男爵家四姉妹は婚約破棄され、侯爵家に領地を侵攻され、追放されてしまった。

克全

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第一章

7話

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「バーリー男爵家とバルフォア侯爵の紛争の調停策が決まった。
 これは国王陛下によって裁可された決定事項である。
 拒否した場合は王家のよる討伐が行われると覚悟してもらう。
 今回のバルフォア侯爵家によるバーリー男爵領に対する侵攻は不当である。
 損害は王家が算定した一億五千万小銅貨を支払ってもらう」

「はい、謹んでお受けさせて頂きます」

 今回の戦争で、バルフォア侯爵家が二度も敗戦し、著しく戦力を消耗しました。
 その機会を王家は見逃しませんでした。
 バルフォア侯爵家の監視に王家が派遣していた、ブルース城伯ディミタールを動かして、王家は全く資金も損害を出さずに、実利と名声を得ようとしたのです。

 ですがバルフォア侯爵もとても強かです。
 一方的に損害を受けたまま黙ってはいません。
 王家の仲介を利用して、自分たちに有利な条件、私たちに不利な条件を押し付けようとしたのです。

 私たちにはなす術がありませんでした。
 迎撃戦、バルフォア侯爵軍を迎え撃つだけなら、バーリー男爵家は無敵です。
 ですが私たちには、バルフォア侯爵領を突破して、ブルース城伯と事前交渉する事はできません。
 同じ理由で王都に上って宮廷工作もできません。
 バルフォア侯爵が宮廷工作を行い、ブルース城伯に賄賂を贈って懐柔するのを、指を加えて見ているしかありませんでした。

 それでも、あまりに理不尽な内容なら断固拒否しました。
 相手が王家王国であろうと、断固拒否して戦争を継続しました。
 王家の体面を潰すのですから、三度目の遠征は王命による侵攻となります。
 主戦力はバルフォア侯爵軍ですが、今まで以上に寄騎貴族士族が参戦します。
 無理矢理動員させられた領民を虐殺することになります。
 それゆえ、できれば避けたいと思ってしまったのです。

 バルフォア侯爵は私たちのそんな心理も読んでいたのでしょう。
 絶妙な条件を提示してきました。
 バルフォア侯爵家の非と敗戦を認め、莫大な賠償金の支払いも認めたのです。
 私たちとの婚約を破棄した貴族家の、賠償金支払いも認めたのです。

 ですが、そのかわり、私たちの追放を要求したのです。
 草木灰塩を考えだした私と、戦で軍城で指揮を執っていた三人の妹を、バーリー男爵家から追放することを要求したのです。

 まあ、言葉では追放などとは言っていませんし、書類にも明記していません。
 そんな言葉や文章なら、私たちも堂々と拒否出来ました。
 言葉や文章では、名誉を与えられた形になります。
 断ればこちらが礼儀知らずになるように罠をしかけていたのです。
 私たち四人はその罠に飛び込んでいくしか道がありませんでした。
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