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第1話:裏切りの王城

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 王城で一番広大な会議室、青竜の間は美しさと威厳に満ちた壮大な空間です。
 天井は高く、壁一面には豪華な装飾が施されています。
 部屋の中央には広大な大理石の床が広がり、贅沢な絨毯が敷かれています。

 青竜の間には、金や銀の彫刻で飾られた巨大な柱が並んでおり、天井からは美しく彩色されたステンドグラスが垂れ下がっています。
 ステンドグラスから差し込む光が、室内に幻想的な輝きを与えます。

 壁には王国に臣従する全貴族の紋章が掲げられ、家名の誇りを象徴しています。
 豪華な装飾や彫刻が施された壁面は、王国の栄光と誇りを讃える数々の絵画も飾られています。

 部屋の両側には高い窓があり、外の景色を一望することができます。
 窓から差し込む自然光は、部屋全体を明るく照らし出し、会議の雰囲気に温かみと広がりを与えます。

 窓からは青々とした広大な庭園や高く聳え立つ城壁が最初に見え、城壁の奥、遠くには壮大な山々が広がっています。

 会議室の中央には、重厚な大理石のテーブルが数限りなく置かれており、貴族たちはそこに着席します。

 テーブルの上には、金や銀の食器が並び、花や果物の盛り合わせが美しく飾られています。
 会議の合間には贅沢な食事や飲み物が供され、一緒に交流を深められます

 この巨大な会議室は、王国の重要な決定や政治的な議論が行われる場所です。
 貴族たちはここで集い、王国の未来について話し合います。

 会議室の壮大な雰囲気は、その重要性と厳粛さを示し、歴史と権力の重みを感じさせるのです。

 そんな青竜の間で、私の運命が決められようとしています!

「余はルートヴィッヒ侯爵家の申し出を受け入れ、ヴォルフガングとラウラとの婚約を解消する」

 国王陛下が王太子殿下と私の婚約解消を認めてしまいました。

「「「「「はっはぁぁぁぁ」」」」」

 王国の貴族が一堂に会する青竜の間に集まる貴族の誰一人反対してくれません。
 ついにこの時が来てしまいました。

 王太子殿下が抵抗して下さったので、汚名を着せられた一方的な婚約破棄にはなりませんでしたが、そうでなければ噂の不貞が事実とされ、汚辱に満ちた婚約破棄となったいた事でしょう。

 ヴォルフガング王太子殿下には感謝しかありません。

 幼い頃はとても幸せでした。
 心から私を愛してくれる母上がいてくださいました。
 祖父の代から仕える忠臣が沢山いてくれました。

 今は嘘だったと分かりましたが、父上も、偽りの愛情を示していました。
 母上が亡くなるまでは……

 全ては母上が亡くなられてから起こりました。
 いえ、それ以前から徐々に準備していたのでしょう。
 父上の、いえ、オットーの策略だったの違いありません。

 私を愛してくれていた乳母、心から仕えてくれていた侍女。
 ルートヴィッヒ侯爵家を支えてくれていた忠臣達が次々と解雇されていきました。

 あの頃はまだオットーの嘘も悪意を知らず、愛してくれていると信じ、辞めさせないようにお願いしていたのです。

 愚かでした、私を助け支えてくれていたランド・スチュワードと騎士団長が解雇したら、オットーは今までかぶっていた仮面を脱いだのです。

 オットーは最初からルートヴィッヒ侯爵家を乗っ取る心算だったのです。
 祖父が亡くなり、有力な親戚が徐々に離れて行き、王国でも有数の実力者だったクレーマー侯爵の勧める婿を、母上は断る事ができなかったそうです。

 オットーはクレーマー侯爵エルンストの実弟です。
 家柄も年齢も母上につり合っていました。
 決して無理無体な条件ではなかったそうです。

 それに、最初はオットーもよき夫を演じていたようです。
 家中の誰もが騙されていたのです、私も騙されていました。

 オットーは時間をかけてルートヴィッヒ侯爵家の中に自分の腹心を作ったのです。
 クレーマー侯爵家の人間として、地盤を固めていたのです。

 母上が亡くなられるまで、虎視眈々と機会を待っていたのです。
 こんな事は考えるのも嫌ですが、時期が来たから母上を殺したのかもしれません。

 だって、ランド・スチュワードと騎士団長が解雇した後で、オットーはイザベラという女とステラという女をルートヴィッヒ侯爵家に迎え入れたのです。

 イザベラとは母と結婚する前から関係があったそうです。
 ステラはその時に生まれた娘、私の異母姉だと言うのです。

 母上と結婚してからも、ずっと関係を続けていたというのです!
 なんたる不誠実でしょう、私は絶対に許しません!

 ですが、幼い私は無力でした。
 毒殺されないように、這いつくばって生きるしかありませんでした。

 母上が残された装飾品が次々と売り払われ、イザベラとステラの身を飾る装飾品に変わっていきます。

 ルートヴィッヒ侯爵家重代の宝物が、クレーマー侯爵家に奪われてしまいます。
 幼い私は唇を噛んで耐えるしかありませんでした。
 ですが、報復を諦めた訳ではありません!
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