引きこもり吸血姫に一目惚れ

克全

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第二章

第27話:臥薪嘗胆

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 俺はカーミラの復活を信じて、勉強と日本産白黒トリュフの採取販売の日々を送っていたが、本当に苦しい日々だ。
 ヒュウガとヤムチャがいなくなり、俺とダンボだけで日本産白黒トリュフの採取するので、集められるトリュフの質が落ち量も激減した。
 当然依頼者に苦情を言われたが、主力犬が亡くなったのだと話して納得してもらい、新たな有能な犬が育つまでは現状で我慢してもらった。

 もう十分な貯金があるので、別に喧嘩になって取引を止めてもいいのだ。
 そうなったらもっと魔導書や魔術書の勉強に集中することができる。
 だがそれでは、カーミラの復活に時間がかかった時に困る。
 カーミラが復活するまでどれくらいの年月がかかるか分からないのだ。
 俺は本当に愚かで、カーミラが復活にようした年月を聞いていなかったのだ。

 俺は何年でも何十年でも待つ心算だが、それでは犬達が死んでしまう。
 ヴァンパイアハンターにケガをさせられ、入院していた間に三頭とも凄く弱ってしまっていた。
 特の元々ヨタヨタしていたルークは、起きるのが大変なくらい弱っている。
 俺の中にあるヴァンパイアハンターへの増悪がより一層激しくなる。

 俺が直ぐに真祖ヴァンパイアになることができるのなら、ルークを眷族にして助けることができるのだが、まだまだ先が見えないくらい魔術の勉強は奥深い。
 呪い一つ発動させることができない俺に、生きている間に真祖ヴァンパイアに成れる保証など全くない。

 もう長くないのはルークだけではなく、クロスケもダンボも同じだ。
 ルークほどではないが、一年は持たないような気する。
 頻繁に獣医院に連れて行っているが、気休めの点滴をする程度だ。
 点滴など小便と一緒に流れでてしまうのは分かっているのに、それでも藁にもすがる思いでお願いしてしまう。

 自分が真祖ヴァンパイアに成れる目途がついているのなら、それこそ一時的に入院させて全ての面倒を見てもらい勉強に集中するのだが、全く見込みがない。
 ろくに勉強してこなかった俺が、寝食を忘れて魔術に打ち込んできた賢者と呼ばれる連中でも、ほんの一握りしか成れないのが真祖ヴァンパイアに挑んでいるのだ。
 一年二年勉強した程度の俺に成れるような生易しいモノじゃない事は、勉強すればするほど、嫌というほど思い知らされる。

 もう一日も早いカーミラの復活の祈り願い待つしかない状態だ。
 ルークはもう長くない、獣医さんから心臓が強いと言われているから、寝たきりになっても生きていてはくれるだろうが、床ずれにならないように定期的な寝返り補助が必要になってくる。

 その状態で二年三年と生きてくれるとは思えない。
 それはクロスケもダンボも同じで、後三年四年生きてくれるとは思えない。
 一年以内にカーミラが復活してくれないと、俺はまた一人ぼっちになってしまう。
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