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第一章
2話
「ジェダ辺境伯家のレアラ殿と、バーブランド男爵家のエマ殿の、婚約の解消を命じる」
「何故でございますか」
「新たな王国法により、貴族同士の勝手な婚約や結婚は禁じられる」
「しかしながら、その新たな法律が定められる前に、レアラ様とエマ様の婚約は決められています」
ジェダ辺境伯家とバーブランド男爵家の王都用人が、揃って王城に呼び出されて、両家の婚約を破棄するように命じられました。
どこをどう考えても、王太子殿下による横車でした。
両家の用人が厳重に抗議しましたが、王家の役人は、全く聞く耳を持たない状態でした。
「しかしながら、ここまで強硬なのは何故なのでしょう」
「何か裏があると申されるのか」
「はい。
遂に王家が外様を潰す気になったのかもしれません」
「時が参りましたな」
ジェダ辺境伯家とバーブランド男爵家の王都用人は、互いの情報を話し合いました。
その結果、王家がここまで強硬になった原因を予想して、最悪の状態だと結論を下しました。
そうなのです。
王家は、邪魔な外様貴族を潰す決断をしたのです。
そして最初の目標に、外様貴族最大のジェダ辺境伯家に狙いを定めたのです。
本当なら、当主が王都に出仕している時に、強襲して殺したかったのでしょう。
ですが、愚かで色魔の王太子が、その前にジェダ辺境伯家に喧嘩を売ったしまったのです。
この状況では、ジェダ辺境伯家が王都に出てくることはありません。
しかしながら、王都には貴族の妻子が人質として住まわされています。
ジェダ辺境伯家が王家に叛旗を翻したら、私はもちろん、辺境伯の妻子も殺されてしまいます。
実家の母と兄弟姉妹も殺されるでしょう。
自分が助かりたかったり、母や兄弟姉妹を助けたかったら、王太子の愛人になるしかありません。
ですが、そんな事は絶対嫌です。
譜代の腰抜け貴族の姫ならば、命惜しさに色魔に身を任せるかもしれません。
しかしながら、我ら外様貴族は、女子供であろうと、勇猛でうたわれた戦士なのです。
絶対に王太子の閨に侍ったりはしません。
誇りを胸に、潔くこの命を絶ちます。
いや、一兵でも多くの王国兵を道連れにして見せます。
私も聖女と呼ばれた女です。
戦闘侍女に癒し力を与え、見事王国軍を撃退して見せます。
「姫様。
領地まで落ち延びますので、御準備願います」
「ここに籠城するのではないのですか」
「ここにいれば、奮戦は出来ても必ず負けます。
それでは若様に対して申し訳が立ちません。
何があっても、姫様を領地まで御連れ致します」
まあ、なんてことでしょう。
私は戦って死ぬこばかり考えていましたが、ネラは生きて領地に帰る事を考えていたようです。
私はまだまだ至りませんね。
「何故でございますか」
「新たな王国法により、貴族同士の勝手な婚約や結婚は禁じられる」
「しかしながら、その新たな法律が定められる前に、レアラ様とエマ様の婚約は決められています」
ジェダ辺境伯家とバーブランド男爵家の王都用人が、揃って王城に呼び出されて、両家の婚約を破棄するように命じられました。
どこをどう考えても、王太子殿下による横車でした。
両家の用人が厳重に抗議しましたが、王家の役人は、全く聞く耳を持たない状態でした。
「しかしながら、ここまで強硬なのは何故なのでしょう」
「何か裏があると申されるのか」
「はい。
遂に王家が外様を潰す気になったのかもしれません」
「時が参りましたな」
ジェダ辺境伯家とバーブランド男爵家の王都用人は、互いの情報を話し合いました。
その結果、王家がここまで強硬になった原因を予想して、最悪の状態だと結論を下しました。
そうなのです。
王家は、邪魔な外様貴族を潰す決断をしたのです。
そして最初の目標に、外様貴族最大のジェダ辺境伯家に狙いを定めたのです。
本当なら、当主が王都に出仕している時に、強襲して殺したかったのでしょう。
ですが、愚かで色魔の王太子が、その前にジェダ辺境伯家に喧嘩を売ったしまったのです。
この状況では、ジェダ辺境伯家が王都に出てくることはありません。
しかしながら、王都には貴族の妻子が人質として住まわされています。
ジェダ辺境伯家が王家に叛旗を翻したら、私はもちろん、辺境伯の妻子も殺されてしまいます。
実家の母と兄弟姉妹も殺されるでしょう。
自分が助かりたかったり、母や兄弟姉妹を助けたかったら、王太子の愛人になるしかありません。
ですが、そんな事は絶対嫌です。
譜代の腰抜け貴族の姫ならば、命惜しさに色魔に身を任せるかもしれません。
しかしながら、我ら外様貴族は、女子供であろうと、勇猛でうたわれた戦士なのです。
絶対に王太子の閨に侍ったりはしません。
誇りを胸に、潔くこの命を絶ちます。
いや、一兵でも多くの王国兵を道連れにして見せます。
私も聖女と呼ばれた女です。
戦闘侍女に癒し力を与え、見事王国軍を撃退して見せます。
「姫様。
領地まで落ち延びますので、御準備願います」
「ここに籠城するのではないのですか」
「ここにいれば、奮戦は出来ても必ず負けます。
それでは若様に対して申し訳が立ちません。
何があっても、姫様を領地まで御連れ致します」
まあ、なんてことでしょう。
私は戦って死ぬこばかり考えていましたが、ネラは生きて領地に帰る事を考えていたようです。
私はまだまだ至りませんね。
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