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「王家から婚約破棄を通達してきた。
儂としてもケジメをつけなければならん。
覚悟はできているな?」
「はい、父上。
むしろあんな多情な王太子と結婚しなくてすんで清々しています」
「そういう本音は口にするな!
本当にお前はどうしようもない奴だな。
だからこの婚約は、王家に何度もお断りしてきたのだ。
それを無理矢理婚約させるから、こういうことになる!」
「それは仕方ありません、父上。
国王と王太子の浪費で王家の財政は破綻寸前です。
公爵家の鉱山から産出される金銀が目当ての婚約でしたから、向こうも泣く泣くの婚約破棄でしょう」
「だから本音は口にするなといっているだろう!
少しは黙っていろ!」
仕方のない父上です。
傍系王家の公爵家だからといって、そんなに王家を立てる必要などないのです。
父上ほどの力量のある公爵なら、公王を名乗って独立すればいいのです。
まあ、でも、忠誠心の厚い父上だからこそ、貴族士族に慕われている面もありますから、痛し痒しですね。
「王家の面目を立てるために、ブリジットを勘当追放にする。
覚悟はできているな」
「はい、とうの昔に。
婚約破棄されなければ、自分から家出するつもりでしたから、準備は万端です。
黒王と白王、蒼虎と赤虎は連れて行っていいですよね?」
「分かっている。
本当は陰供をつけたいところだが、今回ばかりはそうもいかん。
そんな事をすればカヴァリエ侯爵がどんな言掛りをつけてくるか分からんからな」
「言いがかりをつけてきたら、決闘を申し込めばいいだけではありませんか。
当主同士の決闘なら、父上が負けるはずがありません。
カヴァリエ侯爵が代理人を立てるようなら、中止すればいいことです」
「ブリジットの言うような単純な話ではすまんのだよ、王宮というところはな」
「だから私は王宮も政治も嫌いなんです。
私は武に生きて武に死にたいのです。
貴族のような腐った連中ではなく、単純明快な獣を友にして、風を枕に夜の帳を布団に、旅の空を生きていきたいのです」
「はぁぁぁぁ。
そういうブリジットこそが、貴族の中の貴族、王家の傍流であるヴァランタン公爵家の令嬢なのだがな」
「私は鬼子だとか取り換えっ子だとか言われていますからね。
貴族令嬢ではないのかもしれません。
王太子もそう思っているからこそ、公爵令嬢ともあろう私に、夜這いをかけるなどといった、礼儀知らずな真似をしたのかもしれません。
いえ、私に自分を叩きのめさせ大事にして、婚約破棄に持ち込みたかったのかもしれませんよ」
「うぅぅぅむ。
あの王太子だと、絶対ないと言えないから哀しいな。
だがら何度も何度も口が酸っぱくなるくらい注意した来たであろうが!」
「無理です。
持って生まれた性分は変えられません。
もうこれでお別れにしましょう。
母上や弟たちへの挨拶はすませてあります。
長くお世話になりました、父上」
儂としてもケジメをつけなければならん。
覚悟はできているな?」
「はい、父上。
むしろあんな多情な王太子と結婚しなくてすんで清々しています」
「そういう本音は口にするな!
本当にお前はどうしようもない奴だな。
だからこの婚約は、王家に何度もお断りしてきたのだ。
それを無理矢理婚約させるから、こういうことになる!」
「それは仕方ありません、父上。
国王と王太子の浪費で王家の財政は破綻寸前です。
公爵家の鉱山から産出される金銀が目当ての婚約でしたから、向こうも泣く泣くの婚約破棄でしょう」
「だから本音は口にするなといっているだろう!
少しは黙っていろ!」
仕方のない父上です。
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父上ほどの力量のある公爵なら、公王を名乗って独立すればいいのです。
まあ、でも、忠誠心の厚い父上だからこそ、貴族士族に慕われている面もありますから、痛し痒しですね。
「王家の面目を立てるために、ブリジットを勘当追放にする。
覚悟はできているな」
「はい、とうの昔に。
婚約破棄されなければ、自分から家出するつもりでしたから、準備は万端です。
黒王と白王、蒼虎と赤虎は連れて行っていいですよね?」
「分かっている。
本当は陰供をつけたいところだが、今回ばかりはそうもいかん。
そんな事をすればカヴァリエ侯爵がどんな言掛りをつけてくるか分からんからな」
「言いがかりをつけてきたら、決闘を申し込めばいいだけではありませんか。
当主同士の決闘なら、父上が負けるはずがありません。
カヴァリエ侯爵が代理人を立てるようなら、中止すればいいことです」
「ブリジットの言うような単純な話ではすまんのだよ、王宮というところはな」
「だから私は王宮も政治も嫌いなんです。
私は武に生きて武に死にたいのです。
貴族のような腐った連中ではなく、単純明快な獣を友にして、風を枕に夜の帳を布団に、旅の空を生きていきたいのです」
「はぁぁぁぁ。
そういうブリジットこそが、貴族の中の貴族、王家の傍流であるヴァランタン公爵家の令嬢なのだがな」
「私は鬼子だとか取り換えっ子だとか言われていますからね。
貴族令嬢ではないのかもしれません。
王太子もそう思っているからこそ、公爵令嬢ともあろう私に、夜這いをかけるなどといった、礼儀知らずな真似をしたのかもしれません。
いえ、私に自分を叩きのめさせ大事にして、婚約破棄に持ち込みたかったのかもしれませんよ」
「うぅぅぅむ。
あの王太子だと、絶対ないと言えないから哀しいな。
だがら何度も何度も口が酸っぱくなるくらい注意した来たであろうが!」
「無理です。
持って生まれた性分は変えられません。
もうこれでお別れにしましょう。
母上や弟たちへの挨拶はすませてあります。
長くお世話になりました、父上」
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