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第一章
6話
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ここ最近色々あったので、心労が溜まってしまいました。
モンザ王家の使者には、きっぱりと婚約を断りました。
諦めないのは分かっていますが、断る以外の選択はありません。
我が国の貴族士族を味方につけて、婚約締結にこぎつけようとするでしょうが、断じて断り続けます。
盗賊についても調べました。
相手は風の盗賊団のリーダー、ルークのようです。
女好きのふざけた性格の盗賊らしいのですが、腕は超一流と分かりました。
本人は風魔法の使い手で、その力を活用して盗みに生かしているようです。
どうりでベランダから飛んで逃げたわけです。
問題は風の盗賊団には他にも魔法が使える盗賊がいる事です。
火魔法のケイン。
闇魔法のアベル。
土魔法のレイラという、単独でも凄腕の仲間がいるようです。
少なくとも四人が協力することで、四倍どころか十倍二十倍の力を発揮して、風の盗賊団には盗めないものはないと、庶民の間では評判だそうです。
それを報告してくれたアーダは大いに怒っていました。
盗賊ごときには負けないと、一族を総動員して風の盗賊団を探してくれています。
アーダ以外にも、私の寝室に盗賊が忍び込んだことに責任を感じている貴族士族は数多くいます。
そんな貴族士族も一族を総動員して捜査に協力しています。
私は別に風の盗賊団を捕らえたいとは思っていません。
そもそも秘宝などないのですから、盗まれようがありません。
大切なのは、庶民の間で評判の盗賊団が「秘宝」の存在を信じたという事実です。
そんな時に、モンザ王家が私と王太子を婚約させようと使者を送ってきたという、厳然たる事実を示すことです。
これでファルン王家の「秘宝」と「秘宝の乙女」に注目していた各国王家が、積極的に動き出す可能性があることです。
今までは、私が嫁ぐ条件でしか各国王家との婚約同盟が成立する見込みはありませんでしたが、これからは婿に迎えるという条件で、しかも対等に近い婚約同盟が成立するかもしれません。
モンザ王家を牽制し、アルドス王太子に復讐するのなら、アメリア皇家から婿を迎えるのが一番です。
戦力国力ともに他の王国を圧倒するアメリア皇国を支配するアメリア皇室は、普通ならファルン王家のような弱小王家に皇族を婿に出すことはありません。
ですが、伝説の魔法帝国から受け継いだ秘宝がファルン王家に秘蔵されていると勘違いしたら、皇位継承権の低い皇族なら、婿に出してくれるかもしれません。
「ベルニカ。
アメリア皇国に行って、私の婿になってくれる皇族がいるかいないか、できるだけ正確に調べてきてください。
それとついでと言ってはいけませんが、ファルン王家に仕える気がある戦士を探してきてください」
モンザ王家の使者には、きっぱりと婚約を断りました。
諦めないのは分かっていますが、断る以外の選択はありません。
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盗賊についても調べました。
相手は風の盗賊団のリーダー、ルークのようです。
女好きのふざけた性格の盗賊らしいのですが、腕は超一流と分かりました。
本人は風魔法の使い手で、その力を活用して盗みに生かしているようです。
どうりでベランダから飛んで逃げたわけです。
問題は風の盗賊団には他にも魔法が使える盗賊がいる事です。
火魔法のケイン。
闇魔法のアベル。
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少なくとも四人が協力することで、四倍どころか十倍二十倍の力を発揮して、風の盗賊団には盗めないものはないと、庶民の間では評判だそうです。
それを報告してくれたアーダは大いに怒っていました。
盗賊ごときには負けないと、一族を総動員して風の盗賊団を探してくれています。
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そんな貴族士族も一族を総動員して捜査に協力しています。
私は別に風の盗賊団を捕らえたいとは思っていません。
そもそも秘宝などないのですから、盗まれようがありません。
大切なのは、庶民の間で評判の盗賊団が「秘宝」の存在を信じたという事実です。
そんな時に、モンザ王家が私と王太子を婚約させようと使者を送ってきたという、厳然たる事実を示すことです。
これでファルン王家の「秘宝」と「秘宝の乙女」に注目していた各国王家が、積極的に動き出す可能性があることです。
今までは、私が嫁ぐ条件でしか各国王家との婚約同盟が成立する見込みはありませんでしたが、これからは婿に迎えるという条件で、しかも対等に近い婚約同盟が成立するかもしれません。
モンザ王家を牽制し、アルドス王太子に復讐するのなら、アメリア皇家から婿を迎えるのが一番です。
戦力国力ともに他の王国を圧倒するアメリア皇国を支配するアメリア皇室は、普通ならファルン王家のような弱小王家に皇族を婿に出すことはありません。
ですが、伝説の魔法帝国から受け継いだ秘宝がファルン王家に秘蔵されていると勘違いしたら、皇位継承権の低い皇族なら、婿に出してくれるかもしれません。
「ベルニカ。
アメリア皇国に行って、私の婿になってくれる皇族がいるかいないか、できるだけ正確に調べてきてください。
それとついでと言ってはいけませんが、ファルン王家に仕える気がある戦士を探してきてください」
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