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7話

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「マリーア嬢!
 マリーア公爵令嬢!
 王太子殿下がお探しです!
 我らは王太子殿下の使いです!
 どうか出てきてください!
 王太子殿下は詫びたいと申されておられます!
 ルスィア嬢との事は一時の気の迷いで、本心はマリーア嬢の事を心から愛しておられるのです!
 どうか、どうか、どうか出てきてください!」

 しつこい!
 しつこすぎる!
 こんな山奥まで追手が探しに来るなんて、一体何人の追手を出しているんですか。
 そんな人手があるのなら、国の治安をよくしなさい。
 家を出て、色々な領地を見て、思い知りました。
 この国は病んでいると。

 聖女とは言え、私一人にできる事など限られています。
 多少の奇跡で命を救えるだけです。
 根本的な食糧不足は、王家の指導の下、全貴族士族が取り組まなければ、どうしようもない問題です。
 私が父上に頼んで、フェルナンデス公爵家だけが動いても、どうこうできる問題ではないのです。

「マリーア嬢、急いで移動した方がいいぜ。
 あいつら本気だ。
 本気でマリーア嬢を捕まえるつもりだ。
 恐らく莫大な賞金がかかっているぜ」

「笑えない冗談はやめて!
 だけど、この前インキタトゥスが言っていたよね?
 高い山は空気が薄くなるからサラには危険だと。
 逃げるなんて無理でしょ」

「その辺はブケパロスとティシュトリヤに任せればいいさ。
 王家の軟弱な騎士や徒士なんか蹴り殺してくれるよ」

 インキタトゥスは簡単に言ってくれるますが、王家の騎士や徒士を殺したりしたら、家に迷惑をかけてしまいます。
 馬が勝手にやったと言い分けしても通じません。
 そんな事はインキタトゥスも分かっているはずです。
 本心はなんなのでしょうか?

「笑えない冗談は止めてと言ったでしょ!
 これ以上つまらない事を言ったら殺すわよ!
 本心を話しなさい!」

「仕方ないな。
 俺たちは王家の奴らをまいて逃げるから、マリーア嬢はサラを連れて逃げな。
 ティシュトリヤに乗り換えれば大丈夫だ。
 絶対に見つかる事はない」

 ヒィヒィヒィィィィィン!
 
 ティシュトリヤが近づいて来て自信満々にいななきます!
 そんな大きないななきをあげたら、私を探している王家の者たちに聞こえてしまうではありませんか!
 ですがそれだけ自身がると言う事ですね。
 いいでしょう!
 信じて任せましょう。
 ですが失敗したらただではすませませんよ、インキタトゥス!

 ですが、インキタトゥスの言葉は本当でした。
 ティシュトリヤの自信も当然の事でした。
 こんな事ができるのなら、自信満々の態度をとっても当然です。
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