王太子に愛する人との婚約を破棄させられたので、国を滅ぼします。

克全

文字の大きさ
10 / 27
第一章

9話

「姫様。
 まだ大丈夫でございますか?」
「任せて、ネラ。
 まだ誰にも気づかれていないわ」

 私達は、じりじりと王太子と側近貴族に近づいていました。
 一度捕虜になった王太子と側近貴族は、動員出来る限界まで王国軍と譜代貴族軍を動かしました。
 その数は十万を超える大兵力でした。
 ですが、そんな大動員は逆効果です。

 私達は、大軍が運用出来ない山間部に逃げ込んでいるのです。
 どれほど兵の数があっても、一度に山道に入り込める人数は限られています。
 ましてむりやり動員された雑兵に、戦意などありません。
 特に、先に捕虜になった雑兵が、むりやり再動員されているのです。

 王太子と側近貴族、その配下の騎士の恥知らずな行動を聞いているのです。
 誰もがやる気を失っているのです。
 ですが、騎士達の暴力を恐れて、捜索する振りをしなければいけません。
 そんな雑兵を、騙す事など簡単です。

 私の聖の気配に魅かれて、多くの野生動物が集まって来てくれました。
 彼らが、私達の振りをして、雑兵を山奥へ山奥へ誘い込んでくれます。
 ろくな教練をしていない王国の雑兵に、野生動物を狩る事など出来ません。
 安全に罠に嵌めることが出来るのです。

 私達に追い付いたと思いこんだ、最前線の王国軍を、四方八方の山奥へと誘い込みます。
 色魔で馬鹿で卑怯で臆病な王太子と側近貴族は、罠とも理解出来ずに、私達がいると報告を受けた全ての方面に兵を派遣しました。
 罠を仕掛けた私が情けなくなるくらい、簡単に引っかかってくれました。

 その間に私達は、王太子と側近貴族が本陣としている、譜代貴族家の城に忍び込んだのです。
 周辺には、多くの将兵が駐屯していましたが、聖の魔法の加護が使える私は、戦闘侍女に魔法をかけて、存在を消すことが出来るのです。
 だから、安全に城に忍び込めるのです。

 そこで私達は、許し難い光景を見てしまいました。
 貴族家の城下町では、王国軍将兵による、略奪と暴行が横行していました。
 罪のない民が殺され、女子供が嬲り者にされていました。
 妻や娘が、夫や恋人の前で輪姦されていました。

 まだ幼い、十にも満たない女の子が、何人もの雑兵に輪姦されていました。
 いえ、女の子ばかりではありません。
 男の子まで輪姦されていたのです。
 吐き気がするほどの怒りが、心の中に沸き起こりましたが、心を鬼にして飲み込み堪えました。

 ここで戦いを始めてしまったら、幾ら精鋭の私達でも、無駄死にすることになってっしまうからです。
 僅か百人しかいない私達に出来る事は、本当に限られているのです。
 今はそれを優先して、腐れ外道の始末は、その後でゆっくりとさせて頂きます。

 この世に生まれてきた事を、後悔するほどの報復を受けていただきます!
感想 18

あなたにおすすめの小説

「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった

歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。 だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」 追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。 一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。 誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。 「その言葉は、もう翻訳できません」

短編)どうぞ、勝手に滅んでください。

黑野羊
恋愛
二度も捨てられた聖女です。真実の愛を見つけたので、国は救いません。 あらすじ) 大陸中央にあるルオーゴ王国で、国を守る結界を維持してきた聖女ロザリア。 政略のため王太子と婚約していた彼女は、突如『真の聖女』が現れたとして婚約を破棄され、聖女の座を追われてしまう。さらに、代わりに婚姻しろと命じられた聖騎士からも拒絶され、実家にも見捨てられたロザリアは、『最果ての修道院』へと追放された。 けれど彼女はそこで、地位や栄光、贅沢などとはほど遠い、無条件に寄り添ってくれる『真実の愛』と穏やかな日々を手にいれる。 やがて聖女を失った王国は、崩壊へ向かっていき――。 ーーー ※カクヨム、なろうにも掲載しています

ベッドの上で婚約破棄されました

フーツラ
恋愛
 伯令嬢ニーナはベッドの上で婚約破棄を宣告された。相手は侯爵家嫡男、ハロルド。しかし、彼の瞳には涙が溜まっている。何か事情がありそうだ。

すみっこ婚約破棄同盟〜王子様による婚約破棄のすみっこで〜

まりー
恋愛
   ある夜会で王子とその側近達の婚約破棄が行われた。腕に恋人をぶら下げて。所謂、王道断罪劇である。  でもこのお話の主役は麗しのヒロインでも、キラキラ王子でも、学園一の秀才や騎士団期待のホープでもない。これは王道のすみっこで行われた、弱小貴族と商人の子息たちの婚約破棄のお話である。 _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ 「もう俺ら、恋なんてしない!」と言う小学生の息子の話を参考に書きました。登場人物の男子たちの頭は小学生レベルだと思って読んでください。    

無能な悪役令嬢は静かに暮らしたいだけなのに、超有能な側近たちの勘違いで救国の聖女になってしまいました

黒崎隼人
ファンタジー
乙女ゲームの悪役令嬢イザベラに転生した私の夢は、破滅フラグを回避して「悠々自適なニート生活」を送ること!そのために王太子との婚約を破棄しようとしただけなのに…「疲れたわ」と呟けば政敵が消え、「甘いものが食べたい」と言えば新商品が国を潤し、「虫が嫌」と漏らせば魔物の巣が消滅!? 私は何もしていないのに、超有能な側近たちの暴走(という名の忠誠心)が止まらない!やめて!私は聖女でも策略家でもない、ただの無能な怠け者なのよ!本人の意思とは裏腹に、勘違いで国を救ってしまう悪役令嬢の、全力で何もしない救国ファンタジー、ここに開幕!

「聖女はもう用済み」と言って私を追放した国は、今や崩壊寸前です。私が戻れば危機を救えるようですが、私はもう、二度と国には戻りません【完結】

小平ニコ
ファンタジー
聖女として、ずっと国の平和を守ってきたラスティーナ。だがある日、婚約者であるウルナイト王子に、「聖女とか、そういうのもういいんで、国から出てってもらえます?」と言われ、国を追放される。 これからは、ウルナイト王子が召喚術で呼び出した『魔獣』が国の守護をするので、ラスティーナはもう用済みとのことらしい。王も、重臣たちも、国民すらも、嘲りの笑みを浮かべるばかりで、誰もラスティーナを庇ってはくれなかった。 失意の中、ラスティーナは国を去り、隣国に移り住む。 無慈悲に追放されたことで、しばらくは人間不信気味だったラスティーナだが、優しい人たちと出会い、現在は、平凡ながらも幸せな日々を過ごしていた。 そんなある日のこと。 ラスティーナは新聞の記事で、自分を追放した国が崩壊寸前であることを知る。 『自分が戻れば国を救えるかもしれない』と思うラスティーナだったが、新聞に書いてあった『ある情報』を読んだことで、国を救いたいという気持ちは、一気に無くなってしまう。 そしてラスティーナは、決別の言葉を、ハッキリと口にするのだった……

聖女アマリア ~喜んで、婚約破棄を承ります。

青の雀
恋愛
公爵令嬢アマリアは、15歳の誕生日の翌日、前世の記憶を思い出す。 婚約者である王太子エドモンドから、18歳の学園の卒業パーティで王太子妃の座を狙った男爵令嬢リリカからの告発を真に受け、冤罪で断罪、婚約破棄され公開処刑されてしまう記憶であった。 王太子エドモンドと学園から逃げるため、留学することに。隣国へ留学したアマリアは、聖女に認定され、覚醒する。そこで隣国の皇太子から求婚されるが、アマリアには、エドモンドという婚約者がいるため、返事に窮す。

婚約破棄を求められました。私は嬉しいですが、貴方はそれでいいのですね?

ゆるり
恋愛
アリシエラは聖女であり、婚約者と結婚して王太子妃になる筈だった。しかし、ある少女の登場により、未来が狂いだす。婚約破棄を求める彼にアリシエラは答えた。「はい、喜んで」と。