」

 俺がそう言うと、召喚獣は大きく円を描くように助走をつけ、その筋肉質な脚を亀猿に叩きつける。
 亀猿は特に防御姿勢を取ることなく後方に吹っ飛び、木を背にして止まった。


 とにかく作戦と戦略が必要だ。

 変に時間稼ぎをして応援を待つのも危険だ。
 逃げるにもアイツには遠距離の攻撃手段がある。
 ということは、アイツを殺すしか道は無い。

 まず、とにかく攻撃を加えて脱皮をさせ続けるのはダメだ。
 脱皮には相当な体力を消費しそうなイメージだが、ここに来るまでに見た抜け殻の数を見るにあまり期待しない方がいいだろう。

「<弱点感知>」

 やっぱり核を狙うしかないな……
 だがアイツは今、おそらくソフトシェル状態だ。

 俺の短剣が負ける。
 だがハリソンのお高い銃の性能とこの距離なら核だけなら……

 その為には核をハリソンに直接狙ってもらうために核を露出させる必要がある。
 連続攻撃で頭の外核、皮、筋肉を剥ぎ骨を力づくでぶち壊すしかなさそうだ。


 俺が覚悟を決めて短剣を構えると、亀猿が近くにあった岩を片手で地面から引っこ抜いて手の中で握りつぶす。
 目線がこっちを向いていない。

「止めろ!」

 俺が召喚獣にそう言うと同時に亀猿は石を持ったまま大きく振りかぶる。
 距離を取ったのが仇になった。

 くそ……、間に合わない……
 判断を間違えた。

「<挑発>」

 亀猿の殺気が俺に向かったのが肌にピリピリと伝わる。


 上等だ、全部避けてやらぁ
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