17 / 48
第4章:叔父さんと姪
第16話:手料理・高井波子視点
しおりを挟む
「叔父さん、お帰りなさい」
迎えに来てくれた叔父さんを、翔子ちゃんが満面の笑みを浮かべて迎える。
叔父さんと呼ばれた真野邦康さんのお姉さんである母親と父親が、交通事故で亡くなったと聞いているので、息子夫婦や夫の事もあって他人事とは思えない。
家と違うのは、両親が生命保険に入っておらず、ご両親を轢き殺した奴は未成年で自動車保険にも入っておらず、保険金も賠償金ももらえなかった事だ。
しかも、お父さんの兄弟姉妹どころか両親までお母さんとの結婚に反対だった。
弟と孤児同然に育ったお母さんとの結婚を強く反対していたので、翔子ちゃんを引き取らないと言ったそうだ。
引き取らないどころか、葬式の間中、絶え間なく翔子ちゃんのお母さんの悪口を言い続けたそうだ。
話を聞いた時には、腹が立ってしかたがなかった。
今思い出しただけでも腹が立って仕方がない。
その場に私がいたら、叩きのめしてやったのに!
翔子ちゃんの救いだったのは、お母さんの弟、真野邦康さんがいた事だ。
幼くして両親を亡くしたお母さんと叔父さんは、親戚をたらい回しにされ、かばい合いながら育ったらしい。
それだけに姉弟仲はとても良く、直ぐに翔子ちゃんを引き取ると言ったそうだ。
両親を亡くした翔子ちゃんを虐める、お父さんの兄弟姉妹や両親を激しく面罵して、もう二度と側に寄るなと脅かし絶縁宣言をしてくれたと言う。
真野邦康さんは、小学生の時から中学生卒業まで新聞配達のアルバイトを続け、中学を出て直ぐに型枠大工として働きだしたので、勉強は苦手だが心優しいと翔子ちゃんが言っていた。
翔子ちゃんを不自由させないように、朝早くから夜遅くまで働いていると聞いた。
今日は偶々仕事を早く終われたのか、陽が暮れて直ぐに迎えに来た。
「おう、ただいま、ご飯は頂いたのか、いただいたのなら帰ろうか?」
「翔子ちゃんは料理の勉強をしている所だよ、少し待ってやりな」
白子さんが真野邦康さんに言い放つ。
「え、あ、はい、待たせていただきます」
そう言った真野邦康さんは、とても情けなさそうな顔をしている。
頑張って働いてきたから、お腹が空いているのだろう。
それなのに翔子ちゃんのために待つと言うのだから、いい親代わりだね。
「酒は出せないが、これでも食べてな」
あれ、私が今日食べた子ども食堂の料理と全く違う。
「え、あ、はい、幾らですか?」
「翔子ちゃんがあんたに食べさせたいと言って作った料理だ、金はいらないよ」
そう言われた真野邦康さんは、一瞬で真顔になった。
なるほど、そうかい、大切に育ててくれる叔父さんに食べさせたくて、白子さんに料理を習っていたのかい、泣かせるじゃないか。
「いただきます」
私や子供たちが食べたのは、親鶏の胸肉にチーズを挟んで揚げたチキンカツが主菜で、比較的余る事の多い親鶏の肝と玉ヒモの生姜醤油煮と温野菜のサラダが副菜で、いつも食べ放題のピクルスと糠漬けが添えられていた。
翔子ちゃんが作ったと言う料理の主菜は、チキンステーキだ。
1枚ずつオーブンかフライパンで焼かないといけないチキンステーキは、子ども食堂で作られる事はない、どうしても1度にたくさん作れる煮物か揚げ物になる。
白子さんは、翔子ちゃんが家でも危険なく作れる料理を教えたのだろう。
チキンステーキなら、揚げ物と違って火事になり難い。
鶏モモ肉の2枚くらいは、少し大きなフライパンなら1度に焼ける。
真野邦康さんに出されたチキンステーキは、翔子ちゃんが隠し包丁を入れたのか、所々形が崩れているが、家でならもっと上手にできるだろう。
親鶏だと筋が多くて肉自体も硬いから、筋切りの隠し包丁が難しいけれど、普通に家で作るのなら若鶏のもも肉なので、隠し包丁はほとんどいらない。
なんだい、そりゃ美味いだろうけれど、大の男が涙を流して食べるじゃないよ。
若くして独り親方として頑張っている一人前の職人だろう、泣くんじゃないよ。
私までもらい泣きしちまったじゃないか。
「おいしい、かたくない、すじきれている?」
翔子ちゃんが心配そうに聞く、心優しい子だね。
「……ああ、ああ、うまいぞ、もの凄く美味いぞ。
かたくない、ぜんぜん硬くないぞ、筋も切れていて食べやすいぞ」
「えへへへへ、よかった、野菜の昆布和えも食べてみて」
「おお、喰うぞ、いや、ごめん、食べさしてもらうぞ」
白子さんは、あまり包丁を使わなくてもいいようにしたのかね?
スーパーに売っているカット野菜や胡瓜だけでも簡単に作れる、野菜の昆布和えを教えたようだ。
カット野菜を買うならそのまま塩昆布で和えればいいし、胡瓜なら棒で叩いて潰せば包丁を使わなくても作れる。
邦康さんが家でお酒を飲むなら、昆布和えは良い肴になるかもしれない。
包丁を使う料理は、ここでもっと練習してからの方が良いしね。
「これもうまい、野菜の昆布和えも凄く美味いぞ。
翔子はねえちゃん、おっと、お母さんに似て料理が上手だな」
「ほんとう、わたし、お母さんと同じように料理が上手になれるかな?」
「なれるぞ、お母さんみたいに料理上手になれる、叔父さんが保証してやる」
「うん、がんばって料理上手になるよ」
翔子ちゃんも真野邦康さんも良い笑顔だねぇ。
こんな好い光景、最近では滅多に見られない。
もっとしっかりと瞼に焼き付けたいのに、涙でかすんじまうよ。
「翔子ちゃんの叔父さん良いなぁ~、チキンステーキおいしそうだなぁ~」
小上がりでご飯を食べていた子が小さな声で言う。
あの子くらいの歳だと、子ども食堂の事情など分からないだろう。
唐揚げとチキンステーキが同じもも肉なのも、分かっていないだろう。
大きなもも肉の塊が羨ましいのかもしれないし、大人が美味しそうに食べているから羨ましいだけかもしれない。
白子さんたちが1枚ずつ焼くのも大変だけれど、何より、丁寧な隠し包丁を入れてもけっこう硬くて、あのくらいの子には食べ難い。
あの子くらいの歳だと、誰かが側について切り分けてあげないといけない。
子ども食堂では、それだけの人手がないのだが、それも分からないのだろう。
「鈴音もチキンステーキが食べたいのかい?」
「……うん、食べたい」
「今日はもう材料がないし、1人ずつ作ってやる人手もない。
なにより、いつも言っているように、親鶏のもも肉はかなり硬い。
1枚のチキンステーキを鈴音くらいの子が切るのは無理だ。
食べられなかった時には、捨てるか誰かほかの人に食べてもらわないといけない。
小さな子もチキンステーキを食べられるようにするには、お手伝いが必要だ。
……明日以降ならもも肉を多めに持ち帰ってもらう事はできる。
作る時、小さい子に食べさせる時、手伝ってくれる子はいるかい?」
「手伝う、僕手伝う、だから鈴音ちゃんに食べさせてあげて」
「私も手伝う、私も手伝うから、小さい子に食べさせてあげて」
「私は切ってあげる、小さい子が自分で切れなかったら私が切ってあげる。
残したら代わりに食べてあげるから、食べさせてあげて」
「僕は料理はできないけど、食べさせてあげる。
食べ残したら代わりに全部食べてあげる」
ああ、もう、今日なんて日だ、こんなに泣かされるとは思っていなかったよ!
迎えに来てくれた叔父さんを、翔子ちゃんが満面の笑みを浮かべて迎える。
叔父さんと呼ばれた真野邦康さんのお姉さんである母親と父親が、交通事故で亡くなったと聞いているので、息子夫婦や夫の事もあって他人事とは思えない。
家と違うのは、両親が生命保険に入っておらず、ご両親を轢き殺した奴は未成年で自動車保険にも入っておらず、保険金も賠償金ももらえなかった事だ。
しかも、お父さんの兄弟姉妹どころか両親までお母さんとの結婚に反対だった。
弟と孤児同然に育ったお母さんとの結婚を強く反対していたので、翔子ちゃんを引き取らないと言ったそうだ。
引き取らないどころか、葬式の間中、絶え間なく翔子ちゃんのお母さんの悪口を言い続けたそうだ。
話を聞いた時には、腹が立ってしかたがなかった。
今思い出しただけでも腹が立って仕方がない。
その場に私がいたら、叩きのめしてやったのに!
翔子ちゃんの救いだったのは、お母さんの弟、真野邦康さんがいた事だ。
幼くして両親を亡くしたお母さんと叔父さんは、親戚をたらい回しにされ、かばい合いながら育ったらしい。
それだけに姉弟仲はとても良く、直ぐに翔子ちゃんを引き取ると言ったそうだ。
両親を亡くした翔子ちゃんを虐める、お父さんの兄弟姉妹や両親を激しく面罵して、もう二度と側に寄るなと脅かし絶縁宣言をしてくれたと言う。
真野邦康さんは、小学生の時から中学生卒業まで新聞配達のアルバイトを続け、中学を出て直ぐに型枠大工として働きだしたので、勉強は苦手だが心優しいと翔子ちゃんが言っていた。
翔子ちゃんを不自由させないように、朝早くから夜遅くまで働いていると聞いた。
今日は偶々仕事を早く終われたのか、陽が暮れて直ぐに迎えに来た。
「おう、ただいま、ご飯は頂いたのか、いただいたのなら帰ろうか?」
「翔子ちゃんは料理の勉強をしている所だよ、少し待ってやりな」
白子さんが真野邦康さんに言い放つ。
「え、あ、はい、待たせていただきます」
そう言った真野邦康さんは、とても情けなさそうな顔をしている。
頑張って働いてきたから、お腹が空いているのだろう。
それなのに翔子ちゃんのために待つと言うのだから、いい親代わりだね。
「酒は出せないが、これでも食べてな」
あれ、私が今日食べた子ども食堂の料理と全く違う。
「え、あ、はい、幾らですか?」
「翔子ちゃんがあんたに食べさせたいと言って作った料理だ、金はいらないよ」
そう言われた真野邦康さんは、一瞬で真顔になった。
なるほど、そうかい、大切に育ててくれる叔父さんに食べさせたくて、白子さんに料理を習っていたのかい、泣かせるじゃないか。
「いただきます」
私や子供たちが食べたのは、親鶏の胸肉にチーズを挟んで揚げたチキンカツが主菜で、比較的余る事の多い親鶏の肝と玉ヒモの生姜醤油煮と温野菜のサラダが副菜で、いつも食べ放題のピクルスと糠漬けが添えられていた。
翔子ちゃんが作ったと言う料理の主菜は、チキンステーキだ。
1枚ずつオーブンかフライパンで焼かないといけないチキンステーキは、子ども食堂で作られる事はない、どうしても1度にたくさん作れる煮物か揚げ物になる。
白子さんは、翔子ちゃんが家でも危険なく作れる料理を教えたのだろう。
チキンステーキなら、揚げ物と違って火事になり難い。
鶏モモ肉の2枚くらいは、少し大きなフライパンなら1度に焼ける。
真野邦康さんに出されたチキンステーキは、翔子ちゃんが隠し包丁を入れたのか、所々形が崩れているが、家でならもっと上手にできるだろう。
親鶏だと筋が多くて肉自体も硬いから、筋切りの隠し包丁が難しいけれど、普通に家で作るのなら若鶏のもも肉なので、隠し包丁はほとんどいらない。
なんだい、そりゃ美味いだろうけれど、大の男が涙を流して食べるじゃないよ。
若くして独り親方として頑張っている一人前の職人だろう、泣くんじゃないよ。
私までもらい泣きしちまったじゃないか。
「おいしい、かたくない、すじきれている?」
翔子ちゃんが心配そうに聞く、心優しい子だね。
「……ああ、ああ、うまいぞ、もの凄く美味いぞ。
かたくない、ぜんぜん硬くないぞ、筋も切れていて食べやすいぞ」
「えへへへへ、よかった、野菜の昆布和えも食べてみて」
「おお、喰うぞ、いや、ごめん、食べさしてもらうぞ」
白子さんは、あまり包丁を使わなくてもいいようにしたのかね?
スーパーに売っているカット野菜や胡瓜だけでも簡単に作れる、野菜の昆布和えを教えたようだ。
カット野菜を買うならそのまま塩昆布で和えればいいし、胡瓜なら棒で叩いて潰せば包丁を使わなくても作れる。
邦康さんが家でお酒を飲むなら、昆布和えは良い肴になるかもしれない。
包丁を使う料理は、ここでもっと練習してからの方が良いしね。
「これもうまい、野菜の昆布和えも凄く美味いぞ。
翔子はねえちゃん、おっと、お母さんに似て料理が上手だな」
「ほんとう、わたし、お母さんと同じように料理が上手になれるかな?」
「なれるぞ、お母さんみたいに料理上手になれる、叔父さんが保証してやる」
「うん、がんばって料理上手になるよ」
翔子ちゃんも真野邦康さんも良い笑顔だねぇ。
こんな好い光景、最近では滅多に見られない。
もっとしっかりと瞼に焼き付けたいのに、涙でかすんじまうよ。
「翔子ちゃんの叔父さん良いなぁ~、チキンステーキおいしそうだなぁ~」
小上がりでご飯を食べていた子が小さな声で言う。
あの子くらいの歳だと、子ども食堂の事情など分からないだろう。
唐揚げとチキンステーキが同じもも肉なのも、分かっていないだろう。
大きなもも肉の塊が羨ましいのかもしれないし、大人が美味しそうに食べているから羨ましいだけかもしれない。
白子さんたちが1枚ずつ焼くのも大変だけれど、何より、丁寧な隠し包丁を入れてもけっこう硬くて、あのくらいの子には食べ難い。
あの子くらいの歳だと、誰かが側について切り分けてあげないといけない。
子ども食堂では、それだけの人手がないのだが、それも分からないのだろう。
「鈴音もチキンステーキが食べたいのかい?」
「……うん、食べたい」
「今日はもう材料がないし、1人ずつ作ってやる人手もない。
なにより、いつも言っているように、親鶏のもも肉はかなり硬い。
1枚のチキンステーキを鈴音くらいの子が切るのは無理だ。
食べられなかった時には、捨てるか誰かほかの人に食べてもらわないといけない。
小さな子もチキンステーキを食べられるようにするには、お手伝いが必要だ。
……明日以降ならもも肉を多めに持ち帰ってもらう事はできる。
作る時、小さい子に食べさせる時、手伝ってくれる子はいるかい?」
「手伝う、僕手伝う、だから鈴音ちゃんに食べさせてあげて」
「私も手伝う、私も手伝うから、小さい子に食べさせてあげて」
「私は切ってあげる、小さい子が自分で切れなかったら私が切ってあげる。
残したら代わりに食べてあげるから、食べさせてあげて」
「僕は料理はできないけど、食べさせてあげる。
食べ残したら代わりに全部食べてあげる」
ああ、もう、今日なんて日だ、こんなに泣かされるとは思っていなかったよ!
87
あなたにおすすめの小説
離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。
しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。
私たち夫婦には娘が1人。
愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。
だけど娘が選んだのは夫の方だった。
失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。
事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。
再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
Husband's secret (夫の秘密)
設楽理沙
ライト文芸
果たして・・
秘密などあったのだろうか!
むちゃくちゃ、1回投稿文が短いです。(^^ゞ💦アセアセ
10秒~30秒?
何気ない隠し事が、とんでもないことに繋がっていくこともあるんですね。
❦ イラストはAI生成画像 自作
【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる