公爵令嬢は夜這いをかけてきた王太子を叩きのめして父親から勘当追放されてしましました。途中で助けた美少女はいわくがあるようです。

克全

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8話王太子視点

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 嫌だった。
 王太子である余が、鬼子と陰口を言われているブリジットと結婚しなければいけないなんて、屈辱だった。
 だが、王家には金がなかった。
 もっと遊びたいのに、金の持ち出しを厳しく制限された。

 だから貴族どもから借りた。
 いくらでも貸してくれた。
 臣下や下民から借りた金など、返さなくていいと考えていた。
 だがそうはいかなかった。
 父である国王にこっぴどく怒られた。

 相手が貴族であろうと下民であろうと、借りた金を返さなかったら、その借用書を隣国に売るのだと言われた。
 最初は言っている意味が分からなかった。
 隣国が借用書をもったとしても、踏み倒せばいいと考えていた。
 父にもそう進言した。

 こっぴどく怒られた。
 あまりに声が大きくて、頭が痛くなるくらい怒られた。
 借金の担保に土地を割譲させられると言うのだ。
 無視すればいいと進言したら、また怒られた。
 軍勢を整えて侵攻してでも土地を奪いに来ると言うのだ。

 貴族どもを動員して迎え討てばいいと進言したら、また怒られた。
 王太子の権威を利用して、無理矢理金を借りておいて返さないような王家には、誰も協力しないと言われた。
 貴族どもとはなんと不忠な者たちなんだろう。
 王家から受けた恩をどう思っているのだ。

 そう口にしたら、父上に頭を殴られた。
 眼から火が出るかと思うくらい痛かった。
 とっととブリジットと結婚式をあげて、持参金と台所領を手に入れ、借金を返済しろと怒られてしまった。

 だから仕方なくブリジットを抱いてやることにしたのだ。
 嫌だったが仕方がない。
 これも王太子という高貴な身分に生まれた者の務めだ。
 それに一度抱いてやればいいのだ。
 王太子の結婚などは全て政略結婚だ。
 愛する者とは結ばれないのが、高貴な身分に生まれた者の宿命だ。

 なのにだ!
 あの鬼子は、余が抱いてやろうと訪れたにもかかわらず、事もあろうに余を殴りつけたのだ!
 父にしか手をあげられたことのない、高貴な余に、公爵令嬢の分際で殴ったのだ!
 
 余は怒りと屈辱で激怒した!
 剣を使って成敗しようとしたが、人間でない鬼子が相手では、国一番の剣士である余でも勝つ事はできなかった。
 いかに余であろうと人間の身、鬼人には敵わぬのだ。

 鬼子に組み伏せられながら、軍を動員して責め殺してやるという怒りと憎しみを滾らせたが、それを超える不思議な感覚に襲われた!
 今まで経験したことのない快感に全身が震えたのだ。
 それを確認したくて、余は高貴なる身にもかかわらず、こんな辺境にまで訪れたのだ!

 そして今確信した!
 ブリジットに張り倒されて分かった!
 余はブリジットに責められるのが大好きなんだと!
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