9 / 11
第一章
8話
しおりを挟む
「乙女、モンザ王国の使者が国に戻りました」
「攻めてくると思いますか?」
「現在集まってくる情報では諦めたようです。
ベルニカ殿がよく働いてくれております。
アメリア皇国は我が国への皇族派遣を前向きに検討してくれています」
「そう、それはよかったわ。
これからも情報収集に力を注いでください。
ベルニカに追加資金を送ってください」
「承りました」
カロジェロの見解は私と一致しています。
モンザ王国はアメリア皇国を恐れたのでしょう。
そしてアメリア皇国はモンザ王国を警戒したのでしょう。
アメリア皇国とモンザ王国が正面から戦えば、アメリア皇国が圧勝します。
ですが二国は国境を接しているわけではありません。
アメリア皇国がモンザ王国に攻め込むためには、最低二カ国を通過する必要がありますから、そう簡単に開戦を決断する事はできません。
ですが絶対に不可能というわけではありません。
アメリア皇国がその気になれば、間にある国を併合することも難しくはないですし、強圧的に出れば軍の通過は簡単に許可されるでしょう。
問題は危機感と必要性です。
モンザ王国が秘宝を手に入れた時の危険度と、アメリア皇国が秘宝を必要としているかの問題です。
私の十六年間の努力と風盗賊団の御陰で、多くの国が秘宝の存在を真剣に検討しだしました。
前世のようにモンザ王国だけが妄信しているわけではありません。
その状態でベルニカがアメリア皇国に入って運動してくれたので、アメリア皇国は重要度の低い皇族を私の婿に送る気になってくれています。
私が傾国の美女ならば、こんな苦労はないのです。
ただ微笑むだけで、皇位継承権の低い皇族を婿に迎えられたでしょう。
いえ、私が歴史に登場するような傾国の美女ならば、皇帝の愛妾となって、ファルン王国を助けてもらえたでしょう。
ですが私は並の女です。
ブスではないと思いますが、美人とは言えません。
性格は悪くないと思いますが、性格がよくても皇帝を籠絡することなど無理です。
美女だという嘘の情報を流して有利な条約を結んでも、実際にあってブスだと分かれば条約を解消されてしまいます。
最悪皇帝を偽ったとその場で処刑されてしまいます。
誠意をもって地道に国交を重ねるしかないのですが、ベルニカがよくやってくれています。
武に誇りを持つ皇国貴族や士族と剣で友情を結び、国際条約を有利に導いてくれています。
私の個人資金からも追加資金を送りましょう。
公式に伝えられない情報があるかもしれません。
「乙女!
ベルニカ殿から密書が届いております!」
「攻めてくると思いますか?」
「現在集まってくる情報では諦めたようです。
ベルニカ殿がよく働いてくれております。
アメリア皇国は我が国への皇族派遣を前向きに検討してくれています」
「そう、それはよかったわ。
これからも情報収集に力を注いでください。
ベルニカに追加資金を送ってください」
「承りました」
カロジェロの見解は私と一致しています。
モンザ王国はアメリア皇国を恐れたのでしょう。
そしてアメリア皇国はモンザ王国を警戒したのでしょう。
アメリア皇国とモンザ王国が正面から戦えば、アメリア皇国が圧勝します。
ですが二国は国境を接しているわけではありません。
アメリア皇国がモンザ王国に攻め込むためには、最低二カ国を通過する必要がありますから、そう簡単に開戦を決断する事はできません。
ですが絶対に不可能というわけではありません。
アメリア皇国がその気になれば、間にある国を併合することも難しくはないですし、強圧的に出れば軍の通過は簡単に許可されるでしょう。
問題は危機感と必要性です。
モンザ王国が秘宝を手に入れた時の危険度と、アメリア皇国が秘宝を必要としているかの問題です。
私の十六年間の努力と風盗賊団の御陰で、多くの国が秘宝の存在を真剣に検討しだしました。
前世のようにモンザ王国だけが妄信しているわけではありません。
その状態でベルニカがアメリア皇国に入って運動してくれたので、アメリア皇国は重要度の低い皇族を私の婿に送る気になってくれています。
私が傾国の美女ならば、こんな苦労はないのです。
ただ微笑むだけで、皇位継承権の低い皇族を婿に迎えられたでしょう。
いえ、私が歴史に登場するような傾国の美女ならば、皇帝の愛妾となって、ファルン王国を助けてもらえたでしょう。
ですが私は並の女です。
ブスではないと思いますが、美人とは言えません。
性格は悪くないと思いますが、性格がよくても皇帝を籠絡することなど無理です。
美女だという嘘の情報を流して有利な条約を結んでも、実際にあってブスだと分かれば条約を解消されてしまいます。
最悪皇帝を偽ったとその場で処刑されてしまいます。
誠意をもって地道に国交を重ねるしかないのですが、ベルニカがよくやってくれています。
武に誇りを持つ皇国貴族や士族と剣で友情を結び、国際条約を有利に導いてくれています。
私の個人資金からも追加資金を送りましょう。
公式に伝えられない情報があるかもしれません。
「乙女!
ベルニカ殿から密書が届いております!」
1
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢として断罪? 残念、全員が私を庇うので処刑されませんでした
ゆっこ
恋愛
豪奢な大広間の中心で、私はただひとり立たされていた。
玉座の上には婚約者である王太子・レオンハルト殿下。その隣には、涙を浮かべながら震えている聖女――いえ、平民出身の婚約者候補、ミリア嬢。
そして取り巻くように並ぶ廷臣や貴族たちの視線は、一斉に私へと向けられていた。
そう、これは断罪劇。
「アリシア・フォン・ヴァレンシュタイン! お前は聖女ミリアを虐げ、幾度も侮辱し、王宮の秩序を乱した。その罪により、婚約破棄を宣告し、さらには……」
殿下が声を張り上げた。
「――処刑とする!」
広間がざわめいた。
けれど私は、ただ静かに微笑んだ。
(あぁ……やっぱり、来たわね。この展開)
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→
AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」
ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。
お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。
しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。
そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。
お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
逃げたい悪役令嬢と、逃がさない王子
ねむたん
恋愛
セレスティーナ・エヴァンジェリンは今日も王宮の廊下を静かに歩きながら、ちらりと視線を横に流した。白いドレスを揺らし、愛らしく微笑むアリシア・ローゼンベルクの姿を目にするたび、彼女の胸はわずかに弾む。
(その調子よ、アリシア。もっと頑張って! あなたがしっかり王子を誘惑してくれれば、私は自由になれるのだから!)
期待に満ちた瞳で、影からこっそり彼女の奮闘を見守る。今日こそレオナルトがアリシアの魅力に落ちるかもしれない——いや、落ちてほしい。
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる