魔法武士・種子島時堯

克全

文字の大きさ
220 / 300
本編

足立光永・足立基助・芦田国住

しおりを挟む
  宇津頼重とその一族郎党を捕え、朝廷の依頼を受ける形で裁判を行った。罪状はもちろん御領所の横領であるから、結果は重罪に決まっていた。結論から言うと宇津頼重と妻子は六条河原で打ち首獄門となり、首級は全て三条大橋のたもとにさらすことになった。残った一族郎党は、犯罪者奴隷と言う扱いになり、危険で苦しい鉱山夫として死ぬまで働かせる事にした。

 この措置は全国の国衆に大きな衝撃を与えた!

 今までは、俺に降伏臣従を誓えば御領所や荘園の横領罪も領地の削減で済んでいた。最悪でも全領地は没収されたが、領地に見合うだけの扶持を与えられて種子島家の家臣になる事が出来た。

 しかし今回は、朝廷の意向を受けて完全に犯罪者として扱われ、妻子共々打ち首獄門の上で晒し者にまでされたのだ。今現在御領や野荘園を横領している者は、いつ俺が空を翔けて襲撃に現れるか戦々恐々せんせんきょうきょうとし、眠れる夜を過ごすことになったようだ。

 何と言っても軍勢を整えて丹波に攻め込んだのではなく、単騎で空を飛んで攻撃を仕掛け、城を破壊して罠を仕掛けた城兵全員を捕えたのだ。どれほど遠隔地であろうと、朝廷が御領所・荘園の回復を望んで勅命を下せば、その日のうちに俺が攻め込む可能性すらあるのだ、やましい所がある国衆は恐ろしくて当然だろう。特に朝廷から返還の使者がやって来た、丹波・丹後・播磨の大名国衆は明日は我が身と思っただろう。

 さて、全ての書類仕事が終わったころには、丹波・丹後・播磨の大名国衆から御領所・荘園の返還を申し出る使者が我が屋敷と朝廷にやって来ていた。だが俺が直接会う事はせず、全ては畿内方面軍を統括している徳丸白虎が、検非違使けびいしを兼職する衛門府の担当官に任せていた。

 理由は簡単な話で、今回の事は種子島家の私戦私刑では無く、朝廷の命令で公儀大儀の裁きだと印象付ける為だ。そういう前提条件があった上で、朝廷から全国津々浦々の大名・国衆・地侍に対して、御領所・荘園の返還を命ずる使者が向かった。

 即座に反応をしたのが俺が攻め込んでいる丹波の国衆で、横領した御領所・荘園を返還しただけでは、俺に臣従を誓った赤井時家や籾井教業に攻め込む大義名分を与えると思ったのだろう。降伏臣従を誓う使者として、人質となる嫡男や嫡弟を送り込んで来た。

 最初にやって来たのは赤井時家と交友のあった遠坂城主・足立光永と同族の山垣城主・足立基助、それに小室城主・芦田国住だった。

 足立基助は山垣城を中心に遠坂城、田の口城、小和田城など支城を築き氷上郡北部に勢力圏を築いていたが、芦田国住も負けてはおらず小室城を拠点に氷上郡南部に拠点を築いていた。互いに氷上郡の覇権をかけて争っていたが、決定的な勝敗がつかず消耗戦になっていた。

 足立基助は俺の家臣となる事で、氷上郡の覇権争いに勝とうとしたのだろうが、芦田国住も馬鹿ではなく忍びを山垣城に入れており、足立基助の動きを逸早くつかみ籾井教業を通して俺に降伏臣従をしてきた。

 俺の大名・国衆に対する基本政策を熟知している徳丸白虎や検非違使担当官たちは、大名・国衆の勢力を削ぐような条件で降伏臣従を認める事にした。俺のする事は、ただ謁見するだけだった。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

転生後はゆっくりと

衣更月
ファンタジー
貧しい集落で生まれたリリは、生まれた瞬間から前世の記憶があった。 日本人特有の”配慮”に徹した赤ん坊を演じていたことで、両親から距離を置かれた挙句、村人からも「不気味な子」として敬遠されることに…。 そして、5才の誕生日に遠くの町に捨てられた。 でも、リリは悲観しない。 前世の知識チートは出来ないけど、大人メンタルで堅実に。 目指すは憧れのスローライフが出来るほど、ほどほどの守銭奴としてリリは異世界人として順応していく。 全25話(予定)

ナイスミドルな国王に生まれ変わったことを利用してヒロインを成敗する

ぴぴみ
恋愛
少し前まで普通のアラサーOLだった莉乃。ある時目を覚ますとなんだか身体が重いことに気がついて…。声は低いバリトン。鏡に写るはナイスミドルなおじ様。 皆畏れるような眼差しで私を陛下と呼ぶ。 ヒロインが悪役令嬢からの被害を訴える。元女として前世の記憶持ちとしてこの状況違和感しかないのですが…。 なんとか成敗してみたい。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり
ファンタジー
別の世界からの侵略を機に地球にばらまかれた魔素、元々なかった魔素の影響を受け徐々に人間は進化をする。 魔法が使えるようになった人類。 侵略者の想像を超え人類は魔改造されていく。 カクヨム公開中。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

処理中です...