王太子に愛する人との婚約を破棄させられたので、国を滅ぼします。

克全

文字の大きさ
3 / 27
第一章

2話

「ジェダ辺境伯家のレアラ殿と、バーブランド男爵家のエマ殿の、婚約の解消を命じる」
「何故でございますか」
「新たな王国法により、貴族同士の勝手な婚約や結婚は禁じられる」
「しかしながら、その新たな法律が定められる前に、レアラ様とエマ様の婚約は決められています」

 ジェダ辺境伯家とバーブランド男爵家の王都用人が、揃って王城に呼び出されて、両家の婚約を破棄するように命じられました。
 どこをどう考えても、王太子殿下による横車でした。
 両家の用人が厳重に抗議しましたが、王家の役人は、全く聞く耳を持たない状態でした。

「しかしながら、ここまで強硬なのは何故なのでしょう」
「何か裏があると申されるのか」
「はい。
 遂に王家が外様を潰す気になったのかもしれません」
「時が参りましたな」

 ジェダ辺境伯家とバーブランド男爵家の王都用人は、互いの情報を話し合いました。
 その結果、王家がここまで強硬になった原因を予想して、最悪の状態だと結論を下しました。
 そうなのです。
 王家は、邪魔な外様貴族を潰す決断をしたのです。

 そして最初の目標に、外様貴族最大のジェダ辺境伯家に狙いを定めたのです。
 本当なら、当主が王都に出仕している時に、強襲して殺したかったのでしょう。
 ですが、愚かで色魔の王太子が、その前にジェダ辺境伯家に喧嘩を売ったしまったのです。
 この状況では、ジェダ辺境伯家が王都に出てくることはありません。

 しかしながら、王都には貴族の妻子が人質として住まわされています。
 ジェダ辺境伯家が王家に叛旗を翻したら、私はもちろん、辺境伯の妻子も殺されてしまいます。
 実家の母と兄弟姉妹も殺されるでしょう。
 自分が助かりたかったり、母や兄弟姉妹を助けたかったら、王太子の愛人になるしかありません。

 ですが、そんな事は絶対嫌です。
 譜代の腰抜け貴族の姫ならば、命惜しさに色魔に身を任せるかもしれません。
 しかしながら、我ら外様貴族は、女子供であろうと、勇猛でうたわれた戦士なのです。
 絶対に王太子の閨に侍ったりはしません。

 誇りを胸に、潔くこの命を絶ちます。
 いや、一兵でも多くの王国兵を道連れにして見せます。
 私も聖女と呼ばれた女です。
 戦闘侍女に癒し力を与え、見事王国軍を撃退して見せます。

「姫様。
 領地まで落ち延びますので、御準備願います」
「ここに籠城するのではないのですか」
「ここにいれば、奮戦は出来ても必ず負けます。
 それでは若様に対して申し訳が立ちません。
 何があっても、姫様を領地まで御連れ致します」

 まあ、なんてことでしょう。
 私は戦って死ぬこばかり考えていましたが、ネラは生きて領地に帰る事を考えていたようです。
 私はまだまだ至りませんね。
感想 18

あなたにおすすめの小説

「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった

歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。 だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」 追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。 一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。 誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。 「その言葉は、もう翻訳できません」

短編)どうぞ、勝手に滅んでください。

黑野羊
恋愛
二度も捨てられた聖女です。真実の愛を見つけたので、国は救いません。 あらすじ) 大陸中央にあるルオーゴ王国で、国を守る結界を維持してきた聖女ロザリア。 政略のため王太子と婚約していた彼女は、突如『真の聖女』が現れたとして婚約を破棄され、聖女の座を追われてしまう。さらに、代わりに婚姻しろと命じられた聖騎士からも拒絶され、実家にも見捨てられたロザリアは、『最果ての修道院』へと追放された。 けれど彼女はそこで、地位や栄光、贅沢などとはほど遠い、無条件に寄り添ってくれる『真実の愛』と穏やかな日々を手にいれる。 やがて聖女を失った王国は、崩壊へ向かっていき――。 ーーー ※カクヨム、なろうにも掲載しています

ベッドの上で婚約破棄されました

フーツラ
恋愛
 伯令嬢ニーナはベッドの上で婚約破棄を宣告された。相手は侯爵家嫡男、ハロルド。しかし、彼の瞳には涙が溜まっている。何か事情がありそうだ。

すみっこ婚約破棄同盟〜王子様による婚約破棄のすみっこで〜

まりー
恋愛
   ある夜会で王子とその側近達の婚約破棄が行われた。腕に恋人をぶら下げて。所謂、王道断罪劇である。  でもこのお話の主役は麗しのヒロインでも、キラキラ王子でも、学園一の秀才や騎士団期待のホープでもない。これは王道のすみっこで行われた、弱小貴族と商人の子息たちの婚約破棄のお話である。 _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ 「もう俺ら、恋なんてしない!」と言う小学生の息子の話を参考に書きました。登場人物の男子たちの頭は小学生レベルだと思って読んでください。    

無能な悪役令嬢は静かに暮らしたいだけなのに、超有能な側近たちの勘違いで救国の聖女になってしまいました

黒崎隼人
ファンタジー
乙女ゲームの悪役令嬢イザベラに転生した私の夢は、破滅フラグを回避して「悠々自適なニート生活」を送ること!そのために王太子との婚約を破棄しようとしただけなのに…「疲れたわ」と呟けば政敵が消え、「甘いものが食べたい」と言えば新商品が国を潤し、「虫が嫌」と漏らせば魔物の巣が消滅!? 私は何もしていないのに、超有能な側近たちの暴走(という名の忠誠心)が止まらない!やめて!私は聖女でも策略家でもない、ただの無能な怠け者なのよ!本人の意思とは裏腹に、勘違いで国を救ってしまう悪役令嬢の、全力で何もしない救国ファンタジー、ここに開幕!

婚約破棄!ついでに王子をどん底に突き落とす。

鏡おもち
恋愛
公爵令嬢パルメは、王立学院のパーティーで第一王子リュントから公開婚約破棄を突きつけられる。しかし、周囲の同情をよそにパルメは歓喜した。

「聖女はもう用済み」と言って私を追放した国は、今や崩壊寸前です。私が戻れば危機を救えるようですが、私はもう、二度と国には戻りません【完結】

小平ニコ
ファンタジー
聖女として、ずっと国の平和を守ってきたラスティーナ。だがある日、婚約者であるウルナイト王子に、「聖女とか、そういうのもういいんで、国から出てってもらえます?」と言われ、国を追放される。 これからは、ウルナイト王子が召喚術で呼び出した『魔獣』が国の守護をするので、ラスティーナはもう用済みとのことらしい。王も、重臣たちも、国民すらも、嘲りの笑みを浮かべるばかりで、誰もラスティーナを庇ってはくれなかった。 失意の中、ラスティーナは国を去り、隣国に移り住む。 無慈悲に追放されたことで、しばらくは人間不信気味だったラスティーナだが、優しい人たちと出会い、現在は、平凡ながらも幸せな日々を過ごしていた。 そんなある日のこと。 ラスティーナは新聞の記事で、自分を追放した国が崩壊寸前であることを知る。 『自分が戻れば国を救えるかもしれない』と思うラスティーナだったが、新聞に書いてあった『ある情報』を読んだことで、国を救いたいという気持ちは、一気に無くなってしまう。 そしてラスティーナは、決別の言葉を、ハッキリと口にするのだった……

聖女アマリア ~喜んで、婚約破棄を承ります。

青の雀
恋愛
公爵令嬢アマリアは、15歳の誕生日の翌日、前世の記憶を思い出す。 婚約者である王太子エドモンドから、18歳の学園の卒業パーティで王太子妃の座を狙った男爵令嬢リリカからの告発を真に受け、冤罪で断罪、婚約破棄され公開処刑されてしまう記憶であった。 王太子エドモンドと学園から逃げるため、留学することに。隣国へ留学したアマリアは、聖女に認定され、覚醒する。そこで隣国の皇太子から求婚されるが、アマリアには、エドモンドという婚約者がいるため、返事に窮す。