賢帝は皇妃と実弟に謀殺され復讐を誓って逆行転生する

克全

文字の大きさ
14 / 32
第1章

第14話:再襲撃

しおりを挟む
 その日の内にガーヴァー伯爵家の軍勢が再び攻めてきた。
 前回の失敗を反省したのか、夜襲、夜討ちを仕掛けてきた。
 本当なら当番兵、夜番の村人が見つけるまで待つべきなのだが……

「ははうえ、ないしょ」

 母上の事をどうするのか、考え悩んで私なりの決断をした。
 クソ親父の妻のまま暮らしたい母上の願いは、後回しにするしかない。
 いや、常に考慮するが、1番優先するの母上の命、安全だ。

 異母弟に謀叛されたトラウマで、私は自分の事を信じ切れない。
 とんでもない失敗、見落としで母上を死なせてしなうのが怖くて仕方がない。
 だからつい過剰とも言える安全策をとってしまう。

「どうしたの、何が内緒なの?」

 母上の強化された身体なら毒殺される事はないと思うが『私が考えもつかないような方法で母上を狙うかもしれない』という恐れが頭から離れない。
 だから、母上独自の地位を手に入れるようにする計画は変えない。

「きかれたら、こまる、ないしょのはなし」

 母上がクソ親父の妻として暮らしたい想いは、腹立たしいが受け入れる。
 だが、母上が性悪女に狙われるのは防ぎたいのだ。
 だからこの戦いで母上が正式な兵士に取立てられるくらいの武功を立てる。

「分かったわ、誰にも言わないから話して」

 母上を殺したら卒族妻の座が手に入るのは変わらない。
 だが、母上を殺したら士族殺しの罪になるなら、実行する者は余程の馬鹿だ。
 少しでも知恵がある者なら、殺すのではなく離婚させようとするはずだ。

「てきがくるよ、もうちかくまできているよ」

 だが、中にはとんでもない馬鹿もいるし、悪知恵の働く者もいる。
 騎士になった母上を殺したらクソ親父が騎士を継ぎ、自分が騎士の妻に成り上がれると、ありえない間違った夢を見る馬鹿がいるかもしれない。

「ともだちがおしえてくれたの」

 だから、母上に護衛を付ける事にした。
 今まで隠していた眷属の一部を表に出す事にした。

 私が裏から手をまわして敵や性悪女を殺しても、その護衛が殺したと思われるように、今の家から準備する事にした。

「え、どうしてわかるの、リチャの友達はそんな事ができるの?」

 1番気を付けないといけないのは、母上の優しい心だ。
 優しい母上の、心の許容量を超えるような手段を使わない事だ。
 母上が心を病むような事がないように、手加減する事が最優先だ!

「うん、できるよ」

 魔術で母上を操るような事はしない、いや、できない。
 色々自分を縛ってしまう前提があるが、その全てを守った上で母上を幸せにする!

「ホォオ」
「「「「「キィ」」」」」」

 私の念話にこたえて大きなフクロウが肩に泊まった。
 小さなコウモリ5羽が私の頭の上を舞う。

「え、この子たちがリチャの友達なの?」

 私はもちろんフェルや母上が関係しない状態で、敵を殺す準備をしておく。
 母上の邪魔になる者を、何時でも事故や病気に見せかけて殺せるようにしておく。

「うん、ともだち」

 特にクソ親父と性悪女は、今直ぐ殺せるようにしておく。
 眷属のネコとネズミを側に置き、殺せるようにしておく。
 猛獣に殺されたように見せかけて、殺せるようにしておく。

「この子たちが敵が来たと教えてくれたのね?」

「うん、おしえてくれた」

「絶対に間違いないのね?」

「うん、まちがいないよ」

「敵よ、敵が攻めてきたわ!
 私は防壁の所に行くから、子供たちを頼みます」

「ついていく、ははうえのそばがいい」
「ぼくも、ぼくも、ぼくも」

 母上は一瞬だけ迷われたが、直ぐに私たちを両手で抱き上げてくれた。
 私が身体強化した母上は、子供2人くらいは楽々持ち運べる。
 それどころか、魔獣のような速さで防壁まで駆けられる。

「敵よ、敵の夜襲よ、起きなさい、酔っぱらっている場合じゃないわよ」

 女は弱いが子供を護ろうとする母は強い。
 普段の母上は村の男たちに下手に出ているが、酔っぱらった男たちに厳しく言う。
 口で言うだけでなく、足で軽く蹴って起こす。

「「「「「オォオオオオオン」」」」」

 母上が寝ている間に森に入り眷属にしたオオカミが、敵の位置を知らせてくれる。

「ははうえ、ともだちがてきのばしょをおしえてくれた」

「オオカミも友達なの?」

「うん、ともだち」

「オオカミの声のする方に敵がいるのね?」

「うん、いるよ」

「わかったわ、よく見てみるわ」

 身体強化された母上の目なら、本気で見ようとしたら闇夜でも見通せる。
 まして月明かりのある今日なら日中と変わらず見れる。
 敵がとんでもなく遠い所にいても見つけられる。

「本当にいたわ、敵よ、敵がいるわ、近づいて来たら投擲しなさい!」

 今朝よりも敵が多いのと1度敵を撃退した自信、更に警備当番なのに酔っぱらっている村の男衆に腹を立てていたので、母上が厳しく命じた。

 身体強化された母上の怒りは、強い威圧になって男衆を恐怖させた。
 言う通りにしなけれ殺されるという思いを強く感じさせた。
 男衆は、敵も見えないのに、めったやたらに石を投げだした。

 ゴォオオオオオ

 そんな男衆は当てにできないと思ったからか、母上が投擲した。
 朝よりも更に破壊力を増した投擲が、敵の胸や腹に風穴を開ける。
 私が修正しなくても、敵を粉砕する回数がどんどん増えていく。

 だが、1度攻撃に失敗した敵は必死だった。
 暗闇で味方の損害が分からないのもあって、何十人殺しても突撃を止めない。
 それでも母上が投擲している場所は敵を防壁に近づけなかったのだが……

 「「「「「オォオオオオオン」」」」」

 母上と私たちがいる防壁の反対側からオオカミの遠吠えが聞こえてきた。
 眷属にしたオオカミたちの声を聞いて、やはり来たかと思った。

 敵は、戦慣れしている貴族の軍勢だ。
 夜襲を仕掛けるとしても1ケ所だけを攻めたりしない。
 2ケ所以上から攻めて、守りが手薄になる場所を探るのが常道だ。

 ここで母上に、反対側から敵が来たと言ってもどうにもならない。
 母上が反対側に行ったら、ここを突破されてしまう。
 なので、私が密かにぶちのめして追い返す事にした。

 とはいえ、私自身が直接ぶちのめすのは最後の手段だ。
 まずは従魔にしたオオカミたちに攻撃させる。
 駆け寄せてくる敵の騎兵は、馬の足を喰いちぎらせたら落馬して即死する。

 フルアーマープレートの総重量は最低でも30kg、普通は50kgある。
 その重量で、首を自由に動かせない状態で落馬したら、首の骨を折って死ぬ。
 オオカミに襲われた騎兵の大半が落馬即死していった。

 明るい昼間なら、何が原因で仲間が落馬しているのか分かる。
 だが暗闇の中で敵の城を攻めている場合は、矢や投石で落馬させられたと思う。
 当然だが、馬を更に早く駆けさせて敵の攻撃を避けようとする。

 馬で駆けるのを止めて槍でオオカミを迎え討てば防げる攻撃を、馬を更に駆けさせる事で損害を増大させていった。

 ガーヴァー伯爵軍の騎兵が壊滅した後で歩兵が現れた。
 オオカミたちにとっては、闇夜の騎兵よりも歩兵の方が危険だった。
 私も眷属にしたオオカミたちを無駄死にさせる気はない。

 ギャアアアアアオ

 母上に内証で眷属化していたのは猛獣や魔獣だけではない。 
 最下級とはいえ、土属性の亜竜も眷属化して支配下に置いていた。
 地属性の亜竜にガーヴァー伯爵軍の歩兵を迎え討たせた。

「竜だ、竜がいる、逃げろ、喰われるぞ、逃げろ!」
「竜がいるなんて聞いていないぞ、こんな所で死ぬのは嫌だ!」
「逃げろ、逃げるんだ、竜だ、竜がでたぞ!」
「「「「「うわぁあああああ!」」」」」

「引け、引け、一旦引いて態勢を立て直す」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜

ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。 アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった 騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。 今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。 しかし、この賭けは罠であった。 アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。 賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。 アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。 小説家になろうにも投稿しています。 なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

処理中です...