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本編
上村兵庫允長種
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「父上様!」
「!? たま?! なぜここにいる?!」
「父上様をお助けに参りました!」
「助ける? どう言う意味だ?!」
「伯父上が父上様を殺すようだと文が参りました!」
「埒もない噂だ! 兄上が私を殺そうとするはずがない」
「しかし父上様を心配しした者が私に文を送って来たのです」
「それはいったい誰なのだ?」
「途中で奪われるのを恐れたのか、氏名は書いておりませんでした」
「それ見たことか、私と兄上の間を割く為の離間の策じゃ、うまうまと乗せられるでない!」
「では真実か嘘か確かめてみたらどうだ?」
側でじっと聞いていた俺は、今がタイミング的によいと判断して口出しすることにした。
「そなたは何者だ?」
上村長種から見たら俺は子供でしかないから、娘についてきた小姓が何を言いだすのかと疑問に思っただろう。
「余は正三位・多禰国・大隅国国司兼守護・種子島恵時が嫡男・種子島左兵衛尉時堯だ」
「なに!?」
上村長種は素早く娘を背に庇うと脇差を抜いて身構えた。その上で俺への視線を外す事無く、佩刀を確保すべく刀置きに近づこうとした。
「たま殿に頼まれて兵庫允を助けに来たのだが、信じる事が出来ないのなら、わざと隙を見せて左兵衛尉の本心を確かめてみろと言っておる」
「確かめる必要などない!」
「命懸けで里帰りした娘の真心と、義父を助けたいと俺に頭を下げた婿の真心をむげにするのか?」
「それは!」
「家臣を連れず武器も持たず左兵衛尉に会いに行けば、真実を知ることが出来るのではないか?」
「父上様! お願いでございます!」
父を想う娘の気持ちに意地を張ることが出来なくなったのだろう、兵庫允は俺を小姓にして2人だけで兄・左兵衛尉に会うため上村城に向かった。だが娘・たまのことは心配だったのだろう、八代中島の館には手勢を集めて守りを固めさせた。
上村城に着くと、刀も持たず7歳児の俺だけを連れた兵庫允を無害と判断したのだろう、左兵衛尉は俺ともども兵庫允を城の奥深くまで迎え入れた。
「兄上、今日は確かめたいことがあって参りました」
「何事だ兵庫允?」
「兄上が私を討つと言う噂が、大隅のたまの所にまで届きたまが心を痛めております。今ここでそのような事などないと誓って頂きたい」
「くっくくくくぅ! 愚かな事だな兵庫允!」
「どうやって呼びだしてだまし討ちにするか悩んでおったが、のこのこと自分から出向いてきたか!」
「兄上!」
「やってしまえ!」
三流の悪役そのものの姿で、左兵衛尉は弟・兵庫允を殺すように配下に命じたが、俺がここにいる以上そう簡単に兵庫允を殺させはしない。
「そうはさせん!」
俺の裂帛の気合の籠った言葉に、左兵衛尉とその配下は動きを止めた。
「何者だ?!」
「種子島左兵衛尉時堯推参!」
俺は名乗ると共に上村上総介頼興主従をぶちのめした!
もちろん貴重な労働力だから殺しはしないが、暫らく足腰が経たないくらい叩きのめしてやった。だがまあ後遺症が残らないようには十分配慮した。上村城を無力化した後は、兵庫允とたまを国分清水城に連れ帰った。兵庫允の家臣たちには徒歩で国分清水城にまで来るように指示したが、これは今しばらくは肥後にまで手を伸ばせないからだった。
「!? たま?! なぜここにいる?!」
「父上様をお助けに参りました!」
「助ける? どう言う意味だ?!」
「伯父上が父上様を殺すようだと文が参りました!」
「埒もない噂だ! 兄上が私を殺そうとするはずがない」
「しかし父上様を心配しした者が私に文を送って来たのです」
「それはいったい誰なのだ?」
「途中で奪われるのを恐れたのか、氏名は書いておりませんでした」
「それ見たことか、私と兄上の間を割く為の離間の策じゃ、うまうまと乗せられるでない!」
「では真実か嘘か確かめてみたらどうだ?」
側でじっと聞いていた俺は、今がタイミング的によいと判断して口出しすることにした。
「そなたは何者だ?」
上村長種から見たら俺は子供でしかないから、娘についてきた小姓が何を言いだすのかと疑問に思っただろう。
「余は正三位・多禰国・大隅国国司兼守護・種子島恵時が嫡男・種子島左兵衛尉時堯だ」
「なに!?」
上村長種は素早く娘を背に庇うと脇差を抜いて身構えた。その上で俺への視線を外す事無く、佩刀を確保すべく刀置きに近づこうとした。
「たま殿に頼まれて兵庫允を助けに来たのだが、信じる事が出来ないのなら、わざと隙を見せて左兵衛尉の本心を確かめてみろと言っておる」
「確かめる必要などない!」
「命懸けで里帰りした娘の真心と、義父を助けたいと俺に頭を下げた婿の真心をむげにするのか?」
「それは!」
「家臣を連れず武器も持たず左兵衛尉に会いに行けば、真実を知ることが出来るのではないか?」
「父上様! お願いでございます!」
父を想う娘の気持ちに意地を張ることが出来なくなったのだろう、兵庫允は俺を小姓にして2人だけで兄・左兵衛尉に会うため上村城に向かった。だが娘・たまのことは心配だったのだろう、八代中島の館には手勢を集めて守りを固めさせた。
上村城に着くと、刀も持たず7歳児の俺だけを連れた兵庫允を無害と判断したのだろう、左兵衛尉は俺ともども兵庫允を城の奥深くまで迎え入れた。
「兄上、今日は確かめたいことがあって参りました」
「何事だ兵庫允?」
「兄上が私を討つと言う噂が、大隅のたまの所にまで届きたまが心を痛めております。今ここでそのような事などないと誓って頂きたい」
「くっくくくくぅ! 愚かな事だな兵庫允!」
「どうやって呼びだしてだまし討ちにするか悩んでおったが、のこのこと自分から出向いてきたか!」
「兄上!」
「やってしまえ!」
三流の悪役そのものの姿で、左兵衛尉は弟・兵庫允を殺すように配下に命じたが、俺がここにいる以上そう簡単に兵庫允を殺させはしない。
「そうはさせん!」
俺の裂帛の気合の籠った言葉に、左兵衛尉とその配下は動きを止めた。
「何者だ?!」
「種子島左兵衛尉時堯推参!」
俺は名乗ると共に上村上総介頼興主従をぶちのめした!
もちろん貴重な労働力だから殺しはしないが、暫らく足腰が経たないくらい叩きのめしてやった。だがまあ後遺症が残らないようには十分配慮した。上村城を無力化した後は、兵庫允とたまを国分清水城に連れ帰った。兵庫允の家臣たちには徒歩で国分清水城にまで来るように指示したが、これは今しばらくは肥後にまで手を伸ばせないからだった。
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