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「シータ嬢。
とても残念だが、君との婚約は解消させてもらう。
いや、本当に残念だ。
まさか君が竜神に花嫁に選ばれるとは思わなかった。
アナンデルール公爵家も名誉な事だ。
なあ、ジェシカ」
「はい、王太子殿下。
お姉様が竜神様の花嫁に選ばれるなんて、思ってもいませんでしたわ。
ここ二百年誰も選ばれませんでしたから。
本当に名誉な事でございますね、お姉様。
王太子殿下の事は何も心配しないでくださいませ。
わたくしがお姉様に成り代わってお世話させていただきますから」
はらわたが煮えくり返りそうです。
怒りのあまり、叫びだしたくなります。
ですが、公爵令嬢のの誇りに賭けて、そのような無様な真似はできません。
私には油断があったのです。
有頂天になり過ぎていたのです。
貴族社会が足の引っ張り合いなのは常識です。
私が王太子殿下の婚約者に選ばれたことで、多くの貴族から妬まれ、婚約者の地位から引きずり降ろそうと画策しているのは知っていました。
そのための防御策も講じていました。
ですが、家族から狙われるとは考えていませんでした。
姉妹で婚約者の座を争うなど、他の貴族に利するだけです。
それよりは、私を盛り立てて公爵家の利益を確保するのが普通です。
父もそのようにやっていました。
いくら強欲な妹でも、それに逆らって動くとは予想していませんでした。
愚かな妹です。
まあ、妹とはいっても半分しか血は繋がっていません。
私の母上が亡くなり、後妻に入ったデイジーとの間に生まれた半妹です。
それでも私の妹なのは違いありません。
ちゃんと可愛がったつもりですが、持って生まれて性根が腐っているのでしょう。
常に私を妬んでいました。
王侯貴族の家で、長男長女と次男次女以降の待遇が違うのは常識です。
それに、今は亡き私の母上は隣国の王女なのです。
私には王家の血が流れています。
それに比べてデイジーは、侯爵家の生まれです。
母親が王女の長女と、母親が侯爵令嬢の次女では、待遇が違って当たり前です。
「なにも申されませんの、お姉様。
泣き叫んでくださっても構わないですのよ。
罵詈雑言を浴びせてくださってもいいのですわよ」
「うむ。
私も、普段すましたシータ嬢が、怒りに我を忘れて罵詈雑言を口にするのを聞きたいな。
泣き叫ぶさまを見てみたいな。
どうだ、竜神の花嫁に選ばれ、生贄にされる気持ちは?」
愛情が、王太子を慕っていた気持ちが、一気に覚めました。
百年の恋も冷めるというのは、こういう事なのでしょう。
私には人を見る目がなかったのですね。
王太子の婚約者に選ばれ、地に足がついていなかったのかもしれません。
恋に恋していたのかもしれません。
ですが、今は冷静です。
これ以上恥をさらす気はありません!
とても残念だが、君との婚約は解消させてもらう。
いや、本当に残念だ。
まさか君が竜神に花嫁に選ばれるとは思わなかった。
アナンデルール公爵家も名誉な事だ。
なあ、ジェシカ」
「はい、王太子殿下。
お姉様が竜神様の花嫁に選ばれるなんて、思ってもいませんでしたわ。
ここ二百年誰も選ばれませんでしたから。
本当に名誉な事でございますね、お姉様。
王太子殿下の事は何も心配しないでくださいませ。
わたくしがお姉様に成り代わってお世話させていただきますから」
はらわたが煮えくり返りそうです。
怒りのあまり、叫びだしたくなります。
ですが、公爵令嬢のの誇りに賭けて、そのような無様な真似はできません。
私には油断があったのです。
有頂天になり過ぎていたのです。
貴族社会が足の引っ張り合いなのは常識です。
私が王太子殿下の婚約者に選ばれたことで、多くの貴族から妬まれ、婚約者の地位から引きずり降ろそうと画策しているのは知っていました。
そのための防御策も講じていました。
ですが、家族から狙われるとは考えていませんでした。
姉妹で婚約者の座を争うなど、他の貴族に利するだけです。
それよりは、私を盛り立てて公爵家の利益を確保するのが普通です。
父もそのようにやっていました。
いくら強欲な妹でも、それに逆らって動くとは予想していませんでした。
愚かな妹です。
まあ、妹とはいっても半分しか血は繋がっていません。
私の母上が亡くなり、後妻に入ったデイジーとの間に生まれた半妹です。
それでも私の妹なのは違いありません。
ちゃんと可愛がったつもりですが、持って生まれて性根が腐っているのでしょう。
常に私を妬んでいました。
王侯貴族の家で、長男長女と次男次女以降の待遇が違うのは常識です。
それに、今は亡き私の母上は隣国の王女なのです。
私には王家の血が流れています。
それに比べてデイジーは、侯爵家の生まれです。
母親が王女の長女と、母親が侯爵令嬢の次女では、待遇が違って当たり前です。
「なにも申されませんの、お姉様。
泣き叫んでくださっても構わないですのよ。
罵詈雑言を浴びせてくださってもいいのですわよ」
「うむ。
私も、普段すましたシータ嬢が、怒りに我を忘れて罵詈雑言を口にするのを聞きたいな。
泣き叫ぶさまを見てみたいな。
どうだ、竜神の花嫁に選ばれ、生贄にされる気持ちは?」
愛情が、王太子を慕っていた気持ちが、一気に覚めました。
百年の恋も冷めるというのは、こういう事なのでしょう。
私には人を見る目がなかったのですね。
王太子の婚約者に選ばれ、地に足がついていなかったのかもしれません。
恋に恋していたのかもしれません。
ですが、今は冷静です。
これ以上恥をさらす気はありません!
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