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第一章
第9話:後追い
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「分かりました、貴男の忠誠を受けましょう。
ですが、先ず名前を教えてください。
名前も知らない相手の忠誠を受ける訳にはいきませんからね」
「申し訳ありません、マイロード、名乗りが遅れてしまいました。
私はボイル伯爵家の長男ヨハンと申します」
「ではヨハン、その姿は騎士の誓いをするにはみすぼらし過ぎます。
身を清め、騎士の誓いに相応しい装備を整えてください。
最低限の装備は、そこにある物から適当に選んでください」
わたくしは少々うんざりとした思いで、剣と防具と血塗れの衣服がある方に目を向けましたが、悠々と乗用馬達が草を食んでいます。
わたくしを襲った盗賊達が使っていた乗用馬です。
捕獲したチェンワルフ第二王子が、軍馬と偽ってマッカイ部族の郷士達に売りつけようとした、曰く付きの乗用馬達です。
わたくしを慕ってくれたのか、それとも神使のヒューに命じられたのか、剣や防具や血塗れの衣服を背に乗せたままついてきてしまいました。
「有り難き幸せでございます、マイロード。
直ぐに身を清めて武装を整えさせていただきます。
お見苦しい姿を見せる訳にはいきませんので、しばし御前を下がらせていただきたいのですか、よろしいでしょうか」
「ヨハンの着替えを覗く趣味はありませんから、しばらく野の花を見て回ろうと思いますが、その前に薪を用意して焚火の火を強くしておきなさい。
春になったとは言っても、泉の水は冷たいですからね」
「ご心配頂き感謝の念に堪えません、マイレディ」
神使が変化した馬のヒューだけなら、半日も駆けたらこの国を出る事も簡単なのですが、六頭もの荷物を背負った乗用馬を連れての移動だと、全力で駆けられないだけでなく、途中で何度も休憩を挟まなければいけません。
だから、完全武装の軍馬や乗用馬が普通に駆けて半日くらいの場所にある、深い森の泉で休憩を取る事になったのです。
「では、わたくしも手伝ってあげますから、急いで薪になる枝を集めましょう」
「おやめください、マイレディ。
そのような雑用をマイロードにさせる訳にはいきません。
直ぐに集めさせていただきますので、そこでお待ちください」
まだヨハンは、わたくしに対する仕え方に迷いがあるようですね。
淑女を前面に出して仕えるべきか、それとも貴族を前面に出して仕えるべきか。
その迷いはわたくしにもありますが、そんな事はこの国を出てから考えればいいことなので、まずは主君らしい態度を取る事を優勢しましょう。
「馬鹿な事を言うのではありませんよ、ヨハン。
先ほどチェンワルフ殿下の言動が主君に相応しくないという話をしたばかりです。
ここでわたくしがヨハンにだけ働かしてふんぞり返っていたら、チェンワルフ殿下と同類になってしまうではありませんか。
余計な事を言っていないで、さっさと薪に使えそうな枝を拾いなさい」
ですが、先ず名前を教えてください。
名前も知らない相手の忠誠を受ける訳にはいきませんからね」
「申し訳ありません、マイロード、名乗りが遅れてしまいました。
私はボイル伯爵家の長男ヨハンと申します」
「ではヨハン、その姿は騎士の誓いをするにはみすぼらし過ぎます。
身を清め、騎士の誓いに相応しい装備を整えてください。
最低限の装備は、そこにある物から適当に選んでください」
わたくしは少々うんざりとした思いで、剣と防具と血塗れの衣服がある方に目を向けましたが、悠々と乗用馬達が草を食んでいます。
わたくしを襲った盗賊達が使っていた乗用馬です。
捕獲したチェンワルフ第二王子が、軍馬と偽ってマッカイ部族の郷士達に売りつけようとした、曰く付きの乗用馬達です。
わたくしを慕ってくれたのか、それとも神使のヒューに命じられたのか、剣や防具や血塗れの衣服を背に乗せたままついてきてしまいました。
「有り難き幸せでございます、マイロード。
直ぐに身を清めて武装を整えさせていただきます。
お見苦しい姿を見せる訳にはいきませんので、しばし御前を下がらせていただきたいのですか、よろしいでしょうか」
「ヨハンの着替えを覗く趣味はありませんから、しばらく野の花を見て回ろうと思いますが、その前に薪を用意して焚火の火を強くしておきなさい。
春になったとは言っても、泉の水は冷たいですからね」
「ご心配頂き感謝の念に堪えません、マイレディ」
神使が変化した馬のヒューだけなら、半日も駆けたらこの国を出る事も簡単なのですが、六頭もの荷物を背負った乗用馬を連れての移動だと、全力で駆けられないだけでなく、途中で何度も休憩を挟まなければいけません。
だから、完全武装の軍馬や乗用馬が普通に駆けて半日くらいの場所にある、深い森の泉で休憩を取る事になったのです。
「では、わたくしも手伝ってあげますから、急いで薪になる枝を集めましょう」
「おやめください、マイレディ。
そのような雑用をマイロードにさせる訳にはいきません。
直ぐに集めさせていただきますので、そこでお待ちください」
まだヨハンは、わたくしに対する仕え方に迷いがあるようですね。
淑女を前面に出して仕えるべきか、それとも貴族を前面に出して仕えるべきか。
その迷いはわたくしにもありますが、そんな事はこの国を出てから考えればいいことなので、まずは主君らしい態度を取る事を優勢しましょう。
「馬鹿な事を言うのではありませんよ、ヨハン。
先ほどチェンワルフ殿下の言動が主君に相応しくないという話をしたばかりです。
ここでわたくしがヨハンにだけ働かしてふんぞり返っていたら、チェンワルフ殿下と同類になってしまうではありませんか。
余計な事を言っていないで、さっさと薪に使えそうな枝を拾いなさい」
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