19 / 24
第一章
第19話:決死
しおりを挟む
わたくしは神使のヒューを頼りにする事なく、先頭を駆けました。
左右は乗用馬が護ってくれています。
わたくしの背中は、ヨハンが護ってくれています。
ヨハンの背後は、三頭の乗用馬が護ってくれているのです。
わたくしに神共々激しく罵られたヒューは、わたくしを護る気が失せたのか、或いは神から見殺しのするように新しい指示が入ったのか、後方の乗用馬達の更に後ろをついてきています。
「何をしている、さっさと謀叛人を殺せ」
ジャスパーが我が家に婿入りする時に、実家のオレリー伯爵家から連れてきた騎士が、兵士達に厳しく命令を下しています。
母上様を謀殺した、許し難い謀叛員の一人です。
そんな謀叛人が、大きな顔をして正統なダグラス女伯爵家の当主を謀叛人扱いするのですから、この世に真っ当な神など存在しない証です。
「愚かで身勝手な神が見過ごしにした悪行をわたくしが裁く。
死になさい、当主殺しに加担した堕騎士」
とても有難い事に、わたくしの魂から出た本気の怒りの言葉に、左右にいた乗用馬達が反応してくれました。
速足から駆足に速度を上げて、敵の中に突っ込んでくれたのです。
そして今までと同じように前足による蹴りで敵を粉砕してくれました。
ですが、敵も無能ではありませんでした。
指揮を執っていた騎士の命令で、十数人がハルバートを突き出して兵列を作ってしまいしました。
「危ない、止まりなさい、戻って来なさい」
わたくしの心には、二頭の馬がハルバートの刃先に捉えられ絶命する姿が浮かんでしまい、思わず制止の言葉を口にしました。
ですが、わたくしのために戦ってくれている二頭の馬は止まろうとしません。
間に合わないと分かっていて、乗っている馬に指示を出して助けようとしましたが、どうにもならない事は自分が一番分かっています。
(神の奇跡よ、神が護ると約束した者の仲間を護れ)
ヨハンや馬達には聞こえない、わたくしにしか聞こえない言葉で、ヒューが二頭の馬だけではなく、わたくしに味方する者への護りの奇跡を唱えました。
神と神使の事を何度も悪く言っていたので、奇跡など起こらないと思っていましたが、予想に反して護りの奇跡が発動されました。
本来なら二頭の馬に突き刺さるはずだったハルバートの刃先が、するりと馬達を避けてくれたのです。
二頭の馬は突進の勢いそのまま、兵列を粉砕してくれました。
「ヨハン、神が護りの奇跡を発動したようです。
わたくしの背中を護る必要はなくなりました。
奇跡が発動している間に敵を皆殺しにしなさい」
「はい、マイロード」
ヨハンは言葉通り獅子奮迅の活躍をしてくれました。
剣は馬上から兵士を斬るには少々長さが足りません。
そこでヨハンは兵士が持っていたハルバートを奪い、それを縦横無尽に振るって、外城にいた敵兵を皆殺しにしてくれました。
後はもう内城と呼ばれる館の中にいる敵だけです。
左右は乗用馬が護ってくれています。
わたくしの背中は、ヨハンが護ってくれています。
ヨハンの背後は、三頭の乗用馬が護ってくれているのです。
わたくしに神共々激しく罵られたヒューは、わたくしを護る気が失せたのか、或いは神から見殺しのするように新しい指示が入ったのか、後方の乗用馬達の更に後ろをついてきています。
「何をしている、さっさと謀叛人を殺せ」
ジャスパーが我が家に婿入りする時に、実家のオレリー伯爵家から連れてきた騎士が、兵士達に厳しく命令を下しています。
母上様を謀殺した、許し難い謀叛員の一人です。
そんな謀叛人が、大きな顔をして正統なダグラス女伯爵家の当主を謀叛人扱いするのですから、この世に真っ当な神など存在しない証です。
「愚かで身勝手な神が見過ごしにした悪行をわたくしが裁く。
死になさい、当主殺しに加担した堕騎士」
とても有難い事に、わたくしの魂から出た本気の怒りの言葉に、左右にいた乗用馬達が反応してくれました。
速足から駆足に速度を上げて、敵の中に突っ込んでくれたのです。
そして今までと同じように前足による蹴りで敵を粉砕してくれました。
ですが、敵も無能ではありませんでした。
指揮を執っていた騎士の命令で、十数人がハルバートを突き出して兵列を作ってしまいしました。
「危ない、止まりなさい、戻って来なさい」
わたくしの心には、二頭の馬がハルバートの刃先に捉えられ絶命する姿が浮かんでしまい、思わず制止の言葉を口にしました。
ですが、わたくしのために戦ってくれている二頭の馬は止まろうとしません。
間に合わないと分かっていて、乗っている馬に指示を出して助けようとしましたが、どうにもならない事は自分が一番分かっています。
(神の奇跡よ、神が護ると約束した者の仲間を護れ)
ヨハンや馬達には聞こえない、わたくしにしか聞こえない言葉で、ヒューが二頭の馬だけではなく、わたくしに味方する者への護りの奇跡を唱えました。
神と神使の事を何度も悪く言っていたので、奇跡など起こらないと思っていましたが、予想に反して護りの奇跡が発動されました。
本来なら二頭の馬に突き刺さるはずだったハルバートの刃先が、するりと馬達を避けてくれたのです。
二頭の馬は突進の勢いそのまま、兵列を粉砕してくれました。
「ヨハン、神が護りの奇跡を発動したようです。
わたくしの背中を護る必要はなくなりました。
奇跡が発動している間に敵を皆殺しにしなさい」
「はい、マイロード」
ヨハンは言葉通り獅子奮迅の活躍をしてくれました。
剣は馬上から兵士を斬るには少々長さが足りません。
そこでヨハンは兵士が持っていたハルバートを奪い、それを縦横無尽に振るって、外城にいた敵兵を皆殺しにしてくれました。
後はもう内城と呼ばれる館の中にいる敵だけです。
0
あなたにおすすめの小説
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
婚約破棄?悪役令嬢の復讐は爆速で。
八雲
恋愛
「リリム・フォン・アスタロト! 貴様との婚約を破棄する!」
卒業パーティーの最中、婚約者である王太子エリオットから身に覚えのない罪を突きつけられた公爵令嬢リリム。隣には「真実の愛」を語るマシュマロ系男爵令嬢シャーリーの姿。
普通の令嬢なら泣き崩れる場面――だが、リリムは違った。
悪役令嬢となって復讐をっ!
杏仁豆腐
恋愛
公爵家の娘でありながら庶民の出身だった母の子として生まれたわたくしを蔑んできた令嬢たちに復讐するお話。
不定期更新となります。色々と見苦しい文章が続きますが暖かく見守ってくれると嬉しいです。感想お待ちしております。
公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
谷 優
恋愛
公爵家の末娘として生まれた幼いティアナ。
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。
ただ、愛されたいと願った。
そんな中、夢の中の本を読むと自分の正体が明らかに。
◆恋愛要素は前半はありませんが、後半になるにつれて発展していきますのでご了承ください。
さようなら、私を「枯れた花」と呼んだ貴方。~辺境で英雄を救って聖女と呼ばれたので、没落した元婚約者の謝罪は受け付けません~
阿里
恋愛
「お前のような見栄えの悪い女は、俺の隣にふさわしくない」
婚約者アレクに捨てられ、辺境へ追いやられたセレナ。
けれど、彼女が森で拾ったのは、アレクなど足元にも及ばないほど強くて優しい、呪われた英雄ライアンだった。
セレナの薬草が奇跡を起こし、王都を救う特効薬となったとき、かつて自分を捨てた男との再会が訪れる。
「やり直そう」と縋り付くアレクに、セレナは最愛の人と寄り添いながら静かに微笑む。
――あなたが捨てたのは、ただの影ではなく、あなたの未来そのものだったのですよ。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
幼い頃、義母に酸で顔を焼かれた公爵令嬢は、それでも愛してくれた王太子が冤罪で追放されたので、ついていくことにしました。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
設定はゆるくなっています、気になる方は最初から読まないでください。
ウィンターレン公爵家令嬢ジェミーは、幼い頃に義母のアイラに酸で顔を焼かれてしまった。何とか命は助かったものの、とても社交界にデビューできるような顔ではなかった。だが不屈の精神力と仮面をつける事で、社交界にデビューを果たした。そんなジェミーを、心優しく人の本質を見抜ける王太子レオナルドが見初めた。王太子はジェミーを婚約者に選び、幸せな家庭を築くかに思われたが、王位を狙う邪悪な弟に冤罪を着せられ追放刑にされてしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる